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「翼と刀の両睨み」~2024.3.31 プレミアリーグ 第30節 マンチェスター・シティ×アーセナル プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第30節
2024.3.31
マンチェスター・シティ(3位/19勝6分3敗/勝ち点63/得点63 失点28)
×
アーセナル(1位/20勝4分4敗/勝ち点64/得点70 失点24)
@エティハド・スタジアム

戦績

過去の対戦成績

 過去5年間の対戦でマンチェスター・シティの11勝、アーセナルの2勝、引き分けが1つ。

シティのホームでの成績

過去10回の対戦でマンチェスター・シティの8勝、アーセナルの1勝、引き分けが1つ。

Head-to-head from BBC sport

Head-to-head
  • シティは2016年5月のプレミアでの2-2の引き分け以降、公式戦8戦連続ホームのアーセナル戦で勝利している。
  • しかしながら、10月のエミレーツでの対戦ではアーセナルが勝利。リーグ戦でのシティの12連勝を止めている。
  • アーセナルが勝てば07-08以来のシーズンダブル達成。

スカッド情報

Manchester City
  • 代表戦で負傷したカイル・ウォーカー、ジョン・ストーンズは欠場。
  • マヌエル・アカンジ、ケビン・デ・ブライネ、マテウス・ヌネスはフィットネステストとパスし、エデンソンはスターターで復帰の見込み。
Arsenal
  • ガブリエウ・マガリャンイス、ブカヨ・サカ、ガブリエル・マルティネッリには全員シティ戦起用のチャンスがある。
  • 前節起用不可だったダビド・ラヤは復帰。

Match facts from BBC sport

Manchester City
  • ホームでの公式戦は38戦無敗(W33,D5)
  • ホームでの公式戦は57試合連続得点中。
  • しかしながら、今季ここまで現在のトップ5とのリーグ戦は未勝利(D3,L2)
  • ジョゼップ・グアルディオラはアーセナル相手にキャリアで16勝を挙げており、バーンリーに次いで多い。
  • エーリング・ハーランドは代表戦も含めた直近16試合の公式戦の出場のうち、11試合でノーゴール。
  • ケビン・デ・ブライネはシティ所属としての公式戦100ゴールまであと2つ。
Arsenal
  • 2024年のプレミアは8戦全勝でこの間33得点4失点。
  • リーグ戦9連勝になれば、2004年のインビンシブルズ以来。
  • リーグ王者に対するアウェイゲームは直近19試合で1勝しか勝っておらず、現在は5連敗中。
  • 直近3試合のアウェイでのリーグ戦はいずれも5得点以上を決めて勝っている。
  • 4試合連続でアウェイでクリーンシートを達成すれば2005年5月以来のこと。
  • カイ・ハヴァーツがゴールを決めれば、99-00のティエリ・アンリ以来初めてアーセナルの選手としてのデビューシーズンで5試合連続のプレミアでのゴールを決めた選手となる。

予習

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予想スタメン

展望

まだ変身を残しているのか?

 「今、代表戦なんて戦っている場合ではない!」と欧州各国から聞こえてきそうな3月の代表戦が終わり、リーグ戦はラストスパート。プレミアリーグの日曜のナイターに行われる一戦は三つ巴の首位攻防戦を左右する大一番。アーセナルにとっては要塞と化しているエティハドを攻略するしかテーブルのトップを守る術はない状況だ。

 シティのリーグ戦はハードさのピークの終盤戦といったところだろう。FA杯で中盤を挟みはしたが、この試合の直前は同じく首位攻防戦のリバプール戦、そしてその前はマンチェスター・ダービー。アーセナル戦を凌げれば3月を終えて首位と1ポイント差という現状はタイトルに向けて悪くない位置といっていいように思う。

 そういう意味では裏で戦うCLのRound 16でコペンハーゲンを一蹴できたことは大きかった。おそらく8強に進んだどのチームよりも余力を持って突破を決めており、その分強いカードが続く国内の2つのコンペティションに注力できた側面はあるだろう。

 余談ではあるが、アーセナルは逆に4月がヤマ。バイエルンと戦いながら国内でハードな対戦相手と向き合う必要がある日程となっている。シミュレーターによる優勝予測で他の2チームよりもアーセナルの優勝確率が低めに見積もられているのはこの点も関係するだろう。

 本題に戻りマンチェスター・シティの現状について話していこう。例年、尻上がりのシティではあるが、今季ここから変身を残しているかは正直よくわからないという感じである。もちろん、現状でも強いのだけども、強度を求められる試合で会心の出来!という感じの内容はここまでないように見える。

 そういう意味では直近で参考になるのは強度面ではリバプール戦になるだろう。この試合の内容を考えながら最近のシティの傾向について考えていきたい。

 まずは非保持から。4-4-2をベースにすることが多いけども、リバプール戦ではIHの一角であり、4-4-2の時はトップ下に入るデ・ブライネがアンカーの遠藤をケアする役目を担っていた。遠藤にマンツーをつけるという文字通りの意味もあるだろうけども、他のリバプールの選手よりも移動は少ないため、運動量を抑えるという意味合いもあったかもしれない。アーセナル戦に置き換えればジョルジーニョが先発した場合に同じ役割をデ・ブライネに与える可能性がある。

 トップ下ロールのはずのデ・ブライネはマンツー的な役割をこなしているので、プレスのスイッチ役は逆サイドのベルナルド。遠藤のサポート役として降りてくるマック=アリスターを捕まえれば強気に当たる形がスタート。

 ただし、背後を狙うエリオットやヌニェスを気にした立ち位置を取るかは悩ましいところであった。特にデ・ブライネが中盤の一角にいると、1stプレスラインを越えられた後の自陣での中盤の守備に穴が空きやすい。よって、その分判断はシビアになる。逆に言えばその辺りの難しい判断を任せているあたりベルナルドへの信頼が伺える。

 こうした懸念があるからこそ、今季のシティはプレス一辺倒ではない。リードをすれば4-4-2できっちりとミドルブロックを敷く形を仕込んでいる。

 保持においてはCBの列移動で立ち位置を自在に変える。列移動が可能なCBはストーンズとアカンジの2人。リバプール戦ではこの2人を併用。ロドリの列落ちを織り交ぜることで相手を乱すことを念頭に置く組み立てを重視するオーダーだった。ディアスを外した分、スクランブルなカウンター対応には不安があるが他の部分を優先したということだろう。

 守る側からすると、ロドリとストーンズを当然警戒したい。だが、彼らに中盤が完全に釣られてしまうと、背後をデ・ブライネやフォーデンが狙うことができる。この辺りはブライトン式。縦に奥行きを作りながらパスを差し込んでいく。こうした縦への刀のような鋭さはリードした時のローブロック守備の担保にもなっている。

 大外にWGを置かないことも特徴の一つ。ドクやグリーリッシュではなく、アルバレスやフォーデンなどを置いてIHとの列交換でインサイドに入り込む動きが増えている。正対してマークを剥がすタイプを置かないため、このようにポジションを入れ替えることで受ける前の段階でズレを作れるポジションチェンジは重要。

 左右に自在にパスを供給できるロドリの解放にこだわっているのもそのため。ウォーカー(この試合は不在らしいけども)のWG化はロドリとセットにされているように、ロドリの解放はシティに翼を授ける。アーセナルにとっては前回の勝利の試合で不在だったロドリをいかに止めるかがポイントになるだろう。

 逆にシティからすれば、ストーンズとウォーカーがいない状態でのDFの構成は難しい。トランジッション強度を重視するのであればCBを4枚並べる形になるけども、グバルディオルやアケのCBはあまり多くプレーしていないし、アカンジはサイドになる。仮にこの構成ならばSBからアカンジが絞ってロドリの横に立つ形が有力だろうか。あるいはグバルディオルに代えてルイスを入れるかの2択と予想する。ルイスが入ればアカンジとロドリの隣に立つ役割はシェアできそうだ。

 振り返ってみると、前提で狙いたい形とか優勢に持っていくための手段は少し昨季よりも狭い気がする。こういう部分がシティがまだ変身を残しているかどうかの判断がつきかねている部分だったりする。もちろん、強いのは前提なのだが、グアルディオラのチームならもう一つ先があってもいい感じも個人的にはしている。

プレスの完成度が問われるセンターライン

 シティに立ち向かったリバプールのフォーメーションはアーセナルとは少し似ている。4-3-3からアンカーのサポートを右のIHのマック=アリスターが担当。これはキヴィオルをLSB、ライスをアンカーに置いたときのウーデゴールのタスクと同じである。

 シティがリバプール戦と同じベースで来るのであれば、デ・ブライネはアンカーをケアするはず。それを前提として考えるとすれば、アーセナルはベルナルドにスイッチを入れるかどうかを迷わせる要素を増やしたいところである。

 そのためにはビルドアップに不確定要素を増やしたい。ここ数試合はジョルジーニョがアンカーに配置されて、IHもSBもアタッキングサードの攻略に注力していたアーセナルだが、この試合ではIHとSBはレーンと高さを頻繁に変えながらシティにプレスに出るかを悩ませたいところ。そういう意味ではアンカーをライスにするのも面白いし、左サイドは冨安かジンチェンコを起用したい。より動的なビルドアップの方がベターな感じはする。

 デ・ブライネとベルナルドを自陣側に引き出し、ロドリの脇が空いた状態でWGに届けることができれば光が見える。ウォーカーがいないサイドはもちろん、グバルディオルかアケが出てくるであろうアーセナルの右サイド側もサカをフォローしやすい。1on1でぶつかるだけでなく、周辺を使われる可能性を強く意識させる状況を作り出したい。

 非保持は4-4-2ベースでコンパクトに。ジェズスorハヴァーツとウーデゴールを先頭に出ていくところと出ていかないところのメリハリをつけながら。リバプールに勝った試合における先制点を取った後のような形で踏ん張りたい。当然先日のエデルソンのPK献上シーンのようにパスミスが起きた際にはゴールを陥れる隙を狙っていきたい。

 前線だけでなくCHも背後のデ・ブライネに気をつけながら勝負を仕掛けていく必要がある。当然ならばシティの加速からの速攻は怖さがある。去年の対戦時よりはアーセナル側のCBに強度があるとはいえ、ここは機会自体を防がないといけない。

 前方のロドリと背後のデ・ブライネを共に抑えるプランの両立はここまで今季対峙してきたチームの中で難易度はトップと言っていいだろう。センターラインにはプレスの完成度が求められる。この点は今季のアーセナルが欧州でもトップクラスにできる部分だと思っているので、エティハドで通用するかどうかはまさに集大成だ。

 サイドの守備はIHのフローに対してどのように対峙するかを整理しておきたいところ。ドクが出てきたら好き放題1on1を仕掛けてくるので、ここはホワイトの踏ん張りどころになる。リコ・ルイスがウォーカーの代わりに出てくるとしたら、3人目の動きの部分は明らかに向上する。左サイドは受けに回ってしまうとシビアになる。

 いずれにしてもサイドを機能するかはロドリの展開力にかかっている。翼を授けるロドリと刀のように鋭いデ・ブライネやフォーデンの両立して抑えられるかどうかがシティ攻略の大きな鍵になることは間違いない。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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