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「意味付けは鮮明に」~2023.3.18 J1 第5節 川崎フロンターレ×セレッソ大阪 プレビュー

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第5節
2023.3.18
川崎フロンターレ(14位/1勝1分2敗/勝ち点4/得点4/失点5)
×
セレッソ大阪(13位/1勝1分2敗/勝ち点4/得点6/失点7)
@等々力陸上競技場

戦績

近年の対戦成績

直近5年間で川崎の4勝、C大阪の6勝、引き分けが3つ。

川崎ホームでの戦績

直近10戦で川崎の4勝、C大阪の3勝、引き分けが3つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 2022年の公式戦では4回対戦しており、いずれも川崎は勝てていない
    • リーグ戦ではC大阪がシーズンダブルを達成。
  • 直近13試合の公式戦での対戦においてクリーンシートがないカード。
  • 直近5試合での公式戦での対戦ではいずれも85分以降に得点が決まっている。
    • 直近3試合での4つの得点は全てC大阪が得点を記録。
  • C大阪の方が上の順位で等々力開催を迎えるのは2013年以来10年ぶりのこと。
    • 川崎が12位、C大阪が6位。2-2で引き分けに終わっている。

スカッド情報

川崎フロンターレ
  • 右足関節の手術の影響で離脱していたレアンドロ・ダミアンは部分合流。
  • 小林悠は左足の負傷で離脱していた小林悠と左ヒラメ筋の肉離れをしていた登里享平はフルメニューを消化。
  • ジェジエウは左膝外側半月板損傷により長期離脱。
  • 山村和也、大島僚太は新潟戦で負傷交代。
  • 永長鷹虎、高井幸大はU-20日本代表選出により離脱中。
  • 車屋紳太郎は右ハムストリングの肉離れで6週間の離脱。
  • 千葉に育成型期限付き移籍をしていた田邉秀斗はすでに合流。
セレッソ大阪
  • 北野颯太はU-20日本代表選出により離脱中。
  • 清武弘嗣は左足の太ももを痛めて離脱中。

予想スタメン

Match facts

川崎フロンターレ
  • 開幕4戦で勝ち点4は4戦未勝利だった2019年以来4年ぶり。
  • リーグ戦で連敗すれば2022年5月以来のこと。
  • ホームのリーグ戦で3試合勝ちなしになれば2019年9月以来。
  • 今季のリーグ戦のゴールは全て80分以降に記録したもの。
  • 公式戦では12試合連続で失点を記録している。
  • 鬼木監督はC大阪戦で8敗を記録しており、キャリアにおいて最も敗れている相手。
    • 2番目に多い浦和は5敗。
セレッソ大阪
  • 今季のリーグ戦は4戦全試合で得点も失点も記録している。
  • アウェイでのリーグ戦は6試合連続で勝ちがない(D3,L3)
  • 今季のリーグ戦では全ての試合で80分以降の失点がある。
  • 今季のリーグ戦4試合中3試合で先制ゴール。ただし、逃げ切ったのは1回だけ。
    • 川崎は今季先制点を記録したことがない。
  • 神奈川県のチームとのリーグ戦は2022年は6戦無敗だった(W3,D3)
  • 今季記録した7得点は全て得点者が異なる。

予習

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展望

僕らと同じく苦しみが多い

 昨シーズンも苦しい1年ではあったが、今年はそれに輪をかけて苦しいシーズンになっている川崎。今節の相手はすでに昨シーズンに散々嫌な目に遭わされてきたC大阪である。

 嫌なタイミングで嫌な相手と戦うことになったのは確か。だが、今年に関して言えばC大阪も川崎に負けず劣らず苦しいシーズンになっているといえるだろう。

 C大阪のスタイルでまず気になるのはボール保持の局面である。バックラインはCBが大きく広がりながらGKを挟み、ショートパスを主体とした組み立てを行う。こう聞くと普通な感じもするのだが、どことなく何のためにこれをやっているのかが見えにくい。おそらく、ボールを動かしても空けたいところが空かないのだろう。困った結果、蹴っ飛ばしてみるという結末になることが多い。

 こうした振る舞いははじめはジンヒョンが遅れたからなのかなと思ったが、彼が復帰した第3節の浦和戦でもあまり調子は変わらなかったので、そういうものなのだろう。ジンヒョンの方が清水よりも明らかに足元はうまかったが、それがビルドアップの有意義さにつながっているかといわれると微妙なところ。スムーズにボールはつながるが、どこに向かっていくかの鮮明さはそんなに変わりがない印象だった。

 保持の部分で少しブレイクスルーが見えたのは第4節の鳥栖戦。2トップの一角に香川が初先発で起用された試合である。建付けでいえば2トップの1人という立ち位置の香川だが、実際には奥埜と2人でIHを務める格好だった。よって、4-3-3気味のフォーメーションでボール保持を行うということである。元々、奥埜と原川or鈴木は縦関係になることが多かったが、MF色の強い香川が入るとIHを併用するような形になる。

 この形の良いところは中央に目標を作れるところ。いうまでもなく「香川真司に前を向かせること」は攻撃の終着点になる。前節の新潟が伊藤涼太郎を終着点にしていたのと同じである。C大阪の問題点である「どこに向かうのかわからないボール回し」問題は香川の起用によって、ひとまずは行きつく先が見えたということになるだろう。

 もう1つ、この形のいい点は中央でボールを触りたがる人が増えることでSBのビルドアップ関与が免除されることである。序盤の3試合はいずれも山中が割と低い位置でボールを触ることが多かった。彼や毎熊は高い位置に突撃してこそナンボの選手である。低い位置でボールを触ることは大きな効果を生み出さない。サイドに上がっていけば左右に自由に動く香川や奥埜のサポートも期待はできるだろう。

 もちろん、難点もある。トランジッション時に後方に人が残りにくい構造になることである。相応のリスクはあるが、それでも保持の目的が見えずらかった序盤戦よりはマシだと思う。仕方がないからロングボール!といったスタンスはあまり彼らに似合わない。

 アタッキングサードで最も再現性の高い動きはクルークスと毎熊が右サイドでセットになる際にみられるもの。大外のクルークスがボールを持つと、ほぼ自動的にハーフレーンを毎熊が走っていく。しかしながら、おそらくこのユニットは川崎戦では封印されるだろう。単純に勝った鳥栖戦からメンバーをいじってこないのではないか?というのが1つ。もう1つはマルシーニョがいるこちらのサイドに毎熊とクルークスで挑むのは考えにくいから。松田を後方に置き、先発はどちらかというのが落としどころだろう。

 ほかにアタッキングサードで明確に効く武器になるのは嫌な思い出たっぷりの山中のクロスだろう。香川やレオ・セアラは現状ではケミストリー構築中といったニュアンスが強い。

 非保持においては誰が先発だろうと4-4-2がベースになる。C大阪との試合のたびに言っている気がするが、4-4-2の守備ブロックの強度はFWがどれくらいの負担を背負えるが大きな要素になる。その点でいうと現状のFW陣は心もとない。この役割を担える加藤はややプレータイムを落とし気味。山田はレンタルでおらず、上門は頑張ってはいるが相方がレオ・セアラや香川では限界がある。問題なく攻守両面のクオリティを見せられそうな北野は高井や永長と一緒にいる。

 現状ではFWの守備の貢献度は物足りなく、プレスバック、コースの限定、ボールホルダーへのチェイシングはどれも不十分。1列目はいつの間にか通過されてしまい、後方の4-4ブロックがさらされるケースが多い。

 バックラインには積極的な迎撃が推奨されており、対人の強度はかなり強い。が、出て行った結果裏目になることも少なくなく、ヨニッチが釣りだされたり、鳥海が逆を取られることですでに失点につながっている。

 奥埜は最終ラインのカバーに奔走するが、その結果バイタルが空くこともしばしばあるという悪循環。多い失点数にはそれなりの理由があるということである。

3-2を生かした時間の送り方

 まず、川崎の話をする前にC大阪の出方を予想する。2人のFWを並べる純正4-4-2と香川が入る4-3-3気味の形のどちらかがこの試合のスターターだろう。個人的な予想は後者。香川というタレントの格を考えるとゴールを決めて勝った次の試合で彼をもう1回スタメンから外すとは思えない。

 となると保持は警戒しなければいけない。しかしながら鳥栖戦でボール保持がうまくいったのは香川のスタメン起用だけでなく、外的要因の存在も見逃せない。この試合の対戦相手だった鳥栖は新潟、福岡、、浦和という他の3チームに比べて、ややプレスへの意欲が高かった。というよりも他の3チームがほぼCBを放置していたのである。鳥栖のプレスの連動がうまくいっていなかったこともあり、このプレスはC大阪にスペースを明け渡すだけのものになってしまっていた。

 これまでの対戦で川崎はジンヒョンを軸としたビルドアップでガンガン前進を許している。だが、これは川崎が外切りプレスで自らWG裏のスペースを明け渡しているともいいかえることができる。

つまり、C大阪はスペースに素早くボールを届けるのはそれなりにうまくできるが、自らスペースを作りだすときの動きはできないのでは?という仮説が立つのではないだろうか。よって、この部分を勝手に担保してくれる動きがある鳥栖や川崎などはボールを前に運びやすいのだろう。

 よって、川崎に求めたいのは我慢である。マルシーニョ、家長がC大阪のSBを起点に守ることで相手に進んでボールを渡す現象というのはなくなるだろう。新潟戦のようにWGは無理にハイプレスに行かずに我慢をしたい。

 当然、プレスの開始位置は下がってしまうが、今の川崎の中盤とバックスではどんな相手でもガンガン!というスタンスは許容はしにくい。まずは重心を下げてライン間の奥埜と香川が輝けそうなルートを封鎖する。そしてサイドでは重心を下げながら山中をきっちり抑える。これを両立したい。必要であるならばより噛み合わせがいい4-2-3-1でもいいだろう。

 前プレを行わないと仮定すると川崎にとって大事なのは保持できっちり陣地を回復できるかである。C大阪は4-4-2であり、2トップはどの組み合わせはアンカーを受け渡す形ではなく、フラットに並ぶ機会が多かった。よって、川崎からすると久しぶりに見る3-2型のビルドアップが効きそうな相手である。

 アタッキングサードの攻略で気を付けたいのは強力なCB陣である。簡単にボールを付けたらあっという間に吹っ飛ばされる。宮代にとりあえず蹴るはやめた方が賢明である。

 鳥栖戦における失点シーンを見る限り、サイドの3枚での崩しという従来の川崎色の強い崩し方も悪くはない。だが、後方から時間を作ることでアタッキングサードまでボールと人を前に送り続けるのもいいだろう。例えば下の図のような。浦和戦の25分みたいに2列目から人が釣れれば面白い

 狙いは矢印の根本。ここからずらした部分を活用できれば、CHポジションに2人置くという今季の川崎の狙いの意味が出てくるようになる。

 うまくいく、いかないも勝つ、勝たないも大事だが、今欲しいのはどこに向かっていて、何のためにこれをやっているのか?というわかりやすい指針だと思う。新潟戦でダメだったのはこの意味づけがあまりにも薄かったからである。勝敗と同じくらいチャレンジの意味づけを鮮明にすることは大事にしてもらいたい。

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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