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「Catch up J1 League」~2023.7.2 J1 第19節 横浜F・マリノス×湘南ベルマーレ ハイライト

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かぶってしまった得意分野

 横浜FMにとっては次節の天王山を控えての神奈川ダービーという重要な位置づけの一戦。湘南にとっては未勝利が続く中での首位との対峙にエースのラストゲームといういくつもの要素が絡まりあう一戦である。

 湘南はこの試合に向けてきっちりと覚悟を決めているように見えた。強度充分のロングボールの応酬。奪ったら素早く前線に。特に左サイドを裏抜けする大橋を軸に仕掛けていくスタンスだった。

 横浜FMもこれに応戦。縦に早い攻撃で対抗することで湘南が仕掛けてきた土俵に乗っかる。もっとも彼らの得意パターンの一つなので、喜んで対抗するという感じだろうか。開始直後の上島が激突したシーンなどはこの試合の激しさを感じられるものだった。

 この立ち上がりの両チームのスタンス通り、この試合はさしずめ高速カウンター対決といったところだろうか。湘南に比べると中盤でボールを落ち着かせるスキルがある横浜FMが全くその気を見せなかったことで、ゲームは縦への上下動が頻繁に繰り返される展開に。特に藤田の強気な縦パスへのスタンスが光った序盤となった。

 先制点は横浜FM。湘南の左サイドの裏抜けをひっくり返す形で右サイドから縦へと進撃。ミドルプレスを脱出すると左サイドに展開し、最後はエウベルのカットインで浮いた松原がミドルシュートを沈めた。

 ゴールを奪ったことで勢いがついた横浜FM。湘南のバックラインからのキャリーに対して、さらにプレッシャーを強めていく。速いテンポでプレーすることで挑んできた相手に対して、さらに速いテンポを促すようなアプローチはなかなかに鬼である。左サイドの低い位置で湘南が詰まらせたのを見逃さず、ボムグンのパスミスから2点目をゲットする。

 わずか10分であっという間に2点差をつけた横浜FM。湘南は早い段階でFWに預けるアプローチを継続していくが、手数がかかってしまうとなかなかシュートまでは持ち込めず。かといってクリーンに抜け出したままシュートまでいくというのは十分な機会を担保できないという状態であった。

 得点の期待値が高かったのは横浜FMの方だろう。前4人さえいればどうとでもなる陣容でカウンターを連発できるのは恵まれている状況ではあった。ただ、湘南からしても横浜FMの雑な縦パスをカットしてからのカウンター返しが最もスムーズにゴール前まで行けていたので、速いテンポをやめるわけにはいかなかったということなのだろう。

 ファストブレイクが最重要という風潮は後半も継続。速いカウンターの撃ち合いからゴールを狙っていく形を互いに続ける流れとなった。

 先に結果を出したのはまたしても横浜FM。4人のアタッカーを後ろから押し上げる形でボールを前に運んだ渡辺が後方支援すると、最後はアンデルソン・ロペス。後半早々に試合の行方を決定づける。

 試合の流れが決まっても湘南はランアンドガンのスタンスをやめるつもりはなし。横浜FMにはさらなる追加点が入ってもおかしくはなかったが、この日はエウベルのドリブル後のプレーの精度がやや割引だったところに救われた感じがした。

 70分を過ぎると試合はスローダウン。徐々に幅を使ってボールを動かしていくスタンスが見えるように。特にリードしていたマリノスは山根の投入を境にその傾向が強くみられるようになった。

 サイドを破る方向にシフトした展開で先に結果を出したのは湘南。右サイドを破り、小池裕太のPK献上を誘発。ラストゲームとなった町野に得点を挙げるチャンスを手にして見せた。

 ただし、2点差に縮んだスコアはあっという間に3点差に逆戻りする。舘のミスを咎める形でカウンターを発動し、最後は植中がゴール。湘南の反撃の気持ちをきっちりへし折って見せた。

 ファストブレイク原理主義のような戦いを見せた神奈川ダービーは横浜FMの完勝。湘南はエースの門出を勝利で飾ることができなかった。

ひとこと

 難しい時期を迎えているチームが強いチームと相対した時に、相手の長所を抑えることよりも、自分たちがのびのびプレーできることを優先したプランを組むのには個人的には納得感がある。が、湘南が得意な領域は横浜FMがさらに得意とくればこういう結果も致し方ないだろう。

試合結果

2023.7.2
J1 第19節
横浜F・マリノス 4-1 湘南ベルマーレ
日産スタジアム
【得点者】
横浜FM:5′ 松原健, 10′ 51′ アンデルソン・ロペス, 77′ 植中朝日
湘南:75′(PK) 町野修斗
主審:中村太

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