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「『ラッシュ』が重要な第一関門」~2023.1.15 プレミアリーグ 第20節 トッテナム×アーセナル プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第20節
2023.1.15
トッテナム(5位/10勝3分5敗/勝ち点33/得点37 失点25)
×
アーセナル(1位/14勝2分1敗/勝ち点44/得点40 失点14)
@トッテナム・ホットスパー・スタジアム

戦績

過去の対戦成績

 過去5年の対戦でトッテナムの5勝、アーセナルの5勝、引き分けが2つ。

トッテナムホームでの対戦成績

 過去10戦でトッテナムの6勝、アーセナルの2勝、引き分けが2つ。

Head-to-head from BBC sport

  • トッテナムはリーグのアーセナル戦で直近17試合で2017年の11月の1試合を除き全てで得点を挙げている。
  • アーセナルは勝てば13-14以降、初めてのトッテナム戦シーズンダブル達成となる。
https://www.bbc.com/sport/football/64201166

スカッド情報

Tottenham

  • デヤン・クルゼフスキは筋肉系の負傷からの復帰が期待される。
  • リシャルリソンとロドリゴ・ベンタンクールはフィットネステスト。ルーカス・モウラは引き続き離脱。

Arsenal

  • FA杯で負傷交代したブカヨ・サカはフィットする見込み。
  • 膝の怪我をしているガブリエル・ジェズスと腿の怪我をしているリース・ネルソンは引き続き欠場。

Match facts from BBC sport

Tottenham

  • 直近4試合のプレミアのホームゲームは1勝3敗。
  • 今季のプレミア37得点のうち、27得点を後半に挙げておりプレミア最多の得点数。
  • しかし、直近13試合の公式戦において前半の得点は11月のリーズ戦の一度だけ。
  • アントニオ・コンテは監督としてのアーセナル戦10試合で2勝しかしていない(D4,L4)
  • ハリー・ケインはジミー・グリーブスの266得点というクラブ記録まであと1ゴール。
  • ケインはウェイン・ルーニーとアラン・シアラーに続くプレミア200得点まであと2ゴール。
  • ケインは直近8試合のリーグ戦でのホームのアーセナル戦で9得点をあげている。
https://www.bbc.com/sport/football/64201166

Arsenal

  • 今季のロンドンダービーはここまで6戦全勝。3つのアウェイゲームは全てクリーンシートでの勝利。
  • 07-08以来のプレミアにおけるロンドンダービー7連勝を狙う。この年はトッテナム相手にダブルを達成している。
  • ウナイ・エメリ政権下の2018年10月以来の公式戦アウェイでの5連勝を狙う。
  • 今季のリーグ戦における8つのクリーンシートのうち、6つはアウェイゲームでのもの。
  • ミケル・アルテタが指揮をとったノースロンドンダービー6試合は3試合のホームゲームで全勝、3試合のアウェイゲームで全敗。
  • エディ・エンケティアは直近5試合の公式戦の出場で5得点を決めている。
https://www.bbc.com/sport/football/64201166

予想スタメン

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展望

離脱者が強いるスタンスの変化

 前回のノースロンドンダービーはアーセナルの完勝で終わった。ポイントとなったのはトッテナムのスタンス。WGをきっちりと自陣まで戻す形でのサイドを手厚くした形のブロックでアーセナルを迎え撃ったが、サイドから押し下げられたところをトーマスのミドルに打ち抜かれ、後手後手に回る展開で苦しむこととなった。

 いわば、ローブロック&ロングカウンターが前回のノースロンドンダービーのメインのスタンスではあったが、彼らの直近の試合運びはこうした傾向とは異なる部分が目立つ。具体的には敵陣から相手を止める意識が高まっている。試合ごとにスタンスはまちまちだが、必ずハイプレスで相手を閉じ込めるトライは90分のどこかでは行うことが多い。

 たいていはハイプレスでの奇襲はうまくいかないのだが、それでもバックラインの設定は比較的高め。先述のノースロンドンダービーのようなローブロック&ロングカウンターとは異なる傾向にあるといえるだろう。バックラインにプレスをかけない時間においても、中央でのボール奪取からミドルゾーンを起点としたカウンターを狙う形が主流である。

 こうしたスタイルの変化は能動的なトライというよりは致し方ない事情によるところが大きいと推察する。具体的にはロングカウンターの機能が怪しくなっているのではないか?という懸念が今のトッテナムにはあるように思える。

 まず、低い位置からボールを運ぶことにおいて、昨シーズンは絶好調だったソンがこの部分でまるで機能しない。相手と正対した時の判断が悪く、降りる動きはことごとく裏目に出てしまう。今季、彼が活躍する場面はカウンターで完全に抜け出した形に限定された状態か、あるいは試合自体が勝敗のプレッシャーから解放された展開であることが多い。

 それ以上に重石になっているのがクルゼフスキの不在だろう。ボールを運ぶ部分でソンより明らかに貢献度の高い彼がスカッドから外れていることはトッテナムがボールを奪う位置をより高く設定せざるを得ない要因になっているように思える。

 低い位置から早い攻撃についていけるベンタンクールの不在も大きい。スキップは抜け出すことはできるが、ボールコントロールに難があり、繊細なプレーが要求されるアタッキングサードではまだ物足りなさが残る。ビスマはより司令塔寄りでそもそも異なるタイプ。早い攻撃で貢献できないのは仕方ないかもしれないが、保持でブレーキになっており、前評判ほどの実績を残せていないのは別方面の気がかりである。

 こうした主力の不在がトッテナムに重くのしかかり、うまくいくかは怪しくても高い位置から止めにいかなくてはいけないというスタンスにつながっているように思う。バックラインも負荷の高いハイラインに苦しんではいるが、今のところはロメロが出れた試合に置いてはなんとか高い位置から奪うという目的を維持し続けることが出来ている。

 今季のトッテナムの序盤戦の好調の要因の1つとなったのは押し込むフェーズを以前ほど苦にしなかったこと。ただ、押し込んでからの攻撃もクルゼフスキの不在は重くのしかかることになる。定点攻撃においては今のトッテナムは非常に右サイドに偏っており、このサイドでラインを上下動させることができればチャンスを作ることが期待できる。

 最もこの働きが期待できるコンビは現状のスカッドではクルゼフスキとドハーティ。クルゼフスキの不在時はブライアン・ヒルがこのサイドを務めた。年明けのクリスタル・パレス戦ではこの2人の連携が大量得点の導火線になった感があるが、やはりクルゼフスキがいるときに比べると安定感にかける部分があるのは否めないだろう。

 ここまで見てきたようにトッテナムはここまでプランの核となる選手の離脱により、試行錯誤を余儀なくされた感がある。よって、今回の対戦でポイントになるのはクルゼフスキ、ベンタンクールをはじめとする負傷者がどのような状態でどれだけ復帰できるか。こちらのサイト(プレミアの怪我人を調べるのはここがいいよ)によると、現状ではクルゼフスキ、ベンタンクール、リシャルリソン、ビスマの4人にノースロンドンダービーでの復帰の可能性がある。彼らがどれだけ戻ってこれる次第でトッテナムがどのように振る舞えるかの幅は決まってくるだろう。

 前回のノースロンドンダービーでは自分を押し殺した感のあるコンテのトッテナム。ただ、直近の振る舞いは得点を取るためにできることから積み上げていく姿勢の方がやや強めである。首位を迎え撃つ形になるノースロンドンダービーにおいて、どこからチームを組んでいくか。また、組むための選手がどれだけ帰ってくるか。コンテのプランの力点とスカッドの充実度がトッテナムの出方を決めるだろう。

ラッシュは狙い目にもなる

 トッテナム側に不確定要素が多いノースロンドンダービーだが、ここからはアーセナル目線で考えていく。まず、トッテナムがハイプレスで来た場合、おそらくアーセナルはショートパス主体のポゼッションで彼らのプレスを無効化できる公算は十分にあるといえる。この部分はトッテナムがフルスカッドで襲い掛かってきた場合でも、アーセナルの保持が今まで水準であるならば優位は見込める。なので、ハイプレスを外し続ける局面が続くことになれば、かなりの確率でアーセナルのペースに持ち込めているといえるだろう。

 トッテナムの最終ラインではやはりロメロが1枚安定感で抜けている。勝負を仕掛けるならば、彼を背負う形で直接デュエルを挑まない方がより勝算は上がる。ラインコントロールに難があるタンガンガ、フィジカル面でやや弱さがあるラングレあたりは積極的に狙いたいところ。保持において上がってくるWBの背後はアーセナルにとってCBと勝負する格好の場所になるはずだ。またトッテナムのカウンターを遅らせるという意味でもきっちりトッテナムの最終ラインに下がりながら対応させることは重要と言えるだろう。

 トッテナムの攻撃において最もケアしなければいけないのは当然ケインである。組み立てにおいては彼にボールが入って、どれだけ素早くサイドまで展開できるかでトッテナムの攻撃の精度は変わると言っても過言ではない。ケインからスタートする攻撃をどれだけケアできるかはいつだったノースロンドンダービーのキーポイントになっている。

 それに加えて、直近の傾向で気をつけたいのは右サイドを軸に放たれるロングボールである。高い位置をとるドハーティをめがけて蹴られるロングボールには警戒をしたいところ。対面はおそらくジンチェンコだろうが、この部分では後手を踏む可能性が高い。パレス戦で効いていたこの振る舞いをアーセナル戦で応用する可能性はある。

 右サイドの連携はトッテナムのアタッキングサードにおける警戒ポイント。クルゼフスキのカットインはニューカッスル戦でアルミロンに対応したようにジャカの戻りが間に合えばなんとかなるだろう。ただ、エンドライン側への侵入もクルゼフスキはうまい。純粋な対面の相手を抜くのはアルミロンの方が上だろうが、相手との間合いを作りインサイドの味方を使う部分がクルゼフスキの優れている部分。相手の注意を外に向けた後のエリア内、バイタル、そして対角のWBへのクロスはいずれもトッテナムの得点パターンになる。

 よって、仮にクルゼフスキが出てきた場合は中に入られないように締め出しながら対応したいところ。逆に左サイドではシンプルにデュエルで負けないことを目標に守っていきたい。

 もう1つ、トッテナムの直近の試合の特徴は後半の頭にピークを持ってくるケースが多いことである。ハーフタイム明けに出力のピークを持ってきて、そこを境に畳み掛けられるか否かで試合の成否が決まるパターンがある。

 アーセナルが警戒したいのは前半を優位に進めながらもスコアレスで終わる展開。同じテンションで臨んだところで返り討ちに遭うパターンも想定できる。逆に、この後半頭のラッシュはトッテナムも後方にスペースを空けながら勝負に出る展開になりやすく、彼らサイドにもミスが出やすい時間帯になっている。ロリス、ダイアーなどのミスでこの時間帯にあっさりと失点をする例もある。この時間帯にやり返せれば、一気に彼らの士気をへし折ることも可能だ。

 要はトッテナムがリードしていない限りはどこかで撃ち合いに出てくる時間帯はあるはず。スコアが動いていないまたはトッテナムがビハインドの状況で前半を終えれば、それが後半頭である可能性があるということである。

 トッテナムがこの時間帯に勝負をかける理由は単純で、この時間以降は交代が実質不在の前線のガソリンがなくなってしまうから。よってこれもリソースが足りない故の縛りである可能性もある。アーセナルも交代枠のバリエーションの少なさは課題だが、ニューカッスル戦では終盤に再度押し込むことができたという成功体験はある。

 トッテナムのラッシュにどのように立ち向かうか、そしてそのラッシュを超えた後にもう一山を作れるか否か。それが内弁慶のノースロンドンダービーにおいて敵地を制圧するためのポイントである。優勝争いを意識するならば、ここは第一関門。宿敵を倒し、優勝候補の有力チームであるという証明をしたいところだ。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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