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「一貫性で突き抜けろ」~2023.5.20 プレミアリーグ 第37節 ノッティンガム・フォレスト×アーセナル プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第37節
2023.5.20
ノッティンガム・フォレスト(16位/8勝10分18敗/勝ち点34/得点36 失点67)
×
アーセナル(2位/25勝6分5敗/勝ち点81/得点83 失点42)
@ザ・シティ・グラウンド

戦績

過去の対戦成績

 過去10回の対戦でフォレストの4勝、アーセナルの6勝。

フォレストホームでの対戦成績

 過去10戦でフォレストの4勝、アーセナルの5勝、引き分けが1つ。

Head-to-head from BBC sport

Head-to-head
  • 11回のプレミアでの対戦におけるフォレストのアーセナル戦唯一の勝利は1996年の12月のザ・シティ・グラウンドのゲーム。89分にアルフ=インゲ・ハーランドの決勝点で勝利を挙げている(D3,L7)
  • しかし、直近2試合のフォレストのホームゲームはいずれもアーセナルの勝利。どちらもFA杯3回戦での対戦で2018年の4-2と昨年の1-0。
  • アーセナルはザ・シティ・グラウンドでの最後の試合は1999年1月。マーティン・キーオンが唯一の得点者。

スカッド情報

Nottingham Forest
  • 軽傷で2試合欠場しているエマニュエル・デニスには復帰の可能性。
  • グスタボ・スカルヴァはふくらはぎの負傷中だが、ハムストリングを痛めたダニーロはフィットする予定。
Arsenal
  • 足首を負傷しているガブリエル・マルティネッリとふくらはぎを負傷しているオレクサンドル・ジンチェンコはシーズン残り2試合を欠場。
  • ウィリアム・サリバ、冨安健洋、モハメド・エルネニーは長期離脱中。

Match facts from BBC sport

Nottingham Forest
  • 直近4試合で勝ち点7をとっており、それ以前の13試合と同じ勝ち点。
  • 今季の18試合のホームゲームのうち、12試合で先制点を奪っている。
  • 2月5日のリーズ戦以来、15試合のリーグ戦でクリーンシートがなく、12試合では複数失点。
  • セルジュ・オーリエは100試合のプレミア出場にリーチ。
  • タイウォ・アウォニィは直近2試合のプレミアで4得点。初めの23試合のプレミア出場と同じ得点数を挙げている。
  • 1995年4月のブライアン・ロイ以来、アウォニィはプレミア3試合連続の複数点を挙げた初めての選手になる可能性。
Arsenal
  • 19試合の序盤のリーグ戦で7ポイントしか落としていなかったが、それ以降の17試合で20ポイントを落とした(W9,D4,L4)
  • 26勝は01-02,03-04に樹立したクラブレコードに並んでいる。
  • 今季の公式戦100得点まであと2得点。
  • アーロン・ラムズデールが記録したアウェイでの11試合のクリーンシートはペトル・チェフ(04-05)とエデルソン(18-19)と並ぶ最多記録。
  • マルティン・ウーデゴールはアウェイで9つのゴールを挙げており、14得点を挙げているエイリング・ハーランドとハリー・ケインについで多い得点。

予習

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予想スタメン

展望

前後分断を受け入れたクーパー

 ブライトン戦の敗戦を受けて、事実上アーセナルの優勝ルートはほぼ閉ざされてしまったといっていいだろう。得失点差を踏まえれば残り3試合でシティの勝ち点が1以下にならない限りはチャンスが回ってこないことになる。これはあまり現実的な展望ではないだろう。

 そんなアーセナルの今の状況に比べれば、まだまだ自力でできることがあるのが今節の相手のノッティンガム・フォレスト。残留という目標にラストスパートをかけている状況である。

 フォレストの話をする前にこの試合の立ち位置を整理しておこう。前提としてこの試合の勝利でフォレストの残留が決まることはない。ただし、勝ち点を取ることができればこの節での残留が決まる可能性はある。

 フォレストより後に試合をするレスターとリーズがフォレストより今節得る勝ち点が少なければ、その時点で残留は決定。仮にアーセナルにフォレストが勝てば、レスターの結果は関係なく、日曜にウェストハム戦でリーズが勝ち点を落とした段階で残留が決まることとなる。

 つまり、ザ・シティ・グラウンドでのアーセナル戦がフォレストの祝勝会場にはなることはないということである(訂正:直前のエバートン戦の結果次第ではフォレストは残留が決まる可能性あり)。ただし、フォレストが勝てば宴自体は遠く離れたマンチェスターの地で催されることになるだろう。アーセナルが敗れればその時点でシティの優勝は確定することとなる。

 さて、この試合をめぐる状況が整理できたことでフォレストのスタイルの話に移ろう。今季は開幕から低迷続き。クーパーには今季一番初めの監督交代がふりかかる可能性すら状態だった。

 しかし、クーパーの首が危ういという報道に逆らうようにフォレストは契約延長を発表。監督交代が節操なく行われる今季のプレミアにおいてはフォレストの舵取りは異端なものといえるだろう。もっとも、ボトムハーフの中で監督交代をしていないのがウェストハムとフォレストだけというプレミアリーグが異常ともいえるが。

 フォレストは監督を入れ替えなかった代わりに、選手はこれでもか!というほど入れ替えた。夏にリーグ記録となる数の補強を行ったにもかかわらず、冬にも戦力を拡充。やたら選手を抱えた状態で残留争いを行っている。クオリティやケミストリーはともかく、それなりに負傷者が出てもスカッドを回すのにはあまり苦労はしていなさそうだった。

 前半戦を見る限り、フォレストはスカッドの特徴とスタイルの乖離に苦しんでいる様子だった。SBは軒並み攻撃的なメンバーがそろっているが、彼らが攻めあがるために時間を稼ぐタイプの前線がおらず、彼らの性能を生かせない。かつ、相手の攻撃にさらされる場面は多いため、やたらと苦手分野ばかりやらされる状態だった。

 ライン間のギブス=ホワイトや裏抜けに特化したジョンソンは攻撃性能こそ十分だが、押し上げが効くタイプではない。が、得点パターンを考えると彼らの存在は絶対的。W杯以降右肩下がりとなる成績を前に、クーパーが出した結論は前後分断を受け入れることだった。

 割り切ったローラインから直線的なワイドの抜け出しを生かして、一気にロングカウンターというパターンに特化。最終ラインにはフェリペを入れて強度を高めることでSBの対人強度の弱さを補填する。

 ギブス=ホワイト、ジョンソンに加えてアウォニィが復帰すれば攻撃のパターンは確立。板についたロングカウンターは得点パターンとして定着するようになった。ここ数試合では余裕が出てきたのか再びバックラインからつなぐスタイルを行う気配もちらほら。このあたりのバランスはその日の状況を見てみないとわからないのが正直なところだ。

勇気を持って押し上げたい右サイド

 フォレストの守り方の特徴はトップが横幅を狭く守ること。2トップだろうと3トップだろうとサイドではなく中央に人を集める形で守っている。よって、外は空いてしまうことが多い。

 アーセナルはジンチェンコの負傷に伴ってSBが外に開くべきか、内側に立つべきか論争が繰り広げられている感がある。相手によって変えればいいやんけ派の自分としてはフォレストがこの原則を守る限りは開いて外からボールを運ぶ形に素直に従ったほうがいい。なお、サウサンプトン戦ではフォレストはWGが開いて守っていたのでそうなれば、インサイドに入り込む駆け引きもありだ。

 サイドからボールを運ぶスキームが安定すれば、アーセナルは後方の選手が無理なく敵陣に入ることができる。両WGはサポートに事欠かないだろう。フォレストはプレスがきつくなることが少ないチームなので、左利きのキヴィオルが右サイドのCBで先発することになっても勇気をもって開くポジションを取り、右サイドを押し上げたいところである。マルティネッリの起用が不透明であるのならば、きっちり右サイドの攻撃パターンを確立したい。

 フォレストがベタ引きになり、腰を据えた5-3-2攻略になったとしてもアーセナルとしてはそこまで困らないだろう。ブロック守備の堅さに泣かされたのはブレントフォード戦くらいのものであり、押し込んだ相手に攻めあぐねるケースはそこまで多くない。

 ただし、むやみに先制点を安売りしてしまうのであれば話は変わってくる。簡単に相手にリードを許したことで、試合をフラットに戻すのに苦労した展開は後半戦で何回も見てきた。

 先制点のケアをするために押さえておきたいのは中盤のダニーロ。アーセナルにも移籍のうわさがあったブラジル人は加入直後こそ守備の軽さが目立っていたが、徐々にトランジッションからの攻撃参加で存在感を発揮。ドリブルで敵陣に侵入したり、長いレンジのパスでのチャンスメイクをしたりなどカウンターにおいてアクセントになっている。

 ボックス内のアウォニィと中盤のダニーロのめどが立った分、ジョンソンやギブス=ホワイトが何もかもをする必要はなくなった感じが今のフォレストにはある。彼らは仕上げの一歩手前に集中できる状態だ。

 ただ、アーセナルのブライトン戦のプレッシングや即時奪回を見る限り、同じクオリティを出せばカウンターの目を摘むのには困らないと予想する。ひどいスコアや後半の粘り腰の弱さに目が行きがちだが、前半は悪くなかった試合だ。

 高い位置で相手を食い止めてそのまま波状攻撃に転じる。今季を席巻してきたアーセナルらしいスタイルでフォレストを押し込むイメージは十分につく。選手を大幅に入れ替えることでサバイバルに挑んでいるチームに、積み上げた末にたどり着いた一貫性で突き抜ける試合を見せたいところだ。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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