勝者も敗者も欲しいものを手にした最終節
山東泰山の予習シリーズ開幕。まずはDAZNに残っていたACL最終節である。前提としておきたいのは両チームの突破条件。山東は4点差で負けなければ突破が決まり、横浜FMは裏のカードが絡みつつも複数得点が必要が状況だったようである。
そういうところを加味しなくてはならないが、山東のフォーメーションは5-4-1。ただし、ガチガチのリトリートブロックではなく、ある程度高い位置でのライン設定により、相手を捕まえる意識を見せていた。
山東の守備の特徴は捕まえるところがハッキリしていたこと。CHの渡辺、喜田にはシャドーがマンツー。降りていく2列目にはワイドのCBがついていく形で追いかけ回していた。その代わりバックスは明確に放置。横浜FMは自由に持てるCBから降りてくる前線に縦パスをつけて、ワンツーからマークを外して行こうとするが、山東の守備も粘り強くなかなかズレを作ることができない。
序盤はボールを持たない山東の方が効率的にチャンスを作っていたと言えるだろう。トップのクリサンは左右に動きながらボールを収めて、ロングボールから味方の陣形を押し上げていく。特に右サイドは劉彬彬と李海龍の2人がトランジッションで存在感があり、縦に抉ってからクロスを上げることができていた。
20分になると徐々に横浜FMがチャンスを作っていく。ポイントになっていたのはエウベルの降りるアクション。序盤よりもさらに極端に移動を大きくすることでマーカーを振り切ることに成功。ここからの大きな展開で縦に速い攻撃を仕掛けていく。この時間帯になると、山東の守備はターンに対する決めうちが目立ち、横浜FMに反転を許して簡単に前進を許してしまう場面も目立つように。
セットプレーと手荒いファウルで流れを寸断するなど山東も踏ん張っていたが、前半終了間際に守備が決壊。降りたマテウスにより、縦に速い攻撃が開通。エウベルが擬似カウンターの終点を務めてハーフタイム直前に先行する。
先に述べたようにもっと得点を取らなくてはいけない横浜FMと大量失点さえしなければOKの山東。前半終了間際の先制点は特に後半の頭の戦況には影響を与えなかった。
横浜FMが欲しかった追加点を奪うのにそこまで時間は掛からなかった。列を上げた喜田が縦パスを引き出すことに成功すると、ここから攻撃を加速。最後をロペスが仕留めて2点目を仕留める。
さらには前半のコピーのような形で追加点。今度は降りる役がエウベルで仕留める役がマテウス。前半と役割を入れ替えた擬似カウンターで3点目を決めた横浜FM。試合の勝敗はこれで完全に決着である。
山東からすれば土俵際。このままでも突破できる横浜FM的には情けを見せてもおかしくない展開ではあったが、交代でギラギラしていた西村をはじめ、どう見てもこういう交渉が通じる相手ではない。山東のファンは最後までヒヤヒヤしたことだろう。
しかしながら、結果的に4点目は生まれずに試合は終了。勝った横浜FMも負けた山東も揃って突破を決めることなった。
ひとこと
この日の突破条件や冬の市場を考えると、山東がノックアウトラウンドでどこまでこの日のプランを踏襲するかはわからないが、1点目と3点目の擬似カウンターのような形は川崎も攻略に使えそうな予感がする。
試合結果
2023.12.13
AFCチャンピオンズリーグ
Group G 第6節
横浜F・マリノス 3-0 山東泰山
横浜国際総合競技場
【得点者】
横浜FM:45+4‘ エウベル, 57’ ロペス, 64‘ マテウス
主審:シバコーン・プードン
