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「首位ですよ!!もう終わろう!!」〜勝手にプレミア定点観測22−23 序盤戦報告 part2~

目次

【11位】リーズ

2勝2分2敗/勝ち点9/得点10 失点10

■アバウトさを許容できるバンフォードのプレータイムが命運を握る

 昨シーズン、最終節にハリソンのゴールで劇的な残留を果たしたリーズ。興奮冷めやらぬシーズンの後に待っていたのは、主力の入れ替えによる陣容の再編成だった。

 まず目についたのは売りである。バルサ、チェルシー、アーセナルの三つ巴による今夏最大のメロドラマを演出したラフィーニャと、すんなりシティが買っていったフィリップスの両名を放出。最もこの2人の放出オペレーションはある程度今夏のプランとして織り込み済みだったと言えるだろう。ラフィーニャには降格時のバイアウト条項があったという話もあり、残留によって移籍金が多額になったことをリーズは喜んでいるはずだ。

 主力の放出を覚悟していたことを裏付けるのが速やかな新戦力の獲得だ。アーロンソン、アダムス、ロカとブンデス、レッドブル系、アメリカ人に集中。全員が全部の項目に当てはまるわけではないが、なんとなく獲得の方針は見えてくるような気もする。

 そして、この3人が新生リーズを牽引。ロカとアダムスは開幕戦からスタメンをコンビで守り続ける形でフィット。ボール循環と中盤のプロテクトという両面でもはや不可欠な存在になっている。

 右のWGとトップ下を半々でプレーしているアーロンソンもフィットには時間が掛からなかった。ライン間でボールを受けて、自らが反転し爆発的な加速力からドリブルを開始する。狭いスペースで反転する能力や加速力を活かした陣地回復などすでにリーズにとっては不可欠な存在に。ラフィーニャとはタイプは違うが、彼もまたそう遠くない未来にメガクラブに旅立っていても不思議ではない。

 新戦力を活かしたエネルギッシュな戦い方を行うにおいて、求められる部分はボール奪取である。その部分ではCFにバンフォードは不可欠。プレスの追い込み方が抜群な彼がいるといないとではハイプレスの追い込みかたの精度は全然別物になる。

 保持においてもアバウトなロングボールを収められるのは貴重。他の武器は割と精度勝負なリーズの中で唯一アバウトさを許容できるバンフォードが前線にいればチームとしての幅は広がる。彼のプレータイムをどこまで確保できるかは大きなポイントになるだろう。

 今季ここまでの戦い方をみていると、チェルシーを撃破した時のようにツボにハマった時の破壊力はすでに証明済み。その一方でバックラインの強度には不安があることも露呈している。そのためにはできるだけ前線でのプレスである程度制限をかけたいところ。波がありそうなスカッドではあるが、今季は残留争いに無縁のシーズンを送りたいところだ。

Pick up player:ブレンデン・アーロンソン
 若手有望株かと思いきや、即座にフィットしてチームを牽引したのは驚きである。ライン間で反転したい選手は割と簡単に潰されてしまいがちなプレミアで早々に持ち味を出しているのは頼もしい。順調に成長を続ければ、W杯では同組のイングランド国民の悩みの種となってもおかしくはない。

ここまでのハイライト

【12位】ボーンマス

2勝2分3敗/勝ち点8/得点6 失点19

■スカッド不足は否めないが粘り腰は脅威

 今季の解任レース、第1号となったのはボーンマス。スコット・パーカーの単勝とパーカーとトゥヘルの馬連をお買い求めのお客様は窓口で払い戻しをお忘れなきよう。

 解任直前の試合の相手はリバプールだった。今夏のリバプールの溜まりに溜まった鬱憤を全て受けてしまったのかような展開で積み上がった失点は9。結果だけ見れば今季負けているのはシティ、アーセナル、リバプール相手であり、恨むならばパーカーよりも日程の方が先やろがい!という気もしないでもない。仮に9失点がアカン!ということならば、何失点までは許されたのかは気になるところではある。

 それはそれとして、この解任劇においてパーカーが100%悲劇のヒーローだったかと言われるとそういうわけでもない。確かに負けた相手は強豪ばかりですでにシーズン初勝利を果たしているといえば、情状酌量の余地はありそうではある。だが、ムーアへの長いボールに頼った陣地回復にどこまで未来があるか?と言われると、パーカーを弁護する側も閉口してしまう部分もあるだろう。

 ただし、そもそも苦しい状況であることは踏まえる必要がある。昇格組で比較してもプレミア経験者や有力株を連れてきたフラムやド派手な20人補強をかましたフォレストとは異なり、上積みは限定的。誰が監督になってもある程度苦しい部分は変わらないだろう。

 実際、暫定監督を据えても大幅なスタイルの変更はない。バックラインから横パスを繋ぎながら相手を引き込みつつ、ロングボールを蹴っ飛ばしていく。ターゲットはムーアからビリングに変わったが、やっていることはほぼ同じ。右サイドから斜めのパスをビリングやソランケに入れて、逆サイドでオーバーラップしてくるゼムラに合わせるのが鉄板ではあるが、これが繰り出される機会は1試合に何度もあるわけではない。

 それでも、オニールは選手たちをチームにコミットさせている。ニューカッスル戦のようにやや早い段階で5バックにシフトしても我慢できる忍耐をチームは見せているし、フォレスト戦では0-2のビハインドから3得点を決めての逆転勝利を果たした。流れに乗って粘ることができるチームではあるのだ。

 戦力的には厳しいシーズンになるだろう。それでも依然ビッグ6以外には負けなしというのも事実である。相手の思い通りに行かない試合を増やしながら、粘り強く勝ち点を積み重ねていきたいところである。

Pick up player:ネト
 劣勢に陥りやすいチームはやはり守護神に浮沈がかかっている。レノ、ヘンダーソンというプレミア経験組もさすがだが、ネトもなかなか負けていない。あまりストッパーのイメージはなかったが、すでにチームを救い勝ち点をもたらす試合も。奮起が期待されるシーズンになるだろう。

ここまでのハイライト

【13位】エバートン

1勝4分2敗/勝ち点7/得点5 失点6

■CFの活用方法は?

 7試合目で今季初勝利といえば苦しんでいるようにも聞こえるし、5試合連続負けなし継続中といえば割と健闘しているようにも聞こえる。このどちらも今季のエバートンに関するスタッツである。ちなみに自分は負けなしは勝ち数<引き分け数になった時点で調子のよさのバロメーターとしては信用しない派である。

 エバートンは昨シーズン終盤のチェルシー戦で粘り勝って以降、採用している5-4-1を継続している。補強を見ても3バック慣れしているコーディの獲得をしており、3バックを継続していく意志を感じる。バックラインに負傷者が続出しても何とかなっているのは中央に君臨するコーディの存在が大きい。

 プレッシングは基本的にはローラインでブロックを組むのが主体。バックラインには高さもあることもあり、失点は非常に少ない。GKのピックフォードを含めてローラインに耐えられる強度を持っている。

 前線の選手たちはロングカウンターが得意。ゴードンやグレイは深い位置まで持ち込んでいくことができるため、陣地回復のポテンシャルは十分にある。チャンスを量産とまではいかないが、反撃の体制は出来ている。

 こういう状況のチームでひときわ輝きを放っているのがイウォビ。昨シーズンの後半戦から好調を維持している。以前はやや球離れの悪さが気になっていたが、その部分も大幅に改善。スピードが必要なカウンターにおいても速度を落とさないままチャンスメイクすることができる。守備においても最終ライン前のプロテクトをきっちりこなし、文字通りチームの中心として躍動している。

 バックラインの負傷者以外にスカッドで気になるところといえばCFの不在だろう。ロンドンを信用できないんだろうなとはいえ、ゴードンのCF起用は個人的には厳しいものがあるように思う。得点を重ねられないのは撤退守備を崩せるメカニズムが現状では欠けているから。撤退守備に対してのプランはハイクロスが中心だし、DCLの復帰は待たれるし、モペイへの期待は大きい。それにしてもハイクロスを上げられるマクニールとターゲットになるロンドンを絶対セットで使わないランパードには何か意味があるのだろうか。

 展開次第でプレスをかけざるを得なくなった時の間延び感も悪い意味で気になる。全員が全員ドゥクレだと思ってる?ってくらいCHに負荷をかけまくるやり方は少し厳しいものがあるだろう。試合を動かさざるを得ない状況はあまり得意ではない。

 5-4-1でソリッドにというのも悪くはないのだけど、もう少し能動的に動きやすいプランも欲しいところなのが本音ではある。残留争いの心配をしない位置をキープすることが優先とはいえ、チャレンジングな引き出しも個人的には見てみたいところだ。今やっている4-3-3はそういう意味で面白い試みと言えるだろう。

Pick up player:ジョーダン・ピックフォード
 ここまでのコンスタントな安定感や必要不可欠感でいえば圧倒的にイウォビなのだが、マージ―サイドダービーのピックフォードが圧倒的過ぎたから選ばざるを得なかったぜ。

ここまでのハイライト

【14位】サウサンプトン

2勝1分4敗/勝ち点7/得点7 失点11

■ポテンシャルは十分、チーム作りはまだ途上

 目を見張るのは新戦力のヒットである。昨年もリヴラメントとブロヤというチェルシー欲張りセットで補強を当てたが、今年の目玉はシティの下部組織出身のラビア。10代とは思えない完成度で中盤に君臨し、長年の功労者であるロメウからさっさとレギュラーを奪い取ってしまう。

開幕戦のトッテナム戦ではいきなりスタメンで出場するとチーム最多のパス本数と高いデュエル成功率を記録。負傷離脱以降はチームのパフォーマンスが落ちてしまったのも逆説的に彼の存在感の高さを証明しているといえるだろう。チェルシー戦では衝撃のミドルで同点ゴールを奪って見せた。

 センターラインの新加入組でいえばGKのバズヌとCBのベラ=コチャプもヒット。特にボーフムからやってきたベラ=コチャプは縦横共に広いカバー範囲が必要となるサウサンプトンのバックラインの要件を満たしておりプレミアの水にも即順応。開幕からハイパフォーマンスでチームを引っ張っている。

 センターラインはCFのアダムスも好調、安定のウォード=プラウズと成長株のサリスとかなりポテンシャルを感じる陣容ではある。

 そんな中で成績が伸びないのはややアタッキングサードにおける練度不足を感じるからだろうか。局面の打開はやや個人のデュエルの成否に依存している感じがあり、相手をずらしたりするアクションはそこまで多くはない。打開力のあるジェネポなどが封じられるとかなり厳しくなる。新戦力が多い分、連携面では未知数の部分が多いことも影響しているかもしれない。

 加えて、まだバックラインは若いため安定感には欠ける。苦しい試合で守り切ってしのぐなどの粘り強さを持っているチームではないのは勝ち点が伸び悩んでいる一因といえるだろう。

 そういう意味ではサウサンプトンはまだこれからのチームといえる。若い選手を国内外から多く取ってきたスカッドは将来性も十分。序盤戦で序列を確定させつつ、深さを作ることができれば後半戦はさらに存在感をアップさせて台風の目になる可能性も十分にある。

Pick up player:チェ・アダムス
 悪くはないけど器用貧乏な感が否めなかったアダムスだが、今季のパフォーマンスはつなぎもフィニッシュも底上げされている印象。ポストで前進の手助けをする頻度の増加や、、レスター戦での途中交代からの2得点などプロセスでもゴールでも例年以上にチームに貢献している印象だ

ここまでのハイライト

【15位】アストンビラ

2勝1分4敗/勝ち点7/得点6 失点10

■潮目が変わった王者相手の勝ち点1

 序盤数試合の出来でいえばリーグワーストといってよかっただろう。昇格組のボーンマスにロングボールだらけの泥試合に引き込まれてセットプレー2発に沈んだ開幕戦から流れは全くつかめなかった。

 続くエバートン戦ではなんとか勝利を挙げたが、クリスタル・パレスとアーセナルには明らかなチームの完成度の違いを見せつけられたし、ウェストハムには今季初勝利をプレゼント。初勝利を挙げた後も流れに乗ることができない。

 はっきりといってしまえば昨シーズンからの上積みを感じないのが問題だろう。後方からのボール運び、アタッキングサードでの崩し、そしてプレッシングとまるで新しい要素がなく、アンカーにカマラが入った以外は昨シーズンが続いているかのようなパフォーマンスだった。

 移籍の目玉だったジエゴ・カルロスとカマラが続々と離脱するのは不運極まりない。特にジエゴ・カルロスの長期離脱はさすがに気の毒ではあったが、キャプテンを剥奪して序列が下がったことを内外に知らせたミングスがいきなりフル稼働しだしたのにはなんか笑ってしまった。

 ただ、今のチームはミングスがいた方が機能するように思う。結局、このビラは左から作って右で仕留める形がメインになるので、左サイドの深い位置に正確なフィードを打ち込めるミングスの存在は大きい。守備で不安定な部分はあるが、左サイドからの攻撃が機能しなければ何も起きないので、そういう意味では彼の出番が増えてやや持ち直した感もあった。

 転機になったのはシティ戦の引き分け。王者からなんとか粘りで勝ち点を奪い取ると、次節のサウサンプトン戦では今季ベストのパフォーマンスを披露。先制点を押し込んで以降は何があっても中盤を越えさせない!!という気迫でサウサンプトンを封じ込めていた。この日のパフォーマンスが安定して出せればなかなかタフなチームになるはずである。ただ、そうした安定感をチームとして身に付けられたかどうかの判断はまだ先にすべきである。

 王者をホームでストップしたことから徐々に勢いは取り戻せている。後は上々気流に乗れるかどうか。序盤戦の出遅れを少しでも早く取り戻したいところだが。

Pick up player:フィリぺ・コウチーニョ
 加入当初の輝きがしりすぼみになった昨シーズンを経て、今季は割と守備にも走るようになった感がある。まだ目に見える目覚ましい結果は出てはいないが、何かを変えようと奮闘しているようには見えるので、どこまで行けるのかを見守りたい存在。

ここまでのハイライト

【16位】クリスタル・パレス

1勝3分2敗/勝ち点6/得点7 失点9

■保持の局面増加によるギアチェンジができるか

 中盤のドゥクレは開幕戦からスタメンに定着し、早くも当たり補強の香りがプンプンする。長期離脱を経てエゼも完全復活し、ザハと共に絶好調。CBコンビは共に残留し、手堅い守備からロングカウンターでエゼとザハにお任せ!という必殺の武器は今季も切れ味が抜群だ。

 ただ、なんか勝てない。日程面の厳しさはある。開幕戦のアーセナル、そして第2節のリバプール(ヌニェスの序盤戦が台無しになったのはアンデルセンの功績である)、第4節のマンチェスター・シティなどやたら厳しい相手が続く序盤戦だった。

   そのほかの相手もニューカッスルにブレントフォードとめんどくさいチームばかり。中止がなければこれにマンチェスター・ユナイテッドとブライトンが加わるはずだったのだから日程に文句の1つも言いたくなるだろう。

 アストンビラ戦の完勝劇を見る限り、基本的には力のあるチームといえる。センターラインは強固になったし、サイドをきっちりクローズしながらロングカウンターを打つことができる好チームである。個人のパフォーマンスも先に述べたように好調な選手が多い。

 強いていえばセットプレーの弱さは気になるところ。このチームはヴィエラ就任前からセットプレーでの失点がやたらと多すぎる。ソリッドなブロックとロングカウンターを軸にするチームならば、セットプレーはある程度の耐性がないと失点を完全に回避するのは難しいだろう。パレスの気になるところといえばこのスタイルと弱点のアンバランスさである。この部分が改善されればせめてもう1勝は出来ていたように思うのだが。

 再開直後のチェルシー戦を越えることができれば、ここからワールドカップまでは比較的与しやすい相手が続くのは好材料といえる。必然的に保持が増えると思うが、そうした際にアストンビラ戦のような支配力がある形で相手に差を見せつけることができるだろうか。スタイルのギアチェンジで中位以下の相手に勝ち点を稼げるかがここから年末までのテーマになるはずだ。

Pick up player:ジョーダン・アイェウ
 プレミア最強の守備的WG。前に出て行くプレスだけでなく、後ろを気にしながらスペースを埋めるのも得意といういぶし銀の働きができるベテラン。何を考えているかわからない表情と、必要とあれば容赦なく相手を止めるコンタクトの不気味さから勝手にプレミア界の竹中直人だと思ってる。

ここまでのハイライト

【17位】ウォルバーハンプトン

1勝3分3敗/勝ち点7/得点3 失点7

■前線とバックラインの層の薄さをカバーできるか

 去年はアーセナルと共に仲良く開幕3連敗でスタートダッシュに失敗したウルブス。去年は仲間だったアーセナルは今季スタートダッシュに成功したが、ウルブスは昨シーズンと同じく序盤は出遅れるシーズンになってしまった。

   シーズン2年目となったブルーノ・ラージは保持に力を入れる4-3-3に着手。昨シーズンまでの3バックとは異なる形で今シーズンに挑んでいる。

   アンカーに入っているネベスは展開力もあるし、左右のウイングは大外から勝負できる力を十分に持っている。後方からボールを運べるキルマンや、ライン間でボールを受けて前進できるポデンス、大外から攻撃に厚みをもたらすことができるアイト=ヌーリもいる。安定したポゼッションと得点ができるチームとしては必要な要素はある程度揃っていると思う。

 しかし、このチームは交代選手のカードが少なく、60分までに試合を決めないとガス欠になって得点は望めなくなるという弱点がある。明確なCFを起用していないという問題点を持っているチームには60分で試合を決着させる爆発力はない。

    特に開幕数節はその傾向が顕著だった。ヒメネスはコンディションが悪いのかなかなか出番はもらえず、復帰したトラオレもなかなか信頼を得るに至っていないことを考えれば、エネルギー不足は当然だ。ロングボールのターゲットと爆発的な加速力を持つジョーカーが機能しなければ、後半は押し込まれてジリ貧になるのは想像に難くない。

 さらには新戦力のカライジッチはデビュー戦で今季前半戦の全休が確定してしまう大怪我という不運も。緊急補強したジエゴ・コスタには早々に結果が求められる状況だ。

 ただ、前線以上に深刻なのはバックラインだ。ボリー、コーディという主力を続々放出し、コリンズとキルマンを除けばまともなCBがいない。一時的とはいえ、コリンズが退場したシティ戦はネベスがCBをやっているシーンもあったくらいだ。今季どころかここから始まるコリンズの3試合の出場停止をどのようにしのぐのかさえ見当がつかない。

 加えてSBもどちらかといえば前がかりで存在感を発揮するタイプ。ワイドのCBに起用できたりするタイプではないし、特にアイト=ヌーリに関してはSBとしての守備には不安がある。保持ではさすがの場面はあるが、PK献上にオウンゴールと悪い方向でも目立ってしまっている。

 バックラインの堅守から最小ゴールで効率よく勝ち点を積み重ねていくのが本来の彼らのスタイルである。層の薄いこのスカッドで果たしてそのサイクルは1年間維持できるのか。再開明けからいきなりラージの手腕が問われる展開になりそうだ。

Pick up player:ルベン・ネベス
    思えばアンカーも彼がいなければ代役不在である。精度の高いロングキックを生かしたゲームメイクはもちろんのこと、理不尽な得点が求められそうなシーズンだけにプレースキック、スーパーミドルなど彼の飛び道具によるゴールも重要になる予感がする。

ここまでのハイライト

【18位】ウェストハム

1勝1分5敗/勝ち点4/得点3 失点9

■コンディション回復しか復調への道はない

 やっちまったーーーーーーーーー。昨年はあわやリーグ戦でのCL出場権を取れるかもしれないというところからシーズン終盤に失速をしてしまったが、今シーズンもその失速感を引きずっている感じだ。

 特に主力の勤続疲労は大きな懸念。最も調子が悪そうなのはボーウェン。昨季はビックゲームでも隙があれば容赦なく点を獲りながら相手を苦しめていたイメージだったが、今季は決めれば流れが大きく変わりそうな決定機を次々に外してしまっており、チームのブレーキになっている。

 ボーウェンほどではないにせよ、アントニオの状態も充実しているとは言えない。フォレスト戦ではボールに関係ないところのファウルでゴールの取り消される元凶をつくってしまった。明らかに直前のファウルを取ってもらえなかったイライラを端に発するプレーであり、個人のいらだちで得点をフイにしてしまった責任は大きい。直後に失点をしたことも非常に心証が悪い。

 ライス、ソーチェクのセンターラインも出来は割引だし、相変わらずCBにはSBキャラが入っている始末。ケーラーからは「聞いていたポジションと違う」という声が聞こえてきそうだし、スカマッカからは「ボールが来ないんじゃどうしようもない」という声が聞こえてきそうだ。コルネは昨シーズンと似た色のユニフォームではあるが、チーム状況や救世主的な役割までここまで同じとは想像がつかなかっただろう。

 ギリギリで加入したパケタと長期離脱をしていたオグボンナのフィットという材料以外はこれといって目立った負傷者もおらず、現有戦力のコンディション回復以外に明確な解決策は正直思いつかないところ。同じく勝ちきれていないエバートンに完敗を喫するなど上向きの兆しが見えない苦しい状況ではあるが、ここから浮上の兆しを見せることはできるだろうか。

Pick up player:サイード・ベンラーマ
 なぜか一人だけキレが抜群である。ボール運びなどの仕掛けが非常にイキイキしており、現状の2列目であれば個人的には彼がベストのパフォーマンスを見せているように思う。序列がなかなか上がってこないのがもどかしいところだが。

ここまでのハイライト

【19位】ノッティンガム・フォレスト

1勝1分5敗/勝ち点4/得点6 失点17

■傭兵軍団を「チーム」にできるか

 やたら多いとは思ったが、21人というこの夏の補強はイギリスの移籍記録らしい。ジェフかよ!というツッコミが通じるファンはどれだけいるのだろうと思う。

 というわけで移籍期間中は毎試合毎試合異なるスカッドで臨んでいる状態が続いているフォレスト。戦力の逐次投入というわけで降格した時のことが非常に怖いのだけど、まぁそんな野暮なことは今は言いっこなしである。

    新戦力の中ではアウォニィ、ヘンダーソン、ネコ・ウィリアムスあたりはとりあえず主力を確保できた感があるし、フロイラーやギブス=ホワイトあたりも徐々に足場を固めることが出来てきている。不在時の喪失感という意味ではニアカテの存在も大きそうである。

 逆にジョーカーとして期待されているデニスはロストマシンと化してしまっており、存在感をみせることが出来ていない。リンカードも悪くはないが、期待されたほどチームを牽引できているかといえば微妙なところだろう。

 もはやどこを見ても新戦力という状況なのでスタイルの構築はこれからという感じだろう。そんななかで唯一形になっているのは右サイドのジョンソンを使った裏抜け。もはや基調ともいえる昇格経験者が繰り出す右サイドの裏抜けはチームとしての大きな武器である。

 基本的には高い位置にWBを送り込むボール保持を大事にしたやり方をメインにしたいのだろう。ロディ、オーリエなど手にいれた人材もそのあたりだ。前線も個人で勝負できる人材はいるので、後はクラーク監督がどのようにチームをくみ上げていくか次第である。前からのプレスも積極的で、求めるスタイルはどちらかというとアグレッシブ志向なのかなと思う。

 ボーンマス戦では2点リードを台無しにして逆転負けを喫してしまうなど「チーム」としての脆さは現時点では否定しようがない。トッテナム戦のように勇猛果敢な姿勢が逆に相手の得意な打ち合いに持ち込むことになってしまうケースもしばしばであり、不器用な感じも否めない。

 まずは寄せ集めの傭兵集団をチームにすること。物量は問題なく手元にあるが、裏を返せば不満分子ができやすい状況でもある。前代未聞の総入れ替えを敢行したフォレストの残留へのチャレンジはまだ始まったばかりである。

Pick up player:ディーン・ヘンダーソン
 ユナイテッドを追いやられながらも、デ・ヘアが失態を犯した翌日に大活躍という間接的な嫌がらせに成功。境遇的に割とみんなに頑張ってほしい!と応援されている感じがある。俺も頑張ってほしいと思っている。

ここまでのハイライト

【20位】レスター

0勝1分6敗/勝ち点1/得点10 失点22

整えば整うほど戦えない

 やっちまったーーーーーその2。彼らの苦戦は夏の移籍市場からスタート。そもそも資金が足りていないという状況から売りたい選手の移籍金の足元を見られまくるという現象が発生する。アーセナルが興味を示していたティーレマンスは移籍金でまとまることはなかったし、売りたくないはずだったフォファナを売ることになってしまったのは切ないところ。

    フォファナの売却は額としては助かるが、CBの柱が抜けるのはさすがにきつい。なお、クリバリの退場で一刻も早くCBが必要となったチェルシーが次節の対戦相手がレスターだったせいでフォファナの売却を即刻許してもらえなかったのはちょっと面白かった。

 そんなこんなで「誰がこのチームに残るんだろう」とみんながぼんやり考えながら戦っていたのか?という感じの試合がずっと続くことになる。開幕戦のブレントフォード戦で2点差を追いつかれたというひどい展開で得た1ポイントが今のところチームが持っている唯一の勝ち点である。

 基本的には攻守の噛み合わなさが目立つことが多く、展開がわちゃわちゃしてくればダカやマディソンなどの前線のマンパワーでなんとか点が取れるという状況。逆に整った盤面であればあるほど崩しには苦労する。1人少なかった相手にろくに攻め手を見つけられなかったチェルシー戦がその象徴だろう。

 現状では整った有利な状況よりもフラットでもごちゃごちゃしている状況の方が好都合だ。組み立てを改善しようとマディソンにボール回しに参加させた途端に失点に関与するなど、ロジャーズのアイデアも現状では裏目に出てしまっている。

    セットプレーでの失点の多さも際立っている上に、正GKのウォードはスーパーセーブとミスを交互に繰り返す劇場型。得点を取れる状況は限られているのに、失点パターンがこれだけ多ければなかなか勝てるはずもない。

 バックラインの脆弱さも気がかりではある。エバンスはいつ離脱するかわからないし、ソユンクはいつまでたってもスタメンに帰ってこない。ンディディがCBとしてプレーする時間があまりにも長いとなれば明らかな危険信号。少しずつ調子を上げてきたジャスティンと新加入のファエスには期待がかかるところだ。

 幸か不幸かロジャーズにかかっている高額な違約金のおかげで今のところ解任の様子はなさそう。ただ、9失点を喫したボーンマスを上回るペースで失点を重ねている状況が改善されなければ大ナタが振るわれる可能性も否定できない。大事に至る前にロジャーズは解決策を見つけることができるだろうか。

Pick up player:ヴァウト・ファエス
 アフロは大体うまいという法則は彼にもあてはまった模様。デビュー戦ではトッテナムにボコボコにされながらも、バックラインからボールを運んでの組み立てというレスターのバックラインがなかなかできなかった仕事をヤッケのけた。期待感はある。レスターを助けてください。

ここまでのハイライト

 おしまい。

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