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「Catch up Premier League」~2023.2.3 プレミアリーグ 第22節 チェルシー×フラム ハイライト

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新生チェルシーに立ちはだかるフラムのバック4

 リーグ戦では不振を極めるが、冬の移籍市場で大暴れ。間違いなくピッチ外での欧州サッカーの主役は今チェルシーと言っていいだろう。対する相手は敵地で不覚をとったフラム。後半戦のリスタートには絶好の相手だろう。

 どちらのチームも守備側は4-2-3-1がベースでアンカーを受け渡しながら守る形。よって、そこまで前からのプレッシャーが強い形でのスタートとはならなかった。まずは、保持側がこの状況にどのようにトライするかが問われる立ち上がりとなった。

 チェルシーの保持はエンソをアンカー的に置く4-3-3がベースとなっていた。いつも言っているのだけど、一般的にアンカーは1人で前を向くべきポジションではない。この日のように受け渡しでマークがズレるのならば尚更である。

 前半のチェルシーは周りがアンカーを助ける挙動が比較的できていた。チアゴ・シウバはロングボールを蹴り、バディアシルは持ち上がりからの配球で存在感を発揮。そうなれば、フラムはCBを完全に放っておくのは難しい。IHのマウントとギャラガーが降りてボールを受けるのも、エンソがフリーで受けるための手助けになっていた。

 アタッキングサードにおいては右サイドが主役。全てが順調に運んでいれば今日ロンドンにはいないはずのツィエクを軸に、ギャラガーとジェームズが絡んでいく形。ただし、ジェームズはまだコンディション的に途上と言えるだろう。

 ツィエクを起用する際はファーへのクロスは鉄板だが、ムドリクの抜け出しと噛み合わせるアイデアは面白かった。逆にいうと、ムドリクはそれ以外の形ではなかなか攻撃に絡めなかった。特にスピードがある割にはカウンター時に前を走れていないのは、彼の持ち味を考えると大きな減点ポイントになる。ネックになっているのはポジトラの強度の部分か、守備で下がり過ぎてしまう部分かあるいは両方か。いずれにしても今後解決していく必要があるだろう。

 チェルシーのカウンターはリンク役となるマウントがスムーズさを欠き、フィニッシャー役となるハフェルツは精度が足りず、十分に相手に脅威を当てる形を連発できたとは言い難い。フラムは中盤のプレスバックが早く、ここで引っかかってしまうケースが多いのと、抜けてもマウントのところで詰まってしまう感があり、なかなかいい形が作れなかった。単発で決定機はあったが、物足りなさが先に来るのは確かだろう。

 フラムのバックラインはチェルシーのカウンターの選択肢をきっちりと潰すことができていた。チェルシーはまだカウンターから複数の選択肢を突きつけるような形を作れていないので、一択となる選択肢をフラムがわかってても止められないところに作るか、相手のミス待ちかのどちらかになる。となると決定機の量産は難しい。

 フラムの保持もバックラインからのボールの持ち運びでうまく相手を外すことができていた。急ぎ過ぎてしまうと、中央でエンソを軸とした網に引っかかってしまうが、サイドからキャリーできれば押し下げることができる。チェルシーとは異なり、ターゲットマンがいるフラムは大外からのクロスでOK。とはいえ、チェルシーも両CBを軸にクロスを堅実に跳ね返すことができていた。

 チャンスの少ない前半が終わり、後半も堅実な展開は続く。フラムはミドルブロックからボールを引っ掛けてカウンターを発動するが、チェルシーもプレスの強度を上げながら対応していく。

 チェルシーはHTに投入したマドゥエケが左サイドに登場。これに伴いククレジャはインサイドに絞りながら大外で1on1を作ることを優先するポジションをとる。大外の1on1であれば、現状ムドリクよりもマドゥエケということなのだろう。

 ククレジャがインサイドに絞るアイデアは個人的には悪くなかったと思う。中央をプロテクトする形はカウンターの予防策になるし、2列目が降りて受けることを好む選手が多いフラムに対しては割と効果は高い。

 フラムもきっちり中央を固めるチェルシーに対抗して、サイドから裏を取り直すなどカウンター時の工夫は十分。カウンターはチェルシーよりもスムーズさはあったし、プレスに出ていく余力も十分。フラムは後半も正面からチェルシーと向かい合うことができた。

 更なるチェルシーの交代が攻撃を活性させたかどうかは怪しい。カウンターの先導役になっていたフォファナはともかく、スターリングの投入によるサイド攻撃のバランス再構築にはやや手を焼いたように見える。前半は司令塔的に振る舞っていたエンソも2トップ色の強い前線の構成や前への意識が高まるギャラガー(これはこれで効いていた)の助けを得られなくなり、なかなか保持で存在感を発揮できなくなる。

 試合はスコアレスドローで終了。押し下げた先の解決策が見えなかったチェルシー。大型補強明けの一戦を勝利で飾ることはできなかった。

ひとこと

 チェルシーに注目が集まる試合だろうが、フラムがタフな相手だったのは見逃せない。特にバック4の出来はスーパーでチェルシーのチャンスの芽を早い段階で積んでいた。チェルシーは兆しはあるが時間は必要。整理と構築を両方やらなければいけないポッターは重労働である。出場停止明けのジョアン・フェリックスには十分に見せ場を与えるチャンスは出てきそうだ。

試合結果

2023.2.3
プレミアリーグ 第22節
チェルシー 0-0 フラム
スタンフォード・ブリッジ
主審:スチュアート・アットウェル

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