Fixture
プレミアリーグ 第20節
2025.1.4
ブライトン(10位/6勝9分4敗/勝ち点27/得点29 失点28)
×
アーセナル(2位/11勝6分2敗/勝ち点39/得点38 失点17)
@アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
過去10回の対戦でブライトンの3勝、アーセナルの5勝、引き分けが2つ。
ブライトンホームでの成績
過去10回の対戦でブライトンの2勝、アーセナルの6勝、引き分けが2つ。
Head-to-head from BBC sport
- アーセナルは直近4試合のブライトン遠征で無敗(W3,D1)。
- ブライトンは直近7回の公式戦のアーセナル戦で3勝。しかし、そのいずれもエミレーツで記録したもの。
スカッド情報
- ダニー・ウェルベックは足首の負傷でベンチ外。イヴァン・ファーガソンも足の負傷が回復していない。
- 太ももに問題を抱えているアダム・ウェブスターとジャック・ヒンシェルウッドは起用可能。しかし、パーヴィス・エストゥピニャンは病気からの回復を評価しなければならない。新加入のディエゴ・ゴメスはマッチフィットネスを積み重ねている。
- 前節は病欠したカイ・ハヴァーツは復帰見込み。
- ユリエン・ティンバーは累積警告により1試合の出場停止。ラヒム・スターリング、冨安健洋、ブカヨ・サカ、ベン・ホワイトは引き続き欠場。
Match facts from BBC sport
- 直近7試合のリーグ戦で5試合がドロー。3試合連続ドロー中。
- 4試合連続ドローとなったらサミ・ヒーピアが指揮をとっていた2部の2014年10月以来のこと。
- ファビアン・ヒュルツェラーは就任以降の19試合のリーグ戦で9回のドロー。20試合で10回のドローとなれば、プレミア史上4人目の記録となる。
- 2024年のホームでの得点は21点で、2023年より25少ない。
- 直近8年でその年初めの試合で負けがない(W3,D5)
- 昨季の開幕以降、ジョアン・ペドロは13得点、8アシスト。チーム内で最も多くのゴールに関与している。
- 直近の公式戦12試合負けなしでうち9試合に勝利。
- 勝てば今季初のリーグ戦4連勝。
- CKからリーグハイの9得点。直近12ゴールのうち、5ゴールがCKから生まれている。
- ガブリエル・ジェズスは直近4試合の出場で6得点を記録。
- カイ・ハヴァーツは直近4試合のプレミアでのブライトン戦でいずれも得点を記録。アーセナルで出場したブライトン戦では3試合全てで得点。
予習
第17節 ウェストハム戦
第18節 ブレントフォード戦
第19節 アストンビラ戦
今季ここまでの道のり
予想スタメン
展望
まだまだ続く実験的試行錯誤
アーセナルの2025年は中2日でのアウェイ連戦からスタート。久しぶりにロンドンを離れ、ブライトンとの一戦に挑む。といってもロンドン近郊ではあるけども。
2024年のブライトンはなんとかトップハーフをキープしての折り返し。戦績を見た時になんといっても目につくのはMatch factsでも触れた引き分けの多さ。直近7試合で5試合の引き分け、かつ3試合連続の引き分け中という勝ちきれないが負けもない試合が続いている。ちなみにアーセナル戦も前半戦は引き分け決着。9つの引き分けの積み上げに一役買っている。
ブライトンの現在地はなかなか悩ましいものがある。序盤戦のヒュルツェラーはシステムをがちっと固定しながらキャストを交代しつつ、役割のマイナーチェンジでチームに幅を持たせながら最適解を探っていた印象だ。
要素の1つとしては後方でSBがボールを持ち、レーンを変えながらボールを受けるIH(CHの前よりの選手もしくはトップ下)とWGを使い分けるというものが挙げられる。従来で言えばレーン固定されていたWGを解放することでオフザボールの段階からズレを作る意識をこれまで以上に持つというイメージだろう。
個人的には味付けの変化のさせ方は結構好きだったのだが、シーズン半ばに来てもまだ実験的要素は続いているように思う。もちろん、残留争いに面しているわけではないので、目先の勝ち点よりも1シーズン目は何ができるかをテストするというのだったら問題はないが、システムにも手をつけながら前半戦以上にガラガラと多くの要素を回し始めた感があるのは少し気になるところである。
現状の保持はCBが大きくGKを挟みつつ広がってCHの片方とビルドという方向性は似ている。WGは再びレーン固定化が進み、大外を主戦場。IHとのポジションチェンジは少し減った。CFに関してはウェルベック、ファーガソンといったデ・ゼルビ的な主力が欠場傾向にあり、ジョアン・ペドロが最前線に張る。縦パスが出てくるまで中央で我慢するというよりは左右に動きながら起点となれる手段を探るタイプなので、ここも少しテイストは変わっているかなという感じ。
崩しに関してはこの左右に動くジョアン・ペドロとWGの打開力にかかっている。特に押し込んでの定点攻撃ではこの傾向が強く、連携から相手を動かしての崩しよりもWGから1枚を剥がしてエリア内に侵入、もしくはマイナス方向のバイタルにパスを出して味方にミドルシュートを打たせる形がメイン。高さはないのでとりあえずボールをエリア内に入れるというパターンはうまくいっていない。
守備においては前からの積極策が目立つ。基本的には前からのチェイシングを行いつつ、ハイラインをキープするというのが大枠の方針になるはずだ。前節のアストンビラ戦では5トップ気味に戦う相手に対応するように5バック気味の非保持を用意していたが、アストンビラはこの対策に対策を重ねる形でファジーなポジションを取り、ブライトンの守備に迷いを与える。
逆に言えば普段のヒュルツェラー政権はこれまでのように人をきっちり潰しに行くために前から圧力をかけていくプランの優先度は高い。ビラ戦でも後半途中のチェイシング解禁から流れを引き寄せた感があるので、5バックで後ろ重めで迎撃するプランの重要度は難しいところだ。
個人個人を紐解けばそこまで悪くないのだけども、そこにチームとしての仕組みを掛け合わせて強くなっているかと言われると・・・というのが現状のブライトンのように思う。もっとも、そこの掛け合わせの最大化には時間がかかるのかもしれないが。
WGに期待するいつもと違う役割
アストンビラ戦の実験結果を引き合いに出すのであれば、現状は構えて守る形をアーセナルにぶつけてくる可能性は低い気がする。前からハイプレスに出てくるのであれば、アーセナルの狙い目はブライトンのCB。まずはCBが降りるアクションをすることで縦パスを受けにくる。
おそらく、出ていって潰す役割はファン・ヘッケが担うと思うし、おそらくその方がアーセナルにとっては都合がいい。降りてきたCFはヘッケに対して無理に反転しようとせず、近くの味方に叩けば良い。重要なのは後方の広大なスペースをダンクが守っている状態であるということ。CFの降りる動きに合わせるようにアーセナルのWG、IHはこの空いたスペースにアタックをかけていきたい。
なので、個人的にはこの試合におけるアーセナルのWGは幅を取るだけでなく、CFの降りるアクションに合わせて斜めに背後を突くフリーランができるかを期待したい。予想スタメンのWGの選出はその観点を大事にした。トロサールであれば斜めに内側に絞るオフザボールは得意だし、逆サイドのマルティネッリもトランジッションでエストゥピニャンの背後を突くという観点でいえば彼が最も向いているように思える。
仮にエストゥピニャンの欠場が続くからという事由で非保持が5バックベースで来るのであれば、アストンビラと同じく、少しズレたようなポジションから相手のプレスの迷いを与えたい。ライン間のハーフスペースやWBの背後をとった抜け出しなどはアストンビラ戦でブライトンの守備陣の対応が遅れていたので狙い目のように思える。
守備においてはやはりティンバー不在の三笘対策のところの不安はある。押し込まれたフェーズにおいてはダブルチームを視野(この点でもマルティネッリは信頼がおける人選)に入れつつ、ミドルを誘発するマイナス方向へのパスを切りたい。抉られさえしなければエンドライン側に抜けられるのはOKという感じ。内側に入り込まれたらまた話は変わってきてしまうので匙加減が難しいところではあるが、縦に進んで左足でクロスという形は三笘の選択肢の中では脅威が少ない方である。
ただ、チームとして警戒したいのはファストブレイクの方。前線にタレントが揃っており、特にワイドの選手は入れ替えで2セット回せるということもあり、試合終盤まで鋭いカウンターアタックを放つことができるのは過密日程において大きなアドバンテージとなる。特に終盤に出てくるミンテは非常にめんどくさい存在となっている。
理想的なシナリオとしてはまずは前からプレスにくるブライトンに対して、CFによるCBのつり出しで早めに先制点を奪う。以降は保持をベースに左右のサイドから押し込みつつ、ブライトンの攻撃の頻度を抑えつつ足を削っていくという筋書きになるだろう。
相手が持っている武器は使わさせないに限る。押し込むことでなかなか崩しきれない状況をフラストレーションに思うファンも多そうだが、押し込むことで相手の武器を封じる副次的な効果がある。展開次第では十分押し込むこと自体が有効なカードになりうる。
ブライトンは中4日、アーセナルは中2日とコンディション面では大きな不利がある。どの試合でもそうだが、特にこの試合は追いかける展開や終盤まで持つれる展開は相手に流れるものと思ってもいい。早めにリードを奪うことで、自分たちが試合を引っ張る流れに持ち込みたい。