Fixture
プレミアリーグ 第19節
2023.12.28
アーセナル(1位/12勝4分2敗/勝ち点40/得点36 失点16)
×
ウェストハム(6位/9勝3分6敗/勝ち点30/得点31 失点30)
@エミレーツ・スタジアム
戦績
過去の対戦成績
過去5年の対戦でアーセナルの7勝、ウェストハムの2勝、引き分けが2つ。
アーセナルホームでの成績
過去10回の対戦でアーセナルの9勝、ウェストハムの1勝。
Head-to-head from BBC sport
- アーセナルは直近13試合のホームのリーグのウェストハム戦のうち、12試合で勝利。唯一の負けは2015-16シーズンの開幕戦。2-0でウェストハムの勝利。
- ウェストハムはプレミアでのアーセナル戦で35敗。これはリバプール戦に並び特定の対戦相手に対する最多敗戦記録。
スカッド情報
- カイ・ハヴァーツは累積警告による出場停止。
- 冨安健洋、ファビオ・ヴィエイラ、トーマス・パーティ、ユリエン・ティンバーは欠場。
- マンチェスター・ユナイテッド戦を病欠したナイーフ・アゲルドは状況を注視。
- マイケル・アントニオは膝の怪我からの復帰が迫るも、この試合には間に合わない。
Match facts from BBC sport
- 直近14シーズンでクリスマスのテーブルの首位は10回プレミアを制覇している。
- しかしながら、昨季も加えた過去6回の12/25を首位で迎えたシーズンでリーグタイトルを逃している。
- 2022年5月の3-0で敗れたトッテナム戦以降、17試合のロンドンダービーで無敗(W12,D5)
- 直近13試合のホームでの公式戦で無敗(W11,D2)。直近の7試合は勝利しておりこの間の合計スコアは21-2
- ブカヨ・サカはホームでの公式戦での17試合で18ゴールに関与している(11G,7A)
- 勝てばハーフシーズンを33ポイントで迎えることになり、達成すればプレミアでは初めてのこと。
- 直近7試合のリーグ戦で5勝を挙げており、この間の敗戦は5-0で敗れたフラム戦だけ。
- この試合が300試合目のプレミアでのロンドンダービー。
- デイビッド・モイーズは敗れれば239敗目。プレミアリーグで最も多くの敗戦数を記録した指揮官になる。
- モイーズは監督としてアーセナル、リバプール、チェルシー、マンチェスター・ユナイテッドとのプレミアでのアウェイゲーム72試合で一度も勝利したことがない(D21,L51)
- ジャロッド・ボーウェンはゴールを挙げれば初めのハーフシーズンで12得点を記録した初めてのウェストハムの選手となる。
予習
第17節 ウォルバーハンプトン戦
カラバオカップ 準々決勝 リバプール戦
第18節 マンチェスター・ユナイテッド戦
今季ここまでの道のり
予想スタメン
展望
システム維持、キャスト刷新の再構築
前半戦のリーグ戦最後の試合。アーセナルはウェストハムをホームに迎えての一戦に挑む。リーグ戦では今季ここまで唯一の未対戦のチームという位置付けだが、すでに両チームはカラバオカップの4回戦で激突済み。ウェストハムがアーセナルを下して準々決勝に進んでいる。
そのカラバオカップでこそすでに敗退したものの、ELではベスト16へのストレートインを決めており、リーグ戦での順位は昨シーズンよりもはるかに安定している。昨季よりも明らかに欧州カップ戦との並行がうまくいっていると言えるだろう。
今季のウェストハムの大きなチームはライスが抜かれたことによる再構築だろう。グリーリッシュに別れを告げてさらに一段と強くなったアストンビラの描く軌跡がウェストハムにとっての青写真となるはずだ。
そんなシーズンだがモイーズはシステムを大きくイジることをせず、フォーメーションは4-3-3もしくは4-2-3-1と中盤のフォーメーションが相手によって変わるくらい。前年度の仕組みを踏襲している。
中盤は仕組みを変えるのではなく、タレントの入れ替えでの対応に。ウォード=プラウズ、アルバレスという2枚の即戦力をすでに軸として確立していたソーチェクと掛け合わせてトライアングルを形成する。この2人が共にスムーズに定位置を確保できたことはウェストハムの順調なシーズンのスタートに大きく寄与している。
アルバレスは潰し役とボールの散らしの両面で計算ができる存在。ウォード=プラウズは展開力と体を張った守備で勝負をかけることができる。ウォード=プラウズは後方をアルバレスに任せることができる分、今季はエリア内に積極的に飛び込んでの得点も見られる。
そしてウォード=プラウズにおいて飛び道具になるのはセットプレー。PK、FK、CK、直接、間接問わず高精度のプレースキックが飛んでくるというのはプラス以外の何者でもないのは明らかである。中盤のユニットは早々に固まり、チームに安定感をもたらしている。
前線は時を同じくして世代交代を行うことに。長年、ウェストハムの前線に君臨していたアントニオの稼働率が今季はイマイチということで半ば強制的に世代交代を進めなければいけない状態に陥ってしまった。
しかしながら、こちらの戦力の入れ替えは中盤以上にうまくいっている。最も大きいのは右のWGとして定着した新加入のクドゥスだ。今夏のプレミアのベストバイ候補と言えるクドゥスはカウンターの完結力などに裏打ちされるスコアリング能力の高さだけでなく、右サイドからのクロスによるアシストも期待できる万能型。決めてよし、アシストしてよしの彼の存在はウェストハムのカウンターの威力を明らかに一段押し上げている。もちろん守備での貢献度も高く、穴らしい穴は見当たらない。
前線で言えばボーウェンも好調。昨季の後半から復活の機運を告げてコンディションがメキメキと向上。抜け出しからのパンチ力のあるシュートはアントニオ不在の前線において貴重な得点源となっている。
この2人を司令塔的に操るのがパケタ。卓越したキープ力に精度抜群の縦パスとタッチダウンパスで局面を一気に帰ることができる存在だ。直近のウェストハムの5得点は全てパケタがアシストを決めたもの。特にボーウェンとの相性は抜群。昨季よりも明らかにチーム内での存在は増している。
まとめるとウェストハムは大きなスタイル変化をせずにキャストを変えながら彼らの道を進んでいるチーム。実直でシャープなモイーズのウェストハムはライス不在という難局に真っ向から立ち向かっている。
押し込むフェーズを大事にする必要がある
ボールをゆったりと持って手数をかけて攻略するというスタンスはあまり得意ではないが、それ以外の局面においてはどのジャンルも高い水準でこなすのがウェストハムの特徴だ。ローブロック+ロングカウンターのイメージが強いかもしれないが、ウルブス戦ではハイテンポなプレスから主導権を握るなど、少しテイストが違う攻め筋を見せている。
アーセナル目線からするとおそらくウェストハムにボールを持たせてのカウンターというプランはあまり考えないだろう。よって、他の箇所からウェストハムの弱みをつく必要がある。
狙い目になるのはライス不在で足りていない部分である。やはり中盤がカバーできる範囲は以前と同じというわけにはいかない。カバーする範囲が広がってしまうとエラーは発生しやすい。大量失点となったフラム戦は中盤ですれ違ってしまい、あっさりと横断を許してからの失点を喫する場面もあった。
よって、アーセナルからするとウェストハムの中盤を引き出すためのアプローチが必要となる。当たり前と言えば当たり前なのだが、先行すれば楽になるし先制点を与えればしんどくなってしまう。先行してウェストハムがプレスに出て来ざるを得ない展開にしたい。
CBで言えばズマは明らかにコンディションが良さそうなので背走などの難しい対応を強いたい。ちなみにマヴロパノスはまだ大きなミスが目立ってしまい信頼を得るまでには至っていない印象である。
ウェストハムはバックラインまで枚数を合わせてのプレスはまずしてこない。よって、後ろは余裕を持って相手をいなすことができる。後方でのパス回しで相手を動かすという工程をサボらずに行いたいところ。サイドで枚数を合わされると苦しい分、少しずつ後方からのズレでウェストハムの陣形が整うことを妨害していきたい。復帰するのだとしたらトーマスの縦パスを余裕を持って刺すことができるくらいには中盤を動かす動きをしたいところである。
こうした動きはリバプール戦ではできなかったが、それ以前のアーセナルではできている。降りるアクションと上がるアクションをバランスよく散りばめながらウェストハムの中盤を揺さぶっていきたい。
非保持においてはパケタとウォード=プラウズはキーマン。特にパケタのところはカウンターのボールの出所であり、フリーにすると一瞬でピンチに陥ることもしばしば。前を向かせずに最悪ファウルをしてでも止めたいところである。本人はプレーに自信があるのか、ややリスキーな場面でも持とうとするのでここでボールを取る機会を作ることができれば逆にアーセナルにはチャンスになる。
サラーほどではないにせよ、クドゥスとジンチェンコのマッチアップもアーセナルにとっては苦戦が予想される部分。右に流れるのが得意なボーウェンがちょっかいをかけてくるとなると厄介さはリバプールに匹敵する可能性がある。まずはきっちりと押し込んでジンチェンコが晒される機会を減らすことが重要となる。アンフィールドでは実現できずに失点につながってしまった機会を減らすという宿題をウェストハム相手に早速試される機会になる。