プレス耐性勝負はパリの入れ食い状態に
群雄割拠のグループF。どのグループが突破してもおかしくない状況の中で激突するのはパリとミランの伝統ある強豪だ。
高い位置からの積極的なプレスが目立ったのは立ち上がりのミラン。ハイプレスからマンツー気味に相手をハメていく。しかしながら、ミランにとってはパリのIHの左右不均衡性は計算外だったのだろうか。左にスライドするザイール・エメリと大外レーンに立ってムバッペを押し上げるヴィチーニャが織りなす不均衡な中盤にうまく対応することができず。パリはヴィチーニャにボールが渡れば時間を作ることができていた。
パリの攻撃のパターンは大きく分けて2つ。ヴィチーニャとザイール・エメリで時間を作ってムバッペに渡すか、右のデンべレに預けて単騎突破もしくはオーバーラップしたハキミでバックラインを強襲する。この2つの攻撃ルートはいずれも強力。ウガルテが後方からバランスよく配球するのもミランにとっては厄介だった。
よって、ミランは中盤から加速されるファストブレイクを最も嫌う流れに。そういう状況に陥ると躊躇なくファウルをしていたので序盤からカードがやたらと目立つ展開だった。
もっとも、カードが目立ったのはパリが受けに回ったケースも同じ。パリは前線からの守備が整理されているとは言い難く、中盤のパスワークからフリーマンを作ることはミランにとってはそこまで難しいことではなかった。
中盤の加速まではよどみなく進むことができたミラン。しかしながら、仕上げの手段の豊富さはパリの方が上。レオン頼みになってしまっているミランは仕上げが甘く遠い位置からしか仕掛けることができていなかった。
パリにとっては手段の1つであるムバッペのところからあっさりと先制。メニャンは一歩も動くことができず、シュートは矢のようにネットに突き刺さった。
後半、ミランはラインデルスのとびだしなど少し味を変化させたスタート。高い位置からのプレスも強めて、敵陣から相手を刈り取る意識を高めたスタートとなった。
しかしながら、ボール保持からプレスをいなすというフェーズに関してパリは優位。中盤が相手を引き寄せながら、ミドルゾーンの中央に穴を開けて降りる前線から一気に加速を仕掛けていく。
パリは相手陣にスペースのあるカウンターの形からチャンスを量産する後半に。相手のCKからのカウンターからデンべレがネットを揺らすが、これはウガルテのファウルで取り消しに。
それでも自軍のセットプレーから直後に追加点をゲット。クイックリスタート気味に始まったCKにミランの守備は対応できず、バタバタした結果、一人必死で対応したトモリがラインを早々に下げたせいでオフサイドを取れないという切ないものだった。
3トップが入れ替わっても攻撃力を維持したパリ。イ・ガンインやラモスもその力をいかんなく発揮し、終盤には追加点をゲット。パリでの1stラウンドはミランを完全にねじ伏せる90分となった。
ひとこと
パリのポゼッションの耐性強い。
試合結果
2023.10.25
UEFAチャンピオンズリーグ
Group F 第3節
パリ・サンジェルマン 3-0 ミラン
パルク・デ・フランス
【得点者】
PSG:32‘ ムバッペ, 53’ デンベレ, 89‘ イ・ガンイン
主審:スラフコ・ヴィンチッチ
