Fixture
明治安田生命 J1リーグ 第18節
2023.6.24
浦和レッズ(4位/8勝5分3敗/勝ち点29/得点20/失点12)
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川崎フロンターレ(9位/7勝3分6敗/勝ち点24/得点20/失点18)
@埼玉スタジアム2002
戦績
近年の対戦成績
直近5年間の対戦で浦和は3勝、川崎は6勝、引き分けが6つ。
浦和ホームでの戦績
直近10戦で浦和の4勝、川崎の4勝、引き分けが2つ。
Head-to-head
- 直近4試合の公式戦の川崎戦で浦和は負けなし。
- しかし、リーグ戦に限定すると直近9戦で浦和は川崎に1勝のみ。
- 唯一の勝利は川崎がコロナ感染で18人を揃えることができなかった昨季の埼スタ。
- リーグ戦において2年連続埼スタで浦和が川崎に勝利したのは2010-11年の1回だけ。
- 中立開催だったスーパーカップを除けば、直近8試合の公式戦ではアウェイチームが勝っていないカード。
- 最後の勝利は2021年3月に埼スタで川崎が浦和を5-0で下した試合。
- ともに今季ここまでPKを与えていないチーム同士の対戦。
- 直近の埼スタのリーグ戦では川崎がPKを獲得している。
スカッド情報
- 酒井宏樹は累積警告により1試合の出場停止。
- ジェジエウは左膝外側半月板損傷により長期離脱中。試合形式のトレーニングには復帰。
- 田邉秀斗は左膝側副靭帯損傷で長期離脱。
- マルシーニョは左太もも裏の肉離れにより3ヶ月の離脱。
- 小林悠は右ハムストリングの肉離れにより6週間の離脱。
予想スタメン
Match facts
- 公式戦9戦負けなし(W5,D4)だが、直近4試合の公式戦ではわずかに2得点。
- 2つの得点はいずれも下部カテゴリー相手のカップ戦に決めたもの。
- ホームでのリーグ戦は今季ここまで1敗。ACL優勝直後の鳥栖戦のみ。
- 前半30分までに得点を決めたのは一度だけ。アウェイ神戸戦の伊藤敦樹のゴール。
- リードを許した8試合中、4試合で逆転勝利。
- 横浜FMと並んでリーグで最も多い逆転勝利数。
- 得点におけるチームリーダーは興梠慎三とアレクサンドル・ショルツ。
- いずれも3得点でJ1におけるチームリーダーとしては最も少ない数字。
- 西川周作はセーブ率79.2%でリーグトップ。
- 90分換算での失点0.69も同じくリーグで最も優れている。
- 公式戦4連勝中。
- その直前までは3連敗、その前は3連勝を挙げている。
- しかし、アウェイでの公式戦は直近4試合で3敗。
- 4試合共に2失点を喫している。
- 先制した試合は今季ここまで9戦7勝。
- 今季唯一の逆転負けがルヴァンカップホームの浦和戦。
- 開始30分までの失点が12ですでに昨シーズン全体(10)を超えている。
- 直近10試合は引き分けがなく、今季アウェイでのリーグ戦での引き分けは1つもない。
- 最後の引き分けはリーグでのホーム浦和戦。
- 瀬古樹は川崎に移籍して以降、出場した5試合の浦和戦でまだ勝ちがない。
予習
第11節 広島戦
第16節 鹿島戦
第17節 横浜FC戦
ルヴァンカップ グループステージ 第6節 清水戦
展望
降りる、流れる中心でエリア攻略は未整備
前回のリーグでの対戦はACLの直前。引き分けに終わった試合の後、等々力は和やかな雰囲気で浦和をACLに送り出した。ACL制覇というのが2023年の浦和の第1章であるならば、第2章は長年苦しんでいるリーグ戦での躍進ということになるだろう。
延期分の消化も含めてACL後から上位勢を追っていきたい浦和だったが、負けないけども勝ちきれない試合が多く、現状では優勝争いのステージの一段下の階層にいるといえるだろう。連勝をきっちり決めてくるトップ3に比べると、勝ちと引き分けを行ったり来たりする浦和の成績はやや物足りない部分がある。
やはり、気になるのは得点力だろう。現状での20得点はトップハーフでは川崎と並び最下位タイ。特に横浜FMと神戸には10得点以上の差をつけられており、火力の差は大きいのが現状だろう。
得点の停滞の要因はいくつかあるが、基本的には崩しの局面に多く人数をかけることが挙げられる。人数をかけたビルドアップはCBに加えて、CHのうちどちらか1枚が中央かサイドに降りてサポートに入るのが基本線。必要であればSBもフォローに入ることができるようになっている。
中央は降りる動きを見せなかったCHがアンカー的に立ち、その前には興梠or2列目のSHが降りてボールを受けに来る。少し前までは小泉がつなぎ役として幅を利かせていたが、ここ数試合は興梠をハブ役として、最前線にリンセンを置く形が多い。基本的には全員が降りる方向を志向している。
サイド攻撃も人数をかけてのものが多い。CBを後方支援役としてSB、SHのほかにもう1人くらいは絡んでいる印象。こちらも人数をかけている。特に右サイドではこの方針が強い。
攻略のコンセプトとしては広がるCBから右サイドのズレを使って背後をとることと、興梠のポストを軸とした中央への突破の2つのパターンが挙げられるだろう。やり直しは少なく、ズレを作ったらやり切ることを大事にしようとする意識が見られる。
逆に左サイドは少人数。中盤のサポートを生かした大外の選手が1on1を仕掛けることが多い。特に左サイドに荻原がいるときはこの傾向は顕著。彼に大外のルートを託すパターンが多い。この試合では酒井が出場停止で、明本の右SBスライド&荻原の先発の可能性は高いだろう。大外で突破を許さないことは川崎側の対応の最低限の目標になる。
こうした左右からのアプローチをアタッキングサードで行っている浦和だが、相手を出し抜けている感じは薄く、サイドからのクロスはふわりと浮いたものが多く、跳ね返されて有効打にならない展開が続いている。
逆転勝ちや後半に得点が多いといったスタッツはリスクや人数をかけていい状況を作り出さないと、得点が取れないという意味だろう。この辺りの傾向はやや川崎と似ているところがある。
後ろに重心が重くなってしまっている部分を補っているのがCHの運動量。自陣での仕事と敵陣への侵入を両立し、前線の人数不足の解消のために走りまくっている。日本代表にも呼ばれた伊藤はもちろん代表格だが、安居も高パフォーマンスを見せているといえるだろう。ダイナモ型MFは前線の救世主である。
カウンターにおいては大外のアタッカーに決定的な働きが欲しいところ。やや選択肢が急ぎ気味でどうしてもゴールまでが一本調子になってしまう。特に大久保は悩んでいる様子に見える。もう少し、手前を使う余裕があれば、よりカウンターはスムーズに流れるだろう。
守備においてはプレスが非常に控えめなのが特徴。横浜FC相手にもある程度ボールを持つことを許容しており、前への圧力よりも後方に枚数を揃えることを優先するのが彼らの非保持のロジックである。
ボールを捕まえて遅らせればある程度はOK。あとは後方で酒井、ホイブラーテン、ショルツそして西川のセービングに任せればいいという発想だろう。
センターラインはCBだけではなく中盤も強固かつ行動範囲も広い。CHがサイドのカバーに出ていくこともしばしばで、CHはワンサイドにボールを追い込んでいくように守るように激しくスライドするケースも多い。
先制すればこうしたきっちりとした守り方は機能するだろう。その一方で展開を早くしたり、プレスの火力で試合全体のバランスを見ながらテンポを上げることは得意ではなく、オープンな展開での打ち合いで優位に立てないことが現時点での浦和の欠点。そして、上位進出の上で克服すべきポイントにもなるだろう。
広島戦の焼き直しで少ないチャンスを生かす
川崎からすると、どのように得点を取るのかが非常に難しいところ。だが、個人的にお勧めしたいのは浦和の好む我慢比べの土俵に乗っかることである。要は広島戦の焼き直しになるだろう。
我慢比べを行いたい理由はいくつかある。1つはハイプレスが効かない可能性が高いこと。後方は枚数をかけている浦和に対してハイプレスが成功する画はあまり見えない。岩尾や伊藤といったCHが相手につかまっているのに無理にパスを出すのであれば、プレスをかける価値はあるが、ここ数試合の浦和ではそうした無理筋のパスを出すシーンは減少傾向にある。
となると無理に出ていくプレスは川崎にとっておいしくない。プレスの番頭役が小林ではなく、とりあえずアクセルベタ踏みのダミアンであることも無理にプレスにいきたくない理由の1つである。
ローラインであればサイド偏重という浦和の攻め方は広島と似ている部分があり、あの試合の守り方は通用するだろう。CHはカバーにはいくが、ボールサイドである程度動線が見えてから。湘南戦のようになりふり構わず出ていくやり方はシミッチと大島には似合わないし、浦和のようなミドルがあるチームに対してバイタルをあっさりと空けるのは怖い。
我慢比べ推奨の理由のもう1つはローラインで迎え撃った方が、川崎が得点を取るにあたって都合がいい部分があるからである。浦和に枚数をかけさせた攻撃をすれば、カウンターから浦和の攻略のチャンスを掴むことができる。
浦和のブロック崩しの狙い目になるのはSBの背後とCHがサイドにスライドした際に空いたバイタルのエリア。攻撃の際の浦和はCHがエリア内にガンガン入ってくるし、終盤になればSBを挙げてくるリスクを積極的に許容してくる。
よって、浦和が攻撃に打って出ればサイドと中央の枚数が足りない状態になる。CBコンビは強力だが、横に縦に揺さぶれる状態は川崎にとってはおいしい。川崎も重心が低く守ることになる分、人数はかけられないが、このカウンターの精度の部分で浦和を上回らないとだいぶ厳しくなるだろう。
保持に回ればプレスは少なく、CBにはプレッシャーに来ない可能性も高い。そうなった際にはCBがきっちりと運び、2列目から釣りだして相手の中盤にスペースを作ることを意識したい。
攻略のポイントはカウンターと同じ。サイドにスライドする中盤とSBの背後である。
両チームとも共通してチャンスが多くできるような展開にはおそらくならないだろう。セットプレーも含めて少ないチャンスを生かす我慢比べを制することができるかどうかが、この試合の勝敗を分けるはずだ。
【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)