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「手段は問わない」~2022.6.18 J1 第17節 川崎フロンターレ×北海道コンサドーレ札幌 プレビュー

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第17節
2022.6.18
川崎フロンターレ(3位/9勝3分4敗/勝ち点30/得点20/失点17)
×
北海道コンサドーレ札幌(11位/4勝8分4敗/勝ち点20/得点15/失点26)
@等々力陸上競技場

戦績

近年の対戦成績

直近5年間の対戦で川崎の8勝(PK戦含む)、札幌の1勝、引き分けが2つ。

川崎ホームでの戦績

 直近10試合で川崎の8勝、札幌の1勝、引き分けが1つ。

Head-to-head

<Head-to-head>
・川崎は札幌との公式戦直近14試合で1敗のみ(W12,D2)
・川崎の札幌戦の勝率は60.5%。J1では鳥栖に次いで高い相手。
・直近2回の札幌の川崎戦勝利はいずれも2得点を挙げている。
・川崎はホームでの札幌戦はここ3試合で2回勝ちを逃している。

 川崎にとっては基本的には札幌は相性が良い相手だ。直近14試合の対戦で1敗しかしておらず、勝率的にもJ1のチームとしてはかなりいい部類に入る。

 しかし、近年はやや様子が違う。特に等々力ではここ3年で2回勝ち点を献上しており、以前ほどの相性の良さは感じない。リーグ戦でリズムに乗れない川崎は以前のような相性の良さを見せつけて、連敗を止めることができるだろうか。

スカッド情報

【川崎フロンターレ】

・大島僚太、チャナティップは全体練習に合流。
・登里享平、ジェジエウは別メニューでの調整。

【北海道コンサドーレ札幌】

・中島大嘉はU-23アジアカップ帯同のため不在。
・福森晃斗は出場停止から復帰。
・ガブリエル・シャビエルは神戸戦での退場で出場停止。
・小柏剛と高嶺朋樹は右太腿裏肉離れで離脱中。
・右足を負傷していた田中駿汰は練習復帰を果たす。
・ふくらはぎを痛めた菅野孝憲も離脱が続いている。
・ミラン・トゥチッチは一時帰国中で今週再来日している。

予想スタメン

Match facts

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch facts>
・2018年5月以来、4年ぶりのリーグ戦連敗中。
・ホームでの連敗になれば2018年5月以来。
・今季のリーグ戦9勝のうち、8勝はクリーンシート。
・3試合連続リーグ戦で無得点。
・小林悠は札幌戦で12ゴール。同カードで最も多くの得点を挙げている選手。
・出場すればチャナティップにとっては初めての古巣対戦。

 札幌大学との天皇杯では格の違いを見せつけたもののリーグ戦では4年ぶりの連敗中。仮に3連敗になれば2015年8月以来の7年ぶりの3連敗となる。

 ホームでの連敗は2018年の5月が最後。GWに浦和とFC東京をホームに迎えて連敗した4年前以来である。

 直近で顕著なのは得点力不足。リーグ戦では3試合得点がなく、勝っている試合はほとんどがクリーンシート。仮に4試合連続で無得点となれば2012年に樹立した4試合連続無得点というクラブのJ1記録に並ぶことになってしまう。

 今年はリーグ戦でまた得点がない小林や古巣戦となるチャナティップに奮起を期待したいところだが。

【北海道コンサドーレ札幌】

<札幌のMatch facts>
・リーグ戦直近4試合で3敗。
・今季敗れたリーグ戦は全て4失点以上喫している。
・リーグ戦26失点は今季ワースト。
・先制された公式戦は今季3勝3敗5敗
・荒野拓馬は前回の川崎戦勝利時に得点を決めている。
・ミハエル・ペドロビッチ監督は川崎戦22敗。キャリアでもっとも敗れている相手。

 リーグ戦は直近4試合で3敗と札幌も調子がいいチームとは言えない。退場が絡んでいる試合もあるとはいえ、今季敗れた試合は4失点以上の大敗ばかり。26失点というリーグワーストの失点数だが、川崎は今季3得点以上を決めていない。

 先制された試合も粘るのが今季の彼ら。打ち合いに持ち込んで半分以上は勝ち点を獲るところまで行っている。ペドロビッチにとっては相性が良い相手とは言えないが、前回の勝利の立役者である荒野の活躍で再び勝利をもぎ取りたいところだ。

予習

第14節 磐田戦

第15節 柏戦

第16節 神戸戦

展望

■撤退しても失点が止まらない理由は?

 前半戦の最後の試合は札幌。これで2022年のシーズンも半分が終わることになる。今季は立ち上がりこそどこと対戦してもドローに持ち込むというドロー沼の魔人と化していた札幌。その役割を浦和に引き継いでからはなかなか勝ち点を伸ばせずに苦しんでいる印象が強い。

 Match factで紹介した通り、失点の多さがその原因であることは疑いの余地がない。例年以上に失点が嵩んでいる理由の1つは怪我人だろう。最終ラインの負傷者は深刻で菅野、高嶺、田中駿汰が離脱。経験と強度の面でいうと正直フルスカッドでも心もとない最終ラインにおいて、スーパーセーブでケツを拭ける菅野と主力の高嶺と田中の離脱が重なれば苦しいのは当然である。CBにMFとかSBをつかわなくてはいけない機会があまりにも多すぎる。リーグワーストの失点数にはこの部分が絡んでいるのは言うまでもない。

 戦力の話でいえば前線も深刻だ。興梠、トゥチッチ、シャビエルはなかなかフィットせず、小柏は度重なる負傷離脱で苦しんでいる。駒井や荒野といった中盤を主戦場にしている選手が前線に入るケースも決して少なくはない。なかなか柱とできる戦力を固定できない。アタッカー次第で攻撃の色が変わる札幌にとってはチームの顔が定まらずに苦しい状況が続いている。

 攻守の仕組みを見ていくと、基本的には昨シーズンと同じ形を踏襲しているといえるだろう。守備においてはオールコートマンツーが基本。できるだけ前からボールを奪い、速い攻撃でゴールに向かっていく。

    現実的な撤退策が札幌にとっての防衛策になるかは怪しいところ。なぜなら、自陣深い位置に人数を揃えた状態でも失点をしてしまうことが多いからである。

   撤退時にも失点が止まない理由の1つはPA内での札幌のDF陣の身体の寄せが甘いからである。人は余っているし、マークをサボっているわけではないのだけども、相手のプレーを制限できる間合いに入り込めていない選手が非常に多い。そのため、相手はPA内でやたらパスをつなぐことができたり、ブロックに遭わずにシュートを打つことが出来たりするのである。

 もう1つ札幌の撤退守備で気になったのはクリアの方向である。つなぐ意識が高いからなのか、あるいは前にきっちりボールを渡せばロングカウンターでも敵陣ゴールまで運んでくれるアタッカーがいるからなのかはわからないが、PA内で余裕がない時もやたらと札幌の選手はピッチの前方に蹴りだそうとする。

 確かにつながればチャンスになるが、押し込まれている状況においては基本は波状攻撃の連鎖を手助けする燃料になりかねない。プレーを切って整える意識がないことが相手の圧がかかった状態での攻撃を連続で受けることにつながってしまっている。最終ラインに人が揃っていない状況だとPA付近でもそんな感じなので、それなら前から!というのはわからない話ではない。

 保持においてはCHが縦関係を形成し、低いポジションを担当するほうが最終ラインに入り込んで、バックラインを横に広げる動きから変形が始まる。もう1人のCHは左のハーフスペース付近で高い位置を取りながら自由になっている。

 試合中にポジションの役割をまるっと帰ることもしばしばで、CH同士の役割のスイッチはもちろん、トップに入った駒井や荒野が流れの中で最終ラインに入ってボールを引き出す役割を務めることもある。なので1人1人の行動範囲がやたらと広い。

おそらくこれはトップにMFタイプが入っているからこその動き。オリベイラや興梠がトップに入る場合はこの限りではないだろう。

 だが、札幌の攻撃時の意識としてはこうした可変で作ったズレをどうこうというよりも、目の前の相手を剥がせるか否かというデュエル的な発想の方がより重要。菅、フェルナンデス、青木、金子あたりが目の前でマッチアップしている相手を引きちぎれるかどうかはチャンスの数と質にダイレクトに関わっているといえるだろう。大事なのは仕組みよりも局面強度である。

■得点を取るイメージを取り戻せればなんでもいい!

 リーグ戦は2連敗中で3位後退と悪い流れの川崎。この状況の川崎においてファンが求めるものというのは人によって異なると思う。

 僕自身がこの試合に求めることはシンプルだ。ズバリ3得点以上を奪って勝つことである。札幌の出方次第ではあるが、前進の手段は連敗中のここ2試合の相手に比べれば不問になるように思う。

 京都は前からのプレスに隙があったり、湘南は2トップがそもそも全然プレスに来なかったりなど、こちらからどう動かすかを考えなければいけない相手だった。札幌はおそらく問答無用で前からプレスに来るはず。それであれば少なくとも『どう動かすか?』の部分は考えなくていい。勝手に動いてきてくれる。手段は問わず、敵陣に運ぶことさえできれば問題ないのである。

 そうなった時に勝負できるマッチアップをいかに早く見つけるかがポイントになる。札幌の最終ラインの構成がまだ読めない部分ではあるがダミアン、マルシーニョへのロングボールはこの試合ではおそらく優位を取れる可能性が高い。プレスにグッとくるのであれば、むしろ積極的に使うことが求められる部分である。

   家長が体を当てながら時間を作ることもおそらくできるように思う。ダミアンとマルシーニョにしてもそうだが、陣地回復はしたけどシュートまで行ききれない!と判断したら躊躇なくやり直しはしていい。

   すでに述べたように札幌は押し込んだとしても得点の隙が見込める可能性がある相手である。きっちりと押し込んで得点の糸口をボールを動かしながら探るやり方で攻略は可能と考える。

 気を付けたいのはボールの奪われ方だ。カウンターから攻撃を完結させる能力は札幌はリーグでも屈指のレベルといっていいだろう。ミスマッチを作れていないのにアバウトなボールを放り込んだり、ショートパスにこだわりすぎて相手にプレゼントをしてしまうと、一気に失点のピンチが広がってしまう。

 前線と異なり中盤でのマッチアップはどちらに転がるのかが少し読めない部分。荒野が無双するような2年前を彷彿とさせる展開に持ち込まれる匂いがしたら、相手をきっちり敵陣に押し込むことを色濃く打ち出す戦い方に切り替えていきたいところ。無理に食らいついて傷口を広げてしまうなど、ここで下手を打てば一気に戦況は相手に傾くだろう。

 手段は問わない。ノルマは3点。札幌が神戸戦で失点を繰り返したセットプレーでもいいし、当然ロングボールでもいい。大事なのは得点を重ねる感覚を思い出すこと。3試合連続無得点という川崎らしからぬ不名誉な記録に終止符を打ち、反撃の夏を開始したいところである。

【参考】
transfermarkt(
https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(
https://soccer-db.net/)
Football LAB(
http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(
https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(
https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(
https://www.nikkansports.com/soccer/)

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