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「複数得点を取る意識重視で」~2023.11.24 J1 第33節 川崎フロンターレ×鹿島アントラーズ プレビュー

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第33節
2023.11.24
川崎フロンターレ(9位/12勝8分12敗/勝ち点44/得点47/失点45)
×
鹿島アントラーズ(6位/13勝10分9敗/勝ち点49/得点41/失点30)
@等々力陸上競技場

戦績

近年の対戦成績

直近5年間で川崎の11勝、鹿島の1勝、引き分けが5つ。

川崎ホームでの戦績

直近10戦で川崎の7勝、鹿島の2勝、引き分けが1つ。

Head-to-head

Head-to-head
  • 直近14試合の公式戦での対戦で川崎は鹿島に無敗。
    • 直近6連勝中。
  • リーグ戦では鹿島は15試合連続で川崎に勝てていない。
    • 2015年の8月の等々力が最後の勝利。カイオ、金崎夢生、赤﨑秀平のゴールで3-1での勝利。
  • しかしながら、等々力でのリーグ戦では川崎は鹿島相手にクリーンシートを達成したのは2007年が最後。
  • 鹿島は等々力での公式戦において10試合連続で1得点を記録し続けている。
    • 複数得点も無得点もない。

スカッド情報

川崎フロンターレ
  • 右下腿三頭筋肉離れで離脱中の大島僚太はランニングをスタート。
  • 左足関節捻挫で離脱の大南拓磨はフルトレーニング復帰。
  • 佐々木旭は左ハムストリングの肉離れで離脱。
  • 車屋紳太郎は左脛骨骨挫傷で離脱もフルメニューを消化。
  • 遠野大弥は出場停止から復帰。
鹿島アントラーズ
  • 柴崎岳は左ハムストリングの負傷でシーズン絶望。
  • パク・ヴィジョンは左小指関節脱臼骨折で欠場。
  • 溝口修平は左膝内側側副靭帯損傷で欠場。
  • 関川郁万は前節の柏戦で負傷交代。
  • 佐野海舟、松村優太は代表活動帰り

予想スタメン

Match facts

川崎フロンターレ
  • 公式戦直近7試合で無敗(W5,D2)
  • しかし、リーグ戦に限れば直近4試合で1勝のみ(D2,L1)。この間9失点を喫している。
  • 直近6試合の公式戦のうち、5試合で3得点以上を記録。
  • 今季の金曜開催の5回のリーグ戦は2勝3敗。
  • リーグのホーム最終節は3連勝中。
    • いずれも1失点を喫しての勝利。
  • 家長昭博は直近22試合の出場した鹿島戦で無敗(W16,D6)
鹿島アントラーズ
  • リーグ戦では5試合勝ちがなく、直近6試合で複数得点がない。
  • アウェイでの公式戦直近5試合で勝ちがなく、アウェイでの最後の勝利は7月のFC東京戦(D3,L2)
  • 直近2試合の退場者を出した試合では勝利を収めている。
  • 50ポイントを下回ったままシーズンを終えれば12年ぶりのこと。
  • 直近5試合のリーグ戦の勝利のうち、4試合で鈴木優磨が得点を挙げている。
  • 30試合以上指揮を執った鹿島の歴代の監督の中で岩政監督は勝率(39%)と1試合平均得点(1.2)でワーストを記録している。
    • 勝率のブービーはエドゥ(46.7%)、1試合平均得点のブービーはトニーニョ・セレーゾ(1.6)

予習

第30節 神戸戦

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展望

鹿島のFW像と中央偏在の意義

 リーグ後半戦の川崎は猫も杓子もフライデーナイト。寒い2月の金曜の夜に始まった等々力での2023年のリーグ戦は寒い11月の金曜の夜に幕を閉じることとなる。

 対戦相手となる鹿島は今季苦戦が目立っている。毎年悪くとも5位以内にまとめているイメージだったが、現状では6位。大差はないと言えばないが、例年よりも沈んだ順位になっている。なお、川崎ファンとしては「悪いなりに5位」というという凄さを絶賛実感している最中でもある。

 鹿島がこれまでと比べて苦しんでいるのは得点力の部分だろう。直近の試合では複数得点がなく、1試合で1点を下回るペースでしかゴールを決めることができていない。Match factsの項で触れたが、岩政監督就任以降の鹿島の1試合平均得点は歴代最低レベルと得点力不足は長期的な課題にもなっている。

 特にビルドアップから試合を作るという点では難しい内容が続いている。大外レーンをSB、それ以外の選手をインサイドに自由に配置するという形だけは決まっている様子。この規則の例外となるのはプレータイムが制限されているのか60分までには必ず広瀬が交代して退く右サイド。SBに佐野、CHに樋口がそれぞれスライドし、SHに松村が入るのが定番だが、この際松村は大外レーンに位置することが多い。同じく藤井も外のレーンで勝負できるタイプだろうが、左サイドに配置された神戸戦では安西が大外に専念していた。

 レーンの規則はぼんやりと見えてくるのだが、これといった前進のルートはあまり見えてこない。基本的には中央の選手たちは降りる動きが大半。CHのサリーはもちろんのこと、SHの樋口や仲間もインサイドに絞ることもしばしばであり、中央に人が偏在している。

フリーマン化する鈴木も降りることもある。知念や垣田など鈴木の相棒はそこまであちらこちらに動くことはしないが、それでも中盤にボールを触るために降りる動きは織り込まれている。

 ずらして受ける、もしくは自分が動くことで味方のスペースを開けることが自分のポジションを離れる意義だと思うが、鹿島の保持はその部分の意味づけが少ないように思う。ずらした結果、最終的に前線の鈴木に放り込むのであれば、中盤が降りて受けるプロセスが必要なのか。それならば、中盤もとっととロングボールにあわせて高い位置をとっていいと思う。というか前半戦の鹿島は割とそんな感じだったと思うのだが。

 結局のところ、今の鹿島はこのように攻撃の出口がアバウトになることが多い。よって、攻撃が成立するかどうかは預けられたFW自身の個人能力でやり切れるかどうかが重要になる。川崎で知念を見てきた目線を入れてみると、相変わらず彼は前線で抜群にボールを収めて時間を作ることができているが、だからと言ってそれがどうなるものでもないという感じ。収めるだけでなく、強引に反転してシュートまで持っていくことが鹿島基準で求められるFW像ということだろう。確かに垣田のほうがそこの強引さはある。

 現状で言えば、中盤でタメを作って一つ飛ばしができるパスをだせのは佐野、受け手として個人技が計算できるのは鈴木とスペースがある松村。ピトゥカも本来であれば出し手としてカウントしたいところだが、少しパスを引っ掛ける場面が目立つのが気になるところである。

こうした限られた選手に攻撃が委ねられているのがセットプレー以外の得点の伸び悩みにつながっている。セットプレーにおける樋口のキックも重要な得点源である。もっとも、前線の選手の質と中盤の強引な押し上げに頼っているというのは今の川崎にも言えることであり、鹿島への指摘は人ごとではないが。

 非保持は4-4-2ベースであり、2トップは横並び。アンカーの管理しながらの受け渡しは甘い。ホルダーに寄せる意識はピッチのあらゆる位置で強く、多少ポジションを入れ替えることに関しての許容度は高い。入れ替わってでも相手を捕まえにいく意識が強いということである。4-4-2の陣形を維持することよりも、人についていくことの方が基準としては明らかに高い。それが鹿島の非保持である。

ピトゥカと安西のギャップとCFを囮としたクロス活用

 川崎はまず鹿島の非保持における人についていく習性を活用したいところ。ポジションのズレが起きやすいのは鹿島の左サイド側である。SBの安西は他の選手に比べると、相手の選手についていく意識が低い。低いことは問題というよりは周りの選手と判断にギャップがあることの方が問題である。同サイドの裏を埋めるピトゥカは逆に非常に人についていく意識が高い。

 安西の周りにピトゥカが存在する左サイドは選手の入れ替わりが発生しやすい。具体的に言えばピトゥカは自分の持ち場を離れて左サイドの背後を埋める意識が強い。なんなら先読みして埋めていることもある。2節前に鹿島と対戦した浦和はサイドでの3人での攻撃を好むチームである。しかしながら、ハーフスペースの裏を必ず使うので、ピトゥカが網を張っている位置に飛び込むことが多かった。

 網を張ってくるのはわかっているので、手前を使いたいところ。裏抜けは必要。ピトゥカにサイドの裏に食いつかせる必要があるからだ。ただ、これを囮にして手前を本命にする形を作っていきたいところである。浦和が得点できなかったのは、裏抜けをフリに使立てて前を使えなかったから。ここは川崎はできるはず。ピトゥカが空けたスペースからMFのミドルを積極的に狙っていきたい。

 もう1つ狙いたい形はFWの引力を使った形。最近の記事ではお馴染みのパターンである。鹿島が敗れた神戸戦の失点はFWに2人のCBが引き寄せられ結果、伏兵の選手に決められた感がある。佐々木の1点目や井出のゴールが典型だが、鹿島はラインを下げられるととりあえず選手が後方のスペースを埋めたがる癖があるため、マイナス方向の動き直しに弱い。

川崎もまた今のCFならばCBの視線は集めることができる。CFに対してマイナス方向のオフザボールの動きを活用したいところ。宮代、瀬川あたりはこの動きを積極的に行うことができればゴールに近づくだろう。後ろにより重要なジョホール戦を控えているという意味もあるが、この観点で言えば川崎はマルシーニョとダミアンよりも宮代とゴミスを先発で活用してもいいかもしれない。

 非保持においてはロングボールを多く使ってくるので当然相手のFWとのマッチアップも重要。だが、構造的な点で大事にしたいのは相手の中盤がラインを下げる動きを無視すること。中央をコンパクトにすることで、ロングボールの落としを受けるスペースを制限することを優先したい。

 逆に保持に回った際にはプレス意識が強い鹿島のFWを自陣側に引き寄せたい。FW-MF間にギャップを生み、中盤がスムーズにプレーできるスペースを作り出すことができれば、ボール運びは安定するだろう。

 過去の対戦成績のデータ的にも最近の川崎の傾向的にもまぁ失点はきっとするだろう。正直この部分は大南やジェジエウがどこまでコンディションを戻せるかに左右されるところなので今のチームでは仕方がない。それはある程度割り切って、保持からチャンスを掴む機会は必ず出てくるのでそこをモノにすることが重要。複数得点を取る意識をより大事にしてホーム最終節に臨みたい。

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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