MENU
カテゴリー

「逆サイドに届けられるか?」~2023.9.15 J1 第27節 川崎フロンターレ×FC東京 プレビュー

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第27節
2023.9.15
川崎フロンターレ(9位/9勝6分11敗/勝ち点33/得点34/失点36)
×
FC東京(10位/9勝6分11敗/勝ち点33/得点33/失点37)
@等々力陸上競技場

戦績

近年の対戦成績

直近5年間で川崎の8勝、FC東京の3勝、引き分けが1つ。

川崎ホームでの戦績

直近10戦で川崎の6勝、FC東京の2勝、引き分けが2つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 5月の対戦ではFC東京がリーグ戦では5年ぶりの勝利。対川崎のリーグ戦未勝利を9で止めた。
    • FC東京が勝てば2008年以来のダブル達成。
  • 直近4試合の対戦はすべて1点差で勝敗がつく形となっている。
    • ここ9試合の公式戦ではドローがない。
  • 等々力でのリーグ戦は川崎が3連勝中。
  • 等々力での9月のクラシコは過去に2回。2008年と2014年のリーグ戦でいずれも川崎は得点を挙げることができていない。

スカッド情報

川崎フロンターレ
  • 高井幸大はU-23アジアカップ派遣直後。
  • 大島僚太は右下腿三頭筋肉離れのため離脱中。
  • 長期離脱中のジェジエウはランニングをスタート。
  • バフェティンビ・ゴミスにデビューの可能性。
FC東京
  • 野澤大志ブランドン、松木玖生、木村誠二はU-23アジアカップ派遣直後。
  • ディエゴ・オリベイラは直近2試合に公式戦で欠場。
  • 青木拓矢は左膝内側側副靱帯の損傷で離脱中。
  • 中村帆高は右のアキレス腱断裂により長期離脱中。
  • 山下敬大は左膝半月板損傷により長期離脱中。

予想スタメン

Match facts

川崎フロンターレ
  • リーグ戦は6試合勝利がない。
  • 直近6試合のリーグ戦の勝利はすべてクリーンシート。
    • 直近6試合はクリーンシートがなくうち5試合は複数失点。
  • 勝てばホームでの2か月ぶりのリーグ戦勝利となる。
  • 直近の公式戦6試合中3試合で試合終了直前のATに勝ち点が変動する失点を喫している。
    • G大阪戦、広島戦、天皇杯・新潟戦
  • 今季ここまで外国籍選手の得点がない。
  • ここ2年の等々力でのクラシコはいずれもレアンドロ・ダミアンの決勝ゴールにより1-0で川崎が勝利している。
FC東京
  • 直近3試合リーグ戦では勝ちがない。
  • アウェイでの公式戦は2連敗中。
  • アウェイでのリーグ戦はここまで2勝のみ。
  • 川崎に勝てば今季初めての特定チームへのシーズンダブル達成。
  • 等々力で勝利を挙げた4つのリーグ戦はいずれもクリーンシート。
  • ピーター・クラモフスキーは清水時代に川崎と2回対戦。いずれも等々力において5失点で敗れている。

予習

第24節 横浜FM戦

あわせて読みたい
「Catch up J1 League」~2023.8.19 J1 第24節 横浜F・マリノス×FC東京 ハイライト 【野澤の壁を打ち砕く渡辺の右足】  やや、息切れ気味の上位勢の中で相対的に勢いが止まっていない横浜FM。秋にACLを控えていることを踏まえれば、夏場に少しでも貯金...

第25節 神戸戦

あわせて読みたい
「Catch up J1 League」~2023.8.26 J1 第25節 FC東京×ヴィッセル神戸 ハイライト 【オープンな展開が好みの役者が揃って仕事をする】  立ち上がりは強度がガンガンのスタート。フィジカルコンタクトから試合が止まる展開が多い序盤戦となった。  そ...

第26節 福岡戦

あわせて読みたい
「Catch up J1 League」~2023.9.3 J1 第26節 FC東京×アビスパ福岡 ハイライト 【ヘアバンドトリオの躍動で第1ラウンドを制する】  ここからルヴァンカップにかけてFC東京と福岡は3連戦。まずは手始めにリーグ戦での激突になる。  立ち上がりはよ...

ルヴァンカップ QF 1st leg

あわせて読みたい
「Catch up Levain Cup」~2023.9.6 Jリーグ YBCルヴァンカップ Quarter-final 1st leg FC東京×アビスパ... 【単騎プレスのアダイウトンにご褒美】  リーグ戦ではアウェイの福岡が先勝。ルヴァンカップに舞台を移しての第2ラウンドは、リーグと同じく味スタでのリマッチとなる...

ルヴァンカップ QF 2nd leg

あわせて読みたい
「Catch up Levain Cup」~2023.9.10 Jリーグ YBCルヴァンカップ Quarter-final 2nd leg FC東京×アビス... 【小田の空中戦がブロック攻略の導火線に】  FC東京と福岡の3連戦はいよいよクライマックス。舞台を福岡に移し、ルヴァンカップの勝者を決めるための2ndレグが行われる...

展望

ルヴァンカップの5バックの立ち位置は?

 シーズン終盤の多摩川クラシコといえば、本来はそれぞれの目標に向かって邁進するための重要な一戦になることが多いカード。だが、今年はコンペ的にはそうした意味はなくせいぜい「9位争い」というのが関の山という寂しい状況になっている。

 それでも川崎はクラシコ連敗を回避することや2か月ぶりのリーグ戦での勝利がかかっている。FC東京は今季初のダブル達成の可能性もあり、やはりプライドのかかった一戦になっていることは間違いないといえるだろう。

 FC東京は4-2-3-1がベースの守り方が多い。中盤の形はトップ下を頂点に置く正三角形型だけでなく、アンカー採用の3センターの形もあったが、今は中盤にCHを並べる形の方が採用頻度は高い。トップ下に入るのは渡邊だ。

 ビルドアップの際にはCHは縦関係になり片方の選手がアンカーのように振る舞う。アンカー役はここまでは東が多かったが、夏にやってきた原川がここにきてプレータイムを少しずつ伸ばしている。

 後方からのビルドアップは中央の選手に縦パスを差し込みつつ、レイオフから前を向く選手を作って前進する。もしくはオリベイラを使ったポストでキープし、サイドに展開していく形だ。ここ数年と比べると中央にパスをつけていく意識は高まっている印象。よって、オリベイラのポストから渡邊や松木のコンビネーションから中央を壊していく形もレパートリーとしてはなくはない。

 しかしながら、中央を固められている相手に崩し切るのは少しキツイのも事実。そういう相手には外循環で勝負する。右の仲川はそれでも勝負はできるが、左の俵積田はWGとして1on1を仕掛けながら起点になるのは少し重荷のように見える。

 よって、クローズな展開は少し苦手ではあるが。終盤は外国籍選手を続々と投入することでオープンな展開に持ち込んでいく。特にアダイウトンを軸としてのカウンターは縦に早い攻撃の柱。こうなると中盤を飛ばしての撃ち合いに移行することができる。これが今のFC東京の第二形態だ。

 守備においては同サイド圧縮の意識が強く、特に2列目はボールサイド周りへのスライドの意識が高い。同サイドをショートパスでこじ開けようとするチームに対しては、プレッシングは刺さるし、中盤はそのプランを遂行する強度もある。

 しかしながらどうしても逆サイドへの展開には弱く、直近のリーグ戦で対戦した神戸、横浜FM、福岡のいずれも形は違えどどのようにサイドチェンジでFC東京の手薄なサイドを狙い撃ちし、密集への誘導を回避する意識をもっていた。

成功率はチームによってまちまち。脱出の一番精度が高かったのは横浜FMだった。さすが。FC東京相手の保持は狙い目がはっきりしているが、強度的に相手を上回れるかどうかが重要になってくる。

 さて、FC東京は代表期間中に2試合のルヴァンカップを消化した。この2試合ではベースとなるフォーメーションが異なっていた。具体的には左右のどちらかのSHにバンクーナガンデや白井といったSB的なキャラクターを入れて、攻守で5バックのように振る舞う形である。

 非保持において相手に初手のSBのスペースを与えることになるため、プレスの開始位置は下がりやすいという難点はある。その代わり、スライドを無理なく行いやすい。イメージとしては4-2-3-1における同サイド圧縮の強みをマイルドにする分、弱みを補う方向に舵を切ったイメージである。

 こうしたプラン変更に踏み切った理由は2つの要素が考えられる。1つ目は対戦相手。ルヴァンカップの相手は直近のリーグ戦で対戦した福岡。負けたとはいえ歯が立たなかったわけではないが、サイドにボールを動かせばOKという対策自体は見切られていた印象だったし、5トップ的にふるまえる福岡に対してレーンを埋めるという部分でも対応策を打ったと考えることができる。

 もう1つはU-23の代表メンバーの不在だ。FC東京は野澤、松木、木村と3人の選手を海外遠征に送り込んでいるが、高い位置からのプレスでチームを支える役割という観点で言えばやはり松木の不在はゲームプランの遂行に大きなダメージを与えることになるだろう。バイタリティのある若手の不在により、マイルド路線に踏み切った可能性も充分に考えられる。

サイドチェンジでスペースを享受できれば

 まずはFC東京がリーグ戦仕様か、カップ戦仕様かどちらから来るかを予想していくところからはじめよう。対策という意味では5レーンを埋める方策は川崎に対しては有効だし、カウンターに専念できるという点でもカップ戦型5バックを採用する意義は十分にあるだろう。おそらく、U-23組もこの試合にフィットしないという点もこの説の後押しになる。

 その一方で、カップ戦のタイトルがなくなり、リーグ戦でも目標を見出しにくい順位の中で対策色が強いプランを敷いてくる意義がどこまであるか?という点では疑問が残る。より、支配的な振る舞いや強度を追い求めるのであれば、4バックベースのリーグプラン踏襲の方が自然だろう。というわけで川崎の対策はこちらを軸に考えてみたい。

 川崎が踏襲すべきは横浜FM、神戸などの先駆者たちのプランである。すなわち、ボールサイドと逆側にいかにスムーズにボールを届けるか。同サイドに閉じ込められるように相手を片側におびき寄せつつ、2人の選手が縦関係を作り、逆サイドへの脱出パターンを作れるかどうか。

 縦関係はどの組み合わせでも成立すると思うが、一番しっくりくるのは少ないステップで大きな展開を行うことができる選手がレシーバーとして前を向ける状況だ。すなわち、前を向く役割はシミッチが務めることが理想だろう。

 これで逆サイドへの脱出口が作ることができれば、攻撃はスムーズになる。家長も絡めながら右→左の脱出を画策するのであれば、左のマルシーニョはスペースがある状態でアタッキングサードに侵入することができる。

 守備においては逆にFC東京の縦のパスを寸断していく必要がある。ディエゴ・オリベイラの手前の中盤の選手により、川崎の中盤がサイドについていく形でどかされて中央の縦パスのコースが空いてしまうのが最悪のパターン。どこまでついていくか、あるいは捨てるのかの部分ははっきりしておきたいところだ。FC東京と同じく川崎も相手に動かされやすい弱みはある。どちらの方がこの弱みを利用できるかが勝負のポイントになるだろう。

 川崎はカップ戦のタイトルの可能性を残しているため、リーグ戦では結果と同じくらいできることを一つでも増やしながら進むことが重要になる。強度と判断と緊張感が重要なクラシコはこれから望むであろうカップ戦のようなピリピリした雰囲気を味わうことができるだろう。この舞台装置を生かして、一つでも多くのものを持ち帰りたい。

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次