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「Catch up FIFA World Cup Qatar 2022 Asia qualifiers」~カタールW杯 アジア最終予選 グループB 第5節 オーストラリア×サウジアラビア~ 2021.11.11

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■3位を意識した手打ち

 日本がぼやぼやしている間に首位争いの主導権は取りこぼさないオーストラリアとサウジアラビアの2チームにゆだねられた感がある。日本を置いていくためにも負けられない両チームの一戦となる。

 試合は立ち上がりから緊張感のある内容だった。共に守備陣は高いラインを敷くが、むやみに高い位置からプレスをかけ続けるのではなく、相手を追い込みながら選択肢を狭めていくような前線のプレスを行っていた。

 このプレスの効き目がよりあったのはオーストラリアの保持の局面。オーストラリアのPA脇まで横幅を取って広がるCB2人とGKの3人のフラットなラインでのビルドアップやその先の選手たちがサウジアラビアの4-4ブロックにつかまっており、なかなか前進のしどころを見つけられない。加えて、オーストラリアは右サイドのセインズベリーを使ったボール循環はあまり行わないことで、大きく横幅を使う形も行われないため、前進のルートも限定的だった。

 その分、ビルドアップの人数調整に幅を持たせていたのはサウジアラビアの方。噛み合っている4-4-2の中でサリーでズレを作り、サイドから押し上げる3-2-5系の変形を実施。アフロでおなじみのアッシャラハーニーが不在でも左サイドからSB主体の攻撃を実施。SBのアッドーサリーを軸に、左サイドから押し上げる形で前進する。

 しかし、攻撃の面でうまくいっていたのはむしろオーストラリアの方。フルスティッチの大きな展開からメイビルの縦への展開や逆サイドのボイルまでのサイドチェンジなどプレスを脱出し、攻め切る形はいい感じ。ロジカルに前進が出来ていたのはサウジアラビアの方だけど、前進が出来てからゴール前に届かせるところまではオーストラリアの方。

 どちらかといえば展開にあったのはオーストラリアの方。早い展開が刺さり、敵陣のゴール前まで運べるシーンが徐々に増えるように。サウジアラビアはゴール前まで運ぶ馬力に欠けていた印象だった。ただ、オーストラリアはクリティカルな前進を連発できるわけではないので、サウジアラビアは前半の終盤はあえてオーストラリアにボールを譲ることで攻撃の威力を抑えていたように思う。スピードがなければ怖さはやや割引である。

 後半はさらにオーストラリアに流れが傾く。クリティカルな前進が無理ならよりダイレクトに!ということで、ワイドに張ったWGの裏へのパスを増やし、速い展開から前進するように。押し込んでからはタワー型のFWにクロスを放り込んで折り返しを狙うという流れでゴールにかなり近いところまで迫る。

 サウジアラビアは苦しみながらも痛がり祭りでオーストラリアを激怒させつつ、試合の流れをぶつ切りにするなどでこの展開を耐え忍ぶ。

 オーストラリアが仕留められないまま時間が過ぎると、70分を過ぎたところで試合はようやくサウジペースに流れる。ボールを取り返しにいくオーストラリアのプレスが効かない時間帯に突入し、サウジアラビアのショートパスな前進が目立つようになった。間延びをして受けるとバックラインの機動力に難があるので、プレスが空転しながら受ける形はオーストラリアにとって恐怖。

 しかし、サウジアラビアも強引に仕留めるまでは行けず。まぁ、彼らにとっては引き分けも悪くないのだろう。勝ちを目指していなかったわけではもちろんないのだけど、終盤に意地でも相手を置いていく!というよりはここらで手打ちするか!という感じも正直あった。もちろん、その手打ちの原因は彼らより低い勝ち点で迷える日本の存在があるからこそである。

試合結果
2021.11.11
カタールW杯アジア最終予選 第5節
オーストラリア 0-0 サウジアラビア
ウェスタン・シドニー・スタジアム
主審:コ・ヒョンジン

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