解放されたモドリッチと奮闘するバスケス
今季のマドリーの基本陣形は常に表しにくいがおそらくこれは4-4-2でいいのだろう。普段であれば左の大外に入るベリンガムが保持においてはフリーマンとなることが多いイメージの今季のマドリーだが、この試合ではその役割はモドリッチに与えられた感がある。
基本的にマドリーは「ずっと俺のターン」という形でビジャレアルから主導権を握る。コンパクトだがバックラインにプレスをかけてこない4-4-2に対して、外側のブロックからの崩しを志向しつつ、即時奪回でボールを奪い返す。
ビジャレアルは8分のようにオールコートマンツーを外せたときはチャンスを作ることができていた。だが、そうした機会は稀。基本的には試合はマドリーの支配下にあったといっていいだろう。
中央の3人目、もしくは逆サイドへの出張を許されているモドリッチは+1役としてピッチを自由に動く。普段この役回りのベリンガムはロドリゴと交代しながらどちらかは左の大外で勝負する役割を与えられていた。
4-4-2で噛み合わせたマドリーは非保持においてはオールコートマンツーで対応。ただ、モドリッチのマーカーは左のSBのペドラサではなく、マンディや左サイドに流れるCHだった。この辺りはビジャレアルのビルドアップの仕組みにより落とし込んだ形のマンツーになっているのかもしれない。ビジャレアルの普段がわからないので何ともいえないけども。
このフリーマン役のモドリッチをサポートしていたのは同サイドでSBを行っていたルーカス・バスケス。モドリッチが逃がしたペドラサの捕食、そして保持においては右の大外レーンを1人で賄う役を行う。モドリッチの解放はバスケスの広いカバー範囲とセットであった。
この右サイドからマドリーは先制。大外のバスケスからのパスから虚を突いたタイミングでクロスを入れたモドリッチによりベリンガムのゴールが生まれた。ビジャレアルとしてはタイミングを外されたとは言え、カプエも最終ラインに入った枚数は足りていただけにあっさりとした失点をしてしまったことは悔いが残る部分だろう。
さらにはセットプレーからロドリゴが追加点を入れたマドリー。ビジャレアルは2点差がついてようやくボールを持てるフェーズとなった。
後半は2点のビハインドを抱えたビジャレアルがボールを持つスタート。マドリーも保持になればゆったりとするため、互いのバックスにプレッシャーがかからない状態が続く。
そうした状況を変えたのがビジャレアルのカウンターからの追撃弾。縦パスを2つつないでのモラレスのゴールはそこしかないルートを繋ぎきってのもの。マドリーとしては一瞬のスキをつかれた失点となった。
ビジャレアルに流れかねない主導権をあっさりと取り返したのはブラヒム・ディアス。圧倒的ソリストとしての破壊力を見せつけてカウンターを一人で完結。再びベルナベウの空気をマドリー側に引き寄せる。
終わってみれば最後は4-1。最後はプレスからモドリッチが追加点を仕留めて大量得点差でマドリーが勝利。一瞬のスキを見せた失点を除けば完璧な試合運びだったといえるだろう。
ひとこと
前半のずっと俺のターンから2点を取り切っちゃうのはマドリーの強さだなと思う。
試合結果
2023.12.17
ラ・リーガ
第17節
レアル・マドリー 4-1 ビジャレアル
エスタディオ・サンチャゴ・ベルナベウ
【得点者】
RMA:25’ ベリンガム, 37‘ ロドリゴ, 64’ ディアス, 68‘ モドリッチ
VIL:54’ モラレス
主審:フィゲロア・バスケス
