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「Catch up UEFA Champions League」~2023.9.20 UEFAチャンピオンズリーグ グループB 第1節 アーセナル×PSVアイントホーフェン~

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華々しい帰還を告げる4ゴール

 16-17ぶりのCL帰還となったアーセナル。久しぶりとなったGSの第1歩は昨年もELで同居したPSVとのホームゲームである。

 立ち上がりからの振る舞いを見るとどちらのチームも高い位置からプレッシャーをかける落ち着かない序盤戦になっていた。PSVもこれまでのアーセナルが戦ったチームに比べれば保持への心得があり、プレスを外して前に進んでいく意思が強いチームであることはうかがえた。

 最も顕著に両チームのクオリティの差が出たのはアタッキングサードだろう。プレビューでも触れたが、今のアーセナルに対して4バックで守るのならば、WGへの対応から逆算しなければいけない。

 アーセナルがサカにボールを入れた際のPSVの対応はフェールマンをデストと同じ高さに下げてハーフレーンを埋める形。そうなるとマイナスのコースへの警戒は難しくなるし、横ドリブルに対してはデストが根性でついていく必要がある。

 PSVが後手を踏んだのはサカの後方ハーフスペースで待機するウーデゴールへの対応。サカがマークを惹きつける引力の分、フリーになったウーデゴールがシュートを振り抜き、そのこぼれ球をサカが詰める形でアーセナルは先制する。

 2点目の形も似たようなもの。サカに対してPSVの守備陣は横の選択肢を制御できず、平行の位置に立ったトロサールは自由にシュートを放つことができた。デストの背後のハーフスペースを埋めるフェールマンの立ち位置は、おそらくハーフスペースの裏に抜ける選手を警戒したもののように思えるが、手前を使われた時の対策については準備できていなかったということだろう。

 この試合の展開は根本的にはこれまでのプレミアにおけるアーセナルとは哲学の違いが見えた。プレッシングに積極的に出ていくし、勝負のパスを積極的に刺していくぶん、自分たちも攻められることを許容する展開だった。

 そういう意味ではPSVに自分たちの土俵で戦う時間も与えた45分と言えるだろう。ノア・ラングやバカヨコの1on1の機会は十分にあった。アーセナルはWGに対しての1on1は許容していたため、サカに対するPSVと異なり、WGにボールが入ることだけではズレは起きない。

 しかしながら、WGでの1on1はPSVの攻めの生命線でもあるので、簡単にやられっぱなしというわけには行かない。特に左のノア・ラングはホワイトを出し抜きかける場面もちらほら。サリバとガブリエウのインサイドがヘルプに出動する形でなんとかする。中盤と前線がプレスをひっくり返されてからラングに入ると、より危険度は上がるという感じだった。

 Googleのスタッツを見ていたところ、前半終了の時点でPSVにはシュートを9本打たれていたし、ニアでベラ=コチャップが合わせたセットプレーなど得点につながりそうな場面もちらほら。これだけ相手に攻撃を許容するアーセナルは今季のプレミアではあまり見ない姿ではある。

 だが、その分アーセナルもきっちり攻め込んでいる。フェールマンが高い位置にプレスに出てくる分、空いているスハウテンの周りのスペースに縦パスを入れて、そこから一気に攻撃を加速させて決定機を掴む場面も多かった。実際に次もスコアを動かしたのはアーセナル。エバートン戦の後半でも見られたトロサールの背後へのアクションから折り返しをジェズスが豪快に決めた。

 このようにいつもよりも多くチャンスを作り、多くチャンスを作られるのがこの日のアーセナル。それでもよりクリティカルなチャンスを相手よりも多くの数を作っていたし、それをきっちりスコアの差で反映することができた前半のアーセナルだった。

 3点を追いかけるPSVは高い位置からプレスをかけに出てくる。前半同様に敵陣でのプレーの先を読みやすい攻め筋だったのは変わらないが、即時奪回を効かせてボールを取り返す場面も増えたPSVは前半よりもゴールに迫った立ち上がりだったと言えるだろう。

 しかし、落ち着き払ったサリバを軸にこの時間を凌ぐと、アーセナルは冨安を投入して最終ラインをテコ入れ。撤退時の守備強度を補填する。

 徐々に保持から試合を落ち着かせていくと、終盤は積極的に交代策でプレータイム管理を行うアーセナル。左サイドでコンビを組んだネルソンとスミス・ロウはお互いがお互いを意識したオフザボールとオンザボールでの振る舞いをしていたが、合いそうで合わないまま時間が経過している。

 右サイドはそうした左の試行錯誤とは対照的。あっさりとミドルを決めたウーデゴールだけでなく、涼しい顔で効果的なプレーを連発していたヴィエイラは直近の試合の好調さを感じさせるパフォーマンスだった。

 試合は4-0というワンサイドゲーム。アーセナルは華々しいCLへの帰還を飾った夜となった。

ひとこと

 いつもよりオープンな展開を許容したことをどう捉えるかだろう。失点の危険性はいつもよりも高かったがCBのハンドリングの外にプレーが転がったシーンは多くないし、その分きっちりチャンスを作って多くの得点を決めた。こうした展開を強いられる状況も出てくるだろうし、こうした展開が嫌がられる状況もあるだろう。より硬質なリーグ戦と使い分けながら勝負できれば理想的だ。

試合結果

2023.9.20
UEFAチャンピオンズリーグ
Group B 第1節
アーセナル 4-0 PSV
アーセナル・スタジアム
【得点者】
ARS:8′ サカ, 20′ トロサール, 38′ ジェズス, 70′ ウーデゴール
主審:フェリックス・ツバイヤー

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