■選ばせるポゼッションでポルトを一蹴
試合はリバプールの保持の時間を中心に進む。アレクサンダー=アーノルドを欠いたリバプールはミルナーを右のSBに起用。彼と2人のCBを最終ラインに残し、左のSBであるロバートソンを上げる形で変形。ポルトの4-4-2に対してズレを作る。
ポルトの守備はオーソドックスな4-4-2ではあるが、昨年見た時に比べると極端な潰しの要素はやや減少している印象。それよりもポルトのSHがリバプールの選手に引っ張られるように低い位置を取るのが特徴的で、CHとSHのスペースが空いてしまう場面が多かった。
リバプールの保持はこのギャップを突くことで前進。SHが後退すればハーフスペースが空くし、絞れば大外が空く。相手に選択肢を先に選ばせることで、取らなかった選択肢の方から前進。保持のやり直しからファビーニョのサイドチェンジも織り交ぜたリバプールはポゼッションだけではなく、主導権も握った状態で試合を進める。
リバプールのお得意のパターンはサイドのトライアングル。特に内外が目まぐるしく入れ替わる右サイドの三角形は相手からすると止めにくい。サラー、ミルナー、ヘンダーソンの三角形はこの日の連携が十分。アレクサンダー=アーノルドのクロスという飛び道具の武器こそないが、サイドにおいてもポジションを入れ替えながらポルト陣内に迫る。
先制点のきっかけになったのは左サイドに流れるカーティス・ジョーンズ。カットインからのミドルで先制点を誘発。大外で浮くところから侵入、フィニッシュ(決まらなかったけど)まで見事な流れだった。2点目はファビーニョのサイドチェンジから。がっちり保持の局面での崩しが機能する2得点で試合は早々にリバプールのモノに。
ポルトはロングボール主体での前進。SHが絞りながら受けるやり方はCFがつぶれてSHに前を向かせることさえできれば！という意図は感じられたものの、頼みの綱であるルイス・ディアスはリバプールの右サイドの前に沈黙。コパ・アメリカで見せたようなアナーキーなドリブルで敵陣を切り裂くことはできなかった。
後半はカウンターを増やし、攻撃のリズムを上げるリバプール。展開が早くなったことでポルトの陣形に間延びが増え、中央からも前進できるようになるリバプール。ギリギリの対応が増えるポルトを徐々に追いつめると、カウンターをやり返す形でジョーンズ→サラーの流れで追加点。これで完全に試合を決める。
その後も得点を重ねるリバプールは大量5得点。タレミに競り合いで敗れ、クリーンシートの達成をつぶしてしまったゴメスと自身なしで保持で押し切る形で見せることができてしまったチアゴを除けば、誰もが満足な大量得点での勝利となった。
試合結果
2021.9.28
UEFAチャンピオンズリーグ
Group B 第2節
ポルト 1-5 リバプール
エスタディオ・ドラゴン
【得点者】
POR:75‘ タレミ
LIV:18’ 60‘ サラー, 45’ マネ, 77‘ 81’ フィルミーノ
主審:セルゲイ・カラセフ