Fixture
プレミアリーグ 第28節
2024.3.10
アーセナル(3位/19勝4分4敗/勝ち点61/得点68 失点23)
×
ブレントフォード(15位/7勝5分15敗/勝ち点26/得点39 失点50)
@エミレーツ・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
過去の対戦でアーセナルの5勝、ブレントフォードの1勝、引き分けが1つ。
Head-to-head from BBC sport
- ブレントフォードの直近10回のアーセナル戦での勝利はホームでプレミアでの初対戦となった2021年の8月の2-0。
- ブレントフォードは敵地で1938年以来、直近6回の対戦で初めての勝利を向かう。
スカッド情報
- ブカヨ・サカとガブリエル・マルティネッリは起用可能の見込み。
- ダビド・ラヤはレンタル元のクラブとの試合なので出場不可で、冨安健洋とオレクサンドル・ジンチェンコは引き続き欠場。
- イヴァン・トニーはフィット。ブライアン・ムベウモにはフィットの可能性。
- イーサン・ピノック、アーロン・ヒッキー、ケビン・シャーデ、リコ・ヘンリー、ジョシュ・ダシルバ、ベン・ミーは引き続き欠場。
Match facts from BBC sport
- 2024年のプレミアでは7戦全勝。31得点で3失点を記録している。
- 2015年4月のヴェンゲル政権以来のリーグ戦8連勝を狙う。
- その年におけるはじめの7試合のリーグ戦で30得点以上を奪ったトップチーム史上初のチーム。
- 1931年のアストンビラに続き、5試合連続トップリーグで4得点以上を記録する2つ目のチームになる。
- セットプレーからの25得点はリーグ最多で次点のルートンより7得点多い。
- 27試合のプレミアでクリーンシート11はリーグ最多。
- ブカヨ・サカの直近8試合のプレミアの出場で8得点2アシスト。
- カイ・ハヴァーツは直近3試合のリーグ戦出場で3得点2アシスト。それ以前の32試合と同じ量のゴール関与。
- アーロン・ラムズデールの直近2試合のクリーンシートはどちらも1-0で対戦相手はブレントフォード。EFLカップの3回戦とプレミアリーグの前回対戦。
- 直近7試合のリーグ戦で1勝のみ(D1,L5)で獲得可能な直近48の勝ち点のうち、10しか取れていない。
- リードしている状況から落とした勝ち点28でリーグ最多。
- 今季のプレミアでヘディングのゴールを15決められておりリーグ最多。
- ヨアン・ウィサは自身初のプレミア3試合連続得点を狙う。
- ウィサの直近8試合のリーグ戦のゴールのうち、6得点はロンドンのチーム相手に記録。ただし、アーセナル対してはまだ点を決めてない。
- ニール・モペイは2024年の公式戦の先発8試合で6得点を記録している。
予習
第18節 マンチェスター・シティ戦
第26節 ウェストハム戦
第27節 チェルシー戦
今季ここまでの道のり
予想スタメン
展望
ローブロック成立の前提条件
リーグ戦は6連勝。この記録をしっかりと伸ばしつつ、後ろに中2日で控えるCLも意識した戦いをする。そんな欲張りなことが求められる状況でアーセナルがホームに迎えるのは15位のブレントフォードである。
アーセナルファンにとってブレントフォードといえば強固なブロック守備がまずは思い浮かぶはず。撤退してサイドを封鎖する5-3-2を形成し、堅牢なボックス内のディフェンスを構築する印象が強いはずである。昨季のエミレーツでのドロー、そして今季のアウェイでの89分のハヴァーツの決勝弾はいずれも手を焼いた思い出として残っていることだろう。
しかしながら、そもそも基本的にはブレントフォードの3-5-2は強豪相手にハイプレスで前から押しつぶすことを念頭に考えられたものである。高い位置からボールを奪って手数の少ないショートカウンターから一気にゴールを陥れる。これが理想形。テン・ハーグ初年度のユナイテッドを押し潰した試合が代表的な例として挙げられる。
逆にいえば、アーセナルや先日のマンチェスター・シティ戦で「ブロック守備でひたすら守る」というイメージが強いのはブレントフォードはその部分では通用しないため、早々に撤退守備に切り替えていることの証拠でもある。直近で戦ったリバプール戦ではより高い位置からのプレスに出ていく頻度は高く、アーセナルやシティとは異なるカラーの戦い方を打ち出していたのが印象的である。ムベウモが離脱してしまい前線の核が失われてしまった時期はさすがに前から追い回す元気はなさそうであったが、トニーが出場停止から復帰した後は何故か一緒に元気になったモペイとともに前線から追いかけ回す勢いが復活している。
一般的にブレントフォードのとるローブロックからロングカウンターというスタイルは今時保持型の上位チームに対してはあまり見ない。大体は持たないからである。先日シティと戦ったエバートンは早々にローブロックに切り替えたが、60~70分という交代選手でブーストをかける時間帯を乗り越えることができなかったし、見ていてもきっとそうなるだろうなと思った。
よって、ボールを持たせることを受け入れるとしてもミドルブロックで踏ん張りながらなんとかするというのが多くのチームのスタイルである。ブレントフォードももちろんなるべく高い位置で奪い取りたい意識はある。ただ、ブレントフォードにはエバートンに比べても優位な押し下げられたとしても十分に戦うことができる要因がある。
1つ目はブロック守備の精度。特にサイドの封鎖に関してはブレントフォードは一級品。上位チームは中央を固めてくるチームに対して、サイドから切り崩していく形が主流であるが、このサイドのローテのついていく行かないの仕分けが非常に上手く、どこを封鎖するかの優先順位付けを間違わない。よって、サイドから不用意に下げられてしまい、ボックス内にスペースを作られることが少ない。
もう1つはロングカウンターの精度。トニー、ムベウモといったブレントフォードのエースは少ない手数で縦に進む形で突破を図り、シュートまで持ち込むことができる。そして、これを90分繰り返すことができる持続力がある。ゴールへの希望を確保することはローブロックの守備構築において大前提である。
ただし、こうしたローブロックを容認する前提条件が最近のブレントフォードには失われている感がある。先日のチェルシー戦の失点ではバックラインが十分に枚数が揃っているにも関わらず、ジャクソンに競り負けてゴールを許す場面があった。リバプール戦でも最終ラインの連携があっさりと乱れ、ショートカウンターを浴び続けている。
また、DF-MFのライン間を閉めるタイミングが遅く、前への守備についていけない。単純な連携ミス、そしてデュエルの弱さ、出足の遅れ。これらの要因はひとえに負傷者による人的なリソースが要因だろう。大黒柱であるピノックの離脱に加えて、ベン・ミーが足首の骨折で離脱。苦しいやりくりを強いられている。50失点を喫している状態では堅固な守備という特徴もやや説得力に欠けるものになる。
ちなみにこちらはマイナス要因というわけではないが、カウンターの攻撃のルートも変化している。一昔前のブレントフォードといえば、トップにボールを当てる→サイドに展開→クロスを上げて勝負という形が主流だった。
しかしながら今はより直線的。攻め上がりのサポートの早いオンエカやアタッカー色の強いWBがインサイドに入ってきて、FWの直線的な動きに対してボックス内に侵入してくる。この攻撃ルートは今のブレントフォードと対峙する上で押さえておきたい部分だ。
先行逃げ切りを狙いたい理由
先行逃げ切りをベースに戦うという最近のアーセナルのプランは後ろに控えるCLを考えても重要であるが、この試合に勝つという意味でも重要なように思える。立ち上がりの時間にはブレントフォードが出ていってプレスに色気を見せる分、ブロックを組む部分に揺らぎがあるように思えてくる。
すなわち、プレスに出てくるであろう初手の段階で先制点を狙うのが単純にブレントフォードからゴールを奪いやすいという可能性が高い。プレスに出てくるIHのスペースの背後をサイドを迂回しながらつき、一気に加速するという形が通用し、先制点を奪えればだいぶ試合は楽になる。
ブレントフォードにとって得点が必要なよりオープンなフェーズになればアーセナルの優位は動かないだろう。ブレントフォードの前線は強力だが、彼らのバックスがオープンな展開を0で抑えるのが難しい。
ただ、ブレントフォードは無理と分かったらきっちり引ける判断力が強み。それを踏まえれば早い時間に得点を狙えるチャンスは少ない。プレスをひっくり返すプランは初めの1つ目、2つ目が勝負になるのではないか。
当然、引かれた時のために5-3-2のブロック崩しも視野に入れる必要がある。もちろん、ローテから崩しにいく形でもいいのだが、ボックス内の対応に不安があるとなれば、シンプルに裏に放り込む形でエラーを狙ってもいいように思う。そのため、前線にはボックス内に入り込む動きがいつも以上に重要になる。
そうなればライン間も少しは空いてくるだろう。エラーを引き起こせたらよし、引き起こせなくてもライン間が開けばそれなりに意義はあるだろう。ジェズス、ハヴァーツといったオフザボールの動きに秀でている選手の併用も視野に入れたいところ。
ジョルジーニョの起用の判断は難しい。ブロック守備を崩すことを前提とすれば欲しいが、カウンターのフィルターは重要。トニーがフィニッシャーになる形もさることながらオンエカやWBがフィニッシュに絡む上で紹介した形にはMFの戻りは重要である。
特にサリバを釣り出されたパターンはアーセナルの失点の頻出形。直線的なカウンターに潜む後方支援部隊には要警戒。攻め手への対策は抜かりなく行いたい。