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「鬼門克服のための2つの攻略パターン」~2023.9.17 プレミアリーグ 第5節 エバートン×アーセナル プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第5節
2023.9.17
エバートン(18位/0勝1分3敗/勝ち点1/得点2 失点8)
×
アーセナル(5位/3勝1分0敗/勝ち点10/得点8 失点4)
@グディソン・パーク

戦績

過去の対戦成績

 過去10回の対戦でエバートンの5勝、アーセナルの4勝、引き分けが1つ。

グディソン・パークでの成績

過去10回の対戦でエバートンの6勝、アーセナルの2勝、引き分けが2つ。

Head-to-head from BBC sport

Head-to-head
  • エバートンは勝てば1910-13年に記録したホームのアーセナル戦の連勝記録に並ぶ。
  • アーセナルの直近7回のグディソン・パーク遠征での唯一の勝利は2017年10月の5-2の勝利。

スカッド情報

Everton
  • 顔の怪我をしていたドミニク・キャルバート=ルーウィンは起用可能。
  • ジャラッド・ブライスワイト、ルイス・ドビン、ジェームズ・ターコウスキも起用可能だが、ジャック・ハリソンは鼠蹊部の負傷でフィットせず。
Arsenal
  • 16人の代表選手は全て怪我はなく、唯一の負傷者はトーマス・パーティ。

Match facts from BBC sport

Everton
  • 今季ここまで未勝利(D1,L3)。22-23は開幕6試合未勝利でのスタートだった。
  • 敗れれば94-95,05-06以来プレミアで3回目の開幕5戦で4敗。
  • 直近6試合のプレミアでのホームゲームで5敗。今季の2つの0-1での敗戦も含まれる。
  • ホームでの直近21試合のホームゲームにおいての複数得点は1回だけ。2022年10月の3-0で勝利したパレス戦。
Arsenal
  • 6チームいるプレミア無敗のチームのうちの1つ。
  • 昨季開幕からの20試合のアウェイゲームで11個のクリーンシート。リーグトップ。
  • ガブリエル・ジェズスはシティ時代の9試合のエバートン戦で8得点を決めている。

予習

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予想スタメン

展望

お得意様だけでは拭えない不安要素

 パーフェクトとは言い切れないものの、4試合を終えて3勝1分というここまでのアーセナルの歩みは順調と分類していいだろう。多くの選手を組み込むトライと結果を両立させながらチームは前に進んでいる。

 試行錯誤の週1ペースでの試合はこの代表ウィークでいったんお別れ。ここからは結果と内容の両立が最優先になるCLと並行しての週2がメイン。いよいよ、23-24シーズンの本番がスタートするといってもいいだろう。スカッドを余すことなく使いながらリーグと欧州の大舞台の二足の草鞋を履きこなさなければいけない。

 その皮切りとなるリーグ戦再開初戦の舞台となるのは近年のアーセナルにとって大きな鬼門となっているグディソン・パーク。最後の勝利は2017年。リーグ戦は3連敗中とアルテタにとってはエティハドと並ぶ鬼門のアウェイの地である。相性の面では最悪のスタジアムだ。

 ただし、お得意様がやってきた程度では前向きになるのが難しいのが今のエバートン。開幕3試合ではリーグ唯一の無得点。第4節ではようやく勝ち点を手にしたが、相手はシェフィールド・ユナイテッド。苦しみに苦しんでいる昇格組に引き分けで今季初めての勝ち点を与えてしまったとみることもできるゲームである。

 エバートンのスタイルは昨シーズンと大きくは変わってはいない。昨年のアーセナル戦において猛威を振るったオナナ、ドゥクレ、ゲイェの中盤トリオは健在。中盤での取っ組み合いに関しては、おそらくプレミアのどんなチームを相手に回しても十分に戦うことができるだろう。

 気がかりなのはそれ以外のポジションである。特に前線は深刻。サイドは昨冬退団のゴードンを皮切りにかなり苦しいやりくりを強いられている。マクニールは出遅れ、グレイはごたごたの末、中東に旅立っていった。さらには昨季MVP級の働きをしたイウォビがフラムへ移籍してしまう。

 CFではキャルバート=ルーウィンの稼働率が戻らず、ダンジュマが人手不足のサイドに駆り出される中でベトの獲得が間に合ったのは朗報。ベンチにはスポルティングからシェルミティとやたらとポルトガルコネクションが前面に出ている。

 ベトの加入により、前線にはキャルバート=ルーウィンがいなくともターゲットができるように。ただし、キープしてサイドに展開してのクロスというモデルはSHの人選がぼやけている分、メカニズムが確立できていない印象だ。よって、攻撃は3センターのボール奪取と軸としたカウンターかセットプレーに集約されている感がある。

それであれば守備は何とかしたいところだが、こちらも怪しさが先行。3節のウルブス戦はいつものように4-5-1ベースという点では同じではあったが、横はピッチ目いっぱいをカバーしつつ、縦は異常にコンパクトという変わった陣形だった。ボールサイドへの圧縮がなく、横は相当に間延び。しかしながら、ラインを上げて間のスペースは消されているという形だった。

 第4節においては横の間延びをそのままに縦のコンパクトさが失われた印象。ブレイズのアーチャーのゴールはDF-MF間のスペースの間延びが生んだものといっていいだろう。

 コンパクトさの欠如は個人レベルの規律の話なのか、はたまたそういうプランなのかはよくわからない。だが、現状ではダイチらしい強固な守備の組織を構築できていないことだけは確かということになる。

 縦のコンパクトさで攻略法を調整する

 攻撃に限って言えば、エバートンはスタッツほど悪くはないと思う。前を向いてスペースを作ることさえできれば十分にシュートまでもっていくことはできている。ロングボールとショートカウンターが中心とは言え、チャンスらしいチャンスが皆無ということはない。

 ただ、ここまではストライカーの決定力のところがボトルネック。前線は得点をとにかく決められるヒーロー待ちという形である。とにかくパンチのある攻撃はできるチームというのは確かだ。

 エバートンの攻撃がチャンスにつながるかは前を向ける選手を作れるかどうかにかかっている。アーセナルのCBは前線で落とせるCFとのマッチアップをすることになるだろうが、ここの優劣はエバートンにとっては特に大事なポイントになるだろう。アーセナルはチャレンジ&カバーを徹底しつつ、ベトもしくはキャルバート=ルーウィンに対応していきたいところだ。

 セットプレーはファー狙いのプレーが多いのは以前と同じだが、ターゲットはターコウスキ以外にも作ることができており、狙いは分散している。火がついてしまえば、スタジアムの後押しも期待できるため、アーセナルとしてはファーのセットプレーを警戒しつつ、先手を取らせないようにしたい。

 非保持ではどこまで抑え込めるかというところはポイントになるが、ボール保持においてエバートンの守備に穴を開けるところはまずできてほしい部分というのが正直なところ。コンパクトさが足りていない第4節パターンは非常に簡単。ブレイズのアーチャーのゴールのようにCFもしくはWGでエバートンのバックラインの高さを決めて、マイナスのパスから2列目が決めるイメージは刺さるだろう。

 アーセナルの最近のゴールで言えば、マンチェスター・ユナイテッド戦の1点目のような感じである。エバートンがブレイズ戦と同じくらいのルーズさであれば、この形を再現性を持って実現することができるだろう。

 よりコンパクトなウルブス戦仕様となると、横と縦の動きを組み合わせながらバックラインの背後を狙いたい。縦はコンパクトだが横がルーズなのがこの陣形の特徴なので、サカが横に走りながらボールを受けるタイミングはそれなりにあるだろう。横に動けばマークの受け渡しも伴うはずなので、フリーになる瞬間は必ずできるはずだ。

横向きのままボールを受けたサカはそのまま横のドリブルを開始し、逆サイドまでの展開かダイレクトに最終ラインを破る形で縦のスルーパスを送る。こんな感じの攻略例がイメージとして思い浮かぶ。

 手前の横の動き(サカ)と裏を取る縦の動き(エンケティア、マルティネッリ)を組み合わせる形。これであれば狭いスペースでもラインブレイクは見えてくる。

 避けたいのはサカにボールが入るときにエバートンの中盤と挟み込まれるように対応されること。そのため、サカに縦パスを入れる手前のタイミングでは必ず自陣側でエバートンの中盤を引き寄せる意識を持っておきたい。1列目のプレスは手薄なはずなので、十分狙えるはずだ。

 横ドリで相手のDFの足を止めて、縦パスでラインブレイク。この動きの組み合わせでコンパクトなブロックを破壊し、難所攻略で中断初戦を制したい。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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