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「Catch up Serie A」~2023.1.24 セリエA 第19節 ラツィオ×ミラン ハイライト

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確実性が段違い

 中東で開催されたイタリアスーパーカップではインテルに完敗。リスタートを志すミランはいきなりラツィオというCL出場権のライバルの本拠地に乗り込むことになる。

 互いにスタートは非常に慎重なものだった。そこまでバックラインにはプレッシャーをかけず、様子を見ながら保持を進めていく。

 時間の経過とともにボール保持の時間を増やしたのはミランの方だった。バックラインは横にパスを動かしながらどこに解決策があるかを探っていく。しかしながらラツィオの中盤は強固。ミランに前進のきっかけを与えない。

 ラツィオの守備の対応はやや左右がアシンメトリー。左サイドのザッカーニは高い位置から相手の守備をチェイスする傾向があったが、右サイドのペドロは低い位置まで下がりながら同サイドに合わせた動きは行う。右サイドで前からのプレッシングのヘルプの意識が強かったのはIHのミリンコビッチ=サビッチの方だった。

 ラツィオのサイドの対応はミランがボールを横に振っている時にはすでに完了していることが多く、ミランはバックラインの横移動だけでラツィオの守備ブロックに穴を空けることができない。苦し紛れに蹴る長いボールや裏へのボールは全てラツィオのバックラインに跳ね返されてしまい、ミランの攻撃はそこでストップする。

 希望の光となったのはWGが正対した時くらいだろう。バックラインからの対角のパスで、レオンとメシアスのいずれかにボールが入った時は少々可能性を感じるが、それ以外はラツィオの守備ブロックによってミランの攻撃は完全に見切られていた。

 一方のラツィオはミランの守備の弱みを確実についてきた。機会こそ多くはないが、一度一度のゴールに向かっていく確実性はミランとは段違い。それがこの試合においてラツィオがミランに大量の得点を挙げることが出来た理由である。

 先制点の場面はフェリペ・アンデルソンの降りる動きでカルルを釣りだすと、そのカルルが空けた背後のスペースに突撃。ニアのカバーに意識が行ったトモリをあざ笑うかのようにミリンコビッチ=サビッチが先制ゴールを決めて見せた。

 基本的にはDFの守備対応に負荷がかかっている割には対応のミスが多く、収支が合っていないのがミランの守備の現状である。中盤のフィルター性能が低いところ、ボールの失い方が悪いところがそうしたバックラインの負荷を軽減できない要因となっている。

 もう1つ、ミランのCBを苦しめているのはトランジッションにおけるSBの背後である。前後だけでなく、横方向にもCBは気を配らなくてはいけないのだから、相当守備における負荷は高いといえるだろう。ラツィオの2点目は右サイドの裏を取ったところからだった。

 2点のビハインドで迎えた後半、ミランはボール保持をしながら再びラツィオの守備ブロックの穴を探していく。しかしながら、なかなか解決策は見当たらずに苦戦。前半よりは人をかけたサイドから押し込む頻度は増えたが、クリティカルな部分に侵入できないという点では前半とはあまり大きな差はないといえるだろう。

 ミランは保持で大きな差を見せる前に、ラツィオに決定的な3失点目を献上。ケアーの安直なパスミスから右サイドをカウンターで突破されると、最後はカルルがエリア内でPKを与える。両CBの頭を抱えたくなる対応で、後半の反撃ムードは完全に鎮火してしまう。

 4失点目も同じくミランの右サイドをラツィオが完全に破壊する形。サイドに流れた守備者が次々と剥がされていく様はミラニスタにとっては悪夢のような光景だったはずだ。

 結局、試合は4-0という大差で終了。落ち着いて相手を刺し続けたラツィオがCL出場権争いのライバルから勝ち点3を奪い取って見せた。

ひとこと

 ラツィオの完成度の高い守備ブロックと保持での相手の動かし方は非常に強度と精度を兼ね備えた美しいもの。この日のミランを内容でも完全に上回った。

試合結果

2023.1.24
セリエA 第19節
ラツィオ 4-0 ミラン
スタディオ・オリンピコ
【得点者】
LAZ:4′ ミリンコビッチ=サビッチ, 38′ ザッカーニ, 67′(PK) ルイス・アルベルト, 75′ アンデルソン
主審:マルコ・ディ・ベッロ

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