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「GWの追試が始まる」~2024.5.11 J1 第13節 川崎フロンターレ×北海道コンサドーレ札幌 プレビュー

目次

Fixture

明治安田 J1リーグ 第節
2024.5.11
川崎フロンターレ(15位/3勝4分5敗/勝ち点13/得点16/失点15)
×
北海道コンサドーレ札幌(20位/1勝5分6敗/勝ち点8/得点11/失点23)
@Uvanceとどろきスタジアム by Fujitsu

戦績

近年の対戦成績

直近5年間の対戦で川崎は7勝、札幌の2勝、引き分けが2つ。

川崎ホームでの戦績

過去10戦で川崎の7勝、札幌の1勝、引き分けが2つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 直近4回の対戦で25得点が生まれているカード。
  • 等々力では川崎が札幌に3試合無敗を記録中。
  • 札幌は2020年と2022年に川崎相手にリーグ戦で勝利を挙げているが、いずれも後半戦での対戦のもの。
  • 2020年の等々力での0-2の試合が直近28試合で唯一札幌が川崎相手にクリーンシートを達成した試合。

スカッド情報

川崎フロンターレ
  • エリソンは累積警告による出場停止。
  • 宮城天、大島僚太、三浦颯太は離脱が続く。
  • 丸山祐市、車屋紳太郎は完全合流。
  • 広島戦で負傷した小林悠とチョン・ソンリョンは練習に合流。
北海道コンサドーレ札幌
  • 湘南戦で負傷した宮澤裕樹は以降の試合で欠場が続く。
  • 高木駿、深井一希は長期離脱中。

予想スタメン

Match facts

川崎フロンターレ
  • 4試合連続リーグ戦無敗は今季初めて。
  • 直近2試合のリーグ戦で先制点を決めており、それ以前の10試合と同じ数字。
  • 山田新は途中交代から4得点に関与しており、交代選手としてはリーグ最多。
  • 小林悠は出場した札幌戦で12試合連続得点を記録したことがあるが、2023年は2試合とも札幌相手に得点を決めることができていない。2試合とも出場した年としてはキャリアで初めてのこと。
  • エリソンが今季ベンチに入れなかった2つのリーグ戦はいずれも負けている。
  • 今季のリーグ戦の勝利はすべて脇坂泰斗が得点を決めた試合と完全に一致している。
北海道コンサドーレ札幌
  • リーグ戦直近5試合勝ちなし。ただし、直近の敗戦以外の4試合はいずれもドローゲーム。
  • 今季ビハインドになった6試合では1つも勝ち点が取れていない。
    • リードをした7試合で勝ちきれたのは1つだけ。
  • 23の失点のうち、17は後半に喫したもの。後半に最も多く失点をしているチーム。
  • 90分間の平均枠内シュートは2.5本でリーグ最下位。
  • 浅野雄也の直近3試合のリーグ戦の得点はいずれもアウェイゲームで決めたもの。
    • 11試合連続でゴールを決めた試合は敗れていないが、最後に敗れたのは昨年の川崎戦。
  • ミハエル・ペドロビッチは川崎相手に24敗を喫しており、キャリアにおいても最も多くの敗戦を喫しているクラブ。

予習

第10節 湘南戦

第11節 C大阪戦

第12節 FC東京戦

展望

前と右に起点を作れるか

 ゴールデンウィークを無敗で乗り切ることに成功した川崎。「勝ちより引き分けの多い無敗の勝ちは怪しい」というマイ格言を心の隅にしまいこみ、ひとまずは負けにくいチームになったことを今は喜ぶべきなのだろう。

 今節の対戦相手は札幌。今現在の順位は20位と最下位。川崎にとっては第3節の京都戦以来初めての順位が下のチームとの対戦である。ちなみに今季順位が下のチームと対戦したのはこれまで2回。その京都戦と磐田戦。どちらもホームで敗れている。

 札幌と川崎と同じく監督の在任期間が長いチーム。J1では1位が川崎、2位が札幌のようである。ちなみに長谷部監督、キジェ監督と続いていく。

 札幌は川崎と似たような曲線を描いていると思う。監督が掲げているスタイルはゆるやかに右肩下がりの曲線を描き、攻撃的なスタイルを覆い隠せないで失点を重ねているうちに、攻撃もちょっとしっくりこなくなってしまったみたいな。守備のヤバさを感じながらも攻撃のぐぬぬ感を感じてしまうというのは両チームのサポーターにとっては正直なところではないだろうか。

 今季の札幌の大枠のフォーメーションはこれまでと変わらない。3-4-2-1がベースとなり、CHは縦関係になり、中央のCBとGKと共に後方を3枚でビルドアップを行う。ワイドのCBが開き、後方からWBを押し上げていくという構造も同じ。アタッカー陣はインサイドを優先で、大外はWBもしくはワイドのCBに任せる形である。

 後ろのビルドアップの構造は決まっている一方で前線はキャラクターによってバランスが変わるのがミシャのチームの特徴である。メンバーは入れ替わっているので当然攻撃の方向性も変わる。ロングボールは大きく分けて2つ。左のサイド、ハーフスペース付近に流れながらCBと競り合う鈴木へのものと、バックラインから大外の右に供給される近藤or馬場へのルートのどちらか。

 このいずれか、もしくはどちらかが効けば札幌は敵陣に相手を押し込むことができる。鈴木がCBとのやり合いで互角以上に持ち込むことができれば、少なくとも自陣で苦しくなった時の逃しどころを確保できる。ここのマッチアップで優位を取れるかは重要だろう。

 右の大外の近藤はスピードスター寄りではあるが、一度足を止められてしまうと厳しい。なので大きな展開を活かしたいのだろう。この辺りは前任者のルーカスや金子とは異なる部分だと思う。ただ、彼のところで押し下げることができればマイナス方向の浅野も生きてくるはずなので、突破はできなくてもスペースメイクはできる。

 サイド攻撃はとりわけ崩しのフェーズにおいてはやや右に偏っている印象である。左のWBの青木は深い位置まで押し下げると、左のハーフスペースからバイタル付近のエリアに顔を出してミドルを狙う。湘南戦では左に流れるスパチョークを囮に使った場面もあり、レーンを移動してのミドルは力を入れているものとみる。精度も威力も十分で距離があっても十分にゴールマウスを脅かすことができる武器である。

 高さがない分、単純なクロスは割引ではあるが、スペースがある時の駆け引きや武器がそれなりにできる。それが札幌の攻撃の現在地というイメージである。

 非保持においては常にどんな相手でもマンツー!というわけではなく、時折ボールサイドと逆側を余らせたり、バックラインでは同数を受け入れなかったりする。ただし、受け渡しのフェーズでミスはあっさりと発生しているし、後ろに重心を置いた分、守備が強固になったかと言われると微妙なところ。マンツーは受け渡しのコストが発生しない分、今までとは少しテイストの違うミスが失点に繋がっている印象である。

 もちろん、保持に回れば前にガンガン人を送り込むというスタンスは変わっていないので、トランジッション局面では強制的に同数で受ける場面が出てくることもある。そういうところや岡村の不在なども含めて後方の守備強度のアップには苦戦を強いられている印象である。

福岡戦の課題が問われる攻撃の形

 札幌戦ではいつものことという感じではあるが、まずは個々のマッチアップで優位を取れるかどうかが重要なポイントになるだろう。機動力とパワーの両面で一番個人で勝負できるのはエリソンだけどもこの試合では不在。なので、おそらく家泉が務めるであろう中央のCB相手に勝負をかけることができるかどうかは重要なポイントになる。

 プレーエリアは中央に限定されるけども、キープ力と落としのセンスで言えばゴミスが群を抜いている。左右に動く機動力まで合わせれば、山田でも勝負できると思うのだけども、後方からのフォローランを組み合わせればゴミスの方が有望なので、スタメンは彼で予想しておく。

 速い攻撃を完成させるという意味では遠野とマルシーニョはオンザボールにおける課題を露呈し続けている。家長、ゴミスといった後ろ向きで時間とスペースを作れる選手を最大化できるかどうかはこの2人の精度とダイレクトにリンクするはずである。

 よりショートパスで繋ぐアクションをするのであれば、福岡戦のように脇坂が降りるアクションは効くような気がする。あるいは脇坂が逆に攻め上がってアンカーが動くスペースを空ける形でもいいと思う。いずれにしても自陣でのビルドアップでは中盤を空けることでチャンスを作っていきたい。

 札幌はスパチョークをアンカー番にすることが多いし、かつ攻め上がるアクションに対して遅れることが多いので、脇坂が列を上げるよりは橘田が高い位置を取る動き直しをする方がよりクリティカルかもしれない。福岡戦で瀬川が通せなかった下記のパスを通せれば、前進への大きなエネルギーになるだろう。

 多くの戦力が復帰と報道されるバックラインは少し構成を考えるのが難しいところ。アジアカップ帰りの高井と鈴木とのダイレクトなマッチアップが予想されるRCBにジェジエウor大南というコンビが一番丸いだろうか。好調の佐々木がSBにスライドしてファン・ウェルメスケルケンと左右を組む形になると予想する。

 守備ではRCBと鈴木の主導権争いが1つのポイント。もう1つは近藤と浅野という右のスペースメイクに対してどのように対抗するか。ファン・ウェルメスケルケンは前節は体を寄せることで早めの対応を意識していたけども、今節は大きなサイドチェンジから勝負を仕掛けてくるはずなので、少しテイストの異なる相手にも対人守備のクオリティを見せられるかどうかがポイントになるだろう。

 浅野をケアするのであれば、CHは低い位置に立つ4-4-2の方がベターだろうが、札幌の自陣でのビルドアップの拙さを見ると、高い位置からのプレスも捨てがたいところ。押し込まれること自体が札幌のペースに流れるとも言えるので、埋めるのではなく出ていくことで抵抗するという作戦もある。MFの守備を埋める方向性にするか、出ていく方向性にするかは悩むところである。

 守備ではRCBの対人を含めて個々の対応(もちろん、上福元が出るのであればファークロス対応もここに含まれる)とMFの守備の方向性、そして攻撃ではSBのビルドアップの関与と速攻の精度改善。特に攻撃面はGWの課題の追試となる。素直にここの改善が見られなければ、メンバー入れ替えも視野に入ってくることになるだろう。

 

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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