Fixture
プレミアリーグ 第35節
2023.5.7
ニューカッスル(3位/18勝11分4敗/勝ち点65/得点61 失点27)
×
アーセナル(2位/24勝6分4敗/勝ち点78/得点81 失点39)
@セント・ジェームズ・パーク
戦績
過去の対戦成績
過去5年間の対戦でニューカッスルの2勝、アーセナルの9勝、引き分けが1つ。
ニューカッスルホームでの対戦成績
過去10戦でニューカッスルの2勝、アーセナルの7勝、引き分けが1つ。
Head-to-head from BBC sport
- ニューカッスルは1996年以来のプレミアでのホームでのアーセナル戦3連勝を狙う。
- 1月にエミレーツで引き分け。ニューカッスルにとっては2010-11以来のアーセナル戦での同一シーズン内での敗戦回避のチャンス。
- アーセナルはニューカッスル戦で29のクリーンシートを達成しており、特定の相手に対するクリーンシートの記録としては大会記録。
スカッド情報
- ハムストリングの負傷をしているアラン・サン=マクシマンは引き続き状況を注視。
- シェーン・ロングスタッフは足の怪我でこの試合にフィットするかは不明。
- チェルシー戦で負傷したガブリエウ・マガリャンイスはフィットネステストによって出場可否を判断。
- ウィリアム・サリバは背中の負傷で離脱継続。長期離脱中のモハメド・エルネニーと冨安健洋は引き続き欠場。
Match facts from BBC sport
- 直近9試合のプレミアで8勝。直近3試合は連勝しており、13得点を挙げている。
- 日曜開催の試合は今季9試合全て無敗で6試合で勝利を挙げている。
- 今季の12試合のロンドン勢との試合は無敗で27得点7失点。
- カラム・ウィルソンは今季リーグ戦で15得点を挙げており、11-12のデンバ・バ以来の単一シーズンにおける最多得点者。
- 直近3試合のアウェイゲームで未勝利(D2,L1)。開幕以降の14試合のアウェイゲームと同じだけ勝利を逃している(W11,D2,L1)
- 直近3試合のアウェイゲームで8失点を喫しており、それ以前の14試合のアウェイゲームと同じ数字。
- プレミアにおける20得点に関与している選手を3人(ブカヨ・サカ、ガブリエル・マルティネッリ、マルティン・ウーデゴール)擁している唯一のチーム。
- ガブリエル・ジェズスのミッドウィークのゴールは得点した試合における無敗記録を55(W50,D5)に伸ばし、ジェームズ・ミルナーの記録を超えたことを意味する。
- レアンドロ・トロサールは2月以降の出場にも関わらず、アウェイで5つのアシスト。チームで最もアウェイでのアシストを決めている選手。
予習
第32節 トッテナム戦
第33節 エバートン戦
第34節 サウサンプトン戦
予想スタメン
展望
唯一の懸念はストライカーの併用で解消
アーセナルとニューカッスル。昨シーズンと比べて今季のプレミアリーグで最も躍進を果たした2チームと言ってもいいだろう。前者は優勝争い、後者はCL出場権争いと昨シーズンの成績では想像が難しかった舞台で鎬を削っている。
しかしながら、終盤にセント・ジェームズ・パークで迎えるこの対戦カードは1年前とほぼ変わり映えのしない構図。希望を繋いだ大目標を達成したいアーセナルが難所であるニューカッスルのホームに乗り込むという構図である。
今更説明するまでもないかもしれないが、今季のニューカッスルは非常に強い。そして、終盤戦にかけてワンランク凄みを増していると言えるだろう。
バックラインは開きながらゆったりとしたビルドアップを行う。後方でフィード役となるのはシェア。右のCBからは左右と前線に様々な弾道でのフィードがもたらされる。
中盤で君臨するのはアンカーのブルーノ・ギマランイス。彼をフリーにするとシェア以上の正確性と左右への展開力で簡単にゲームメイクを許すことになってしまう。ちなみに2023年になってからの一過性のニューカッスルの不調は出場停止による彼の不在とリンクしている。
というわけでニューカッスルのポゼッションを咎めようとすると、大きく開くCBとアンカーの両方を抑えなくてはいけない。これに更なる邪魔をかけるのがニューカッスルの前線の動きである。ウィルソンをはじめとするニューカッスルの3トップは非常に高いラインを敷いた背後を取るのが上手い。後方からのダイレクトな抜け出しからの決定機も多く、少ないパス本数であっという間に得点のチャンスを作り出していく。守る側はこうした前線との駆け引きとも戦いながらバックラインにプレスをかけなくてはいけない。
抜け出しの部分で特筆すべきなのはジョエリントン。中盤起用が目立つ昨今であるが、さすがは元ストライカー。前線への飛び出しは非常に上手い。斜めの方向へのランで相手に受け渡しを強いることも多く、スパーズのバックラインはこれで完全にメタメタにされてしまった。
ジョエリントンの献身性は守備でも健在。最終ラインのプロテクト、特にサイドの守備の汗かき役としても奮闘しており、相手のアタッカー陣をも苦しめている。
サイドに前線からの手当てが存在し、その上でPA内を固めるのはシェアとボットマン。そして、シュートストップに極端に強いポープがゴールマウスには君臨している。シティを凌いでのリーグ最小失点は伊達ではない。
ニューカッスルの強みは万能性だ。堅守もさることながら、大きく目立った穴がないことが彼らの少ない敗戦数を支えている。強いて、彼らの弱みを挙げるとしたら撤退守備に対するこじ開け力だろう。サン=マクシマンが怪我がちで、アルミロンに前半戦の確変が止まってしまった感があるWGはシーズン序盤と比べれば無双ムードはない。
だが、これに関してもエディ・ハウは対策を見つけている。イサクとウィルソンの併用である。2トップにして中央に置く形もあれば、直近のサウサンプトン戦ではサイドにそのまま置くことで4-3-3を維持しながら攻勢を強めることに成功している。
サイドに流れるスピードを擁しながらエリア内でも働けるイサクを忠実にストライカータスクをこなすウィルソンと掛け合わせることで、エリア内の枚数を担保した状態でイサクの動き出しを崩しに活用することができる。押し込んだ時の決め手やビハインドにおける奥の手としてこのプランBは立派に機能していると言えるだろう。
プランBを引っ張り出させる
分かりきったことではあるが、アーセナルにとっては簡単な相手ではない。チェルシー戦のように甘さがあっては勝てないことは明らか。昨シーズンのセント・ジェームズ・パークや今週の火曜日のようなパフォーマンスであれば、このスタジアムから勝ち点を持ち帰ることはできない。
まずは、アーセナルのパフォーマンスが優勝争いに値するチームの水準に達しているかどうかが問題になる。そうでなければトッテナムのように前半だけで完膚なきまでに叩きのめされる展開だって十分に考えられる。
そうした試合に臨むのに必要な最低限の水準を満たしたとしよう。アーセナルが得点を取るために最も可能性があるマッチアップは右サイドである。ニューカッスルのバックラインの中では相対的に守備力に怪しさのあるバーンとサカのマッチアップは十分に勝機がある。
しかしながら、問題が2つ。1つはサカがここ数試合のパフォーマンスが低調に終始していること。そして、もう1つはバーンのヘルプ役としておそらくジョエリントンがすごいスピードですっ飛んでくるであろうことである。
よって、後方からのサポートは欠かせない。ホワイトのオーバーラップは右サイドの活性化には必須。キヴィオルのチェルシー戦のパフォーマンスは悪いものではなかったが、ホワイトを押し上げるという目的を優先した場合はホールディングに軍配が上がるだろう。プレッシングに関してはシティほど強烈ではない。仮にプレスをかけられたら間延びする余地がある中盤を攻略するファストブレイクに攻撃の指針を切り替えればいい。いずれにしても深さをとったボール保持から主導権を握るのは必須だ。
試合の流れとしては是が非でも先制点は欲しいところ。ニューカッスルのボール保持に対して、CBとアンカーをケアするハイプレスを敢行しつつ、高いラインを敷いているバックラインがニューカッスルの前線と駆け引きするというのは相当難易度が高い。が、仮に相手に先制点を与えてしまったらこうした流れも避けられないことになってしまう。
理想としては先制点を手にする。そして、イサクとウィルソンの併用というプランBをニューカッスルに引っ張り出させる。イサクが登場すれば、後方をケアできるMFの枚数は減り、試合はオープンな状況に持ち込まれることになるだろう。そこでもう一差しという流れである。相手の万能性を攻撃に傾けさせるところで弱くなるところを引き出せれば、アーセナルはさらに攻撃において勝負しやすくなるだろう。
比べるまでもなくアーセナルもニューカッスルも1年前に比べて強くなっている。それはこの試合の結果がどうなろうと自明な話である。だが、今のアーセナルにとって重要なのは1年前と比べてどうかではない。今自分たちが目指すべき目標に進めるかどうかである。必要なのは目の前の相手を超えること。1年前と同じ景色に映る、1年前よりも手強い相手からなんとしても3ポイントを取り切りたいところだ。