MENU
カテゴリー

「オープンさの恩恵を独り占め」~2024.4.3 J1 第6節 横浜F・マリノス×川崎フロンターレ プレビュー

目次

Fixture

明治安田 J1リーグ 第6節
2024.4.3
横浜F・マリノス(11位/2勝0分2敗/勝ち点6/得点6/失点6)
×
川崎フロンターレ(10位/2勝0分3敗/勝ち点6/得点10/失点9)
@日産スタジアム

戦績

近年の対戦成績

直近5年間の対戦で横浜FMの3勝、川崎の5勝、引き分けが2つ。

横浜FMホームでの戦績

直近10戦で横浜FMの2勝、川崎の5勝、引き分けが3つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 直近4試合の対戦では連勝がなく、どちらのホームでも互いに1勝1敗の互角。
  • 川崎は横浜FM戦直近13試合連続得点中。
    • この間に川崎は4回のクリーンシートを達成している。
  • 直近4年のリーグ戦はその年初めの対戦で勝利した方が相手チームより上の順位でシーズンを終えている。
  • 横浜FMホームでの川崎戦の勝利は9回。いずれも得点数が偶数(2点か4点)。

スカッド情報

横浜F・マリノス
  • 井上健太、小池裕太、小池龍太、實藤友紀、加藤聖は離脱が続いている。長期離脱組だった畠中槙之輔は前節復帰。
  • ヤン・マテウスも負傷で前節はメンバー外。エドゥアルド、渡邊泰基も前節メンバー外。
  • 渡辺皓太は前節負傷交代。
  • ポープ・ウィリアムが出場停止から復帰。
川崎フロンターレ
  • 大島僚太、宮城天、車屋紳太郎は負傷離脱中。
  • バフェティンビ・ゴミスは肉離れのため一時帰国中。
  • マルシーニョが出場停止から復帰。

予想スタメン

Match facts

横浜F・マリノス
  • 直近5試合のリーグ戦ではクリーンシートがない。
  • リーグ戦で連敗になれば昨季9月以来のこと。
  • ホームでのリーグ戦は直近2試合勝てておらず、いずれも無得点。
  • 今季喫した8失点のうち、4失点は75分以降のもの。
  • 今季勝利したリーグ戦2試合はいずれも前の試合から中3日で迎えたもの。
  • アンデルソン・ロペスは今季の公式戦5試合で得点を挙げている。
    • 得点を挙げた試合では勝利、挙げられなかった試合では引き分け以下。
川崎フロンターレ
  • 勝てば昨年12月以来の同一年内でのリーグ戦連勝。
  • 被シュート数は44本で神戸についで少ないが、6本に1本のシュートが失点になっており札幌に次いで悪い数字。
  • 10得点は神戸に並んでリーグ最多。
  • 直近12試合のリーグ戦での勝利のうち、10試合はクリーンシートを達成している。
    • 昨季の日産での0-1も含まれる。
  • 橘田健人の公式戦での直近6得点は全て後半に記録されており、うち3得点は89分以降のもの。
  • エリソンは今季公式戦5試合での出場のうち、4試合で5得点を挙げている。
    • 唯一ゴールのないFC東京戦ではDOGSOでの退場を誘発。

予習

ACL Round 16 1st leg 山東泰山戦

あわせて読みたい
「Catch up AFC Champions League」~2024.3.6 AFC Champions League Quarter-final 1st leg 山東泰山×... 順調な試合運びも最後は「名物」に巻き込まれる  クラブ史上初のACLベスト8進出を果たした横浜FM。準々決勝での相手はGSに同居した宿敵との対戦。山東との利マッチであ...

ACL Round 16 2nd leg 山東泰山戦

あわせて読みたい
「Catch up AFC Champions League」~2024.3.13 AFC Champions League Quarter-final 2nd leg 横浜F・マ... 一瞬の緩みでスタイルに立ち返った横浜FMが史上初のベスト4に  山東のホームでは1点差での勝利を手にした横浜FM。ここまでの状況は前のラウンドにおける川崎と全く同じ...

第4節 京都戦

あわせて読みたい
「Catch up J1 League」~2024.3.17 J1 第4節 京都サンガF.C.×横浜F・マリノス ハイライト 雨の亀岡で繰り広げられた大乱戦  雨の亀岡でのホームゲームを迎えた京都。前節、川崎を撃破した勢いで同じく神奈川の横浜FMを迎え撃つ。  立ち上がりから高い位置か...

第5節 名古屋戦

あわせて読みたい
「Catch up J1 League」~2024.3.30 J1 第5節 名古屋グランパス×横浜F・マリノス ハイライト 撃ち合いになった後半に名古屋が逆転勝利を飾る  ACLに日本勢として唯一勝ち残り、最も過密な日程を強いられている横浜FM。今週もミッドウィークにリーグ戦を控える中...

展望

支えきれないという似たジレンマを抱える

 Jリーグの覇権を占う天下分け目の神奈川ダービーというのがここ数年のお決まり。だが、今節は川崎が10位、横浜FMが11位。横浜FMが消化試合が1つ少ないことを差し引いたとしても、両チームとも上位争いに食い込めていない現状はどこか寂しさが残る。ともに上位に食い込むためにも県内の相手を踏み台にしたいと考えているはずだ。

 横浜FMは非常に多忙なスケジュールをこなしている。言わずもがな、ACLの影響である。準々決勝ではGSぶりに山東泰山と再会。川崎に続く日本勢撃破を阻止し、クラブ史上初めてのベスト4に駒を進めた。もちろん、クラブやサポーターにとっては嬉しいことだとは思うが、新監督にとっては試合が続けばスタイルの浸透は容易ではない。目先の結果は当然重視しなければいけない難しさもある。

 まずは局面ごとにチームとしての特徴を見ていこう。前線の推進力は依然として十分。インサイドのロペス、アウトサイドのエウベルとマテウスを軸とした外国籍トリオのクオリティは保たれている。サイド攻撃では彼らを基準にIHとSBが攻撃に関与。WGのピン留めを活用してのSBのインサイドの活用や、IHの背後を狙うランなどから相手を動かして先手を奪っていく。

 よって、サイド攻撃の枚数は基本的には2枚以上は確保されている状態。仕上げはサイドの裏抜けから、GKとDFの間を速いグラウンダーで通すものが多い。逆サイドのWGとIHはボックス内に突撃。エリア内の枚数も常に2枚以上は確保されている。

 マテウスとエウベルの両方が揃っていれば左右の偏りは少なくなるのだが、マテウスがいなかった名古屋戦ではエウベルのいる左サイドに崩しの負荷は偏っていた。当然、ヤン・マテウスの復帰の可否は重要な要素になるだろう。仮に復帰が見込めないのであれば、守備側はある程度攻撃の雲行きを予測することができる。ちなみに川崎は前節も遠藤を意識した左サイド偏重のFC東京と対戦している。

 ボックス内のロペスは無理な体勢からでも威力のあるシュートを打つことができる。カウンターでも両翼と連携しながらファストブレイクを敢行。ACLを中心にチームを救ってきた。IHやSBと共にそうした速い攻撃への意識は十分に共有されているように感じる。

 非保持においても高い位置から人を捕まえにいく意識は十分持っている。その一方で、従来の強みをもたらせているかは怪しいところ。前線が捕まえきれず間延びした中盤に簡単にボールを運ばれてしまうシーンはここまでの試合で数多く見られている。

 無理が効かないのは最終ラインも同じ。チームが前傾になる中で広い守備範囲をカバーしきれない部分もある。この辺りはエドゥアルド、畠中や大量に離脱者がいるSBの復帰で風向きが変わる可能性はあるが、現状のクオリティでは前への意識を高く、攻守にサイクルを素早く回すスタイルを支えきれていない。GKのポープもチームを救うセービングと安定感の欠ける大胆なプレーでエラーを招くシーンを行ったり来たり。

 新しいメンバー、新しい監督であればミスはつきものなのだろうが、そうしたミスで発生したカウンターに対して、後方が連鎖的にエラーを重ねて失点を重ねている姿が散見されるし、リードした名古屋戦や数的優位を享受した京都線でもオープンな展開を許容し続けている。展開に左右されない攻撃へのベクトルはいかにも横浜FMらしいとは言えるが、そうしたスタンスがチームの助けになっているかは微妙なところである。

 この辺りは川崎と共鳴するところがある。チームが志向するスタイルを後方の選手の負傷や移籍で支えきれず出入りの多いチームになってしまうというのがこの試合が2桁順位同士の対決になってしまう理由だろう。アタッキングサードでのシャープさに関しては個人的には横浜FMに分があると見ているが、根本に抱えている悩みのところは共通しているように思える。

我慢とクロス設計の2つがポイント

 一般的にサッカー界においてうまくいっているチームはいじるなというのは鉄則である。鬼木フロンターレもそれに違わずこの鉄則は踏襲しがち。次の相手のスタイルに関わらずうまくいった形やメンバーをキープすることが多い。今節もその可能性はある。メンバー変更の可能性がありそうなのは個人的には2カ所と見ている。出場停止のマルシーニョが復帰する左WGに加えて、エウベルとの対峙が控えている右のSBをよりDF色の強い選手に戻す可能性もある。

 仮に横浜FM戦にFC東京戦の4-2-3-1をトレースするのだとしたら相性はそこまで悪くないと思う。横浜FMと対峙することにおいてはオープンな彼らのスタンスにどこまで付き合うか?の話がまず来る。個人的にはFC東京戦と同じく、ミドルゾーンで敷いた4-4-2でライン間を閉めながら我慢を続けて、相手にミスが出たらカウンターに打って出ていく形がベターなように思える。

 特に2センターの構造はサイドの奥を取りがちな横浜FM相手には重要。ポケットに入り込む選手を潰す役割を瀬古や橘田が担うことができれば横浜FMの得意なグラウンダーのクロスを入れるパターンは封じることが出てくる可能性がある。

 ボックス内のCBはグラウンダーのクロスに対してボールウォッチャーになるケースが多い。ボックス内での対応はサイドへのスライドを見せつつ、先手先手で入ってくる位置を潰していきたい。ヤン・マテウス不在で左偏重が発生するのであれば、より対応は容易になるだろう。

 プレスに出ていくところとスペースを埋めるところの両睨みのところの精度はまだまだ上げていく必要がある。FC東京戦で採用した4-4-2のミドルプレスを継続する意義は非常に大きい。今季の川崎は相手に一方的に攻められて負けているのではなく、どちらのものでもない時間で相手に決定機を与えるような簡単な対応で瞬間的に穴を開けてしまっての失点から敗れることが多い。自分たちがペースを握れない時間帯に我慢するためにも、このミドルプレスは必ず習得したい。

 前線のサイドに対してはFC東京戦と同じくSBが前を向く前に捕まえる形がベターなように思う。コンパクトなライン間でロペスを締め出し、エウベルに前を向かせない状況を続ければ、だんだんとこの2人はポジションを下げてボールを触りにくる。ただ、降りてからのプレーのリスクの取り方は前線にいる時と同じになっている。すなわち、引っ掛けてしまうようなプレーも少なくない。

 よって、川崎が狙う守備での青写真はこうだ。ライン間を締めてロペスを孤立させて、サイドではWGに前を向かせる前に対応する。横浜FMの前線が降りて受けるようになれば、そこからパスの受け手やワンツーのリターンパスを捕まえてカウンターで素早く壊す。

 要は自分たちの守備はクローズに、相手の守備はオープンな状況で受けさせるのが理想である。オープンさの恩恵を相手に渡さずに独り占めしたい。

 定点攻撃における課題はクロスの入り方の整理である。特に左サイドの三浦から大外のクロスを上げるシーンは増えていたが、このクロスに対してインサイドの選手がどのような関係性を作るのかが整理されていない。川崎はインサイドに高さの優位があるわけではないので、スペースとかあるいはエリソンやジェジエウといった選手の引力を他の選手が活用する必要がある。そうしたところの関係性の活用を進めて、よりクロスを殺傷性が高いものにしたい。

 横浜FMはサイドを深く抉られた時にマイナスのスペースが空きがちという状況を作ってしまいがち。川崎視点で言えばCH陣のミドルは狙いやすいし、マイナスで待ちがちなエリソンにとっても悪くないように思える。

 我慢からのオープンさの独占と三浦のクロスに対するインサイドの動きの設計。神奈川ダービーを制するポイントは個人的にはこの2つにあるように思う。

 

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次