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「相手が変わることで浮かび上がるもの」~2023.2.25 J1 第2節 鹿島アントラーズ×川崎フロンターレ プレビュー

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第2節
2023.2.25
鹿島アントラーズ(2位/1勝0分0敗/勝ち点3/得点2/失点0)
×
川崎フロンターレ(13位/0勝0分1敗/勝ち点0/得点1/失点2)
@県立カシマサッカースタジアム

戦績

近年の対戦成績

直近5年間で鹿島の1勝、川崎の10勝、引き分けが5つ。

鹿島ホームでの戦績

直近10戦で川崎の7勝、引き分けが3つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 川崎は公式戦における鹿島戦において13試合連続で無敗。
    • 直近9試合で8勝を挙げている。
  • リーグでの川崎戦最後の勝利は2015年8月の等々力での試合。
    • カイオ、金崎夢生、赤﨑秀平のゴールで1-3での勝利。
  • 第2節に鹿島のホーム開幕戦で当たるという構図は昨年と全く同じ。昨年は川崎が0-2で勝利。
  • 川崎はカシマスタジアムでの公式戦で9試合無敗継続中。
    • この間、5回のクリーンシートを達成。

スカッド情報

鹿島アントラーズ
  • 昌子源は右膝内側側副靱帯損傷 により開幕戦は欠場。
  • エレケは右ハムストリングの負傷で欠場。
川崎フロンターレ
  • レアンドロ・ダミアンは右足関節の手術の影響で離脱中。
  • 小林悠は左足の負傷で離脱。
  • ジェジエウ開幕戦の退場により1試合出場停止。
  • 永長鷹虎、高井幸大はU-20日本代表選出により離脱。
  • 車屋紳太郎は右ハムストリングの肉離れで6週間の離脱。
  • 登里享平は左ヒラメ筋肉離れにより5週間の離脱。
  • 佐々木旭は今週のチーム練習を欠場している。

予想スタメン

Match facts

鹿島アントラーズ
  • 2008-10年以来の開幕戦2年連続勝利
  • 直近4年間のホーム開幕戦では1勝のみ(L3)
  • 2月のリーグ戦は直近8戦で2勝(D1,L5)
    • 勝利した2試合はいずれもアウェイゲーム。
  • 岩政監督の監督キャリアにおいて川崎はすでに2敗している唯一の相手。
  • 知念慶はキャリア初めての開幕戦でのゴールを決めた。
  • 鈴木優磨がリーグ戦で最後に得点を決めたのは2022年7月のC大阪戦。以降の14試合でノーゴール。
川崎フロンターレ
  • 開幕戦での敗戦は2013年3月以来10年ぶり。
    • ホームではJ2時代の1999年新潟戦以来。
  • 直近8年でアウェイでの開幕戦で勝てなかったのは2試合のみ。
    • いずれも対戦相手は横浜FM。
  • 開幕2節で連敗になれば24年ぶりのこと。
  • 直近5試合のアウェイでのリーグ戦は1勝(D2,L2)
  • 山村和也は川崎移籍後のカシマスタジアムでの4試合中3試合で得点を挙げている。
  • 家長昭博は直近21試合の出場した鹿島戦において無敗(W15,D6)。

予習

第1節 京都戦

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展望

完勝だった京都戦は踏襲される可能性

 およそ10年ぶりに開幕戦を落とした川崎。今季のアウェイ開幕戦となる今節の相手はプレシーズンマッチの成績が振る舞わなかったものの、開幕戦できっちりと勝利を挙げた鹿島アントラーズである。

 噂程度にしか知らないが、様々なシステムを試したらしいプレシーズンの鹿島。京都戦でもいくつかの顔を見せるように試合を運んだ。

 スターターとして採用したのは4-3-3の形だった。トップの鈴木がアンカーの川崎をマークする形で、両方のWBは高い位置からCBにプレッシャーをかける。特に外切りというわけではなく、京都のSBにはそれなりにボールを持たせるのはアリという判断をしているように見えた。

 大外のスペースはIHが出て行く形でプレッシャーをかけていく。前線も中盤も高い位置から出て行く積極策からは中盤より前のエリアでボールを奪い、速く縦に攻撃を仕掛けていきたいという形が見て取れる。

 すなわち、狙いはハイプレスからのショートカウンター。スターターで目指す形のプランAがハマった感がある京都戦では立ち上がりはほとんど自陣から脱出させない形で守備を機能させたといっていいだろう。ハイプレスから奪い取った2点目は直線的な彼らのスタイルがぶっ刺さった感じがするし、セットプレーからもぎ取った1点目も敵陣で長い時間を過ごすためのプランがハマった結果生まれたものと捉えることが出来る。

 ただし、京都に対してはボールを運ばれそうな時間帯もあった。京都はシステムを4-3-3から3-4-3とワイドに人をより多く配置しやすい形に変更する。鹿島のメカニズムにのっとれば、WGは相手のCBについていく決まりなので、京都のWBとシャドーの2人を鹿島のSBが1人で見る構図が出来上がる。

 結果的に京都のWBが空いている状況は増えた。これに対して鹿島は4-4-2で対応。サイドの前の選手の守備位置を下げることで後方の枚数をかみ合わせて自陣を固めることに成功した。京都の狙いを潰すための変更の目的と手を打つ迅速さの両面で非常にいい対応だったといえるだろう。

 鹿島の開幕戦で見られたフォーメーションはざっくりとハイプレス主体の4-3-3と後方噛み合わせの4-4-2。キャンプではいろいろ試していたようなので、まだこのほかに引き出しはあるかもしれない。

 ボール保持については正直なところ、京都戦では底力が見えなかった部分といっていいだろう。迫られた際には潔く蹴っ飛ばし、鈴木と知念の2人にボールを集める。このロングボールでの陣地回復とショートカウンター主体のスタイルで鹿島は京都を制圧したといっていいだろう。

 すなわち前線で収まらず、ショートパスを強いられたときのプレス耐性は不透明のままである。もっとも、Jリーグのチームが相手という前提であるならば、知念と鈴木という前方のターゲットが全く収まらないことはかなり考えにくいといえるだろう。

 少なくとも川崎戦でうまく言ったやり方を放棄し、突然ショートパスをつなぎ始めるようなことはないように思う。基本的には攻撃も守備も開幕戦から継続採用。4-3-3でのハイプレスと後方からの陣地回復の2つで川崎相手に久しぶりの勝利を狙ってくると予想する。

懸念がぶつかり合う川崎のプレス回避の局面

 久しぶりに開幕戦に勝ったことで鹿島の雰囲気はいいはずだ。トレーニングマッチによる前評判の低さも今となっては盛り上がりの材料でしかないといった感じであろう。

 ただ、サンプル数が少ない状態ではチームの実力を正しく推し量れないというのはよくある話である。川崎も2019年のゼロックスの浦和戦で勝利した際、まんまと圧倒的優勝候補という声にサポーターも含めて乗せられてしまった感がある。

 そういう意味では鹿島にも同じことが起こる可能性は十分にあるだろう。開幕戦の出来でいえば比較的文句のつけようがない部類に入るスタートだったといえる。だが、相手が変わった時にうまくいかなそうな可能性があるところは十分に見受けられた。川崎が狙うべきはそこである。

 今の鹿島において、相手が変わった時に最も怪しいのでは?と感じたのはハイプレスの機能性である。WGの前からのプレスの意識の強さは川崎にとっては十分にひっくり返すチャンスがある場所になる。

 鹿島のプレスに行く陣形の特徴はWGとSBの距離がかなり空いていることだ。先に述べたようにこのエリアはIHが埋めることが多い。樋口はともかく、ピトゥカはこの動きを全うすることは難しいだろう。しかも彼が務めていた右サイドは藤井がWG。出て行って捕まえ損ねたり、後方のスペースを埋められないこともめずらしくはない。佐々木がこの位置でフリーになれれば前方へのフィードの起点となるチャンスは十分に出てくるだろう。

 ただし、川崎からすればハイプレスの打開における懸念はある。まずその役割が期待できる佐々木は体調不良で今週の練習を欠席。後方から彼をおしあげることができる車屋は不在で、先発が見込まれるのは大南だ。逆サイドの山村と山根には同じ役割が期待できるが、より献身的な知念を相手に同等の効果が見込めるかは未知数だ。

 山根といえば開幕戦で見せた3-2型の変形を期待する声もあるだろう。しかし、鹿島が4-1-2-3で来た場合、川崎が3-2ブロックを組めれば非常に無理なくプレスをハメることができる。

 ソンリョンにボールを持たせ、宮代をターゲットに蹴る方向に誘導し植田と関川で回収してカウンターというのは鹿島視点からは十分に描ける青写真だ。左のマルシーニョも対面が常本であれば簡単に出し抜けるとは思えない。ビルドアップのベースは他の形を作り、あくまでこの形はズレを作るためのオプションと考えるのが妥当だろう。狙いはWGとSBの間のスペース。そこから先は相手がどのように出てくるか次第だ。

 ただ、開幕戦はマルシーニョの抜け出しが出口になることは多かったが、相手を引き寄せる動きを挟んでいることと遠野を相棒に裏抜け後のサポートを作っている部分はとてもよかった。マルシーニョ頼みという言葉の文脈はだいぶいい方向に変わっている。

 川崎がブロック守備の鹿島を攻略できるかは未知数のところが多い。佐々木、山村など鹿島に相性が良いバックラインは組み立ての部分でも十分に機能を発揮できるはず。前者は対角への展開、後者は同サイドの崩しへの参加で開幕戦で問われなかった鹿島のブロック守備の精度を探っていきたい。

 押し込まれれば鹿島も簡単に脱出は難しい。ハイプレスはロングキックを蹴れれば抜けられるけど、自陣深くまで押し込まれた状態でのロングキックはクリアに近い形になる。押し込んで即時奪回を狙い、鹿島の守備陣のボールプレーの怪しさを引き出したい。

 鹿島がハイプレスをロングボールで交わしに来た時に頑張ってほしいのは大南。ビルドアップの部分では目をつぶる代わりに、対人では即戦力級の活躍を見せておきたいところ。鹿島の前線に存在感を発揮できれば一気に序列を上げるチャンスになる。

 川崎がトランジッションで気を付けたいのは保持における可変が大きい右サイド。3-2になっている時にカウンターを食らい、ショートカウンターから大外に余っている知念という流れは最悪に近い。これだけは避けたいところだ。

 川崎目線でいえばペースを握るための最も重要な要素はハイプレス回避になる。ビルドアップに不安要素があるのは否めないが、順調な船出を果たした鹿島を妨害する絶好の機会を生かしたいところだ。

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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