MENU
カテゴリー

「Catch up Premier League」~Match week 19~ 2023.12.26-12.28

目次

ニューカッスル【7位】×ノッティンガム・フォレスト【17位】

オープンな後半はフレッシュさ勝負

 残留ボーダーが目の前まで迫ってきているフォレスト。最低目標の残留を果たすためにもヌーノには速い段階での勝利が求められる。そうした中での就任2戦目のセント・ジェームズ・パークである。

 ボールを持つ機会が多かったのはニューカッスルの方。明確にトリッピアーを押し上げる3バックを採用し、3-2-5を形成する。

 一方のルートンの保持においては縦パスからの素早いサイドへの展開が主流。しかしながら、すぐにニューカッスルにボールを持たれてしまったため、徐々にロングカウンターに攻め方をシフトせざるを得なかった。

 ニューカッスルはサイドでの枚数をかけた攻撃がメイン。特にトリッピアーが高い位置に立っていた右サイドのほうがメインだった。だが、フォレストはこちらのサイズを根性でケア。同サイドのCHのサンガレのパフォーマンスは非常に印象的であらゆるところを完全に潰しまくっていた。ボールを奪ったらロングカウンター。すぐさまトップのエランガに素早く渡す形である。

 それでもニューカッスルは中盤でパスを引っ掛けたところから波状攻撃。押し込む時間を少しずつ増やしていくように。この流れからイサクがアイナからファウルを受けてPKを獲得。このPKをイサクが自ら決めてリードを奪う。

 しかしながら見事なカウンターでフォレストは前半終了間際にカウンターから同点ゴールをゲット。ボットマンの足が止まるまでドリブルを続けたギブス=ホワイトのスキルが光る。ハーフタイム前に試合を振り出しに戻して見せた。

 後半は互いに中盤でのプレスがかからずに非常にオープンな展開に。この流れを制したのはフォレスト。ニアカテのカットからエランガ→ウッドと繋いでの逆転ゴール。スピードに乗ったウッドは止めたいところだったろうが、対面のバーンはだいぶ振り回されてしまった。

 イサクとウィルソンの2人のFWを併用しつつ4-3-3を維持して勝負をかけていくニューカッスル。だが、フォレストはまたしても追加点をゲット。ムリージョ→ウッドの裏抜けで3点目を奪い切る。

 それ以降もカウンターの攻撃で優位に立ったフォレスト。70分以降はポゼッションでも動かせるようになっていく。特にイサクがWGとして入ったサイドからのキャリーは問題なくできていた。

 バックスを攻撃的にすることで最後の悪あがきを図ったニューカッスルだが、最後まで思ったようなエンジンがかからず。ホームで不調のフォレストにまさかの敗戦を喫することとなった。

ひとこと

 ニューカッスル、めっちゃ疲れている。

試合結果

2023.12.26
プレミアリーグ 第19節
ニューカッスル 1-3ノッティンガム・フォレスト
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:22‘(PK) イサク
NFO:45+1‘ 53′ 60‘ ウッド
主審:クリス・カバナフ

ボーンマス【12位】×フラム【13位】

またしても大量得点での勝利

 大量5得点での連勝から、続く2試合は連敗。フラムの直近の試合はまさしくジェットコースターのような展開である。対するは複数得点を続けており、ボトムハーフでも屈指の爆発力を持つボーンマスである。

 主役のサイドはフラムの右、ボーンマスの左。積極的にオーバーラップするテテに対してワッタラとタヴァニアがそれをひっくり返すように裏をとって反撃する。

 どちらかといえばせめてにバリエーションがあったのはボーンマスの方だろうか。左サイドから縦に進むと、逆サイドへの横断でセメンヨの1on1を演出。ピッチの横幅を使いながら勝負を仕掛けていく。

 一方のフラムは奥行き勝負。右サイドからのポケットを取る形を作り、クロスを上げる形に強くこだわっていたと言えるだろう。左WGのイウォビも逆サイドから飛んでくるなど、フラムの崩しの狙いは右サイドに集中していた。

 ボールを広く動かすことができていたボーンマスだがWGの仕掛けの粗さが目立つ展開に。仕掛けのところで詰めの甘さが出てしまい、ゴールに迫る手前の領域で少し不具合をきたしていたように見えた。

 フラムも右のハーフスペース裏抜けは少しずつ読まれるようになっており、先読みをされればワッタラでも十分に対応可能な攻撃パターンに終始していた。CFのムニスも頑張りは感じるのだが、どうしてもボールを持ってからのまごつきは気になってしまう。

 仕上げの部分が決まらない両チームで決め手になったのはスコット。ドリブルでペレイラとパリーニャの2人を置き去りにすると、その状態で左サイドのクライファートに展開。SBに幅をとらせることで自由に動いていた2列目。クライファートが左で余るのは2回目だった。このチャンスをモノにしてハーフタイム前にボーンマスが先行する。

 後半、フラムは左サイドからの攻撃を強化。バッシーの持ち運びやロビンソンの攻め上がりなど、前半はやたらと右偏重だった攻撃を是正していく。敵陣までは入り込める状態を作ったフラムだったが、左右の相手の誘導を外せずに狭い窮屈なスペースの攻略を余儀なくされることに。これによりだいぶ苦しい攻撃のルートとなった。

 フラムがボールを持ちながら攻め手に苦心している間に追加点を決めたのはボーンマス。後手を踏んだパリーニャが完全に相手を後ろから倒してしまってPKを献上。先制点のシーン然り、どうもこのあたりは彼らしくないところが気になる部分である。

 2点目のゴールで実質試合は決着。フラムは逆転のきっかけを掴めないまま推移し、逆にチャンスを多く作り出したボーンマスがシニステラのゴールで追加点を奪うという結末に。

 またしても大量得点で勝利を積み重ねたボーンマス。フラムを吹き飛ばし、ここから上位勢との連戦に挑んでいく。

ひとこと

 アタッキングサードの破壊力という点で明らかにフラムが上の試合だった。

試合結果

2023.12.26
プレミアリーグ 第19節
ボーンマス 3-0 フラム
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:44’ クライファート,62′(PK) ソランケ, 90+3′ シニステラ
主審:ティム・ロビンソン

シェフィールド・ユナイテッド【20位】×ルートン・タウン【18位】

オウンゴールを味方につけてシックスポインターを制する

 なかなか上のチームを巻き込めずに苦しんでいる消化組。前節ニューカッスル相手に金星をあげたルートンとして波に乗る機会を絶対に逃したくないはず。次節にはシティ戦を控えているブレイズにとってもこの一戦は間違いなく逃したくない試合。前節、ビラ・パークで温存したレギュラーメンバーをスタメンに戻してのシックスポインターに臨む。

 ボールをゆったりと持っていたのはルートン。3バックで相手の2トップに対して数的優位を維持。WBにボールをつけると1on1で勝負を仕掛けていく。

 一方のブレイズは2トップが直線的に勝負を仕掛けていく形。ロングボールで前線に預けるとそこから縦に早くゴールに進んでいく。シンプルな攻撃であるが、ルートンはロングボールをきっちり跳ね返すことはできず。ブレイズはクリーンに敵陣に迫るところまでは行かなかったが、セットプレーを得るところまではたどり着いた感がある。

 しかしながら、先制したのはルートン。この日は右に入ったダウティーからの仕掛けで先制ゴールを奪う。ブレイズ目線で言うと対面したハーマー、カバーが遅れたトラスティ、そしてニアを閉じきれなかったフォデリンガムと三者三様のエラーが発生していた。

 それ以降はブレイズのセットプレー攻勢が中心になった前半の残り時間。ルートンはバックラインのプレスを仕掛けられずラインはズルズルと下がる結果に。しかしながらブレイズもまた流れの中からのチャンスは作れず、セットプレーは守り切られてしまうという苦しい展開になった。

 後半、ブレイズは5バックで勝負。押し込んでのセットプレーでスタートする。ブレイズが5バックになったことで前半は効いていたアデバヨが食い止められる機会が増えたルートンにとっては苦しい展開になった。

 するとブレイズは同点ゴールをゲット。アーチャーのポストからマカティーのカットインからのこぼれ球を最後はマクバーニーが押し込んで試合を振り出しに戻す。

 さらには8分後に逆転。右サイドからのキャリーから混戦の状態で最後はアフメドジッチが押し込んでひっくり返す。

 しかし、ルートンもすぐにセットプレーから同点。ロビンソンのオウンゴールでまたしても試合はタイスコアに。そして、最後に試合を決めたのもオウンゴール。左サイドに入ったモリスからの速いクロスボールはこの日2つ目のオウンゴールを生み出した。

 シーソーゲームを制したのはアウェイのルートン。オウンゴール2つでの逆転勝利で残留争いボーダーへのキャッチアップに成功した。

ひとこと

 セットプレーは仕方ない感じもするが、ブレイズは1失点目のところがちょっと勿体無い。

試合結果

2023.12.26
プレミアリーグ 第19節
シェフィールド・ユナイテッド 2-3 ルートン・タウン
ブラモール・レーン
【得点者】
SHU:61‘ マクバーニー, 69‘ アフメドジッチ
LUT:17‘ ダウティー, 77‘ ロビンソン(OG), 81’ ベン・スリマン(OG)
主審:サム・アリソン

バーンリー【19位】×リバプール【2位】

打っても打っても決まらない嫌なムードをジョタが終わらせる

 アーセナルとのアンフィールドでの激戦から中2日。リバプールは休む間もなくターフ・ムーアでの一戦を迎えることとなる。

 試合はアバウトなボールの行き来から先にバーンリーがチャンス。4対3のカウンターでアムドゥニがシンプルなシュートを放った。行けると思ったバーンリーはハイプレスを敢行。だが、間延びした中盤からグラフェンベルフに脱出を許し、これが先制点につながる。サイドで受けたガクポからクロスを受けたのは遅れて最後にPA内に入ってきたヌニェスである。

 以降はリバプールがチャンスを作り続ける展開に。ゴメスを片上げし、逆サイドのエリオットとともに幅とり役を託す3-1-4-2的なリバプールの布陣。バーンリーはオドベールが列を下げてSBのように対応する。前方と中盤のブロックはあまりコンパクトとは言えず、特に左右に動き回るガクポは厄介。ライン間で受けたと思えば、裏にボールを引き出してトラップさえ決まればGKとの1on1という場面まで持っていく。

 しかしながら、シュートの精度のところとトラフォードの活躍によりなかなかリバプールのリードが広がらない。両サイドのトレゾールとオドベールの仕掛けと中盤を強襲するカウンターからバーンリーの得点も見えないことはなかったため、1点差で踏ん張ればチャンスはありそうな展開。それだけに前半の多くのチャンスを凌いで1点差をキープしてハーフタイムを迎えたことはバーンリーにとっては大きな意義があった。

 迎えた後半、リバプールは右サイドのレーンを整理し直した。大外の比率をサラーが多くする形に変更し、エリオットとフレキシブルにレーンを入れ替えながらゴールに迫っていく形を作る。この変更は効果覿面。外だけでなくインサイドの活用もきっちりと視野に入れた崩しはバーンリーにプレスの狙い目を絞らせない効果があった。

 この形を活用し中央と右を使いながらエリオットが完璧な崩しからネットを揺らしたリバプール。しかしながら、これはサラーがブラインドになっておりオフサイドで取り消しになってしまう。

 このゴールの取り消しから再び元気になったバーンリー。左サイドに移動したオドベールの仕掛けからゴールに迫っていくが、ボックス内でのプレー精度が物足りず、ゴールに迫ることができない。80分には前線を入れ替えてのチェイシングの強化を行うが、なかなかボールを奪うことができずに攻めあぐねる。

 エリオットのゴール取り消し以降はやや攻撃の狙いが直線的で単調になるという彼らの難点が顔を出したが、なんとか無失点で踏ん張るリバプール。最終的には90分にジョッタが角度のないところからゴールを沈めて試合を決める。

 打っても打っても決まらない嫌なムードを振り切ることに成功したリバプール。再び暫定首位に立ち、2日後に試合を控えるアーセナルにプレッシャーをかけた。

ひとこと

 後半頭のリバプールの攻撃の組み立ての精度が定常的になったら相当強いだろうなぁ。

試合結果

2023.12.26
プレミアリーグ 第19節
バーンリー 0-2 リバプール
ターフ・ムーア
【得点者】
LIV:6′ ヌニェス, 90′ ジョタ
主審:ポール・ティアニー

マンチェスター・ユナイテッド【8位】×アストンビラ【3位】

ホイルンドの初ゴールが夢の劇場の逆転劇を締める

 どちらのチームもバックラインからゆったりとボールを持つスタート。CBが広がりながら落ち着いたポゼッションを行っていく。ユナイテッドはお馴染みのCBとSBの横の関係性を入れ替わる可変を披露している。

 相対的にプレスの強度が高かったのはユナイテッド。中盤よりも前でボールを取る意識が高く、それでいてWGはきっちりと自陣に戻る意識も高かった。WGの背後を取られてもブルーノのような中盤がスペースを埋める形でスライドするなど、ビラの重たい保持を阻害する。

 惜しむらくはボール奪取をスムーズなカウンターに繋げられなかったこと。ミドルゾーンからボール奪えたにも関わらず、そこから先のところがもっさりとしてしまっており、なかなかシュートチャンスを作ることができなかった。

 11分にようやくビラは横断からベイリーの1on1を右サイドで演出。これを機に少しずつボールを持てるようになっていく。ワトキンスのポストからラムジーの飛び出しなど少しずつらしい前進を形を見せていく。

 流れに乗ったビラはセットプレーから先制。マッギンのFKは誰にも触られることなくゴールネットを揺らしてアストンビラが先行する。

 さらに4分後にはアストンビラは追加点。ファーのラングレの折り返しをデンドンケルが仕留めて2点目を奪いとる。折り返しにもシュートにも寄せられないユナイテッドのセットプレーの守備は要反省案件であった。

 この2失点でユナイテッドは尻に火がついた様子。エリクセンの裏抜けから一発でブルーノが抜け出したり、サイドに押し下げることができていたりなど少しずつビラのゴールに迫っていく。だが、ゴールを揺らすことができず。試合は2-0でビラのリードのままハーフタイムを迎える。

 後半はユナイテッドがいい入りを見せる。左サイドからの裏抜けからガルナチョがゴールまでの導線を引くがこれはオフサイド。早々のゴールは認められなかった。

 だが、この左サイドの裏抜けは後半のユナイテッドの攻撃のベースになっていた。アストンビラのボールの失い方がまずかったこともあり、守備が整っていない状態で相手の攻撃を受けるシーンが増えていく。

 追撃弾はすぐに生まれることに。左サイドから抜け出したラッシュフォードからファーのガルナチョが仕留める。取り消された後半早々のゴールとほぼ同じ形から得点を奪う。

 勢いに乗ったガルナチョが71分に同点ゴールもゲット。この辺りのビラのズルズル感はいかにも要塞から離れたアウェイ仕様のアストンビラという感じである。

 流れを引き寄せたユナイテッド。逆転弾を仕留めたのはホイルンド。嬉しいプレミア初ゴールは2点ビハインドからのグレードエスケープを決める大きな一撃。なかなかゴールに辿り着けなかったCFが逆転劇の幕を下ろし、夢の劇場での90分は終わりを迎えることとなった。

ひとこと

 2点のリードはしたが、アストンビラは後半の試合運びの拙さが目についた。ズルズル行ってしまう悪癖はCL出場権争いにおいて修正したい部分である。

試合結果

2023.12.26
プレミアリーグ 第19節
マンチェスター・ユナイテッド 3-2 アストンビラ
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:59‘ 71’ ガルナチョ, 82‘ ホイルンド
AVL:22‘ マッギン, 26‘ デンドンケル
主審:クレイグ・ポーソン

ブレントフォード【14位】×ウォルバーハンプトン【11位】

コリンズに訪れた悪夢

 試合はゆったりと保持側が持つ展開でスタート。バックラインの3枚でボールを順調に回していたウルブスの方が保持の時間は長かっただろうか。しかしながら出口はアバウトに前線に蹴る形であり、あまり効果的な前進は見られなかった。一方のブレントフォードはボールを持ったら結構ルイス-ポッターに預けるシーンが目立っていた。

 ウルブスは前線の動きだしが徐々に活性化。ヒチャンやサラビアといった選手たちがハーフスペースに突撃することで、相手のバックラインを押し下げる。

 セットプレーから先制したのはウルブス。レミナのヘッドで先行する。ブレントフォードはこの失点に連鎖するような形でミスを重ねてしまう。リスタートをコリンズがプレゼントパスしてしまい、ヒチャンがこれを仕留めて2プレーで2点のリードを手にすることに。

 ブレントフォードもこの流れに乗る形でウィサが抜け出しから追撃弾。直後にジャネルトも決定機を迎えるなど、得点の可能性がハレーションしている時間帯だった。

 どちらのチームも前線の裏抜けが攻撃のベースになっていた。ブレントフォードはウィサ、ウルブスはヒチャンとサラビアの両サイドから仕掛けを見せていく。

 そうした中で見られたのはまたしてもミス。コリンズの雑な縦パスに加えてピノックの押し上げが遅れてしまったことであっという間にウルブスに裏を取られてしまい、ブレントフォードは前半にさらに失点を重ねる。

 ブレントフォードは後半、巻き返しを図るべくバックパスを狙い撃ちする形から右のハーフスペースに侵入。この流れから後半戦はブレントフォードが押し込む展開を飲み込んでいく。

 ウルブスは押し下げられる展開が続きながらもブレントフォードの攻撃をきっちり受け切ることに成功。ブレントフォードは左右からの押し下げてのクロスとセットプレーを織り交ぜた形のチャンスメイクでウルブスのゴールに迫ろうとするが、ネットを揺らせるようなクリティカルな展開を見出すことができない状況が続く。

 すると、またしてもミスで失点に絡んでしまったのがコリンズ。この日2回目のプレゼントパスでまたしても古巣ウルブスに決定機の贈り物をしてしまう。これを仕留めてウルブスは4点目を決める。

 コリンズをはじめとしてミスに呪われる形で失点を重ねてしまったブレントフォード。要塞なはずのホームで大量失点となり、ウルブスに勝ち点を献上することとなった。

ひとこと

 コリンズ、この日のことはとっとと忘れよう。

試合結果

2023.12.27
プレミアリーグ 第19節
ブレントフォード 1-4 ウォルバーハンプトン
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BRE:16‘ ウィサ
WOL:13‘ レミナ, 14’ 28‘ ヒチャン, 79’ ベルガルド
主審:アンディ・マドレー

チェルシー【10位】×クリスタル・パレス【15位】

奇策のパレスに苦戦もPKで振り切る

 欧州カップ戦圏内という目標が遠ざかりつつあるチェルシーと残留争いとは無縁の安定感が脅かされつつあるパレス。苦しい両チーム同士のロンドンダービーだ。

 明らかに立ち上がりからいつもと様子が違ったのがアウェイのパレス。高い位置からの激しいプレッシングという彼らのトレードマークとは全く異なる立ち上がりのスタンスを見せていた。

 序盤のチェルシーはややこのハイプレスに面食らっていたように思えたが、10分もすれば問題なく対応。明確な解決策になっていたのは降りてくる前線への縦パス。ポイントを作りに降りてくるムドリクやエンクンクといった選手たちを活用したレイオフ、もしくは縦パスを受けた選手自身のターンをベースとして、パレスの攻撃を剥がしていく。

 先制点の場面で活躍したのはグスト。プレス回避の立役者としてボールを前に進めつつ、フィニッシュの局面ではアシストを記録。ムドリクのゴールを御膳立てした主演と言ってもいいだろう。

 パレスは先制されてもなおプレスが機能せずに沈黙。慣れない高いラインはガタガタだったし、ボールを奪ったら奪ったで何故かゆったりとボールを回してカウンターに移行しない。正直、この試合のパレスのスタンスは自分にはよくわからなかった。

 それでもセットプレーの流れからオリーズのスーパーゴールで同点に。悪い出来ながらもタイスコアでハーフタイムを迎えることができた。

 得点というのは悪い流れを振り払う効果があるのだろう。パレスは前半には見られなかった押し込むアクションを後半の頭に見せるようになった。しかしながら、前半よりは出来は良化しているものの、繋ぐ意識が引き続きいい方向につながらない。後半の方が勝負ができているが、徐々にチェルシーにペースを持っていかれる。

 チェルシーは途中投入のラヴィアが散らし役として躍動。横方向のパスが増えたことで前半以上に保持側がゆったりとボールを持つ展開に。

 優位を得たチェルシーは74分にジャクソンが決定機。しかしながら、これを仕留めることができず。その後もネットを揺らすがこれはオフサイドと彼の日ではない雰囲気がする後半のパフォーマンスだった。

 しかしながら、終了間際にエゼのファウルを引き出してPKを獲得したチェルシー。これをマドゥエケが仕留めて土壇場でチェルシーが勝利を手にする。最後まで持つれた試合はホームチームに軍配。苦しみながらもなんとかホームで勝利を手にした。

ひとこと

 パレスの前半の立ち上がりのハイプレスは奇策の域を出なかったかな。

試合結果

2023.12.27
プレミアリーグ 第19節
チェルシー 2-1 クリスタル・パレス
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:13′ ムドリク, 89′(PK) マドゥエケ
CRY:45+1′ オリーズ
主審:マイケル・サリスベリー

エバートン【16位】×マンチェスター・シティ【5位】

積極プレスのエバートンを後半に仕留めた世界王者

 クラブ世界一のタイトルを引っ提げてサウジアラビアから帰ってきたマンチェスター・シティ。帰国初戦はいきなりのグディソン・パークというタフなマッチアップとなった。

 マンチェスター・シティのバックラインからのキャリーはいつも通り。ストーンズが列を上げる形での3-2変形からの組み立てで、そこからCHの一角のヌネスもしくはストーンズが右サイドに落ちながらウォーカーを押し上げるというアレンジを見せていた。

 エバートンは前からのプレスの意識が高い形で勝負に出る。ただ、意欲的ではあるが、後方に十分を枚数をかけるシティのビルドアップに対してついていくことができず。着実にシティは前進をする。

 しかしながら、エバートンはプレスを外されてもリトリートが見事。シティはプレスを振り切った後に攻撃のスピードアップを図ることはできず、押し込んだところから再度エバートンのブロックを崩すことを強いられることとなる。

 シティのプレス回避とブロック破壊の二段構えのチャレンジが続く中で、先制点を奪ったのはエバートン。自陣からのワンタッチのパス交換からプレス回避を図ったシティだが、複数回連鎖する形でボールのコントロールをミスすることに。高い位置からボールを奪ったエバートンは左サイドから裏をとり、折り返しをニアに入り込んだハリソンが仕留めて先制する。

 その後もシティの流れは悪い。中盤では無理なターンからロストを繰り返していたし、後方のキーマンであるストーンズは負傷。先制点を奪ってもラインを下げる意識を見せないエバートン相手に苦戦を強いられた前半だった。

 後半、右サイドからシティは押し下げに成功。ロドリの列上げサポートからサイドの奥を取ることで少しずつエバートンを自陣に釘付けにしていく。

 その甲斐あってシティは53分に同点。ブロックの外からのミドルを仕留めたフォーデン。ブロックの外からの矛が届くのは押し下げるというシティの下ごしらえが効いているからである。

 同点以降、プレッシングの巻き直しを図ったエバートン。しかし、ここはシティのポゼッションの圧が高まった感がある。クロスを弾けなかったピックフォード。ここのミドルからの流れでシティはPKを獲得する。

 逆転されたエバートン。5バックに移行してなおきっちり人を捕まえてプレスを高める意識を持っていた。シティはリードしてなお試合を落ち着かせることができず、試合の主導権は流動的に。キャルバート=ルーウィンには試合を振り出しに戻すチャンスがあったが、これを仕留めることができず。今季の難であるフィニッシュワークの精度の低さが立ちはだかる。

 そして、試合を決めたのはピックフォードのパスミス。これをしたたかに仕留めたベルナルドによって試合は終焉。帰国初戦なりに苦しんだ感があったシティだが、最後はきっちりと勝ち切っての3ポイントを手にした。

ひとこと

 負けはしたけどもグディソン・パークのエバートンはここにありという感じだった。

試合結果

2023.12.27
プレミアリーグ 第19節
エバートン 1-3 マンチェスター・シティ
グディソン・パーク
【得点者】
EVE:29‘ ハリソン
Man CIty:53‘ フォーデン, 64‘(PK) アルバレス, 86‘ ベルナルド
主審:ジョン・ブルックス

ブライトン【9位】×トッテナム【4位】

理詰めの圧倒でトッテナムを寄せ付けず

 高い位置からボールを捕まえにいくブライトンに対して、トッテナムがプレスを回避するスタートとなった。ブライトンは序盤からグロスが列を上げてのプレスを行うなどの積極策が目立つ非保持のスタンス。押し込まれてしまった時のリトリートとの使い分けもスマートだった。

 トッテナムは横への揺さぶりが少なく、保持で効果的にブライトンを外すことができていなかった。逆に受けに回るとトッテナムは怪しさ満点。CB不在のスカッドなので前に出ていくしかないのだが、ブライトンは横断からあっさりとヒンシェルウッドが先制ゴールを仕留める。パスワークを各駅停車で行うことで大外で余ったヒンシェルウッドを活用する形はトッテナムの即席DFラインをうまく上回った。

 さらにブライトンは続けてPKを獲得。引っ張ってしまったクルゼフスキがPKを献上しさらなる追加点を許すことに。ブライトンは2点を奪ってもなおハイプレスを続行。ボールを奪ったら左右にボールを動かしながら相手を外すことを続けて敵陣に侵入していく。トッテナムに反撃の糸口を与えないまま、一方的に責め続けたブライトンが前半を圧倒して終えた。

 後半早々にトッテナムはリシャルリソンがネットを揺らすがこれはオフサイド。ハイプレスから生み出したチャンスはトッテナムを勢いづかせるが、オフサイドでブライトンのラインコントロールに屈してしまったり、あるいはシュート精度が伴わなかったりなど、思うように攻めきれない時間が続くことに。

 そんなトッテナムを尻目にブライトンは追加点をゲット。復帰戦となったエストゥピニャンには嬉しいゴールとなった。ブライトンは終盤に左右が非対称気味の3バックにシフト。テンポのいいパスワークからサイドを打ち破りにいく。そしてPKからジョアン・ペドロが4点目を仕留める。

 トッテナムは終盤に2つの追撃弾を得て、なお攻め立てることでブライトンのゴールを脅かす。しかしながら、80分以降のリカバリーで4失点をチャラにするのはいくらなんでも難しい。試合の大半を圧倒したブライトンが順当な勝利を挙げたと言っていいだろう。

ひとこと

 ブライトンの前半の理詰めでの圧倒は圧巻だった。

試合結果

2023.12.28
プレミアリーグ 第19節
ブライトン 4-2 トッテナム
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:11′ ヒンシェルウッド, 23′(PK) 75′(PK) ジョアン・ペドロ, 63′ エストゥピニャン
TOT:81′ ベリス, 85′ デイビス
主審:ジャレット・ジレット

アーセナル【1位】×ウェストハム【6位】

要所で流れを掴めないアーセナルの攻撃陣

 レビューはこちら。

あわせて読みたい
「ハヴァーツがいるつもり」~2023.12.28 プレミアリーグ 第19節 アーセナル×ウェストハム レビュー プレビュー記事 https://seko-note.com/25407/ レビュー ハヴァーツがいない影響は?  アーセナルにとっては得意のホームゲーム、得意のロンドンダービー、そして得意...

 アンフィールドでの引き分けは悪くはなかったが、2位以下の勝ち点を引き離せなかったという観点から考えるとアーセナルはここでも足踏みは避けたいところ。得意のホームでのモイーズとの一戦で再スタートを切りたいところである。

 そのアーセナルの立ち上がりは前回のホームで完勝したブライトン戦を思わせる立ち上がり。ポゼッションによる押し込みと高い位置からのプレスからずっと俺のターンを継続する。

 しかしながらウェストハムは前線の降りるアクションからきっちりと起点を作ることで反撃。アーセナルの即時奪回を回避することで少しずつ俺のターンを切り崩していく。

 ウェストハムは押し返す流れの中から先制点をゲット。左サイドから入れたクロスに対してガブリエウとジンチェンコの対応がかぶってしまった結果、わちゃわちゃとしたところを最後はソーチェクに押し込まれることとなった。

 反撃に出たいアーセナルだが、リードを得たことでウェストハムはきっちりと自陣を固める形にフォーカス。特にCHのサイドへのスライドは強固であり、アーセナルの左サイドは大外のダブルチームとCHのハーフスペースへのランを潰す動きで完全に消されてしまうことに。

 パケタが負傷交代した30分過ぎ以降は怪しいボールの失い方が垣間見えたウェストハムに対して、アーセナルが差し込んでいくシーンが度々見られるようになる。だが、アタッカーのシュートセレクションの雑さゆえに得点にはつながらず。試合はウェストハムのリードで後半を迎える。

 後半の頭は前半の立ち上がりと同じようにアーセナルが押し込む立ち上がりに。しかしながら、クドゥスを使ったカウンターからウェストハムは反撃に出ると、セットプレーからマヴロパノスが追加点を奪い取る。これでリードは2点となった。

 安全圏のリードを盾に自陣に引きこもるウェストハム。アーセナルは選手交代とともに3-5-2に変更することで反撃に出る。このシステム変更は一定の効果はあった。ボックス内の枚数が増えたことでウェストハムの守備陣は混乱し、右サイドからのファー気味のクロスからアーセナルはチャンスメイクに成功。しかしながら、このチャンスをジェズスやネルソンが決められないと再び流れは悪くなる。

 外側のクロスを上げるメカニズムは別に改善していないので、ウーデゴール個人の閃きからなんとかクロスを上げる苦しい展開になったアーセナル。ウェストハムに跳ね返され続けると最後はカウンターからライスがPKを献上するが、これはラヤが意地のストップ。トドメの一撃は避けたアーセナルだが、首位陥落となる手痛い一敗を喫することとなった。

ひとこと

 ウェストハムのCHのハードワークが光る一線だった。

試合結果

2023.12.28
プレミアリーグ 第19節
アーセナル 0-2 ウェストハム
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
WHU:13’ ソーチェク, 55′ マヴロパノス
主審:マイケル・オリバー

今節のベストイレブン

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次