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「チェルシーの置き土産を生かす」~2022.4.16 プレミアリーグ 第33節 サウサンプトン×アーセナル プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第33節
2022.4.16
サウサンプトン(14位/8勝12分11敗/勝ち点36/得点37 失点52)
×
アーセナル(5位/17勝3分10敗/勝ち点54/得点45 失点36)
@セント・メリーズ・スタジアム

戦績

過去の対戦成績

 過去10回の対戦でサウサンプトンの2勝、アーセナルの5勝、引き分けが3つ。

セント・メリーズ・スタジアムでの対戦成績

 過去10戦でサウサンプトンの4勝、アーセナルの4勝、引き分けが2つ。

Head-to-head from BBC sport

・サウサンプトンは1968-71年以来のホームのリーグでのアーセナル戦3連敗の危機。
・アーセナルは直近12試合のリーグでのサウサンプトン戦で1敗のみ(W7,D4)
・サウサンプトンは直近11試合のリーグでのアーセナル戦で7回先制しているが、勝利したのは一度だけ(D3,L3)。2018年12月の3-2。

スカッド情報

【Southampton】

・新たな負傷者はなし。アルマンド・ブロヤはレンタル条項で出場できなかったらチェルシー戦から復帰。

【Arsenal】

・トーマス・パーティは腿の負傷で離脱。ふくらはぎの負傷の冨安健洋も復帰はまだ。
・膝の手術をおこなったキーラン・ティアニーはシーズン終了の見込み。

Match facts from BBC sport

【Southampton】

・直近5試合のプレミアで4敗。この間、3得点15失点。
・ホームのリーグ戦は3連敗中。シーズン序盤の13試合ではホームでの負けは1つだけだった。
・勝てばセント・メリーズ・スタジアムでのプレミア100勝目。
・ラルフ・ハーゼンヒュットル就任以降の2018年12月から216失点をプレミアで喫しており、同期間のチームの中で最も多い。
・ジェームズ・ウォード=プラウズは今季11得点に絡んでいる(7G,4A)。しかし、セント・メリーズでは1得点1アシストに留まっている。

【Arsenal】

・直近4試合のプレミアで3敗。それ以前の11試合では1敗のみだった。
・ユナイテッドとチェルシーに続き、勝てば通算3クラブ目のプレミアのアウェイゲーム通算250勝。
・先制点を奪われたリーグ戦は8戦7敗。
・アレクサンドル・ラカゼットは直近6試合のセインツ戦で7つのゴールに絡んでいる(5G,2A)
・ブカヨ・サカはプレミアにおけるシュート数(72)とチャンスクリエイト数(56)が共にチーム最多。21-22においてシュート数50、チャンスクリエイト数50を唯一超えているプレミアの英国人。
・サカは直近6試合のプレミアのアウェイゲームで5得点1アシスト。

予想スタメン

展望

■ベースはアップテンポ

 前節は7戦で1得点しかしていないブライトン相手に複数失点したアーセナル。不調のチームほど怖い!というフラグに見事に引っかかったチームを『ベタ過ぎる・・・』という思いと失望の気持ちのミックスで連敗する姿を眺めていたのが先週末の自分である。

 そんな今節はリーグ戦では5試合勝ちなし、前節チェルシー相手に6失点を喫しているサウサンプトン。こちらも景気良く敗れたチームである。

 サウサンプトンの基本的なスタイルは以前対戦した時と同じである。アップテンポな展開が得意な前のめりなチームであり、4-4-2のフォーメーションをベースにSBの積極的なオーバーラップによって、攻撃に厚みを持たせることで得点を奪っていくチームである。

 4-4-2の構成は基本的には中盤がフラットな形ではあるが、ごくまれに4-4-2のダイヤモンドを採用するときもある。これはおそらく相手の3センターにそのままマンマークでくっつけて守りたいチームとの対戦用という感じ。特に相手のアンカーを抑えたいチームには使うイメージである。

アーセナルは保持時にはアンカーがある形に変形するチームなので、サウサンプトンがこの形で襲い掛かってくる可能性はあるように思う。ただ、ロメウやウォード=プラウズのような選手たちの特性を考えると基本は4-4-2フラットの方が向いているだろう。

 攻撃の軸になっているのはCFのブロヤ。背負って味方を活かすのも、反転して自ら強引にシュートに持ち込むのもうまいチェルシーからレンタル中の期待の大型CFである。シーズン中盤の最も良かった時期に比べると、やや迫力が低下しているような感じも見受けられるが、得点に絡めなくても組み立て関与で輝けるタイプなだけに警戒は必要である。

 攻撃の中の軸がCFなら外はSB。サウサンプトンのビルドアップは2CBに行動範囲の広い2CHが後方をカバーしながら、サイドを押し上げる形で前に進んでいく。そのためSBは高い位置での仕事が多い。

 パスワークに長けているウォーカー=ピータースと大外を駆け上がっていくリヴラメントの両翼は強力で、フィニッシュワークに近いところでも攻撃に絡んでくるのが特徴だ。ちなみにリヴラメントはチェルシーからの完全移籍。ここにもチェルシーの置き土産がある。

 こうした個性豊かな選手をS.アームストロング、アダムスなどのいぶし銀が支えている。若い選手の躍動する陰で空いているスペースに流れ込んだり、入ったりしながらバランスを取るのが彼らの仕事だ。その中で存在感を高めているのはエルユヌシ。得点に絡む働きが増えたことで徐々にプレータイムを伸ばすようになっている。隙を見せれば精度の高いシュートが飛んでくるだけに注意を払いたい。

 守備においては先ほど紹介したように4-4-2が基本。さっきも言ったが、アンカー対策で4-4-2ダイヤモンドの可能性も捨てきれない。基本的な方針はある程度高いラインからプレッシャーをかけていく形。トッテナムのように極端にボール保持の局面が苦手なチームに対しては、思いっきりラインを下げて引く手段もなくはないが、基本的なプランではないと考えるのが妥当である。

 なるべく高い位置からボールを奪い、カウンターに移行するスタンスである。よってリスクを承知で後方を空けるパターンも多く、最終ラインは強気の設定になっている。いわば攻撃で魅せるアグレッシブなスタイルを守備でも貫くのが基本だ。

■チェルシーの設計図は頼りになる

 アーセナルからすると真っ先に狙いたいのはDF-MFのライン間。サウサンプトンの出来によってはここのライン間のスペースがルーズになっていくことがあり、狙い目になりうる。当然ここはゴールへの最短ルートであるし、反転して前を向ける選手を作ることができるくらいガバガバならば当然狙っていきたい。

 ただ、最近のアーセナルは中央に密集しすぎるせいで狭いスペースを攻略する羽目になり、逆にカウンターを受けるきっかけを作ってしまう場合もある。こうした場合は逆に中央に固執するのは危険である。特に、相手が中央密集型の4-4-2のダイヤモンドを敷いてきたときは要注意。中央密集を逆手に取られてしまう可能性もある。

 そうした時に狙いたいのはむしろサイド。確実性を狙うならむしろこちらの方がライン間にこだわるより有力である。サイド攻略のやり方は完全に前節のチェルシーの手法が参考になる。まずはバックラインの4枚、GK+アンカー+2CBでフリーの選手を作り、バックラインから前進を促す。できればサイドからドリブルで運ぶのが好ましい。

 高い位置を取った選手はSHを前に引き出す。その次の段階として出ていったサウサンプトンのSHのスペースを使って、同サイドのSBを引き出す。

  このSBを連れてくる動きと合わせるように、同サイドの裏に選手を1人走らせる。SBを前に引き出す動きとその背後に味方を走らせてくる動きをセットで使うことができれば、かなりの確率でサウサンプトンを崩すことは可能。

 向こうがチェルシーの置き土産の選手たちが主軸ならば、こちらはチェルシーの置き土産の攻略法を使ってブロックを壊す。今節はこの攻撃のデザインができれば勝率がグッと上がると思う。

 特に狙い目になりそうなのはサウサンプトンの左サイド。よりカバーに出てくる意識が強いサリスがCBをやっているので、中央から引っ張り出しやすい。タスクが増えるとリスクがあるプレーに走るタイプなので、エラーを誘発するためにもサリスの稼働範囲を広げたいところだ。

 アーセナルからしても右サイドは連携で勝負できる。ウーデゴールが奥に流れて、内に切り込むサカに折り返す形が見れれば、だいぶサウサンプトンを追い込めるはず。ミッチェルやククレジャなどのここ最近のマッチアップ相手と比べれば、守備面だけで見るとウォーカー=ピータースは軽さが目に付く。タフな相手が続いていたが、ここはきっちり違いを見せたい。外を取って相手を引き出すという観点でいえば、タバレスに大外を使わせることを学ばせる場にしても面白い。

 守備に関してはまずはブロヤを抑えられるかどうか。特に近頃はパフォーマンスに波があるガブリエウがどれだけブロヤに対抗できるかは今後を見据えてもポイントとなる。このマッチアップを制することができれば、高い位置からのボール奪取と波状攻撃の起点という2つの意味において大きい。

    ガブリエウに限らず守備陣は軽率なファウルはNG。いうまでもなく、ウォード=プラウズがいるからである。

    セントメリーズは相性の悪い難所ではあるが、ウーデゴール、サカ、ガブリエウを中心に既存戦力が十分な働きをしてくれれば勝ちは十分に見えてくるはず。トーマスとティアニーの代役問題にばかりフォーカスが当たっているが、まずは主軸がパフォーマンスを戻せなければ話にならない。

   これまでプレータイムが少なかった選手のパフォーマンスが上がらないのはある意味当然。ならば、彼らをプレーで引っ張るパフォーマンスを中心選手が見せるところから逆襲を始めたい。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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