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「機会を捻出できない弱み」~2023.3.8 UEFAチャンピオンズリーグ Round16 2nd leg バイエルン×パリ・サンジェルマン マッチレビュー~

1st leg

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即時奪回で生み出す機会の差

 パリでの1st legはバイエルンが先手をとりながらも、途中交代で入ったムバッペの盛り返しからパリにも十分に可能性を感じさせる内容だったと言えるだろう。

 試合はどちらのチームもゆったりとボールを持つことができる流れだった。バイエルンは4バックでのスタートだったが、ボールを持つときは3バック。デイビスが上がる形でSBは左右非対称な役割をこなしていた。

 パリは徹底して中央をクローズする形で守っていた。サイドはいくら抉られても中央は跳ね返すことができればOK。ライン間を締めながらバイエルンに大事なところでボールを触らせない。左のハーフスペースは少し空きそうではあったが、ムシアラが強引にこじ開けるにはパリのバックラインは非常に強固だった。

 一方のパリは逆に3バックから4バックにシフトする形でビルドアップを行っていた。ドンナルンマを挟む形で、バックラインはラモスとマルキーニョスが大きく開く形。ダニーロが一列前に出ていく形で自由にボールを受けられるかを探っていた。

 バイエルンのプレスは1人がスイッチを入れると他の選手が追従する形で一気にプレッシングをかけにいく。それに対してパリは中盤の列落ちで数的優位を確保。サイドでポイントを多めに作りながら前進。IHのファビアンが左サイドに流れつつ、ムバッペへの動線を敷く。IHはボールを出した後はゴール前に駆け上がらなくてはいけないので、結構重労働である。

 崩しの狙いとなったのはパリ側も左サイド。メンデス、ファビアン、ムバッペの3人でバイエルンの右サイドの裏をとりながらゴールに迫っていく。ただし、バイエルンもネガトラが爆速。パリの方がシュートは多かったが、クリティカルなチャンスは少ないまま試合は進む。

 唯一のクリティカルなチャンスと言えるゾマーのパスミスはデ・リフトがスーパーセーブに成功。決定的なミスからの素早い予知でパリが試合を振り出しに戻すチャンスを防ぐことができていた。

 後半もどちらのチームもセットされた状態からのプレスに積極的ではなかったため、攻守の切り替えが少ない展開となった。ただし、バイエルンが押し込んでから瞬時に奪回する形でポゼッションの機会を増やしていったので、両チームが前進をトライできる頻度には徐々に差が出てくることとなる。

 左サイドから徐々にクロスを増やしていき、サイドからの抜け出すクロスでゴールに近づいていくバイエルン。1回目にネットを揺らしたシーンはなんとかオフサイドで見逃してもらったが、2回目となったヴェラッティへのハイプレスからの先制点は見逃してもらえず、バイエルンがトータルスコアで2点差となるゴールを手にすることになる。パリからするとマルキーニョスから始まった混乱でバックラインが入れ替わりまくっていたことは撤退守備完遂の障害になっていたかもしれない。

 得点後は4-4-2のミドルブロックからのカウンターで勝負に出たバイエルン。ボールを持ったら堅実にポゼッションを行うというスタンスできっちり時計を進める。サネだけは割と強引な仕掛けをしていて、他の選手と異なる温度感でプレーしていたのが面白かった。

 パリはビハインドでの前からのプレッシングの頻度を上げることができないのが痛恨。一撃必殺の武器はあっても、その武器を活用する頻度は相手のミス待ちになる。普通のチームならミスってくれるが、そこは天下のバイエルン。安定した保持から一撃必殺の機会を与えない。

 バイエルンは仕上げにカンセロとグナブリーの交代コンビで2点目をゲット。パリの心を最後に完全にへし折ることに成功。2試合合計3-0と確実な差を見せつけて、ベスト8にコマを進めた。

ひとこと

 ミスをしないバイエルンに対してミス待ちしかできないパリの試合運びは少しもどかしいものがあった。とはいえ、この設計はメッシ、ムバッペ、ネイマールの3人と付き合う以上は切り離せないのでジレンマはまだまだ続くことになりそうだ。

試合結果

2023.3.8
UEFAチャンピオンズリーグ
Round 16 2nd leg
バイエルン 2-0 パリ・サンジェルマン
フースバル・アレナ・ミュンヘン
【得点者】
BAY:61′ チュポ=モティング, 89′ グナブリー
主審: ダニエレ・オルサト

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