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「胸を張って味スタに向かう」~2022.11.5 J1 第34節 FC東京×川崎フロンターレ プレビュー

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第34節
2022.11.5
FC東京(6位/14勝7分12敗/勝ち点49/得点44/失点40)
×
川崎フロンターレ(2位/19勝6分8敗/勝ち点63/得点62/失点40)
@味の素スタジアム

戦績

近年の対戦成績

 直近5年間でFC東京の2勝、川崎の7勝、引き分けが1つ。

FC東京ホームでの戦績

 直近5年間でFC東京の2勝、川崎の8勝。

Head-to-head

<Head-to-head>
・最終節での対戦はこのカード史上初めて。
・リーグ戦では川崎が直近6連勝中。このカードにおける歴代最長記録。
・味スタのFC東京戦においても、川崎は現在5連勝中。
・直近10試合の味スタでのリーグ戦でのクラシコは両軍合わせて33得点を挙げており、等々力開催での同じデータ(16得点)の倍以上。

 川崎にとって、FC東京は近年最も相性の良いチームの1つ。クラシコは川崎の6連勝であり、史上初めての最終節開催となる今年もこの傾向が続くのかは要注目である。

 味スタにおいても川崎優位の構図は変わらない。等々力と味スタで傾向が最も違うのはトータルスコア。ロースコア決着になることが多い等々力クラシコに対して、味スタクラシコはド派手な撃ち合いになることが多い。最終節もハラハラドキドキの撃ち合いが繰り広げられるのだろうか。

スカッド情報

【FC東京】

・バングーナガンデ佳史扶は累積警告による出場停止。
・ディエゴ・オリベイラは股関節の治療のため帰国。
・青木拓矢は右腓腹筋筋挫傷で離脱中。
・エンリケ・トレヴィザンは左肩脱臼で帰国中。

【川崎フロンターレ】

・負傷離脱していたレアンドロ・ダミアンは練習復帰。

予想スタメン

Match facts

【FC東京】

<FC東京のMatch facts>
・敗れれば2017年以来初めて勝ち点50を下回る。
・しかし、勝利すれば1ステージ制回帰後2番目に高い4位フィニッシュの可能性がある。
・敗れれば6月以来のリーグ戦連敗。
・ホーム最終節は直近3年無敗だが、最後に敗れた2018年のホーム最終節の相手は川崎。
・リードを得たリーグ戦では15戦14勝を挙げており、リーグ最高勝率。
・アダイウトンは途中出場から5得点。大迫勇也に次いで途中出場から得点を決めている。

 敗れれば2017年以来初めての勝ち点50を下回ることになるFC東京。しかし、勝てば1ステージ制回帰後に2番目にいい順位となる4位の可能性も残されている。それだけ、2022年はリーグ全体の勝ち点の水準が低いということの裏返しだろう。

 リーグ戦では連敗が少なく、敗れれば6月以来4ヶ月ぶりの連敗となる。ホーム最終節は近年相性はいいが、最後に敗れた相手は川崎である。

 リーグ戦ではリードからの逃げ切りに定評があり、15回奪ったリードで14勝。今季一度リードを奪った状態からは負けたことがないチームである。切り札になるのはアダイウトン。大迫に次いで得点が多いスーパーサブは試合の流れを一変させうる貴重なゲームチェンジャーだ。

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch facts>
・勝てば今季三度目のリーグ戦4連勝。
・直近10試合のリーグ戦はホームで全勝、アウェイで未勝利。
・直近14試合の公式戦で全て先制している。
・鬼木監督就任以降、リーグ戦最終節では5戦無敗(W4,D1)
・家長昭博は神戸戦のゴールで12得点を決めており、キャリアハイを達成。
・味スタのFC東京戦ではレアンドロ・ダミアンが2年連続得点中。

 勝てば今季リーグ最多タイに並ぶ4連勝で川崎はシーズンを締めくくることになる。この記録を達成するために乗り越えないといけないのは、後半戦に苦戦したアウェイゲームだ。直近10試合で1勝。先制してなお追いつかれたり逆転勝ちされなりなど苦しい戦績が続いている。

 最終節自体の相性は十分良さそう。神戸戦のPKでリーグ戦の得点数がキャリアハイとなった家長はもちろん、味スタと相性がいいダミアンが仮に間に合えば、優勝に向けて大きな後押しになるはずだ。

予習

第30節 京都戦

第31節 鹿島戦

第32節 湘南戦

第25節 C大阪戦

第33節 名古屋戦

展望

■得意なポゼッションを実現する懸念

 川崎に今季最後に立ちはだかる相手は川向こうの隣人。アルベル率いるFC東京である。タイトル争いに年間を通してほとんど絡めなかったという点は寂しいかもしれないが、最終節の成績によってはここ数年のFC東京の中でも上位で終わるチャンスがあるという状態なのが今年のアルベル東京の最終着地点。就任初年度の結果としては悪くないものに思える。

 FC東京のボール保持はバックラインからのショートパスが主体。CBをはじめとしてバックラインが距離をとりながら組み立てを行なっていく。

 最も得意とするパターンはサイドにボールを出してから、中央を経由して逆サイドに展開する形である。攻撃の出口として計算されるのは左SBであるバングーナガンデのところ。というわけで理想的には右のSBからボールを出し、バングーナガンテがオーバーラップのできる時間を稼ぎながら中央を横断する形を作る。サイドチェンジを使いながら敵陣に迫ることができれば、中盤全体を押し上げられるため、PAにより厚みのある形で入り込むことができる。

 この理想を実現するにおいてFC東京には懸念がある。まずは初手であるSBにボールをつける過程までのスピードだ。理想としては相手の1stプレスラインの背後に入り込んだSBにボールを送りたいところ。

 しかし、GKのスウォビィクはフィードに特徴があるわけではなく、SBにボールが届く段階ですでに守備側のスライドが完了している場合がある。こうなると、FC東京は手詰まりに。U字ポゼッションをしながら行うことになる。

 IHがビルドアップ脱出において手助けしにくいのも難点だ。降りてきたりなど協力する姿勢は見せているが、特にサイドにヘルプに行く意識が強いせいで味方のマークを引き連れてきてしまいより窮屈になってしまう。特に安部はこの動きが多い傾向にある。

 もう一つの懸念は大きな展開を使えるバックラインの選手がいないこと。一発でサイドチェンジをすることができる選手がいれば、その選手がフリーになった際に逆サイドへのフィードでプレスから脱出ができる。それができないからこそ、サイドを変える際には中盤の経由点を用いる形での展開をする必要がある。さらには攻撃の出口となるバングーナガンデの出場停止も痛手になる。

 ただ、FC東京はこのSB→SBの展開が使えないとまるっきり死んでしまう!というチームではない。バックラインからのフィードで前線の一発の抜け出しも健在。渡邊、オリベイラなどが斜めのランから後方のフィードを引き出す形で一気に前進することもある。

 中央にいる選手に縦パスを刺す形もあり。レアンドロはスペースがあれば反転ができて、自らボールを運ぶことができる。オリベイラは背負ってよし、抜けてよしという万能型だが今回は不在。フェリピも背負うことはできるが、できることの幅という観点ではオリベイラ不在は大きな痛手になるだろう。ただし、フェリピのポストプレーが機能すれば動き回れるIHやWGがいるため、十分攻撃の加速のきっかけにはなるだろう。

 FC東京は色々と前進の武器になる要素はあるが、今はバックラインからのショートパスを重視している感が強い。この辺りは今現在の実効性よりも、来季以降を見据えた方向性を強く打ち出している部分かもしれない。

 非保持においては1トップに入る選手がCB2人を見る形。プレス隊のヘルプに来るのは左WGの外国籍選手が多い。アダイウトンの場合は相手を捕まえに行く意識が強いが、レアンドロの場合はカウンターに転じた際の攻め残りの意味合いが強いようにも見える。逆サイドのWGに入る渡邊は低い位置までリトリートして下がる守備を行うことが多い。

 中盤はきっちり枚数を合わせて人を捕まえにいく。強度はさすがで簡単に相手を離さない強みがある。バックラインは縦への潰しに強く行けるようになった。FC東京のCBはこれまではPA内を守る!という印象が強かったのだが、今季のFC東京は高いラインまで出て行って潰しに行くことができるようになった。C大阪戦はこのバックラインの潰しからリズムを作った印象だ。

 ただし、横のカバー範囲についてはやや気掛かりなところ。湘南戦の町野の得点シーンではサイドに流れた森重がいとも簡単に剥がされてしまっていた。特にサイドでスピード勝負に持ち込まれた時は分が悪いように思う。

 そして、最後方に構えるのはスウォビィク。ゴールマウスに立ちはだかることで存在感を示すタイプの守護神で、シュートストップに関してはリーグでも最強クラスと言っていいだろう。川崎としてはGKを乗せる前に決着をつけたいところだが。

■FC東京の保持の青写真を打ち砕けるか

 まず、この試合の論点としてあげられるのはFC東京のSB→SBへの大きな展開が効くかどうかである。川崎のハイプレスはWGの外切りが起点になることはよく知られているが、この際にWGの背後のSBを使われてしまうパターンは脱出の王道になる。

 ここに川崎のIHを引っ張り出し、密度が下がった中央を経由して逆サイドに展開し、押し下げられるという流れは川崎のハイプレス回避の鉄板である。この形は先に述べたようにFC東京の得意なボールの動かし方である。思い通りに動かすことができれば、FC東京は川崎の攻略法をすでに身につけていることになる。

 しかしながら、川崎はIHを脇坂と橘田に固定したことで、WGの背後をケアするスピードは格段に上がっている。盤面上は空いている川崎のWGの背後のスペースは素早くボールを動かされなければ穴にはならず、むしろ袋小路にFC東京を追い込む可能性もある。FC東京が思う通りに動かすのか、川崎が移動のスピードでFC東京を封じるのか。ここが主導権を大きく左右するポイントになる。サイドに流して、シミッチの山を越えることができればFC東京は保持で優位に立つことになる。

 敵陣に侵入したFC東京はサイドを何回も変えるやり直しをしないチームであり、アタッキングサードに入ると基本的には直線的に進んでいく。マイナスのパスからのミドルはあるが、同サイドの奥を取るような攻略はそこまで得意ではない。逆サイドのWGは張ってサイドチェンジに備えるよりは、エリアに入ってクロスに対応していく。特に渡邊は逆サイドのSBを狙い撃ちして競り合いができる。川崎のSBが要警戒すべき人物だ。

 川崎の保持においては前残りになりがちなFC東京のSHの背後を狙っていきたいところ。山根のところからFC東京の中盤もしくはSBを引っ張り出していきたい。

 攻め上がりの多いFC東京のSBのスペースはカウンター時も狙っていきたいところ。ここにCBを吊り出すことができれば、PA内の攻略はだいぶ楽になる。トランジッションにおいては積極的に狙っていきたい局面だ。ちなみにSBは今季は右が長友、左が中村で起用されることが多いらしいが、W杯直前ということで今回は左に長友で予想をしてみた。

 川崎からすると中央への縦パスをどこまで当てるかは悩みどころ。中盤はFC東京のIHに捕まっているだろうし、バックラインも強気のラインアップをしてくるはず。小林のフィーリングが上々とはいえリスクはあるだろう。中央に当てた際に怖いのはカウンター。全体を押し上げられないうちに強引な縦パスからロストしてしまうと、ここから一気にFC東京のカウンターを喰らう危険性がある。

 終盤に気をつけたいのは起爆剤になるアダイウトン。2人がかりで止めにかかるのがシンプルにいい気がする。あまり周りの空いたスペースを有効に使えるタイプではないので、まずはボールを止めること。独力で完結するルートを複数人で消して突っ掛けるように誘導していきたいところだ。

 紺野もハマれば怖い。右サイドを主戦場にヌルヌル抜けるようなドリブルはアダイウトンと異なるジョーカーとして強力。川崎はサイドの手当てのタイミングは見誤りたくない。

 総じて小細工はしてこない真っ向勝負をしてくるのが今のFC東京。クラシコという舞台も手伝って最終節に相応しい正面衝突が見られるように思う。1週間の休養に実質フルメンバーの川崎としては願ってもない舞台装置だ。最終節まで優勝争いを演じたことに胸を張りながら、味スタ制圧にチャレンジしたい。

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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