ブライトン、23-24シーズンの歩み。
第1節 ルートン・タウン戦(H)
プレミアの厳しさ教える初陣
マック=アリスターに続き、前日会見ではカイセドとの決別を宣言。ブライトンは新しいシーズンには2人の主力を欠いて望むことになる。開幕戦はホームに昇格組のルートンを迎えて、彼らのプレミア初戦という歴史の1ページを共に紡ぐ。
ルートンのやりたいことは非常に明確。ボールを奪ったら前に運び、サイドに展開して2トップへのクロス。書いてみれば非常に単純ではあるのだけど、このプランの遂行には全く迷いがない。馬力のあるIHと走力のエグいWBでの攻め手はわかっていても迫力十分。2トップはブライトンのバックラインに対して競り合いの優位があったため、カボレとギレスの2人はクロスを上げるだけでOKである。
ブライトンは保持において2-3-5に変形するが、この形は非保持におけるルートンの陣形とピッタリ合致。ズレを作れない状況で苦しむ。バックラインが出すところがなく困っていたのは選手の入れ替えの影響だけではなく、噛み合いすぎているフォーメーションも理由の1つになるだろう。
そうしたブライトンの保持の中で負荷がかかるのは1on1で勝てるところになる。つまり三笘。しかしながら、割り切って2人をぶつけてくる形のルートンに三笘は苦戦。なかなかゴールに迫るアクセントをつけることができない。
25分がすぎたあたりからルートン優位の風向きは変化。徐々に三笘のサポートが出てくるように。中央に絞ってライン間にサポートするマーチ、縦方向に抜けるジョアン・ペドロ、追い越すエストゥピニャンと左サイドから攻めの兆しを見せていく。
すると、先制点はやはり左サイドから。三笘のクロスに対しては決めたのはマーチ。レーンの入れ替えに対して競ることができなかったベルは痛恨。単純なレーンの入れ替わりであっさりとやられてしまった。
その後もブライトンは左サイドからチャンスメイクが機能するように。三笘が苛立ちを隠さないくらいアシストを消し続けたウェルベックがどれか1つでもシュートを決めていれば、前半にさらなるリードが広がったことだろう。
後半もペースはブライトン。サイドからの人数をかけた攻撃も少しずつ板につくようになり、前半の終盤のようにルートンのゴールを脅かす攻撃を左サイドから繰り出していく。
ルートンは右のWBの交代から少しずつペースを取り戻す。交代で入ったダウティーは縦に行くだけでなく、逆サイドへの展開やロングボールのターゲットとして機能。段々とカウンターからポゼッションを回復し、モリスとアデバヨに向けたクロスも放たれるように。
それだけに後半の失点はいただけなかった。特に3失点目はらしくないエリア内の細かいプレーの連続をミス。ここは明確に捨ててこそルートンのスタイルだと思うので、ロッキャーやラドックのこうしたミスは非常にもったいなく映る。
一時はハンドによるPKで1点差にされてしまったが、終わってみれば終盤を完全に掌握して完勝。昇格組にプレミアの厳しさを教えてみせた。
ひとこと
停滞に対する回答に辿り着くのが早かったブライトン。ルートンは終盤にらしくなさが出てしまったのがj悔やまれる。
試合結果
2023.8.12
プレミアリーグ 第1節
ブライトン 4-1 ルートン・タウン
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:36′ マーチ, 71′(PK) ジョアン・ペドロ, 85′ アディングラ, 90+5′ ファーガソン
LUT:81′(PK) モリス
主審:デビッド・クート
第2節 ウォルバーハンプトン戦(A)
ミラーでわかる上手感
共にベースのフォーメーションは4-4-2。ミラーの組み合わせでがっぷり四つにかみ合う試合となった。
高い位置からプレスに出ていく意識も似通っている両チーム。高い位置から互いの保持を阻害しに行く。
異なっていたのは前進の精度。やはりこの部分は明らかにブライトンの方が一枚上手。前節はユナイテッドをばたつかせたウルブスのプレスをブライトンは引き込みつつも流れるようにいなして前進する。この辺りはCHを昨季デ・ゼルビの薫陶を受けているグロスとギルモアのコンビしたことは大きいといえるだろう。
一方のウルブスも降りるヌネスから根性でプレス回避に行く。しかしながら、ブライトンの前線は二度追いが効く選手がズラリ。ヌネスのポストからポゼッションを安定させたいウルブスだったが、強烈なプレッシングを前に前進の安定感を欠く。
アタッキングサードにおいても両チームのクオリティには差が。ブライトンの切り込み隊長は本日も三笘。先制点の場面は鮮烈なインパクト。エンシソを押しのけるようなドリブルで加速するとまるでゲームのように数人を追い越し、あっという間にゴールを手にする。
プレスはいつまでも捕まる気配はなかったが、ボール保持の方は試合の経過と共にウルブスも少しずつ対抗できるように。ブライトンの二度追いもポゼッションでいなしつつ、前線ではクーニャが前節の好調を維持。推進力を生かしつつ、相棒のファビオ・シルバに決定機を届ける。だが、チャンスを決めることはできない。試合はブライトンのリードでハーフタイムを迎える。
迎えた後半。試合は完全にブライトンにペースが流れることになる。後半にブライトンが主導権を握ったのは前線のオフザボール。ウェルベック、エンシソ、マーチの3人を軸に、広範囲を駆け回りながらロングボールを引き出し、ウルブスの守備陣を混乱に陥れる。
特にオフザボールできっかけになっていたのはエンシソ。2点目は彼がいなくなったところにウェルベックが入ってくる動きからチャンスメイクに成功。最後は駆け上がってきたエストゥピニャンが三笘からのアシストで追加点を手にする。
3点目も4点目も前線のオフザボールによってウルブスの守備陣をゆがめる形から。機動力的なミスマッチを存分にいかし、前の選手たちの関係性であっさりとウルブスを壊し切ってしまう。
反撃に出たいウルブスはセットプレーからヒチャンが1点を返したり、クーニャやヌネスのキャリーから奮闘する。しかしながら、80分くらいから徐々にテンションが落ちてしまい最後はじり貧に。後半追加タイムには無駄なヌネスの退場も重なり最後は踏んだり蹴ったり感が溢れる結末に。
内容的には悲観的になりすぎる必要のない感じがするウルブスだが、結果を見れば連敗。連勝スタートのブライトンとは対照的に今年も恒例のスロースターターぶりを発揮してしまった。
ひとこと
クーニャが報われてほしい。
試合結果
2023.8.19
プレミアリーグ 第2節
ウォルバーハンプトン 1-4 ブライトン
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:61‘ ヒチャン
BHA:15’ 三笘, 46‘ エストゥピニャン, 51’ 55‘ マーチ
主審:アンディ・マドレー
第3節 ウェストハム戦(H)
今季暫定一位のゴール!連勝阻止のウェストハムが暫定首位に
現地15:00キックオフの試合でアーセナルが引き分けたため、ブライトンは勝てば3連勝一番乗りになる。ホームに迎えるのはライスとの別れから一回り分厚くなった感があるウェストハムである。
立ち上がりのチャンスメイクはどちらのチームもらしさが全開。三笘が相手を引きちぎってのファウル奪取を決めたブライトンに対して、ウェストハムはコーファルのロングスローやアントニオのロングカウンターからの爆走などからチャンスを作る形である。
試合は展開が落ち着くとブライトンの保持ベースに。2-3-5の人をローテさせながら勝負していくスタンスはいつも通り。ウェストハムの1トップの脇にCBが立つことができ、5トップ型で4バックのウェストハムに対峙するというのは理屈的には悪くないように思える。
しかしながら、ウェストハムは2列目が下がりながら守備をすることでレーンを埋めまくる。アンカーのアルバレスが下がることもあるし、SHがポケットを埋めることもしばしば。ブライトンが単に5つのレーンを使うだけでは穴が開くことはない。
ウェストハムの前線が低い位置まで下がっていいのは陣地回復の手段をきっちりと確保できているから。アントニオのロングカウンターやファウルでFKをもぎ取ることができるパケタの存在は下がりまくる2列目のアクションを正当化できている。
そして、先制点もアントニオから。バックラインのバタバタ感がついにブライトンの失点につながってしまう。パスミスとその後の対応の両面で軽さを見せたウェブスターにとっては大きな悔いの残る失点。冷静にウォード=プラウズが沈めてウェストハムが先制する。
ブライトンはかなりウェストハムの高さに手を焼いている。クロスを上げる前、もしくはクロスの弾道、あるいは三笘のドリブルなどでラインを下げる手段は最低限必要。ウェストハムのラインを押し下げるアクションと、下がった状況から仕留める武器を組み合わせないと難しい。ギルモアがミドルを打てたシーンなどはかなりゴールに迫った感があるが、なかなか枠をとらえることができない。
セットプレーも含め、単純な高さを問うようなクロスは全て完全に無効化。先制点を確保していることもウェストハムのプランを担保してる形になる。ブライトンにとってはかなりタフな前半となった。
後半、列上げサポートからワンタッチのサイドチェンジで三笘を解放するダンクからスタートしたブライトン。立ち上がりはワンランクギアを上げてブロックを壊しにいく。
ただし、ウェストハムも反撃を緩める気配はなし。アントニオが攻撃参加したダンクを咎めるように、わざわざこちらのサイドから裏を取っていたのはなんか新手の嫌がらせみたいで面白かった。
次にゴールを手にしたのはまたもウェストハム。カウンターから左の大外でボールを持ったベンラーマからクロスを引き取ったのはボーウェン。自陣深い位置からの猛ダッシュを行ったとは思えない氷のようなトラップからファーに置くようなシュートは芸術そのもの。本当に素晴らしいシュート。ここまでのシーズンでベストゴール。
勢いに乗るウェストハムは3点目もカウンターからゲット。目測を誤ったエストゥピニャンにより、晒されることとなったウェブスターがアントニオに屈して試合を決める3点目を手にする。
ウェストハムは5バックでトップを不在にしたことでやや相手を過剰に引き込んでしまった感があったが、イングスを投入しトップを置いて立て直し。守備ではそのイングスも含めてクロスに対してひたすら跳ね返すアクションを繰り返す。
右サイドの奥行きを享受したグロスが追撃弾を決めたが、反撃はここまで。ロングカウンター主体のウェストハムが攻めきれないブライトンの3連勝を阻止。この試合終了時点の暫定でウェストハムは首位に立った。
ひとこと
中盤の補強が順調なのも大きいが、基本的には個々のコンディションの良さはウェストハムにとっては大きい。充実した内容でポゼッション主体のチーム狩りを着々と行っている。
試合結果
2023.8.26
プレミアリーグ 第3節
ブライトン 1-3 ウェストハム
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:81′ グロス
WHU:19′ ウォード=プラウズ, 58’ ボーウェン, 63′ アントニオ
主審:アンソニー・テイラー
第4節 ニューカッスル戦(H)
ポゼッション&プレスでの圧倒でエースの覚醒を引き出す
両チームとも上位を切り崩す力を持っているチームでありながら前節は敗戦。更なる負けは避けたいところで難敵に当たってしまった!というのが両軍の正直な思いだろう。
強度アップ上等!という両チームの信条がぶつかるかのように高い位置から積極的にプレスをかけ、奪い取ったら素早く縦につけて行く展開に。先にチャンスを迎えたのはニューカッスル。右のハーフスペースを抜けるイサクのオフザボールからチャンスを伺っていく。
ブライトンはダンクがイサクの間合いを全く掴むことができず、エストゥピニャンはキックが不安定でボールの狩どころに。後方のカバーがなければ早々に失点してもおかしくないピンチを招く。
ただし、敵陣に運ぶフェーズにおいてはニューカッスルにも問題がある。特に右のトリッピアーがボールを持つと、前を立つ三笘を避けようと中央に相手にカットされまくるロブパスを放り込み続けるのは不用意なピンチの温床に。三笘はボール保持における判断は怪しいところがあったが、この守備のところでは効果が分かりやすく出ていた。
徐々に静的な局面になって行くとブライトンのCBのライン間へのパスの正確さが光るように。停滞した局面でも押し込みながら試合を進める時間を増やしていく。
すると、ニューカッスルにミスが発生。ポープがゴールを空けて放ったパスが敵陣に渡る。三笘、ギルモアがミドルを放つと、そのこぼれをファーガソン。ミスにつけこんだブライトンが先行する。
それ以降はボール保持で平定をして行くブライトン。ニューカッスルの横スライドは強烈で相変わらず押し込まれてもズレてはいなかったが、反撃の目を押さえ込むという点で十分に意味はあった。ニューカッスルはやや右のハーフスペースに固執していた感がありそれ一辺倒に。ブライトンも後手を踏んでいたサイドとはいえ、徐々に対応された感もあったので、ブロック守備攻略はブライトン以上に停滞感があったと言えるだろう。
後半も試合のペースは変わらない。ハイプレス&ポゼッションで完全にニューカッスルからテンポを取り上げてしまう。
敵陣に攻める機会に関しては一方的にブライトンが占領。しかしながら、ファーガソン周りの連携が噛み合わず、なかなかフィニッシュまで向かうことができない。
だが、それも大きな問題ではない。なぜならば、ボールを奪い返すことで何回でもブライトンは攻撃のトライができるから。そして、そこの問題が解決した時、試合は完全に決着。豪快なフィニッシュをさらに2つ決めたファーガソンは18歳以下のプレミアリーガーとして史上4人目のハットトリックを達成する。
選手を大胆に入れ替えながら反撃に出たいニューカッスルだが、なかなかペースを引き戻すことができず。後半追加タイムにウィルソンが一撃を見舞うが、それが精一杯。後半でのトーンダウンという前節の課題を露呈したニューカッスル。ファーガソンとブライトンの引き立て役となり、3連敗となった。
ひとこと
ニューカッスルは強い相手との試合が続いているので勝てないのは仕方ないが、内容が少しチームに暗い影を落としているのが気かがり。追いかける展開や後半が苦手な課題をCLとの二足の草鞋を履きながら修正できるか、序盤戦にしてエディ・ハウはその手腕を問われることになる。
試合結果
2023.9.2
プレミアリーグ 第4節
ブライトン 3-1 ニューカッスル
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:27′ 65′ 70′ ファーガソン
NEW:90+2′ ウィルソン
主審:スチュアート・アットウェル
第5節 マンチェスター・ユナイテッド戦(A)
勢いを10分で食い止めたブライトンが返り討ちに成功
昨季、開幕戦で対戦したこのカード。テン・ハーグは就任初陣で敗戦を喫した相手にリベンジを果たしたいところだろう。
高い位置からのプレッシング合戦で始まった立ち上がり。アドバンテージを握ったのはユナイテッド。フォーメーションは4-4-2の中盤ダイヤモンド。2トップの誘導からIHがブライトンのSBにプレッシャーをかけて同サイドに追い込んでからボールを奪ってカウンターに打って出る。
ユナイテッドのカウンターの際はIHがエリア内に飛び込み、SBがWGを追い越す形で猛ダッシュ。人数をかけて素早く攻撃を完結させにいく。ブライトンはいつもと違うユナイテッドの圧力に守備でやや後手を踏むような時間帯が続いていた。
しかしながら、10分もすればブライトンは徐々にダンクとスティールが大きな展開から4-4-2ダイヤモンドの死角であるSBにボールをつけることでプレスを回避。ユナイテッドの2トップの誘導がかからなくなると中央ではグロスがフリーでボールを受けるようになってくる。こうなればだんだんとブライトンが自在にボールを持てるようになる。
ユナイテッドの守備がなんとかなっていたのは4-3-1-2が中央が固く、ブライトンの得意な縦パスが入らない状態で、ウェルベックへの楔を潰すことができていたから。サイドでは三笘に激しいプレスでダロトを中心に応戦。ダロトは前節のサカ封じに続き、右サイドでも好パフォーマンスを見せた。
それでも解決策を見つけたブライトン。右サイドからレギロンの背後を取ったアディングラとニアサイドで潰れたララーナにより、ユナイテッドのCBが釣り出しに成功。フリーになったウェルベックがゴールを仕留める。
ユナイテッドはプレスを継続。トランジッションからのラッシュフォード-ファン・ヘッケのマッチアップが光だったため、プレスを継続することは妥当ではあるが、ベンチにIHをできそうな選手がいないため、このプランを継続すること自体のリスクはありそうな状況。ラッシュフォードにかけたトランジッションも前半終了間際に身を結びかけたが、ラストパス前にラインを割っており、ホイルンドの初ゴールはお預けになった。
後半も試合の展開は同じ。ユナイテッドは自陣からのキャリーではホイルンドを目掛けてのロングボールを織り交ぜながら前進。前半に効いていたラッシュフォードの1on1ももちろん継続である。
それでもブライトンは保持に回れば押し返すことができる。バックラインからサイドに揺さぶることで、ユナイテッドを自陣に引き戻す。三笘はダロトに止められても味方を使いながら変化をつけることができるし、アディングラは緩急を使いながら攻め急ぐ時とやり直す時を使い分けていた。
ブライトンの保持の攻撃が完結せずとも、自陣からやり直しをさせられるという点でユナイテッドにとってはストレスが続く状態に。そして、グロスが追加点を決めてブライトンがさらに点差を引き離す。サイドチェンジ、エリア内侵入とシュートフェイク。ランプティという相棒を借りてのフルコースでユナイテッドを突き放す。
相棒のランプティは3点目に貢献。ジョアン・ペドロのゴールを左サイドからお膳立てしてこの日2つ目のアシストをマークする。ユナイテッドはファイアーフォーメーションでアンカーをカゼミーロからブルーノに代えていた影響を感じる失点だった。
ハンニバルのゴールで一時的に勢いを増したユナイテッド。だが、エリクセンやラッシュフォードなど攻守に負担が大きかった選手の疲労は色濃く、ブライトンの保持のやり直しを前にテンポを上げきれない。
堅実に逃げ切ったブライトンが返り討ちに成功。ユナイテッドのリベンジは失敗し、2年連続で本拠地でブライトンに敗れることとなった。
ひとこと
まぁ、後半にこれだけ負荷がかかるプランなのは自明なので、先手を取れなかったことがユナイテッドの全てかなという感じ。
試合結果
2023.9.16
プレミアリーグ 第5節
マンチェスター・ユナイテッド 1-3 ブライトン
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:73′ ハンニバル
BHA:20′ ウェルベック, 53′ グロス, 71′ ペドロ
主審:ジャレット・ジレット
第6節 ボーンマス戦(H)
難しいスケジュールと粘る難敵を三笘の2ゴールでクリア
ELを戦うことで直後のリーグ戦は難しい運用になるという欧州カップを並行して戦うチームの宿命にいよいよ今節から直面するブライトン。比較的メンバーを固定する傾向があるデ・ゼルビも前線を中心にターンオーバーを実施する。
ボーンマスのマークは4-4-2ベースであり、黙っていればブライトンの布陣と噛み合う形。CHは基本的には相手についていくが、降りていき過ぎている場合はそこまでついていかない。ブライトンの場合はCHがポジションを守ることのほうが多いので、あまりそうした機会が多くはなかったのだけども。
というわけでブライトンはなかなかボールの出しどころを見つけることができない。いつもであれば、CFが降りる動きを見せるのとWGが背後を取る動きのコンボで裏への解決を図るのだが、この辺りは三笘とマーチの専売特許なのかもしれない。
ブライトンはフェルブルッヘンがボールを持ちながら外れるところを探るような時間が増えていく。フェルブルッヘンは全く焦れないので、GKがやたらとボールを持つシーンで試合は膠着するようになった。
しかしながら、このスタンスが裏目に。ボーンマスは高い位置からフェルブルッヘンの選択肢を少しずつ削るようにジリジリと間合いを詰めてミスを誘うと無人のゴールにソランケが先制ゴールを叩き込む。
ミスから先手を取られたブライトン。反転するウェルベックが警告を引き出すなど、時間の経過とともに少しずつ押し込めるようになっていく。すると前半終了間際に左サイドからギルモアが上げたクロスがオウンゴールを誘発。ハーフタイムの前にスコアを振り出しに戻す。
後半、ブライトンは三笘とファティを投入し前線のテコ入れを図る。するとその効果が出るのにかかった時間はわずかに数十秒。インサイドに入り込んだ三笘があっという間に勝ち越しゴールをもたらす。
後半のブライトンは内容的にも改善が見られた。前半はどこか様子見でジリジリしていた印象だったが、後半はとりあえず縦パス入れてみよう!無理だったら戻して!の繰り返しで少しずつリズムが出てくるように。ボーンマスとしては縦パスへの都度の対応をサボらないことで前半は前進を許さなかったため、対応する頻度が増えてくるようなアクションは非常に厄介だったに違いない。
押し込まれるボーンマスはなかなか押し返せずに苦戦。WGを入れ替えても即座に効果は出なかったが、活発にオーバーラップを行うブライトンのSBの背後を狙う形で押し返すケースも出てくるように。
しかし、次のチャンスをものにしたのはボーンマスではなくブライトン。またしてもインサイドに入り込んでの少ないタッチでゴールを決めた三笘がブライトンの3ポイントに決定的な3点目をもたらす。
ゲームチェンジャー・三笘が仕事を果たした後半。ブライトンは粘るボーンマスを振り切り、EL後の難しい試合を乗り越えてみせた。
ひとこと
前半のうまく守れている内容であれば、少なくともボーンマスはリードしてHTを迎えたかったところだろう。
試合結果
2023.9.24
プレミアリーグ 第6節
ブライトン 3-1 ボーンマス
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:45+2′ ケルケズ(OG), 46′ 77′ 三笘薫
BOU:25′ ソランケ
主審:ジョン・ブルックス
第7節 アストンビラ戦(A)
プランと精度の掛け合わせでブライトンを集中砲火
ブライトンにとっては前節と同じように向き合ってくる相手だなと立ち上がりから感じたことだろう。4-4-2でのミラーフォーメーションでCBとCHをケアしつつ、GKまでプレスに行くことはしないというのがアストンビラの守りのスタンスである。
ブライトンはGKが持ちながら出しどころとなる場所を探す。フェルブルッヘンからスティールにGKが入れ替えったにも関わらず、ブライトンのGKがボールを持ちながら出しどころを探すスタンスは差し詰め前節の再放送といった様相だった。
ワトキンスとディアビのプレッシングの優先度のつけ方は非常に見事だった。GKを使ってマンツーを外そうとしてきて場合、無理に同サイドに追い込むのではなく、CHへのマークを挟むようにすることで縦に進むルートを封鎖する。これによりファーガソンとウェルベックへのボール供給のルートはほぼなくなった。
ブライトンはこれに対して、サイドでズレを作ることによって対抗。開いたダンクから三笘を追い越すエストゥピニャンからキャッシュの裏を取ってエリア内に侵入していく。
対するアストンビラもサイドからの攻勢で対抗。よりバックラインにプレスに来るブライトンのプレスを利用し、浮いたところからコンサが持ち運びで右サイドに展開。裏をとって折り返しのディアビがシュートを狙うがうち切れない。
ブライトンの左、ビラの右をめぐる攻防は先制点で決着。エストゥピニャンを釣りだし、三笘のみになった守備をキャッシュが裏取りで外すことに成功し、インサイドでワトキンスが仕留めた。
追いかけるブライトンだが、中盤を起点とした攻撃がなかなか成立せず。細かいパス交換からダイレクトなパスをつけての前進は彼らのトレードマークだが、今日はCHの2人がその技術的なハードルを飛び越えられなかった感がある。
その隙を逃さないアストンビラ。デュエルでボールを奪い取る強度、奪った後のワンタッチ目の縦のパスの精度、ディアビで加速してワトキンスで仕留めるというカウンターの威力でブライトンを制圧し、前半のうちに3点のリードを奪う。
反撃に出たいブライトンはCFを入れ替えつつ、サイドを軸とした攻撃で反撃。ファティのゴールが左サイドからの攻撃で決まった時は反撃ののろしが上がったようにも思えた。
しかし、またしても中盤でのボール奪取からワトキンスというこの試合の黄金パターンでアストンビラは試合の流れをすぐに引き戻す。ボールを奪い取られるターゲットになったのはギルモアだった。
終わらないボール狩り地獄。アストンビラは5点目もカウンターからあっさりとしずめると、後半追加タイムにも6点目をゲット。
ボールを奪い、仕留めるというところに特化してブライトンに集中砲火を浴びせたアストンビラ。この勝利で上位陣の仲間入りを果たしたといえる順位となった。
ひとこと
ミドルゾーンに狙いを定めたプランとそこからのカウンターの精度がすべて。ファーストプランがハマれば強いエメリのチームの良さが出たといえるだろう。ブライトンは中央レーンが封鎖された時の三笘とマーチの背後への裏抜けがあまり今季見られないのが気がかり。こういう時のための解決策な気もするのだが。
試合結果
2023.9.30
プレミアリーグ 第7節
アストンビラ 6-1 ブライトン
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:14‘ 21’ 65‘ ワトキンス, 26’ エストゥピニャン(OG), 85‘ ラムジー, 90+7’ ルイス
BHA:50‘ ファティ
主審:アンディ・マドレー
第8節 リバプール戦(H)
ビルドアップ・デスマッチは痛み分け
どちらのチームもセットプレーからチャンスを迎えた序盤戦。よって、試合の構造がなんとなく見えてくるのに10分ほどの時間を要した。
プレッシングはどちらのチームも強気。バックラインが降りてくるFWについていくあたりは下がるアタッカーについていく意識は強いのだろう。CBにもそこそこ厳しく当たる両チーム。アリソンは最近のブライトンのGKがそうなったようにボールを持ちながらどこが空くかを探していた。
リバプールの保持は大きな動きからマンツーを外していく。ロバートソンが最前線に駆け上がっていくあたりはこの試合の特殊性を感じる部分だろう。インサイドに絞るアレクサンダー=アーノルドも三笘とのどこまでついていくかの駆け引きを行うための手段になっている。
一般的にマンツー外しの有効な手段の一つとしてGKのCB化がある。リバプールもマンツー気味に噛み合わせてくるブライトンにこの策を採用。だが、これが裏目にでる。ファン・ダイクのマック=アリスターへのパスはショート。これをアディングラがカットして無人のゴールにシュートを打つ。ここがGKのCB化の難しいところ。本来ならば、ファン・ダイクを交わさなければシュートまでいけないところだが、アリソンがゴールマウスにいないのであれば、寄せられる前にシュートを枠内に蹴れば事足りてしまう。GKのCB化は失敗時の賭けるリスクは大きい。
高い位置からGKにプレスをかけていくスタンスはリバプールも同じ。サラーが2トップに入る4-4-2のような形からブライトンのバックラインにプレスをかける。フェルブルッヘンは今節も相手を引き付けながらのショートパスビルドにチャレンジをしていく。
ブライトンは滅多にCHが列落ちをしないのだが、序盤にはグロスが列落ち。このままではビルドアップで捕まるという危険な匂いを感じ取っていたのだろう。リバプールはショボスライが前に出ていくことでマンツー色を強めでプレスにいく。前から行く覚悟は感じる。
リバプールはプレスの枚数以上にヌニェスがフェルブルッヘンの右足から制限をかけて、左側に狙い撃ちすることができるかどうかがプレスの成否を分けている感があった。20分過ぎから30分にかけてはフェルブルッヘンが左右に自在に蹴り分ける。インサイドではスリーオンライン気味に後方の選手が上がることでかなりリバプールの高い位置への侵入を決めていた。
しかし、30分が過ぎるとヌニェスから再びフェルブルッヘンの右を切れる場面が増えてくる。ここからリバプールはビルドアップを咎めるカウンターから畳み掛ける。ダンクの縦パスのロストからバタバタしたカウンター対応であっさりとサラーがフリーになると、同点ゴールをゲット。
さらにはグロスの降りるアクションを潰し切ったショボスライがPKを獲得。前半のうちに試合をひっくり返す。
迎えた後半。ブライトンは三笘とマーチの左サイドに照準を絞る。こちらのサイドに3人目となるファーガソン、グロスを流すことでサポート役を作っていく。若干2-3-5のような形で前の5人は前線に飛び出しを図っていく。
しかし、ハイプレスを外したところからショボスライが決定機を創出。これをグラフェンベルフが決められない。この後のシーンのマック=アリスターもそうだがサラーを軸としたコンパスのようにMFが旋回するように右サイドからリバプールがゴールに迫っていく。
時間の経過とともにブライトンのプレスはトーンダウン。プレッシングに出ていくことができないようになり、合わせるようにリバプールもまったりとした保持を続けていく。
やや、弛緩した空気の中でブライトンはセットプレーから同点に。ダンクが面目躍如のゴールで試合を振り出しに戻す。
ここから先はグロッキーでオープンな撃ち合いを展開する両チーム。中盤は存在しない、互いのゴール前まで電車道で進み、シュート機会をセットする勝負に。だが、どちらのチームも3点目を手にすることはできず。試合は引き分けで勝ち点1を分け合う結果となった。
ひとこと
前半のビルドアップ・デスマッチは自分の中のサッカーの価値観がバグりそうだった。サッカーってこんなにビルドアップにリスク賭けていいんだっけ?的な。ミスったら失点との距離の近さがなかなかに考えさせられるものがあった。
試合結果
2023.10.8
プレミアリーグ 第8節
ブライトン 2-2 リバプール
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:20′ アディングラ, 78′ ダンク
LIV:40′ 45+1′(PK) サラー
主審:アンソニー・テイラー
第9節 マンチェスター・シティ戦(A)
らしさが復活した三笘が追撃弾を演出するが・・・
ロドリを欠いた国内の試合では3連敗。停滞したリーグ戦の原因となったロドリはこの試合から復帰となる。
互いにマンツー気味に前がかりのプレスを仕掛けてくる両チーム。ブライトンも後方でハーランドに余らせて対応するのではなく、高い位置から相手を捕まえにいく。
というわけで保持側がズレをいかに作れるか?という勝負になっていくこの試合。先に動いたのはシティだった。右サイドの高い位置をとるストーンズに誰がついていくのか?という命題を突きつけつつ、ドリブラーは対面の相手を剥がしては味方に時間を配る作業をせっせと行う。
ドリブラーとして初めて味方に時間を配っていたのはこの試合ではフォーデンだが、頻度で言えば最も多かったのは左のドクだろう。初手で見る限り、対面のミルナーとはアジリティの部分ではミスマッチ。明らかにシティはアドバンテージが取れるマッチアップである。
ブライトンはドリブラーに対しては近い位置にいるフォロー役が積極的に捕まえにいく。そのため、マンツー基準のような形ながら受け渡しの頻度がブライトンは徐々に多くなっていく。
ドクが導き出した先制点も受け渡しから。ミルナーからマークを引き取ったグロスがドクに振り切られると、インサイドでグロスが埋めているはずの位置に入り込んだアルバレスがフリーでシュート。7分でシティが先制する。
左はドク、右はストーンズという両サイドのズレからブライトンを追い込んでいくシティ。一方ブライトンはこのズレのポイント探しに苦戦。中央のCFへのポストを狙ったパスから左の三笘に展開するトライは見えるが、同サイドのフォロー役のエストゥピニャンの不在はこのような前に人数をいかに早く揃えられるか?という展開では非常に痛い。結局のところ、三笘が2人も3人もマークを請け負うことになり、ブライトンは活路を見出せない。
むしろ、ブライトンは左のイゴールのところのプレスをシティに狙い撃ちされるように。ベルナルド、ロドリなどがマンツーの領域を超えて同サイドにプレスのヘルプに出ていくこともあり、こちらのサイドからのボール奪取を積極的に狙っていた。
ブライトンはシティの圧力に屈して、左サイドのパス回しからハーランドにカウンターを沈められて失点。バレバがババを引いて地雷ポゼッションのトリを務めることに。
ストーンズやロドリからの大きな展開で山ほどチャンスを作られていたドクにはアディングラをぶつけることでなんとか手当。だが、反撃のきっかけを見つけることができないままブライトンは2点のビハインドでハーフタイムを迎える。
後半、ブライトンはハイプレスからテンポを奪いにいく。だが、シティはオルテガを使いながらの横へのパスワークを積極的に使いながらプレスを回避。
しかし、ブライトンに攻め手がないわけではない。オルテガがインサイドに差してくるパスは前半同様引っ掛けることはできていたし、自陣からのパスワークも縦の関係性の構築を整備しながら、敵陣に迫る形を作る。
前線では三笘の裏抜けが冴え渡るシーンも。降りるCFを囮に使った裏抜けは今季あまり見られなかったので個人的には少し安心した。
やや気押されるシーンもあったシティだが、60分前後から少しずつ試合を掌握。再び押し込むシーンを作っていく。この日のシティのハイプレスには試合を引き戻すクオリティが十分にあった。ドクを中心に攻め立てるが、ブライトンは後半にフェルトマンを投入したことで問題なく対応できる状態に修正が完了していた。
そんな中ブライトンはピンチをひっくり返す形で追撃弾をゲット。スティールの飛び出しての対応に対して、アルバレスが直接ゴールを狙うが、これを防いだダンクがそのまま繋いでカウンターの起点に。サイドでボールを引き取った三笘がウォーカーをおいていき、最後はファティが決めて1点差に迫る。
シティはすかさずディアスを投入して最終ラインを固める。アカンジの退場にもアケが出てくるなど盤石のバックラインでブライトンの攻撃を迎え撃つ。ブライトンはマーチを怪我で失いながらも最後まで追い縋るが、ゴールを再び破ることはできず。シティが前半のアドバンテージを生かした逃げ切りで連敗ストップに成功した。
ひとこと
マーチが1日でも早くピッチに戻って来れるように。
試合結果
2023.10.21
プレミアリーグ 第9節
マンチェスター・シティ 2-1 ブライトン
エティハド・スタジアム
【得点者】
Man City:7′ アルバレス, 19′ ハーランド
BHA:73′ ファティ
主審:ロベルト・ジョーンズ
第10節 フラム戦(H)
パリーニャのワンパンチをリカバリーできず
メンバー表からフォーメーションを読み取り切れなかったブライトンだが、この日は3バックを選択。フラムの4-4-2に対して構造を外してくる形で対応してくる。
ナチュラルな立ち位置で構造をずらしてくるブライトンがボールを持つ形で試合は進む。フラムの2トップの脇に人を立たせる形で前進を狙っていく。
いつものブライトンと比べると違いがあるのは少しワイド志向が強いこと。フラムのSHがブライトンの3バックのプレス隊に加わることが多かったため、サイドにボールをつけることができればブライトンはワイドで1on1を作ることができていた。
違いになっていたのはララーナ。シンプルにバックラインからの縦パスを受ける際も、サイドのフォローに行く際もとにかく切れ目で受けるのがうまい。エストゥピニャン不在でサポートが足りていなかった三笘にとってはララーナの存在は大きかったはずだ。
一方のフラムはきっちりと受けてのカウンターにフォーカス。ヒメネスとイウォビの2トップラインはカウンターではきっちり生きており、ここにひとまず当てる形で前進を狙っていく。
ただ、この前進のルートはブライトンの3バックがなれない距離感の状態で対応していたという側面が強かった。時間経過と共にブライトンの3バックは整っていき、2トップだけでは前進できないフェーズに突入する。そうなればウィリアンが根性で運んでいく機会が増えていく。
先制点を取ったのは保持の時間が長かったブライトン。イゴールのパスカットからグロスにボールをつなぐと、フラムはDFの前が空いた状態で受けることになる。自由になったグロスからファーガソンにラストパスが送られてブライトンは先制。前半のうちにリードを奪う。
後半もペースはブライトン。つなぎ目に顔を出し続けるララーナを軸に中央のユニットのパス回しが光る流れに。フラムはプレスのきっかけをつかむことができず、なかなか反撃のフェーズに進むことができない。
しかし、ワンチャンスをフラムはものにする。グロスが珍しいロストを犯し、フラムがカウンターを発動すると、仕留めたのはパリーニャ。ワンチャンスをモノにしてスコアをフラットに戻す。
ここからブライトンは三笘にフォーカスした攻めを展開。しかしながらララーナも交代でエストゥピニャンもいない三笘は孤軍奮闘の流れが続く。かろうじてグロスは寄るがほかとの関係性を形成できずになかなかゴールに迫れない。
ファティが投入された分、奥行きがある抜け出しがあるのはブライトンにとっては救い。だが、きっちり構えてのロングカウンターフォーカスというフラムのプランはブライトンの押し込んでからの攻め筋を見ても収支は悪くないものだった。
自陣をがっちり固めたフラムがブライトンから勝ち点をゲット。ブライトンにとっては一つのミスから試合を難しくしてしまった悔やまれるドローとなった。
ひとこと
三笘のサポート役がいなくてしんどそう。
試合結果
2023.10.29
プレミアリーグ 第10節
ブライトン 1-1 フラム
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:26‘ ファーガソン
FUL:65’ パリーニャ
主審:マイケル・サリスベリー
第11節 エバートン戦(A)
課題克服は棚上げも勝ちパターンの破壊に成功
アウェイでウェストハムを撃破し、勢いに乗るエバートン。ブライトンは昨年大敗した記憶もあって、嫌なタイミングでの巡り合わせという印象である。
まず工夫を見せたのはブライトン。CHのグロスが左サイドに落ちながら、SBのミルナーを押し上げる。その分、三笘はインサイドに入り込むケースが増える立ち上がり。逆サイドのアディングラとともにWGがダイレクトにハイラインの背後を取るアクションが増えるブライトンの仕掛けだった。
このアプローチの見方はいろいろあるだろうが、自分は左サイドにおける三笘のサポートが足りていないため、得点力のある三笘のボールを受ける位置をゴール近くに持ってくるためのアプローチのようにも見えた。この方向性自体は個人的にはOKのように思う。
だが、徐々にエバートンはこれに対抗。CBやピックフォードが見切って早い段階で対応するようになる。ブライトンからすれば手前が使えていないからだろう。今季のブライトンは手前ばかりで、奥が使えていないケースが多かったが、この試合ではその逆にバランスが一気に転じてしまった印象だ。
エバートンは早い段階で先制。速攻からインサイドに走り込んだマイコレンコが先制点を呼び寄せる。おそらくは外はマクニールに任せておけば抜き切らなくても上げ切ってくれると信じていたのだろう。インサイドに走り込むチャレンジが奏功した場面だった。
以降はブライトンの仕掛けのミスを咎めるようにカウンターからミス待ちの反撃に出ればOKという形となったエバートン。だが、キャルバート=ルーウィンとドゥクレの2人の息が合わず、追加点を奪うところまではいかないままハーフタイムを迎えることとなった。
後半、反撃に出たいブライトンは左サイドから攻撃を構築。もちろん、攻撃の中心になるのは三笘。サイドを鋭い角度で抉りながら攻撃に打って出る。
しかしながら、そもそもこの日のブライトンのプランを見ればわかるように、サイドのサポートの体制に今の彼らの課題はある。エバートンが後半の途中からばたつかずに対応できてしまったように、この辺りはまだ完成度の部分に難があると言えるだろう。
だが、カウンターの精度の部分が上がってこないエバートン。なかなか試合を決める2点目を仕留めることができない。
前節のウェストハムと異なり、1点差では凌ぎきれなかったエバートンの守備。終盤に三笘が左サイドからヤングのオウンゴールを誘発し、なんとか土壇場で同点ゴールをゲット。ヤングにとってはディアスに続いて三笘にしてやられるという2試合連続で苦い思いをすることになった。
ひとこと
エバートンの勝ちパターンを打ち砕いたのは良かったが、攻撃の枠組みの構築に関してはいまだにブライトンは苦しんでいる感がある。
試合結果
2023.11.4
プレミアリーグ 第11節
エバートン 1-1 ブライトン
グディソン・パーク
【得点者】
EVE:7′ マイコレンコ
BHA:84′ ヤング(OG)
主審:ティム・ロビンソン
第12節 シェフィールド・ユナイテッド戦(H)
悪いなりに保っていた平穏が退場で崩壊
非保持に回れば無理にプレスに行かないブライトンと、積極的にボールを奪いにいくシェフィールド・ユナイテッド。立ち上がりの両チームの振る舞いはスタイルの違いというよりは直感的にコンディションの差を感じるものだった。
しかしながら、地力の差があるのも確か。プレスに出てきたブレイズをブライトンはいなす力を持っている。立ち上がりに間を繋ぐパスからファティが決定機を迎えると、6分には先制点をゲット。アディングラが左サイドからのカットインで大外から1人でフィニッシュまで持ち込み、先制点を演出する。
それ以降も大外から存在感を放つアディングラ。左サイドやや一辺倒になっていた感は否めないが、ブライトンはボール保持から攻撃を仕掛けることができている。セットプレーからブオナノッテが飛び出しからチャンスを得るなど、追加点のニオイもそれなりにある展開だった。
勢いは良かったブレイズだが、反撃のきっかけを掴むことができない。かわされてしまったプレスはもちろんのこと、ボール保持に回っても相手を動かしながら敵陣に入り込むことができない。チャンスが出来そうになったのは42分にファン・ヘッケのミスからカウンター未遂の場面を作れてから。この場面からややブレイズが押し込む時間を作れるようになったところで試合はハーフタイムを迎える。
後半、悪い流れを変化させようとブライトンはジョアン・ペドロと三笘を投入。長いボールを収めることでプレスに息巻いていたブレイズの心を折っていたペドロはすんなり入った一方で、三笘は大外からのカットインにキレがなく明らかにコンディションが上がっていない状況が見てとれた。
それでもブレイズは後半も反撃のきっかけを掴めていなかったため、特に問題になる様子はなかった。風向きが変わったのはダフートの退場。何の変哲もないところでの一発退場で10人になってしまうと、5-3-1にシフトしたブライトンは一気に受けに回る。
すると、ブレイズは右サイドから同点ゴールをゲット。明らかにCBのノリで守っていたWBのイゴールが大外を開けてしまうと、クロスからウェブスターのオウンゴールを誘発。試合を振り出しに戻す。
失点してもなお、前に出ていく元気はブライトンには出てこず。終盤には三笘とペドロがコンビネーションからボックス内に侵入していくが、ペドロの折り返しが大きくなってしまいチャンスは至らず。
望外の退場から勝ち点を拾うことができたブレイズ。悪いなりにもリードで試合を進めていたブライトンにとってはあまりに大きい2ポイントのロストとなってしまった。
ひとこと
アクシデントが1つあれば覆せないくらいに今のブライトンがギリギリなのはわかる。
試合結果
2023.11.12
プレミアリーグ 第12節
ブライトン 1-1 シェフィールド・ユナイテッド
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:6′ アディングラ
SHU:74′ ウェブスター(OG)
主審:ジョン・ブルックス
第13節 ノッティンガム・フォレスト戦(A)
苦悩が詰まったデ・ゼルビの雄叫び
前節はシェフィールド・ユナイテッドを振り切ることができず、勝ち点を失ってしまったブライトン。苦しい台所事情ははっきり言ってあまり解消に向かっている感じはしないが、とりあえず目先の一戦に対しての踏ん張りを見せたいところだろう。
ブライトンのビルドアップはいつもよりも人数をかけた慎重なものだった。CB、CHだけでなく、SBもスポットで関与。GKも含めて6人程度で行われることが多かった。少しやり直しの頻度も高くなっていた。
そんな慎重な入りをしているブライトンにフォレストはカウンターから先制点を奪う。右サイドを突き抜けたギブス=ホワイトのクロスを叩き込んだのはエランガ。流れるようなカウンターからあっという間にフォレストが先制点を奪う。
ブライトンは左右の大外にファティとアディングラでポイントを作りながらフォレストを押し下げていく。いつもの目が覚めるような縦パスが見られないあたりは事情が違うんだなと感じさせる崩しのルートである。
それでもダニーロのパスミスをかっさらったところからグロスがララーナの奥に立つファーガソンまでボールを届けて同点に。カウンターに移行しようとしたフォレストにとっては手痛いミスになってしまった。
これで勢いに乗りたいブライトンだが、フォレストも中盤のパス交換から相手をいなしており、一方的にペースを渡さない。フォレストは中盤が高さを変えながら柔軟にプレスに対応していた。
さらにブライトンは左サイドに負傷者が続出。ファティとランプティが揃って前半で負傷交代をしてしまう。スカッド事情的には苦しい流れになったが、ピッチの中ではブライトンの交代選手が躍動。左のWGに入ったジョアン・ペドロがクロスに合わせてゴール。リードを奪って前半を終える。
迎えた後半はフォレストがハイプレスの意識を高めてのスタート。ブライトンは手数をかけながらこれをいなそうとしたが、なかなか試合を落ち着かせることができない。
しかし、そうした試合の流れに反するように次のゴールを決めたのはブライトン。ウッドのホールディングがPKにつながり、これを再びジョアン・ペドロが決めて点差を広げる。
これで安泰かと思われたブライトンだったが、まだまだ試練は続く。一方的に押し込まれてのクロス爆撃に耐える時間がここからスタート。左のエランガを軸にフォレストはガンガンボールを放り込んでいく。
さらにヒンシェルウッドがこちらもホールディングでPKを献上。さらには抗議したダンクの退場というおまけまでついて、フォレストは1人多い状態で10人のブライトンと向かい合うこととなる。
ブライトンにとって助かったのは特にフォレストが数的優位になってからの勢いが増したわけではないということ。押し込まれながらもボックス内で落ち着いてクロスを跳ね返す展開を続けて何とか残り時間を消費しきる。
10分という長いATのホイッスルが終わると、駆け出して喜びを表現したデ・ゼルビ。ブライトンは6試合勝ちなしという未勝利のトンネルからようやく抜け出すことができた。
ひとこと
デ・ゼルビの交代カードは怪我、怪我、退場。1回も自分のタイミングで使えなかった。
試合結果
2023.11.25
プレミアリーグ 第13節
ノッティンガム・フォレスト 2-3 ブライトン
ザ・シティ・グラウンド
【得点者】
NFO:3‘ エランガ, 76‘(PK) ギブス=ホワイト
BHA:26‘ ファーガソン, 45+4‘ 58‘(PK) ペドロ
主審:アンソニー・テイラー
第14節 チェルシー戦(A)
10人の45分を耐え凌いでの逃げ切り
立ち上がりから目立っていたのはチェルシーの激しいチェイシングのスタンスだ。前線のジャクソンが追い回す形はもちろんのこと、自陣に戻る形におけるギャラガーの挟みこみなど非常に精力的なプレスを行っている。ムドリクのタックルなどファウルになるようなものもあったが、彼らのスタンスをよく表しているといっていいだろう。
そんなチェルシーに対してブライトンはポゼッションから迎撃。全体的に前がかりな状況を利用して、レイオフを使って列移動するギルモアや、ムドリクの背後のスペースを使うように低い位置からボールを引き出すブオナノッテによって、ボールを前に進めていく。試合はこのようにブライトンがボール保持でチェルシーをいかに攻略するかの立ち上がりとなった。
チェルシーのプレスには問題なく対応できる様子だったブライトンだが、ボックス付近にボールが入ると「誰がやろうか?」という迷いが感じられる。とりあえずボールを預けられる三笘もマーチも不在のこの日の先発であると、最後の局面の崩しの軸がぼやけてしまうのはこの日の彼らの課題であった。
ボールを奪った後のチェルシーは直線的なスタイルに全く迷いがない形となっていた。スターリング、ムドリク、ジャクソンの3人の槍のような攻め筋から縦に速いアクションで反撃に打って出る。
ポゼッションのブライトン、カウンターのチェルシーとかなりはっきりしていたすみわけだったが、先制点はセットプレーから。アクロバティックな折り返しからエンソが先制ゴールをゲット。
さらにチェルシーは立て続けにセットプレーから追加点を決める。コルウィルのシュートはギリギリゴールラインを超えて4分ぶりに2得点目を挙げる。
チェルシーがスコア的に優位を積み上げていくが、ブライトンは前半のうちに反撃。左から右への横断で進撃すると、ミドルシュートを仕留めたのはアディングラ。コルウィルは間合いが遠く、シュートを防げる立ち位置をとることができていなかった。
さらに前半終了間際にはチェルシーにさらなる追い討ちが。対応の遅れたギャラガーがタックルで2枚目の警告を受けて退場。リトリートしての守備意識が悪い方に転がってしまった。
4-4-1で後半はボックス内に構えるチェルシー。ブライトンが一方的にボールを持つ展開が続いていく。押し込むフェーズが続くブライトンだが、決め手にかける状況も継続。見かねたデ・ゼルビは4枚替えで主力を投入する。
左サイドに三笘を入れたブライトンは同サイドでの仕掛けと逆サイドのSBの裏を狙ったクロスを使い分けながらゴールに迫っていく。確実に攻撃の中心になっている三笘だが、短い時間の仕掛けの割には少し威力が物足りないところがある。やはりコンディションが苦しい。
押し込まれるチェルシーはワンチャンスからムドリクがPKを奪取。両軍にとってこのPKは大きな1点だった。2点のセーフティリードを確保する。
後半追加タイムにジョアン・ペドロの追撃弾を決めるが、反撃もここまで。10人ながらも45分を凌ぎ切ったチェルシーが逃げ切り勝利を決めた。
ひとこと
ムドリクの3点目きっかけのPKはデカかった。大仕事。
試合結果
2023.12.3
プレミアリーグ 第14節
チェルシー 3-2 ブライトン
スタンフォード・ブリッジ
【得点者】
CHE:17‘ 65’(PK) エンソ, 21‘ コルウィル
BHA:43’ ブオナノッテ, 90+2‘ ジョアン・ペドロ
主審:クレイグ・ポーソン
第15節 ブレントフォード戦(H)
感触を取り戻しつつある三笘と柱を失ったブレントフォード
少ない人件費ながらスタイルを確立しつつ、魑魅魍魎のプレミアリーグを生き抜いている両チーム。だが、今季はどちらのチームも非常に怪我人に苦しめられており、深さに限界のあるスカッドに頭を悩ませている状態である。
どちらが仕掛けたのか、どちらも仕掛けたのかはわからないが共に両チームとも普段着とは違う装いのスタートだった。より分かりやすいのはブレントフォードの方だろう。ブレントフォードは基本的には強豪相手用の3-5-2と同格以下の相手用の4-3-3の併用でさいくのだが、この試合ではどちらでもない4-4-2を採用した。
この方策を読み解くとすればCBとCHでボックス型でのビルドアップをするブライトンへの対策と取ることができるだろう。しかしながら、この形にブライトンはバレバをサリーする形で対抗。これを対策と取るか、あらかじめ準備していたかを判断するのは難しいが、基本的にはブライトンのビルドアップでサリーはあまり見ないので少し意外だった。
後方で外すことができたらブライトンは左サイドの三笘にボールを届ける。SBに入ったグロスはインサイドのレーンを駆け上がっており、この辺りはかなりきっちりとレーンが棲み分けられていた。ちなみに逆サイドは大外がSBのヒンシェルウッドで、ハーフレーンがSHのアディングラ。左とは逆の形が重用されていた。
プレスの形は外されてしまい、押し込まれることになったブレントフォード。しかしながら、中盤でスペースを得たジャネルトのドリブルに後手を踏み続けたブライトンはファン・ヘッケがPKを献上。ワンチャンスをムベウモが仕留めて先行する。
しかしながら、あっという間にブライトンは同点。三笘が2枚のマークを引き付けた恩恵を受けてグロスがミドルで打ち抜いて追いつく。
痛い失点を喫したブレントフォードはさらにムベウモが負傷離脱。トニー不在の前線を支え続けていた大黒柱がいなくなったことで、ブレントフォードは窮地に追い込まれる。
後半もボールを持って攻め立てるのはブライトン。中央に目線を集めてサイドに展開するなど少しずつ余裕が出てくるように。
そして、またしてもゴールは三笘がきっかけになったところから。三笘、グロスのストロングサイドからファーに飛び込んだヒンシェルウッドがゴール。試合をひっくり返す。今日は周囲にグロスがいたこともあるが、三笘のコンディションは底を脱したように見える。
ブレントフォードは前半から少し不安定だったグロスのサイドからカウンターを仕掛けるが、なかなか形にならずに苦戦。やはりサイドに流れても質が高いムベウモの不在の影響は大きい。
最後まで攻め続けることで主導権を離さなかったブライトン。対策してきたブレントフォードを返り討ちにし、ホームで勝ち点3を積み重ねた。
ひとこと
ただでさえ負傷者が多い両チームの一戦においてさらに試合中の負傷者で流れが変わってしまうのは切ない。
試合結果
2023.12.6
プレミアリーグ 第15節
ブライトン 2-1 ブレントフォード
アメリカン・コミュニティ・エキスプレス・スタジアム
【得点者】
BHA:31‘ グロス, 52’ ヒンシェルウッド
BRE:27‘(PK) ムベウモ
主審:ピーター・バンクス
第16節 バーンリー戦(H)
そびえたつ守護神が勝ち点奪取の立役者
非常に意外だったのはブライトンのスタンス。CHのバレバがサリーしながら3バック化する。本来、ブライトンはあまりサリーするチームではないのだが、この日はデフォルトで3バック化への変更をする。
大外のレーンを使うのはSBのミルナーとグロス。押し上げられる形で高い位置にポジションをとる。この日のブライトンの特徴はファーガソンの落としを拾うことができる選手が多く存在していること。内に絞るアディングラ、ペドロはもちろんのこと、ララーナなどの選手も含めて中央に選手を多く集める。
イメージとしては中央のパス交換を崩しのきっかけにしようということだろう。三笘やマーチの不在のチームは簡単に外に起点をすることができない。それならば、インサイドのパス交換を崩しのきっかけにしてアウトサイドで仕上げようというイメージ。グロスのシュート場面などは見事だった。
しかしながら、立ち上がりは慣れない形のパスワークに苦戦。自陣でのミスからバーンリーにカウンターのきっかけを与えてしまうこともしばしばだった。
自陣からのビルドアップも含めてバーンリーはビルドアップでゆったりとしたスタート。ビルドアップの枚数調整は十分なように映る。ブライトンのプレスをいなしての敵陣への侵入の精度はそれなりにあった。
しかしながら、ブライトンは少しずつ敵陣への侵入の頻度を増やす。サイドの裏抜けから致死性のクロスを上げることもちらほら出てくるようになる。ブライトンのパス交換も安定し、精度は時間経過とともに向上した。
だが、先制点を決めたのはバーンリー。コレオショの不在を埋める形になったオドベールのシュートがネットを揺らし先行。押し込まれがちだった前半終盤をひっくり返す形でリードを奪ってハーフタイムを迎える。
反撃を狙うブライトンは2枚を交代。三笘とギルモアを入れて一気に攻勢に出ていくことを狙う。確かに時間をサイドに運ぶことができれば、三笘は多少は怖さを見せたが、むしろ目につくのはバーンリーの保持での落ち着きのほうだ。ボールを的確に回しつつ、左サイドのオドベールを出口にしてブライトンのゴールに迫る。
非保持でもバーンリーは同サイドを圧縮してスペースを消す動きが目立つ。狭いスペースにブライトンを追い込み、ミスを誘っていく。ブライトンは三笘とグロスの左サイドにボールを集約。同サイドを使う三笘のサポート役でファーで裏を狙うグロスを使っていたのは面白かった。少しずついつも通りの攻撃ルートに傾倒するブライトンだった。
この状態からブライトンは同点ゴールをゲット。直前に同じ流れでゴールが決まらなかったが、グロス→アディングラのファーサイドの裏を狙うクロスから追いついて見せる。
以降はワンサイド気味に相手を殴る展開が続くブライトン。バーンリーは5バックに移行するが、ブライトンの1点目のパターンを止めきれず。ファーのヒンシェルウッドやアディングラからピンチを作られ続ける。そこに立ちはだかったのはトラフォード。ファインセーブの連発でさらなるゴールを許さない。
押し込まれる苦境を救い続けた守護神の活躍でバーンリーは1ポイントを死守。ブライトンのホームから勝ち点を持ち帰ることに成功した。
ひとこと
トラフォード様様の1ポイント。
試合結果
2023.12.9
プレミアリーグ 第16節
ブライトン 1-1 バーンリー
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:77′ アディングラ
BUR:45′ トラフォード
主審:サイモン・フーパー
第17節 アーセナル戦(A)
優位を握り続けたホームチームの完勝
レビューはこちら。
アストンビラに敗れて首位を明け渡したアーセナル。ブライトンは強敵とは言え、主力を投入したELから中2日でアウェイに乗り込んでくるという行程を考えれば確実に勝利を挙げたいところだろう。
バックラインから強気のプレスを仕掛けたのはアーセナル。高い位置からボールを奪いとりに行く。ブライトンはギルモアの左サイドに落ちるアクションなどからこちらのサイド側にアーセナルのプレス隊を引き付けていく。ララーナが中盤の底の高さまで落ちてくるのもその一環だろう。
本来であればこのララーナを軸にパスワークからの脱出を試みたいブライトンだが、アーセナルはライスがここを徹底的に潰しボールを前に進ませない。前日まで体調不良で出場が危ぶまれていたというのがうそのようなパフォーマンスで、ハヴァーツと共にショートパスを阻害するプレス隊として絶大な存在感を示す。
ショートカウンターの動線があるアーセナルは右サイドを軸に攻撃を構築。サカへのダブルチームではなく、一人ずつに一人ずつがマークに行くブライトンの基本スタイルはサカからすればやりやすかったことだろう。
逆サイドでもフェルトマンの負傷により、アーセナルはマルティネッリが優位をとれるように。左右から自在にボールが上がってくるアーセナルに対して、ブライトンはファン・ヘッケとダンクの強力なCB陣が最後のところをやらせない頼もしさを見せる。
迎えた後半、グロスがビルドアップに参加せずに前方にとどまることでブライトンはハヴァーツのハイプレスへの参加を抑制する。しかし、ビルドアップから前進がスムーズに進んでいたアーセナルはセットプレーから先制。ニアへのファン・ヘッケのタッチはファーで待ち構えていたジェズスへの絶妙なフリックとなってしまった。
この先制点でハイプレスに打って出なくてはいけなくなったブライトン。これによりブライトンのCBコンビは幅広い範囲を守ることを強いられることに。こうなるとカウンターの局面ではアーセナルのアタッカーが優位。右サイドのヒンシェルウッドの裏からガンガン選手を裏抜けさせると、追加タイム直前にハヴァーツが試合を決める2点目を仕留めて勝負あり。
ブライトンも終盤の三笘とジョアン・ペドロの左サイドは非常に強力だったが、グロスが同点ゴールのチャンスを仕留められなかったことが尾を引いた。逆に言えばその部分しかブライトンが勝ち点を取る筋は見えず、90分間アーセナルに苦しめられ続けた一戦だったといえるだろう。
ひとこと
必要なら強度を提示できるアーセナルは頼もしい。
試合結果
2023.12.17
プレミアリーグ 第17節
アーセナル 2-0 ブライトン
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:53‘ ジェズス, 87’ ハヴァーツ
主審:ティム・ロビンソン
第18節 クリスタル・パレス戦(A)
外さないままたどり着いた解決策
リバプール相手に終盤まで踏ん張り、シティ相手にはエティハドで勝ち点奪取。不調で死のロードを迎えたパレスはここまで意外な粘りを見せている。今節はブライトンとのM23ダービーである。
CBには無理にプレスに行かないスタートとなった両チーム。そうした穏やかな展開の中でまずはボールを持つ局面が多かったのはブライトン。前節のアーセナル戦の途中から見せたバックラインの3-2変形からボールを動かしていく。イゴールでオリーズを動かしていきつつ、その背後を使っていきたいイメージは感じることができた。
ブライトンは外循環だけではなく、3バックから中央に縦パスをさしていくことで攻勢に出る。こうした前進の多様性が出てきたことは個人的にはいい兆候のように思える。敵陣に運んでからは左の大外の三笘にニアのグロスとファーのヒンシェルウッドが相棒になる形でゴールに迫る。
だが、クリティカルにゴールを脅かす場面は少なく、チャンスを作るのには苦戦していた印象だ。この辺りはアンカーのリチャーズがフレキシブルに最終ラインに入ることで枚数調整をしていたのがとても良かった。
しかしながらパレスも前進に手応え。ブライトンのようなショートパスを使った形ではなく、マテタへのシンプルなロングボールを使ったものだった。ロングボールではあるものの、ブライトンのCBの寄せが甘いためかなり安定した前進手段になっていた。
ボールを収めた後は右サイドの裏を取る形から進撃。オリーズはいい形でボールを受けていた割にはもう一味攻撃にアクセントをつけられても良かったなという感じ。30分を過ぎても両チームはなかなか攻撃の形を作れずに停滞する。
このままハーフタイムを迎えるかと思いきや、パレスが終了間際に先制点をゲット。1試合に1回は見るフェルブルッヘンのパスミスからボールを繋ぐと、最後はアイェウ。少ないチャンスを活かしてハーフタイム前にパレスが前に出る。
後半もブライトンの3バックでのポゼッションが中心となる流れ。トランジッションの場面は前半よりも増えていたが、これはむしろ警告が嵩むパレスにとって不利な状況になっているように見えた。
しかしながらボックス内での守備に関してはパレスは鉄壁。ファウルで止めることさえできれば自陣で堅くボックスを組む。ブライトンは相手を外しきれないままのクロスに終始し、なかなかチャンスを活かせない。
そうした中でカウンターからエゼがビッグチャンスを迎えるが、前節獅子奮迅の働きを見せたファン・ヘッケが今節も立ちはだかりシャットアウトする。
80分には三笘が抜け出すなど惜しいシーンも見れるようになったブライトン。最後の決め手になったのはウェルベック。久々のゴールは相手との競り合いから生まれた浮き玉性のヘディング。外せない状況に苦しんだブライトンは外せないままでのウェルベックという解決策に辿り着き、なんとか1ポイントの確保に成功した。
ひとこと
地獄ロードのパレス、意外と粘りが効いている。
試合結果
2023.12.21
プレミアリーグ 第18節
クリスタル・パレス 1-1 ブライトン
セルハースト・パーク
【得点者】
CRY:45+1‘ アイェウ
BHA:82‘ ウェルベック
主審:ジョン・ブルックス
第19節 トッテナム戦(H)
理詰めの圧倒でトッテナムを寄せ付けず
高い位置からボールを捕まえにいくブライトンに対して、トッテナムがプレスを回避するスタートとなった。ブライトンは序盤からグロスが列を上げてのプレスを行うなどの積極策が目立つ非保持のスタンス。押し込まれてしまった時のリトリートとの使い分けもスマートだった。
トッテナムは横への揺さぶりが少なく、保持で効果的にブライトンを外すことができていなかった。逆に受けに回るとトッテナムは怪しさ満点。CB不在のスカッドなので前に出ていくしかないのだが、ブライトンは横断からあっさりとヒンシェルウッドが先制ゴールを仕留める。パスワークを各駅停車で行うことで大外で余ったヒンシェルウッドを活用する形はトッテナムの即席DFラインをうまく上回った。
さらにブライトンは続けてPKを獲得。引っ張ってしまったクルゼフスキがPKを献上しさらなる追加点を許すことに。ブライトンは2点を奪ってもなおハイプレスを続行。ボールを奪ったら左右にボールを動かしながら相手を外すことを続けて敵陣に侵入していく。トッテナムに反撃の糸口を与えないまま、一方的に責め続けたブライトンが前半を圧倒して終えた。
後半早々にトッテナムはリシャルリソンがネットを揺らすがこれはオフサイド。ハイプレスから生み出したチャンスはトッテナムを勢いづかせるが、オフサイドでブライトンのラインコントロールに屈してしまったり、あるいはシュート精度が伴わなかったりなど、思うように攻めきれない時間が続くことに。
そんなトッテナムを尻目にブライトンは追加点をゲット。復帰戦となったエストゥピニャンには嬉しいゴールとなった。ブライトンは終盤に左右が非対称気味の3バックにシフト。テンポのいいパスワークからサイドを打ち破りにいく。そしてPKからジョアン・ペドロが4点目を仕留める。
トッテナムは終盤に2つの追撃弾を得て、なお攻め立てることでブライトンのゴールを脅かす。しかしながら、80分以降のリカバリーで4失点をチャラにするのはいくらなんでも難しい。試合の大半を圧倒したブライトンが順当な勝利を挙げたと言っていいだろう。
ひとこと
ブライトンの前半の理詰めでの圧倒は圧巻だった。
試合結果
2023.12.28
プレミアリーグ 第19節
ブライトン 4-2 トッテナム
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:11′ ヒンシェルウッド, 23′(PK) 75′(PK) ジョアン・ペドロ, 63′ エストゥピニャン
TOT:81′ ベリス, 85′ デイビス
主審:ジャレット・ジレット
第20節 ウェストハム戦(A)
方向性に根差した奇策
上位を狙うために生き残りを賭けたい両チームの一戦。年末年始のプレミアの大トリを飾る試合はロンドン・スタジアムのウェストハム×ブライトンである。
まず特徴的なフォーメーションだったのはアウェイのブライトンの方。4-3-1-2が上のベースポジションになっているのだが、保持時の陣形は3-1-4-2のような形だろうか。大外のレーンは左がミルナー、右がヒンシェルウッドという形で左右非対称で担保する。
IHのミルナーが外に開く意義というのはおそらくブライトン側の縦パスを差し込みたいという思惑ゆえだろう。一見奇策に見えても結局本当にやりたいことを遂行することから逆算されているプランは個人的には好きである。方策を変えなければいけなかったのはWG不在のスカッドの影響だろう。
実際のところ、ウェストハムは狭い位置にブライトンの保持を追い込むことができても捕まえきれていなかった。ブライトンはやり直しでもう一度広げるか、もしくはわずかなギャップから縦パスを通すかの2つを使い分けでながら前進していため、ウェストハムは狭く守ることができず。
アタッキングサードでの飛び出しも冴えており、アレオラのファインセーブが目立つ場面も多かった。きっちり縦パスからも逃げなかったブライトンは上々の前半だろう。
一方のウェストハムは前線への中盤の飛び出しをアクセントに攻撃を仕掛けていく。ブライトンの4-3-1-2のような形の非保持はさすがに即興感があり、開けてはいけないところを間延びして開けてしまったりなどのエラーが度々見られるように。
それでもセットプレーの高さ以外でウェストハムはなかなか怖さを見せられなかった。ブライトンの守備のチェーンは時間経過とともに切りにくくなり、とりあえずボックス内に常駐するソーチェクへの放り込みが目立つ展開になった。終盤はブロックの崩し合いという少しカラーが違う展開があったが、この流れはどちらのものでもなく、スコアレスで試合はハーフタイムを迎える。
後半、試合はブライトンがボールを持ちながらのスタート。ソーチェク、ウォード=プラウズと列を上げながら攻めに出たいウェストハム。しかしながら、ブライトンはグロスなどからプレスを回避しての前進ができる。惜しむらくは敵陣でスピーディな崩しをやるほどの馬力がないこと。この辺りは三笘やアディングラの不在が痛い。
ウェストハムはこれに応じる形でカウンターに打って出るので、試合のテンポは全体的に速くなる方向性だった。グロス、ヒンシェルウッド、エメルソン、ファン・ヘッケなど戻りながらの対応で輝きを見せる人が多い時間帯だった。
ブライトンの後半の攻め手は右サイド寄りのものが多かったが、ファーガソンの投入でインサイドへの差し込みを再び強化する。終盤はウェストハムをかなり自陣に釘付けに。後方はウェブスターの負傷によりCBの枚数が足りなくなっているが、押し込むフェーズの多さに助けられていた。ウェストハムもまた5-4-1気味のローラインでその状況を受け入れていた。
終盤に攻め込んだブライトンだが、最後に立ちはだかったのはアレオラ。安定感抜群のセービングで決定機を防ぎ続けて無失点をキープ。ブライトンに勝利のための決勝点を与えずにクリーンシートでゲームを終えた。
ひとこと
スコアレスだが駆け引きのところでかなり見応えがあった一戦だった。
試合結果
2024.1.2
プレミアリーグ 第20節
ウェストハム 0-0 ブライトン
ロンドン・スタジアム
主審:サム・バロット
第21節 ウォルバーハンプトン戦(H)
縦パスから逃げずに押し込むブライトンだが
ブライトンのフォーメーションは少しわかりにくかったが4-4-2がベースになるだろう。少しわかりにくかったのは中央に人が集まるような構造のためかもしれない。
ウルブスが5-4-1で撤退した状態のためプレス隊は少ない。よってブライトンは後方をギルモア一人に任せて、グロスが少し前に出ていくことが多かった。
ブライトンのプランとしては同サイドの攻めきり+クロスが軸。サイドチェンジは少なめでクロスを出すポイントと受けるポイントの2つに人をかけていくイメージである。
ブライトンの攻撃に工夫があったのはサイドの浅い位置からインサイドに斜めのパスを差し込んでいたこと。中にスペースがあればすかさず縦につけていく形は流石のブライトンといったところだろう。
ウルブスは撤退からのロングカウンターがベース。しかしながら、少し陣地回復は苦しい展開に。そのため、2CHがインサイドを閉じながら少しずつ高い位置から跳ね返す意識を持って対抗することとした。この辺りはスティールをはじめとしてインサイドに刺す意識が強いブライトンとの相性は良かったと思う。
インサイドに差し込むフェーズで苦しんでいたブライトンだが、ブオナノッテやグロスといった面々がライン間に顔を出すことと自陣側にプレスを引き寄せる意識を見せて攻め込んでいく。押し込んでからのセットプレーも含めて展開としては明確にブライトンペース。ウルブスは単発で左サイドからカウンターで攻め返すが、なかなか決め手にかけており攻めあぐねる展開となってしまった。
後半、早々に決定機を迎えたのはウルブス。右の大外からのファストブレイクという形でいきなりブライトンを脅かしていく。プレス隊も4-4-2ベースで勝負しており、ブライトンのバックラインに対してはかなり厳しい意識で勝負をかけていた。これで前半のようなワンサイドペースはいくばくか解消された。
しかし、ブライトンは縦パスから逃げずに対抗。捕まってもサイドの裏に逃すことができるというワンタッチでのプレーでサイドにか立つことで無理なく前進。ボールをサイドから運んでいく。この時間帯はウルブスもカウンターからネトがサイドからボールを運ぶ場面があるなど、サイドから押し下げていく対決である。
後半も時間が経つとブライトンが押し込みながら勝負を仕掛けていくように。ウルブスは右サイドのカウンターにフォーカス。スティールに危機一髪と言えるような飛び出しを誘発させるなど、縦に速い攻撃でブライトンのハイラインを揺さぶっていた。
終盤は押し込むブライトンだが、決定打に欠いてしまいゴールを奪いきれず。優位に立った状況を活かし切ることができず、試合は痛み分けで幕を閉じた。
ひとこと
縦パスを差し続けることで見えてくるものがある!という感じのブライトンだった。
試合結果
2024.1.22
プレミアリーグ 第21節
ブライトン 0-0 ウォルバーハンプトン
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
主審:クレイグ・ポーソン
第22節 ルートン・タウン戦(A)
埋められない強度の差で圧殺
少しずつ内容に光が差しているように見えるルートン。17位より上のチームとの勝ち点差は節を追うごとに詰まっている。逆転の残留に向けて今季無得点試合がないケニルワース・ロードでさらなる勝ち点を狙う。
立ち上がり、1分もしないうちにルートンは先制。降りていく選手についていったバークのパスカットから一気に縦にボールをつけると、収めたアデバヨからオグベネを経由。サイドのオグベネから再びアデバヨ目がけたクロスで先制。ブライトンはPA内での圧力に屈してボールを掻き出すことができなかった。
さらに2分後にはルートンに追加点。ロコンガの大きな展開から抜け出したオグベネが独走。中途半端な飛び出しを見せたスティールを交わし、無人のゴールに押し込んだ。
飛び出したスティールもひどいが、裏抜けにほとんど無頓着な対応を見せたエストゥピニャンとイゴールのパフォーマンスもなかなかにひどい。ロコンガのパスやオグベネの裏抜けは確かに見事ではあったが、あれでGKとの1on1が作れるのであれば、あまりにもサッカーは簡単である。
2点をリードしたことにより、どこまでプレスに行くかに少し迷いが出始めたルートン。その隙を見つけたブライトンは自陣からのつなぎでレイオフを連打。フリーの選手を作り出して、左サイドから抜け出すシーンを作っていく。しかしながら、序盤の決定機をウェルベックが外してしまい、ゴールラッシュの波に乗ることができない。
立ち上がりは強気のマンツーからペースを握っていたルートンだったが、時間の経過と共にそうした高い位置からのボールハントは見られないように。その分、展開は落ち着いていたのだが、エストゥピニャンのパスミスがルートンのカウンターを引き起こしてしまい、あっさりと3失点目。まぁ、パスミスする側が悪いのだけども、イゴールの対応はあまりにも無力感しか感じないものであった。
後半も展開としては対照的。ネジを巻きなおして高い位置からのプレスに出ていくルートンに対して、ブライトンの高い位置からのプレスはことごとくファウルに。ボールをクリーンに奪うことができず、ファウルを重ねてしまう。
この日のブライトンは縦パスのレンジが少し長いからなのか、1つくらいであれば通されても特にルートン側に問題を引き起こさないパターンが多数。落ち着いてリトリートに移行されている間に何もできなくなるケースが多発していた。
ルートンは後半にアデバヨがハットトリックを達成。最後まで強度の差を見せつけられたブライトンは成す術なく大量失点で敗れることとなった。
ひとこと
スピード系のアタッカーに対して後手を踏むことは確かにこれまでもあったけど、この日のブライトンの守備ブロックからは規律の部分の不具合が想起される内容だった。いくらケニルワース・ロードとはいえコテンパンにされ過ぎである。
試合結果
2024.1.30
プレミアリーグ 第22節
ルートン・タウン 4-0 ブライトン
ケニルワース・ロード
【得点者】
LUT:1‘ 42’ 56‘ アデバヨ, 3’ オグベネ
主審:ロベルト・ジョーンズ
第23節 クリスタル・パレス戦(H)
モノトーンなプレス回避でブライトンが圧倒
前節、シェフィールド・ユナイテッドを下して何とか首の皮一枚つながったホジソン。今節はM23ダービー。前節とは異なるタイプのプレッシャーがかかってくる試合となる。
立ち上がりからボールを持ったのはブライトン。サイドからボールをキャリーし、パレスをあっという間に押し込むとセットプレーからダンクが先制ゴールを奪う。
以降も一方的に保持はブライトン。パレスは前からのプレスを行っていたが、最前線はマテタ1枚。ブライトンが広がるDFラインから彼をきっちり外すことができているので、パレスがブライトンのポゼッションを誘導することができない。
パレスの中盤がきっちりついていくからこそ、ブライトンの2列目が躍動するスペースが生まれる仕組みになっているのは何とも切ない。中でもジョアン・ペドロは起点として抜群。挟まれないと自陣側にターンして前を向いて仕掛けることができる。リチャーズがきっちりついていっているのだが、なかなか抑止力になっていないのは切なかった。
ブライトンの2列目はオフザボールでも躍動。グロス、ブオナノッテの前線への飛び出しが起点になっている。直線的に進むことができれば、彼らの飛び出しをそのまま生かすし、難しければ左サイドに展開してファーサイドにクロス。2点目はこの形から。もはやヒンシェルウッドのトレードマークといえる得点パターンである。
一方のパレスはポゼッションに回ってもボールを前に送ることができず。プレスも一向に改善の余地がみられないまま、無理に縦につけて3失点目。キャプテンのグエイも負傷で失うなど、踏んだり蹴ったりな前半となった。
後半もハイプレスから勝負を仕掛けていくブライトン。高い位置からパレスを阻害することで引き続き主導権を握っていく。対するクリスタル・パレスはオリーズを投入。わずかな逆転の可能性をかけてエースを入れる。
しかしながら、そのオリーズが負傷すると一気に試合はトーンダウン。3点のリードに対して前節負傷したエースのセットバックとなれば、パレス側の意気が消沈するのも無理はないだろう。
試合の動きはこの負傷によりかなり重たくなってしまうことに。ブライトンも無理をせずテンポを落としながら試合をコントロールすることを選択する。
パレスは後半にマテタが1点を返すが反撃もここまで。最後にジョアン・ペドロにやり返される失点を積みかねてしまい、終わってみれば4失点。フルタイム後は激しく感情をあらわにしながら不満を表現するスタンドのパレスサポーターが印象的だった。
ひとこと
あまりにもオリーズとグエイの負傷は切ない。ホジソンは今節で見納めかもしれない。
試合結果
2024.2.3
プレミアリーグ 第23節
ブライトン 4-1 クリスタル・パレス
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:3′ ダンク, 33′ ヒンシェルウッド, 34′ ブオナノッテ, 84′ ペドロ
CRY:71’ マテタ
主審:サイモン・フーパー
第24節 トッテナム戦(A)
前節と真逆の歓喜の後半追加タイム
前節はエバートンにギリギリのところで勝ち点を落としてしまったトッテナム。今節はホームで負傷者が絶えないブライトンとの一戦である。
序盤は積極策のブライトンペースと言えるだろう。降りてくるトッテナムの前線に対して、マディソンについていくファン・ヘッケなどが代表例として襲いかかっていく。
トッテナムも非保持側になれば前からプレスに潰しにいくが、縦パスで相手を狭く集約しつつ、広げるパスから三笘とウェルベックを預けどころにするプレス回避が炸裂。ブライトンが落ち着いてトッテナムをパスワークでいなしていく。
先制したのはブライトン。中盤中央でドリブルを始めたベンタンクールをグロスが潰し、ウェルベックが細かいタッチからファン・デ・フェンがPKを献上。グロスが決めて先行する。
ハイプレスがハマらず、自陣からのビルドアップは捕まっているトッテナム。特に、中央に簡単につけるパスは失点以降もブライトンのショートカウンターの温床になっていた。
そのため、トッテナムは裏抜けスピード勝負を中心に挑む。だが、重心が上がりきらない分、ブライトンが選択肢を読み切れる場面が多かった。
30分を過ぎるとトッテナムが徐々にプレスを決め切るようになり、ブライトン主導の流れが少しずつ変化が起きるように。敵陣に襲いかかるプレーが増えているが、最後の最後に体を投げ出すブライトンのCBとスティールのファインセーブが立ちはだかる。
ブライトンは前半を無失点で凌いでハーフタイムに。トッテナムはビハインドを許したまま前半を終える。
後半、ビハインドのトッテナムは圧力をかけていくスタート。保持では少し低い位置でのポジションチェンジを増やしながら、前半に狩りどころにされていた中央でのボール奪取を回避していく。インサイドにSBが入り込む分、サールがきっちりと右にフローするなど内と外のバランスを維持する工夫はなされていた。
ブライトンも後半にプレス回避は安定し、再びボールを持てるように。互いにアタッキングサードに侵入できるようになった中でゴールに至ったのはトッテナム。前半に足りなかった前線以外の最終局面の関与という課題をハーフスペースに裏抜けしたサールが見事に解決。試合を振り出しに戻す。
ここからの3枚替えで勢いに乗りたかったトッテナムだが、オープンな展開でむしろ勢いがついたのはブライトンの方。ハイプレスからのカウンターの連打で押し込み返し、主導権を再び握る。
終盤はDF陣がリスク覚悟の斬り合いに。1つのミスが命取りになりうるハードなプレー選択の連続で互いにリスクをかけたクライマックスに。緊張感のある最終盤に笑ったのはトッテナム。リシャルリソンの丁寧なプレーでCBを外しつつ、ソンがクリーンに抜け出す状況を作ると、最後に決めたのはジョンソン。
劇的な追加タイムのゴールでトッテナムは勝利。アジアカップ帰りのソンのアシストによる決勝ゴールで、前節と真逆の歓喜の幕切れを果たした。
ひとこと
どちらが勝ってもおかしくないスリリングな後半戦はなかなかの見応えだった。
試合結果
2024.2.10
プレミアリーグ 第24節
トッテナム 2-1 ブライトン
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:61′ サール, 90+6′ ジョンソン
BHA:17′(PK) グロス
主審:サム・バロット
第25節 シェフィールド・ユナイテッド戦(A)
蛮行のアドバンテージでゴールショー
補強したはずのブレアトンは負傷してしまい、前節殊勲のアーチャーもベンチ外。補強をしたはずのポジションは補強前よりも苦しくなっているという皮肉な状態のブレイズ。
そんなブレイズは高い位置から積極的なスタート。立ち上がりはブライトンのゴールに迫るなど、非常に積極的なスタートを見せる。守備ではオールコートマンツー。ブライトンは保持からマンツーを外すためのタスクをスタートすることとなる。
ブライトンは前線のランを利用して外すトライを敢行。三笘、アディングラという2列目に加えて、3列目からはグロスが飛び出す形も使いながらブレイズのハイラインを壊しにかかる。
すると、ホルゲイトが一発退場。今季トップレベルの悪質なチャレンジは音速でOFR送りになり、10人になってしまう。
ブレイズは10人に変更。4-4-1のブロックを構築する。だが、このコンパクトなブロックは大外レーンのケアを甘くしてしまうことに。サイドからあっさりとラインを下げることを許すとセットプレーからブオナノッテが先制ゴール。
さらには直後には右サイドからの突破に三笘が合わせて最後はウェルベックが押し込むなど一気に安全圏に突入する。基本的には三笘とアディングラに対してはほぼブレイズは対応できていなかったのでいくらでも勝負できる状態だった。
ブレイズは5バックに移行。オスーラを下げる必要があったかは分からないが、左の大外を上がるランプティに対してSHのハーマーが下がる形で対応していたので、それであれば初めから5バックで整えましょうという算段なのかもしれない。
さらにはブライトンはアディングラやランプティなどサイドの守備にやや不安がある状態。マカティーやハーマーはここを突く形で突撃を繰り返すことで押し下げに成功。あわや前半終了間際にはゴールかというシーンまでこぎつけることができていた。
迎えた後半、ブライトンは4バックに移行。4-3-3をベースにグロスがSBから絞る形で攻撃を組んでいく。人数を前にかけるというコンセプトなのだろうが、さすがに右サイドは渋滞気味。高い位置を取るグロスに加えて、ファン・ヘッケやギルモアも流れてしまった分、人が密集。ブレイズの圧縮が容易になり、不要なカウンターを食らうことに。ファーガソン投入で4-4-2ベースにすることで再び広く流れるポゼッションに移行できるようになった。
すると、サイド攻撃からブライトンは仕上げにかかる。まずは3点目として左サイドの三笘が早めのクロスからオウンゴールを誘発すると、4点目は右サイドのグロスからアディングラへのアシスト。あっという間に点差を広げる。
仕上げにアディングラが少し幸運な5点目を決めて試合は終了。後半に再着火したブライトンが5得点でブラモール・レーンを制圧した。
ひとこと
今日はホルゲイトのせいにしていいです。
試合結果
2024.2.18
プレミアリーグ 第25節
シェフィールド・ユナイテッド 0-5 ブライトン
ブラモール・レーン
【得点者】
BHA:20’ ブオナノッテ, 24′ ウェルベック, 75′ ロビンソン(OG), 78′ 85′ アディングラ
主審:スチュアート・アットウェル
第26節 エバートン戦(H)
空中戦の借りは空中戦で返す
昨季はマクニールとドゥクレによって悪夢を見させられたブライトン。1-5という衝撃的な敗戦のリベンジを期する一戦である。
まず、ボールを持ったのはブライトン。ワイドに張るSHにボールを預けてブロックを広げて勝負を仕掛けていく。エバートンの守備ブロックは縦横にコンパクトだったため、外に張るブライトンの選手には後手に回すケースもしばしば。徐々に外を意識したところで空いたCB-SB間をウェルベックで強襲するというコントラストの付け方も見事。
ボールを持たれることに危機感を持ったエバートン。ハイプレスに少しずつ出ていくが、ハリソンの背後のイゴールからボールを落ち着かせていく。左サイドは供給元のイゴール、大外に仕掛けられるアディングラ、そしてハーフスペースで駆け引きするウェルベックで主導権を握ることができていた。
押し込まれていたエバートンも25分から少しずつ反撃。後方とのプレスの連動が少しずつ刺さってきており、高い位置でボールを奪うシーンが出てくる。ボールを持った後に大外レーンの攻め上がりを促す形でサイドからクロスを上げていく。
しかしながら、試合は再びブライトンがボールを握り返して平定。試合はハーフタイムをスコアレスで折り返す。
後半、ブライトンは左サイドからの侵入でスタート。前半の攻め手と同じ文脈で勝負を仕掛けていく。ただし、エバートンは空中戦で応戦。前半よりもロングボールを活かす形でブライトン相手に制空権を握っていく。
後半だけでいえばリズムを作って勝負を仕掛けることができているのはエバートンの方だろう。ブライトンはネガトラの部分でなんとか食らいついてはいたが、ランプティがあわやのクリアを見せるなどギリギリの展開に。ロングボールについていくファン・ヘッケが見せる根性が光る展開だった。
ロングキックからエバートンは先制点をゲット。ピックフォードのロングキックからの落としをブライスウェイトがストライカー顔負けのシュートで叩き込んで先行する。
失点したブライトンは3-5-2にシフト。より攻撃的なスタンスで前に出ていく。だが、ここでギルモアが退場。10人になったところでエバートンとの展開は大きくは変わらなかったが、カウンターにおける耐性は流石に苦しいものがある。
攻撃において苦しかったのはむしろ10人になることよりもファーガソンの負傷交代でCFがいなくなってしまったこと。ターゲットがいない中で押し込むフェーズの解決策が見つからないことが苦しいところ。しかし、その状況を解決できるセットプレーから追いつく。もちろん、決めたのはダンク。土壇場で決めたゴールでブライトンが追いついてみせる。
空中戦の借りは空中戦で返す。見事な仕事をした2人のDFのゴールで試合は痛み分けで幕を閉じた。
ひとこと
ダンクしかないなぁで決めるダンクは素晴らしい。
試合結果
2024.2.24
プレミアリーグ 第26節
ブライトン 1-1 エバートン
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:90+5′ ダンク
EVE:73′ ブランスウェイト
主審:トニー・ハリントン
第27節 フラム戦(A)
内容もスコアも明暗くっきりの90分
三笘の今季絶望が明かされたブライトン。ジョアン・ペドロ、マーチといった前線の主力が続々と離脱し、非常に苦しいやりくりとなっている。ここからELも始まってしまうなど、鉄火場のような終盤戦になりそうである。
ボールを持つ立ち上がりになったのはブライトン。ファン・ヘッケを中盤に置く形でいつもの4-2-3-1をキープ。ビルドアップは2-2もしくはバックラインにフェルトマンが加わる3-2で相手のプレスの誘引を行っていく。
しかしながら、プレスを引き出して前進するという点ではブライトンよりもフラムの方がこの試合では明らかに上だった。IHがマークを外すように動き回ることで人へのチェイシングの意識が高いブライトンの守備陣を動かすことができていた。
そこにうまく入り込んできたのはイウォビ。運びに長けている彼の侵入からフラムはアタッキングサードに安心してボールを敵陣にキャリーすることができていた。
この辺りはブライトンの中盤の意識の乖離も気になる部分だった。バレバが前に前に行こうとする中でファン・ヘッケはなかなかラインを上げられずに躊躇。CBからはどんなに持ち場を離れても相手を追い回すタイプなのに、1つ列を上げてしまうとその積極性が完全に消えてしまうのだから面白い。
とはいえ、チームとしてはこのギャップはまずい。インサイドに絞るキャラクターが多いフラムの2列目はバレバとファン・ヘッケのコンビとは相性は抜群だった。
そしてフラムは先制。もう1つの前進手段であるムニスからフラムはゴールを奪いきる。彼の収めから攻めあがったウィルソンがあっという間にゴールを生み出していく。
ブライトンは逆に中央に集結する2列目がフラムの縦横のコンパクトな陣形との相性が最悪だったように思える。幅を獲れる選手がいないことをプラスに転じさせたフラムとマイナスになったブライトンで明暗が分かれる展開となった。
そして、フラムは前半の内に追加点。間延びしたブライトンの中盤を横断する形となった攻撃は右のウィルソンで完結。クロスをムニスが合わせてリードを広げる。ダンク相手に簡単に前に入り込むあたり、ムニスの調子の良さがうかがえる。
後半も流れは同じ。フラムがブライトンの中盤の間延びを利用しつつ横断、そして時々ムニスへの放り込み。この2つを駆使して主導権を握っていく。
ブライトンはそもそもコンパクトな守備に対してアタッキングサードへの侵入の手段がない。終盤にようやく少しフラムの守備にほころびが出たが、迎えた決定機をファーガソンがフイにしてしまう。この辺りはムニスと逆でなかなか苦しんでいるコンディションであることがよくわかる。
グロス、ブオナノッテが交代で入ってからは押し込むようになるブライトン。右サイドを軸にクロスからチャンスを作っていく。だが、レノやCB陣の安定感光るパフォーマンスを前にボックスで仕事をすることができず。
逆にカウンターからアダマ・トラオレが3ゴール目を決めて試合は完全決着。内容も個々人のコンディションもくっきりと明暗が分かれた一戦となった。
ひとこと
おそらく休養させたグロスやブオナノッテを使えばもう少し楽になるとは思うが、この試合のブライトンの出来は苦しかった。
試合結果
2024.3.2
プレミアリーグ 第27節
フラム 3-0 ブライトン
クレイブン・コテージ
【得点者】
FUL:21′ ウィルソン, 32′ ムニス, 90+1′ トラオレ
主審:サイモン・フーパー
第28節 ノッティンガム・フォレスト戦(H)
最後のひと押しが効かないフォレストがブライトンに逃げ切りを許す
ボール保持をベースとしたのはホームのブライトン。非保持では4-2-3-1がベースとなった布陣だったが、保持に回るとモデルとグロスがIHになる4-3-3のような変形を見せる。時にはIHにエストゥピニャンが入るなど、人を入れ替えながらもこの形を維持するイメージを持っていたようである。
いつも通りきっちり構えるフォレスト。前線の4枚がチャレンジアンドカバーを繰り返すことでブライトンのポゼッションを咎めにかかる。これに対して、ブライトンは両サイドの幅を使いながら攻略を狙っていく。バックスからのビルドアップで左右の揺さぶりを図っていたブライトンは丁寧にフォレストの守備を剥がしていく。
より進んだフェーズではブライトンにとっては右サイドが攻略の糸口。IHのドミンゲスのところを超えることができればチャンスになりそうな感はあった。
一方のフォレストも保持に回ればチャンスがありそうな展開。トランジッションから右の大外に立つオリギがカウンターを先導すると、ここから一気にゴールに迫る形を作っていく。
セットプレーから先制したのは押し込む機会が多かったブライトン。セルスとの連携に怪しいところを見せたオモバミデレがオウンゴールを誘発してしまい、ブライトンがリードを奪う。以降はプレスにCHが出ていくなどで前から追いかける枚数を増やしたフォレストだったが、リードを奪い返すことができずにハーフタイムを迎える。
後半、立ち上がりは外切りプレスを外して大外のファティで勝負するブライトンと、トランジッションからのオリギで勝負するフォレスト。それぞれが前半と同じスタンスが見えるスタートとなった。
しかしながら、徐々に左右の奥をとるフォレストがポゼッションから押し込むフェーズを作り出すように。試合の展開が少しずつ変わり出していく。ブライトンはモデルがあわや退場しかけるなど危うい場面を作られ出していく。
フォレストはサイドにエランガとハドソン=オドイを投入。さらにトップにアウォニイを追加投入することで2トップに移行するなど、ヌーノにしては珍しくかなり尖った交代策を講じる。
だが、ブライトンはランプティのキャリーやグロスを中心としたポゼッションの再構築から徐々にペースを緩和。モデルの退場回避あたりから少しずつリズムを取り戻していく。
サイドのテコ入れはともかく、スペースを活かすこと前提のアウォニイとウッドの2トップ化はあまり攻撃力の増強につながらなかった感があるフォレスト。ブライトンに逃げ切りを許し、今節も勝ち点を積み上げることができなかった。
ひとこと
80分過ぎからの押し返しにはブライトンの矜持を感じた。
試合結果
2024.3.10
プレミアリーグ 第28節
ブライトン 1-0 ノッティンガム・フォレスト
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:29′ オモバミデレ(OG)
主審:マイケル・サリスベリー
第30節 リバプール戦(A)
慌てず騒がずいつも通りの逆転劇
直後に控えるはシティとアーセナルの天王山。リバプールとしては絶対に勝ち点3が必要な状況である。ホームに迎えるのはアンフィールドで直近3年敗れていないブライトンである。
アンフィールドに強いというジンクスそのままにブライトンは先制。あっという間に左サイドから裏を取ると、リバプールの跳ね返しが中途半端になったところをウェルベックが豪快に仕留める。
以降もこの左サイドの裏取りはブライトンの攻撃の主な手段として通用。アディングラの仕掛けはリバプールに対して非常に効果がありそうだった。というか、ブライトンにとってはこのラインが生命線。このカウンターを撃てている時以外は試合はほぼリバプールペースであった。
リバプールの保持に対してブライトンは4-4-2で構えるが、前線の誘導は効かず、中盤のチェーンは簡単に切れてしまっておりブロックは穴が空き放題。加えて、リバプールはマック=アリスター、遠藤、ゴメス、ショボスライの4人がいつも以上に中盤でポジションチェンジを多く行いながらブライトンを撹乱する。
フリーのポイントを作ることができたら、そこから前線の裏抜けに合わせてスルーパスを送る。ヌニェスはもちろんのこと、ブラッドリーに大外を任せてプレーエリアが内に寄っているサラーも裏抜け→シュートの意識は非常に高かった。
いつでも点を取れそうな割には時間がかかったリバプール。セットプレーからディアスが冷静に沈めて、ようやくゴールを仕留める。
ブライトンの生命線がアディングラな状況は前半の間に変わらなかった。基本的にはアディングラに繋ぐプロセスの中でリバプールがカットしたカウンターからシュートに傾れ込む場面がほとんど。その中で超反応ワンタッチパスの連打からリバプールの即時奪回を外すことがあるあたりはさすがブライトンという感じであった。
後半、ブライトンはプレスを控える形でスペースを埋める方向に注力。特にSHを自陣側に下げることでサイドのスペースを消す方向性になっていく。
アディングラの立ち位置が低くなったことで、保持におけるアディングラ一辺倒大作戦は店じまい。後半はCBを軸に広くポゼッションを行いながら、保持に回る時間を確保する。アディングラの位置が下がったことによるしかたない措置にも見えるし、保持の機会をきっちり作る方が得策だろ!と言われたらそんな気もする。
しかしながら、リバプールはバイタル付近に攻略の余地を残しており、押し込む機会においては依然優勢。このスペースから裏へのパスを使い、ボックス内にスルーパスを送り込み続ける。
決め手になったのはマック=アリスター→サラーへのパス。滑らかなパスは通った時点でほぼ勝負あり。サラーが冷静にこれを沈めてリバプールがリードを奪う。
ブライトンはファーガソンとララーナの投入から前線からのプレスを強化しつつ敵陣で押し込む時間を増やしていく。だが、集中を切らさないリバプールの守備陣に対してチャンスを作ることができないまま試合は終了する。
先制をされたものの、慌てず騒がずきっちりひっくり返す。アンフィールドで見られるいつも通りの逆転劇でリバプールが無事に勝ち点3を積み上げた。
ひとこと
ブライトン、さすがにもう一つ攻め手が欲しかった気がする。最後の攻め手にバルコを選んでひたすら囲まれて取られ続けるのはもったいなかった。
試合結果
2024.3.31
プレミアリーグ 第30節
リバプール 2-1 ブライトン
アンフィールド
【得点者】
LIV:27′ ディアス, 65′ サラー
BHA:2′ ウェルベック
主審:デビッド・クート
第31節 ブレントフォード戦(A)
オープンでもクローズでもこじ開けられずにスコアレス
ボール保持がベースになっているのはアウェイのブライトン。ブレントフォードは5-3-2でブロック守備を組んで自陣でまずは構える形である。
というわけでまずは2トップ脇から突っついていくブライトン。グロスが左サイドに流れることで組み立ての主役となっていく。外一辺倒になってしまうとインサイドに高さがないし、大外で1枚を剥がすことができない状況だと押し込む状況を壊すのは難しい。
だが、インサイドにジョアン・ペドロが帰ってきたことでパスワーク自体は非常に滑らかに。ララーナとグロスもいたことによりパスワークのリズムという意味では十分にいい時期のクオリティになってきた感がある。しかしながら、ブレントフォードの守備のブロックは非常に強固。なかなかこじ開けることは難しい。
さらにはブレントフォードは自陣からの縦パスを繋いで敵陣まで繋ぐことができる。ロングボール一本というイメージはあるかもしれないが、この日はライン間を繋いで起点を作ることよりオープンな状況を2トップに受け渡すことができていた。この縦に出ていくシャープさにより、ブレントフォードは構えて守る自信が出たことだろう。
ブレントフォードはプレッシングでもブライトンを引っ掛ける成功体験を経験したことで徐々にプレスを強化。これに伴って展開はオープンな状況に。だが、それでも試合は動かず前半はスコアレスでハーフタイムを迎える。
ブライトンはプレスのラインを上げて勝負に出た後半。これに対して、ブレントフォードはコンパクトなライン間の繋ぎからの前進で対抗。リバプール戦と同じく、この辺りはブライトンの守備ブロックのコンパクトさの欠如が目立つこととなっていた。
保持でも解決策が見えないブライトン。特に逆サイドが見えないことが多く、同サイド圧縮が大好物のブレントフォードにとってはこうした狭いスペースをこじ開けようとするブライトンのスタンスはありがたいものだったと言えるだろう。
押し下げたケースにおいてはブロックの外から殴れるスーパーが武器がないブライトン。よって、ブレントフォードが強気なプレスで作り出すオープンな展開はチャンスメイクという観点ではむしろありがたいという感じだろう。
ブライトンは87分に決定機を迎えるが、これを沈めることができず。苦戦が続くブライトンに訪れた千載一遇のチャンスを逃してしまう。同じく強気に出ていったブレントフォードも最後までゴールを生み出すことができず、試合はスコアレスで試合を終えた。
ひとこと
ともにらしさはあったけどもネットを揺らせず。ただ、仕上げのフェーズはクオリティがもう一つという感じだろうか。
試合結果
2024.4.3
プレミアリーグ 第31節
ブレントフォード 0-0 ブライトン
ブレントフォード・コミュニティ・スタジアム
主審:アンディ・マドレー
第32節 アーセナル戦(H)
リベンジを返り討ちにしてリバプールにプレッシャーを
レビューはこちら。
エミレーツでは一方的にアーセナルがペースを握り完勝となった一戦。アメックスではブライトンはリベンジをしたいところだろう。
その強気のスタンスが見られた立ち上がりのブライトン。自陣からのキャリーでアーセナルのプレスを外しながらブライトンはスマートに前進を図る。CHのバレバとグロスを軸に散らしながら前進を図る。ジンチェンコの裏という狙い目があったのも幸運。スピードアップしながらボールを動かしていく。
ミドルプレスで踏ん張っていく非保持も含めてブライトンの立ち上がりは上々。だが、アーセナルもさすが。徐々にペースの立て直しに成功。まずは裏へのパスからブライトンのラインを間延びさせると、中盤のプレスの足埋めに成功。棒立ちのブライトンの守備者に対してアーセナルは自在にライン間と幅を使いながら敵陣に進んでいく。
その甲斐あってアーセナルはPK獲得。左サイドでサイドチェンジを受けたジェズスが仕掛けたところからPKを奪取。このPKをサカが仕留めて先行する。
ブライトンは押し下げられてしまって苦しい展開に。カウンターの威力も下がってしまい、なかなか出力を上げることができなくなっていく。時間の経過と共に試合はアーセナルのペースに流れていく。
後半、ブライトンは高い位置からのプレッシングで圧力をかけていくが、アーセナルは引っ掛けながらも最低限危うい失い方を回避。逆に右に流れるハヴァーツを起点にアーセナルは反撃の機会を掴む。
この右サイドからアーセナルは追加点。サカがインサイドに絞り、エアポケットとなったこのサイドから裏抜けを仕掛けたのはジョルジーニョ。意外性溢れるプレーから抜け出すとハヴァーツへの折り返しで2点目を奪う。
この2点目でアーセナルは試合を鎮静化。リトリートをベースに中央を固めてブライトンの攻撃を跳ね返していく。冨安を入れたタイミングでプレスのラインを上げるなどローブロック一辺倒にならなかったのはさすがである。
アーセナルは強かなカウンターからトロサールが独走に成功して3点目をゲット。かつては本拠地としたスタジアムでゴールを奪い、試合を完全に決定づける。
リベンジに燃えるブライトンを返り討ちにしたアーセナル。シーズンダブルを達成し、翌日に試合を控えるリバプールにプレッシャーをかけた。
ひとこと
アーセナルの強さが存分に感じられる90分だった。
試合結果
2024.4.6
プレミアリーグ 第32節
ブライトン 0-3 アーセナル
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
ARS:33′(PK) サカ, 62′ ハヴァーツ, 86′ トロサール
主審:ジョン・ブルックス
第33節 バーンリー戦(A)
悔いが残るムリッチのミス
共に保持を信条とする両チーム。そんな中でも立ち上がりから保持のスタンスを強く打ち出していたのはホームのバーンリーだった。GKを挟むようにCBが広く開く。その間にMFが降りるアクションを見せてボールを受けにいく。ブライトンはそこまで強気のプレスに出ていくわけではなかったし、CBだけでブライトンのSHと駆け引きできるくらいには広い距離を保っていたので、2列目を動かすことができていた。
というわけでサイドからブライトンの2列目をつっつくことができていたバーンリー。だが、サイドだけでなく中央への縦パスからもチャンスメイク。楔を入れてのコンビネーションから抜け出してあわやという場面を作ることもある。中央でもサイドでも問題なく厚みのある攻撃を作り出したバーンリーだった。
ブライトンはなかなか保持でリズムを作れない立ち上がり。バーンリーの前線からのプレスはそこまで強固ではなかったが、受け手へのチェックがハードだったため、なかなか立ち上がりはリズムを掴むことができず。さらにはエストゥピニャンの負傷など悪い流れが続く。
それでも強引にブライトンは展開を動かす。ウェルベック、ペドロといった面々のポストから前線が一気に攻撃に加速を仕掛ける。ブライトンのこの力技でリズムを掴むと、徐々にポゼッションからの押し上げもできるように。
押し込まれるバーンリーだったが、前半終了間際にもう一度意欲を見せて自分たちの時間を作る。保持の主導権がかなり移り変わる展開だったが、試合はスコアレスでハーフタイムを迎える。
後半、バーンリーは高い位置からのプレスでリズムを掴んでいく。それに対して、ブライトンはカウンターで縦に鋭く立ち向かう勝負。左サイドから抜け出すジョアン・ペドロの存在感が際立った展開である。保持の機会はバーンリーの方が多かったが、チャンスの数はブライトンの方が多そうな展開だった。
バーンリーとしては成功しないハイプレスを延々と仕掛けている状態だったが、74分にその努力は実る。ブラウンヒルが仕掛けたプレスはバレバの雑なバックパスをフェルブルッヘンが処理しきれなかったところを咎めて先制ゴールにつながる。喉から手が出るほど欲しかった先制点を手にする。
だが、バーンリーは信じられないミスでこのリードを失ってしまう。ムリッチがなんでもないところで足元にボールをトラップし損ねてしまい、これがオウンゴールに。ブライトンは全く汗をかかずに同点ゴールをもらうことができた。
共にバックラインでのミスで勝ち試合を引けなかった両チーム。試合は1-1での痛み分けで幕を閉じることとなった。
ひとこと
ムリッチ、やってしまった・・・、
試合結果
2024.4.13
プレミアリーグ 第33節
バーンリー 1-1 ブライトン
ターフ・ムーア
【得点者】
BUR:74′ ブラウンヒル
BHA:79′ ムリッチ(OG)
主審:サイモン・フーパー
第29節 マンチェスター・シティ戦(H)
亜流のマンツーベースを問題なく破壊
ブライトンの対シティ戦といえばマンツー殺法である。ブライトンのシティ相手のマンツー殺法として天敵になるのはエデルソン→ハーランドのライン。だが、この日はハーランドが不在。ブライトンからすれば絶好のマンツー日和という感じである。
しかしながら、ブライトンは少しオーソドックスから外したハイプレスを敢行した。人基準で受け渡しをしているのは確かなのだけども、どこまでもついていく!といういつもの風情とは異なる感じ。マーカーが極端に降りるアクションを見せるとあっさりと離して前線に受け渡してしまう。特にブライトンの中盤と前線でこのマーカーの交換は行われがちであった。
これによってブライトンの陣形はコンパクトに保たれる。例えば、マンツー外しのシティの一手目はベルナルドが最終ラインまで落ちる動きなのが王道だが、ブライトンのこの日の動きを基準に考えるのならば、ベルナルドが動こうと陣形には影響がない。
しかしながら、シティはこれに解決策を早々に見出す。ブライトンからすれば降りて受ける動きは無視しやすいけども、逆に一回ブロックの手前に降りてから中盤に入り込む形は解決策が作りにくいのがこのやり方の欠点である。ブライトンの前線はこの日の基準通り、上がる選手に対してはマークを後方に受け渡すのだけども、後方の選手はすでにマークを持っている場合があると当然受け取ることができない。
この構造に気付いたコバチッチが列上げのアクションを始めると、シティの選手はこぞってこの形を作り出すように。これでシティはブライトンの攻略法に気付いた感があった。デ・ブライネの先制点に繋がったモデルの外し方は単なるミスの感じもあったが、これ以降は構造的に殴られている感が満載となったブライトン。シティはフォーデンの直接FKで早くも2点目を決める。
ブライトンにとってきつかったのは保持での前進ができなかったこと。自陣からのつなぐアクションを行っていくのだが、後ろの陣形が重たい影響でなかなか前に進むことができず。シティのプレスの呼水になった。
シティはこのハイプレスから3点目をゲット。試合をほとんど前半のうちに決めてしまう。
後半も構造は同じ。ブライトンはプレスを強めて強気のスタンスを見せるが、なかなか試合の流れを変えることができない。前線への長いパスを増やすアプローチは行っていたものの、なかなか際どい接触でPKをとってもらえず苦戦が続く。
シティはそうこうしているうちにアルバレスがダメおしの4点目をゲット。少し苦しんでいた本人にとっては大きなゴールになるだろう。
難所と見られたアウェイも難なく攻略したシティ。またしても大量得点で潜在的首位をキープとなった。
ひとこと
ブライトン、ハーランドいないならもっとマンツー殺法よりでも良かった感。
試合結果
2024.4.25
プレミアリーグ 第29節
ブライトン 0-4 マンチェスター・シティ
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
Man City:17′ デ・ブライネ, 26′ 34′ フォーデン, 62′ アルバレス
主審:ジャレット・ジレット
第35節 ボーンマス戦(A)
アタッカー陣のコンディション差がモロに出た
立ち上がりは両チームらしいインテンシティの高いプレッシングの応酬。特にボーンマスの同サイドに固めるアクションに対して大きな展開でプレスを打開するブライトンの大きな展開が目立つ立ち上がりとなった。
ブライトンは非保持に回れば高い位置からボールを奪いにいくアクションを見せていく。ボールを奪うところからWGにボールを預けるところまでは悪くないフィーリングを見せるブライトンだが、そこからのサイドの打開に関してはやや重たさが目立つ展開に。そういう意味ではトランジッションは効いているけども、トランジッションは完結しない!という状況になっていた。
前線のキレという意味ではボーンマスの方が上。鋭い2列目のプレーから攻撃を加速させて敵陣に迫っていく。押し込むフェーズを作ったボーンマスは先制点をゲット。セットプレーからセネシが先制点を奪い、試合を動かす。
先制を許したブライトンは保持からリズムを作っていく形。大外のWG、オファイアがサイドに流れる形から裏をとり、大外から押し下げていく。だが、押し込むフェーズを作ることができても決め手に欠くのが昨今のブライトン。敵陣に迫ることができてもブレイクスルーを得ることができないまま時間が進んでいくことに。
後半はよりアタッキングサードでの出来の差が鮮明になる形になった。良かったのはリードしているボーンマス。左サイドを定点攻撃のターゲットとして狙い撃ち。降りるソランケを基準にクライファートやワッタラが追い越す形を作り、ここからは大外で押し下げることでクロスを狙っていく。
この動きを繰り返すことでボーンマスは決定機を創出。52分にはファーのウナル目掛けてクロスを上げて追加点をゲットする。
一方のブライトンは攻撃の構築に苦戦。アタッキングサードにおける崩しの形を作ることができない。少し急ぎすぎている感があり、焦りがあるのだろう。左右に流れるジョアン・ペドロが頼みの綱となっていた。
優勢のボーンマスはこのブライトンの攻撃を受け止めてカウンターに移行することで主導権を握る。以降も敵のゴールに迫ることができていたのはボーンマスの方だった。
結局、試合の流れは最後まで変わらず。87分にクライファートが3点目を決めて完全に勝負あり。試合は3-0という完勝でボーンマスがブライトンを圧倒する90分となった。
ひとこと
シーズン終盤のコンディションの差がモロに出た試合だった。
試合結果
2024.4.27
プレミアリーグ 第35節
ボーンマス 3-0 ブライトン
ヴァイタリティ・スタジアム
【得点者】
BOU:13′ セネシ, 52′ ウナル, 87′ クライファート
主審:ポール・ティアニー
第36節 アストンビラ戦(H)
後半に生まれた不均衡を生かしたブライトン
互いに保持に心得があるチーム。試合はどちらもこの保持の心得を試されるような一戦となった。
より余裕を持って保持ができたのはホームのブライトン。中盤に守備のスタート位置を設定する4-4-2によって、バックラインは自在にブロックを持つように。後方のビルドアップ隊は3枚が基本。中盤にはギルモアが残り、グロスはビルドアップサポートと前線の飛び出しを行ったり来たりする。
この+1の役割をするグロスがビラにとっては厄介。前線に飛び出すアクションを作り出している。
一方のビラはより厳しいブライトンのプレッシャーに晒されるスタート。それでもマルティネスを使って時間を作り出すと、左サイドからのキャリーで勝負。パウ・トーレスのキャリーやワトキンスの裏抜けからサイドの裏を取ることでギャップを作っていく。
互いのチームの共通点は崩しにおいて裏という安全策がベースになっていること。裏を返せばインサイドに差すことには躊躇いがあるという感じ。クリティカルなところに入れないまま試合は進んでいく。
前半を通じた明確なチャンスはグロスがクリーンに抜け出して1on1を作り出したシーン。だが、これはオルセンがセーブ。試合は0-0のスコアレスでハーフタイムを迎える。
迎えた後半も前半と陸続き。ボールを持ちながらの解決策を探し合うような試合となる。前半との違いは両チームの力関係が均衡でなくなってきたこと。インサイドのジョアン・ペドロに縦パスを入れるなど、徐々に積極的に中央を使うように。内側に起点を作ることで外も少しずつ空くようになる。
ビラはマッギンがペドロについていくようになり、時折バックラインの枚数が増えるように。これにより、SHの重心が徐々に下がっていき、自陣を守る意識が強くなっていく。
よって、後半はブライトンが保持で一方的に押し込む展開に。攻略の軸足となったのは左サイド。ジョアン・ペドロに加えて、アディングラやウェルベックなども背負って時間を作り、抜け出すタイミングを作っていく。こちらのサイドからタメを作ったアディングラが追い越すイゴールにパスを送り、折り返しをグロスが決めるシーンを作るがこれはオフサイド。
しかし、決め手となったのはこの左サイド。アディングラの突撃でPKを獲得し、これが決勝点に。ジョアン・ペドロはPKを止められるが、こぼれ球を落ち着いて押し込んでゴールを奪った。
ファストブレイクに出ていく機会を見出せず、後半は出ていく機会を失ったビラ。ブライトンの攻めに屈し、4位を固めるための勝ち点を積み上げることができなかった。
ひとこと
後半は割と文脈なく不均衡が生まれたなという感じ。
試合結果
2024.5.5
プレミアリーグ 第36節
ブライトン 1-0 アストンビラ
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:87′ ジョアン・ペドロ
主審:ロベルト・ジョーンズ
第37節 ニューカッスル戦(A)
保持ベースの後半は活路を見出せず
欧州カップ戦争いに残り続けているニューカッスル。まだまだやることが残されているシーズンになっている。今節はホームにブライトンを迎えての一戦となった。
保持をベースに押し込んでいくスタートになったのはニューカッスル。序盤に存在感を発揮したのは両SB。インサイドに入り込むリヴラメントと左の大外でファウルを奪取するホールが攻撃で目立つ存在になっていた。
非保持に回ればバックラインには左の大外にアンダーソンが入り5バックを埋めるプランに出たニューカッスル。ゴードンを前に残したのはカウンターでイサクと2人で点を取れるからということだろう。
ブライトンは押し込むところまで持ち込むことができていても、なかなかボックス内に迫る手段を見出すことができず。そんな困ったブライトンはセットプレーから先制点をゲット。ウェブスターがゴールを決めてリードを奪う。
以降はニューカッスルが主導権を握って攻めて行く展開。特に効いていたのは左サイド。ゴードンを軸に追い越すホールがアクセントになり、ブライトンの守備を苦しめ続ける。
瞬間的に保持で切れ味を見出したブライトンだが、前半終了間際にゴールを奪ったのはニューカッスル。左サイドでやり切ったゴードンがゴールの立役者。一度は止まったかと思いきや、縦パスでサイドスイッチを入れてアシストのお膳立てをしたのは見事。得点には直接関与はしていないが、彼の功績は非常に大きい。
後半はニューカッスルの保持ベースで試合は進む。保持から打開策を見つけようと押し込みながら攻め手を探していく。しかしながら、前半ほどのアタッキングサードの切れ味はなし。ブライトンも少しずつ保持からテンポを立て直しているが、こちらも前半同様にボックスに迫るところの手段が見つからない。
ただし、ニューカッスルも明らかに受けに回ると脆い様子を見せてはいたので、押し込むところからミスを誘発できそうな気配までは持って行くことはできていた。
互いに交代選手が入っても流れは変わらず。試合はどちらもスコアを動かすことができないまま終了。互いに痛み分けで終了のホイッスルを迎えることとなった。
ひとこと
同点ゴールのゴードン、ワールドクラス。ぜひEUROで見たい。
試合結果
2024.5.11
プレミアリーグ 第37節
ニューカッスル 1-1 ブライトン
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:45+5′ ロングスタッフ
BHA:18′ フェルトマン
主審:ダレン・イングランド
第34節 チェルシー戦(H)
順調な保持型チームとしての運用
勝てば欧州カップ戦での逆転出場の望みが繋がるチェルシー。ブライトンのホームでの試合という勝つハードルは低くない試合だが、ここはなんとか勝利を手繰り寄せたいところである。
立ち上がりからボールを持つアクションを見せたのはチェルシー。ブライトンのバックスは無理にプレスに行かず、チェルシーのバックラインはゆったりとボールを持つ。ククレジャのインサイドに絞るアクションは今節も継続。インサイドに差し込む動きと大外を迂回する動きを織り交ぜながら前進。今節はムドリクを壁にして、ギャラガーが前を向くという新しいレパートリーも見られた。総じて悪くない保持と言っていいだろう。
ブライトンはカウンターとセットプレーで粘りが求められるチャンスメイク。SHにボールを当ててのポストからの前進を狙っていく。だが、チェルシーのインサイドのブロックはとてもコンパクト。20分過ぎからボールを持てるようになっていたが、なかなか攻め手を見つけることができない。
先制点を奪ったのはチェルシー。左サイドのククレジャの突破からパルマーが合わせてゴールをゲット。前半のうちにリードを奪うことに成功する。
先制したことで一層落ち着いたチェルシーは幅を使いながらの保持を徹底し、安定した試合運びを取り戻す。ポゼッションのためのポゼッションだけではなく、クロスからの決定機もきっちりと演出することができていた。
後半、先に攻め手を見つけたのは追いかけるブライトン。ライン間で反転するエンシソからの加速で一気にゴールに迫っていく。アタッキングサードで狙い目にしていたのは左サイド。両SHをこちらサイドに集めることで攻略を狙っていく。
チェルシーは右サイド側からのひっくり返すカウンターでチャンスを狙いたいが、抜け出したジャクソンのパスが合わずに難航。それでもよりクリーンなチャンスメイクができていたチェルシーはエンクンクのゴールから追加点を奪うことに成功する。
以降はローブロックを組むことに専念したチェルシー。ハーフスペースを埋めるアクションを行うカイセドなどから自陣の低い位置を埋めることを徹底する。ボールを持ちながら解決策を探る必要があるブライトン。後半追加タイムにウェルベックのゴールから1点を返したが反撃はここまで。試合はチェルシーが上位に迫る勝ち点3を確保して幕を閉じた。
ひとこと
チェルシー、順調に組み上がってる感がある。もう少しカウンターの精度を身につければよりいいけども。
試合結果
2024.5.14
プレミアリーグ 第34節
ブライトン 1-2 チェルシー
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
BHA:90+7′ ウェルベック
CHE:34′ パルマー, 64′ エンクンク
主審:マイケル・サリスベリー
第38節 マンチェスター・ユナイテッド戦(H)
ホイルンドが起爆剤となりユナイテッドが最終節を制する
デ・ゼルビのラストゲームとなるブライトン。最終節にホームに迎えるのはFAカップファイナルを控えており、これがまだシーズン最終ゲームではないマンチェスター・ユナイテッドである。
どちらも立ち上がりから自陣からのビルドアップを行っていく両チーム。GKを絡めてのパスワークから相手を引きつけつつ前進を狙っていく。プレッシングという意味でより強気に出たのはブライトン。特に中盤よりも前の選手の降りるアクションに対しては積極的にプレスを仕掛けていく。
それでも降りるアクションからショートパスへのこだわりを捨てないユナイテッド。自陣まで下がるガルナチョやサリーするアムラバトがすんなりフリーになれたのはいつもほどブライトンのマンツーが徹底していなかった証拠だろう。しかしながら、なかなか敵陣に攻め込むための決定的な手段が見つからないユナイテッド。繋ぐことが目的化してしまうというのは今季のチームの傾向でもある。
一方のブライトンはバックスに枚数をかけてのビルドアップ。4バック+2CHの6枚を軸に自陣でのパス交換を行っていく。時折このビルドアップ隊から外れるのは左のSBであるバルコ。大外に立つバルコがユナイテッドの横方向にコンパクトな4-4-2を外から押し下げる存在。ブライトンは外循環から押し下げていく。
ブライトンが優れていたのはインサイドに差し込むアクションを怠らなかったこと。間でスマートに受けるララーナと強引にキープするウェルベックによって起点を作ると、この落としを受けて推進力を得ることができていたのはジョアン・ペドロ。中央からの縦パスで一気に進むスタイルは従来のブライトンらしい形である。
後半もブライトンがグロスを指揮官としてユナイテッドを内外の緩急をつけながら攻略するスタート。大外のモダーの折り返しを使った決定機はユナイテッドがゴールライン上でなんとかクリアして事なきを得る。
ややダイナミック寄りな攻撃が続いていたユナイテッド。その方向性をより強めることになったのはブルーノに代わって登場したホイルンド。ポストや左右に流れるアクションから2列目のシュートチャンスをより多く創出。少ない手数でという展開にあったタスクもホイルンドは注文通りにこなして見せた。
そして、そのホイルンドを活用したところからユナイテッドが先制。ホイルンドの影から出てきたダロトが一発で抜け出してついに試合を動かす。
殊勲のホイルンドはその後もカウンターから自ら追加点を挙げて試合を決める。難しいシーズンとなったユナイテッドだったが、ホイルンドからのギアアップに成功し、シーズン最終節は敵地で完勝を遂げた。
ひとこと
ララーナの交代シーンはかなりグッとくるものがあった。
試合結果
2024.5.19
プレミアリーグ 第38節
ブライトン 0-2 マンチェスター・ユナイテッド
アメリカン・エキスプレス・コミュニティ・スタジアム
【得点者】
Man Utd:73′ ダロト, 88′ ホイルンド
主審:クレイグ・ポーソン