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「コパアメリカ2021 チーム別まとめ」~ペルー代表編~

目次

チーム情報

監督:リカルド・ガレカ
FIFAランキング:27位
W杯2018⇒予選敗退
コパアメリカ2019⇒準優勝

招集メンバー

GK
1 Pedro Gallese
12 Carlos Cáceda
21 José Carvallo

DF
2 Luis Abram
22 Alexander Callens
4 Anderson Santamaría
5 Miguel Araujo
25 Renzo Garcés
15 Christian Ramos
6 Miguel Trauco
16 Marcos López
3 Aldo Corzo
26 Jhilmar Lora

MF
13 Renato Tapia
14 Wilder Cartagena
19 Yoshimar Yotún
23 Alexis Arias
7 Martín Távara
10 Christian Cueva
8 Sergio Peña
24 Raziel García

FW
18 André Carrillo
20 Santiago Ormeño
9 Gianluca Lapadula
11 Alex Valera
17 Luis Iberico

各試合振り返り

GS第2節 ブラジル戦

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■自由度をもたらす2トップ

 初戦でベネズエラを粉砕し、好発進を決めたブラジル。続いての対戦は2節目からの登場になるペルーである。ペルーは4試合連続で戦わないといけないローテである上に、初戦がブラジルという踏んだり蹴ったりな日程である。あと、背番号の視認性が悪すぎるので、正直誰が誰だかさっぱりわからない。なので個人がどうとかが全然わからん。ごめんね。

 試合は当然立ち上がりからブラジルペース。ベースポジションの4-4-2からあまり大きな変形はないのだが、自由度をもたらしているのは前方の2トップ。ネイマールとガブリエル・バルボーサは上下横に幅広く動ける裁量を与えられている。ブラジルのビルドアップにアクセントをつけるのは彼らである。

 特に圧巻なのはネイマール。普通は降りる動きをしてしまうと、ゴールから遠ざかってしまうのだが降りて、攻撃を加速させてゴール前にまで突撃できるのだからさすが。運べる中盤は優秀だが、降りて運んで加速させ自らがPAに突撃できる選手はスーパーである。先制点のシーンは降りたネイマールのスルーから加速。一気にゴールまでこぎつけた。

 ペルーは右のSBを上げる3-2-5気味の変形でブラジルに対抗。意外とゆっくりつなぐのが特徴である。攻撃はトップのラパドゥーラへのポストを中心に前進を狙う。しかし、サイドからの前進が停滞。2列目の横スライドをサボらないブラジルの中盤を飛び越すことができず。前進の精度でブラジルとは差があった。

 1点リードで迎えた後半。ブラジルはより直線的な攻撃での完結を狙う。途中から4-1-4-1に変更したペルーの中盤をポゼッションで釣れたと判断した際には、DF-MF間に縦パスを入れて一気に加速。後方からCHやSBもフォローに入り、中央を一気に陥れた。

 ネイマールは後半も躍動。はっきり言って何にも引き付けつつ自在にファウルを取る姿はやばい。PKこそVARサポートで取り消しされたものの、そのうっ憤を晴らすかのように直後に豪快な得点を決めてみせた。後半のペルーはブラジルに前半以上に気圧されてしまった。開幕戦での惨敗は仕方ないだろう。2試合目以降の巻き返しに期待したい。

試合結果
ブラジル 4-0 ペルー
エスタディオ・ニウトン・サントス
【得点者】
BRA:11′ サンドロ, 67′ ネイマール, 88′ エヴェルトン・リベイロ, 90+2′ リシャルリソン
主審:パトリシオ・ロースタウ

GS第3節 コロンビア戦

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■堅実なセンターラインが勝利を呼ぶ

 前節は勝ち点3を奪えなかったチーム同士の対戦。ベネズエラの5-4-1の壁を崩せなかったコロンビアにとってはどうしても落としたくない一戦だし、ブラジルにぺしゃんこにされたペルーとしては仕切り直しの再スタートを図りたい試合となる。

 試合はトランジッションが少ない丁寧な試合となった。攻めの局面においてやや優勢だったのはペルーの方だろうか。コロンビアのプレスをいなしながら左右にボールを振る。後方低い位置からサイドに振りつつ、狙うのはCHコンビにボールを入れること。

    ブラジル相手にはさすがに持ち味を出せなかったが、タピアとジョトゥンの両CHは非常に優秀。短いパスでリズムを整えること、薄いサイドにフィードを飛ばすこと、縦にボールを入れること。いずれもこなすことができる。

 特にレフティのジョトゥンは非常に印象的だった。16分の先制点のシーンにおいても、彼のミドルがポストをとらえたことがきっかけだった。ミドルも素晴らしかったが、ジョトゥンが無理なくシュートを撃てる位置まで押し上げられているというのもよかった。ペルーのそれ以前のビルドアップがうまくいっている証左であり、それが結実した先制点といっていいだろう。嵐のような派手な攻撃力はないものの、丁寧に前に進む堅実な攻撃をするチームという印象を持った。

 コロンビアのメンバー表で目立ったのはSHに起用されているサパタ。普段は間受けが得意なカルドナを置いているこのポジションに、ダイナミズムと推進力のあるサパタを起用する。狙ったのはより早い展開だろう。それでも、試合全体のテンポがそこまで上がらなかったということを踏まえると、コロンビアペースに転がった試合とはいいがたいだろう。

 同点ゴールのシーンではボルハのスピードが活きた場面であり、アスリート能力重視の人選が結果を出さなかったわけではない。だが、トップ下に起用されたカルドナは完全に消えてしまった感。はじめから欲しい位置に立たせると受けられないという典型例のように思えた。スピードを生かした突破もブロックが間に合ってしまう場面では効果が薄く、ペルーを切り崩せるシーンは少なかった。

 追いつかれたペルーは後半も丁寧な攻め口でチャンスを堅実に作る。縦パスを入れるCH陣も優秀だが、受けるCFも優秀。ラパドゥーラはポストを受けに降りるタイミングとゴール前に張る場面の使い分けが非常に上手。勝ち越しゴールとなるCKはラパドゥーラのポストをきっかけに前進した場面だった。

 センターラインを使った地道な前進で終始コロンビアを苦しめたペルー。見事なリスタートを決めて、大会初勝利を飾った。

試合結果
コロンビア 1-2 ペルー
エスタディオ・オリンピコ・ペドロ・ルドビコ
【得点者】
COL:51′(PK) ボルハ
PER:16′ ペーニャ, 64′ ミナ(OG)
主審:エステバン・オストジッチ

GS第4節 エクアドル戦

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■懸念が表出し決めきれなかったエクアドル

 互いにまだ突破が危うい状況での負けられない一戦。特に、最終節でブラジルとの試合を控えているエクアドルにとっては何とかして突破を決めておきたいはずである。

 立ち上がりから押し込む機会が多かったのはエクアドル。右サイドを軸とした突破を狙い、ペルーを敵陣に追いやる。ペルーの守備の原則はマンマーク。特に中盤はこの志向が強かった。

 エクアドルが生んだ先制点はこのペルーの原則を見事に外した形。プレシアードが降りることがきっかけで、浮いたカイセドがマーカーから離れるようにしてボールを受けると、その動きに呼応して大外からエストゥピニャンがオーバーラップ。マンマークの隙をついた大外突撃から、最後は絞り気味だったフランコが入り込む。最後はOGだったが見事な崩しだった。

 ペルーは前節はCHを軸とした保持から支配するきれいな試合運びを見せたが、この日はCHに時間を与えることができず。全体を押し上げながらポゼッションする機会は稀。ラパドゥーラがカウンターの担い手となるが、機会はどうしても限られていた。セットプレーで前半終了間際にエクアドルが追加点を奪った際はかなり厳しい状況になったかと思えた。

 しかし、後半はペルーが反撃。クエバの中央でのタメからラパドゥーラが1点を返すと、試合は一気にオープンに。その中で見られたのはエクアドルの守備陣の怪しい対応である。その懸念はオープンな状況で顕在化する。インカピエとアルボレダのCBコンビをラパドゥーラが置き去りにして独走。最後は2対1の状況からカリージョにアシストを決めて同点になる。

 その後はエクアドルが高さを軸にペルーに圧力をかけていく形が続く。だが、時折見せるバックスの広いスペース管理の危うさからエクアドルの失点の匂いもしなかったわけではない。

 激しいゴール前の肉弾戦から欲しかった追加点が手に入らなかったエクアドル。突破を賭けたブラジル戦という厳しい最終節を迎えることになってしまった。

試合結果
エクアドル 2-2 ペルー
エスタディオ・オリンピコ・ペドロ・ルドビコ
【得点者】
ECU:23′ タピア(OG), 45+3′ プレシアード
PER:48′ ラパドゥーラ, 53′ カリージョ
主審:ヘスス・ヒル・マンサーノ

GS第5節 ベネズエラ戦

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■初陣の選手で臨む賭けは

 大会直前で選手8人がコロナウイルス陽性反応。慌てて自国から15人の選手を新たに呼び寄せるなど完全にバタバタだったベネズエラ。グループステージでは明らかに弱者の戦いを強いられたものの、驚異的な粘りでコロンビアなど格上から勝ち点を奪ってきた。しかし、粘り切ることはできても勝ち切ることができないベネズエラ。攻撃に打って出ても、なかなか得点を得ることができないことが課題となって立ちはだかっている。

 対するペルーも他会場の結果次第ではまだ敗退の可能性がある状況。内容的には悪くないサッカーが続いているが、少なくとも引き分け以上で突破を決めたいところである。

 ベネズエラはこの試合に向けて大幅にメンバーを入れ替えてきた。パパっとtransfermarktを見てみると、今回スタメン入りした選手たちは大会前にの代表戦には出場していた選手たちばかり。おそらくなのだけど、コロナの影響で隔離していた選手たちを戻したということなのだろう。

 ベネズエラは保持をしながらペルーのプレスの合間をかいくぐりながら前進を試みる。しかしながら、なかなか相手のゴール前にはたどり着ける状況にはない。これまでは右サイドのゴンサレスとマルティネスを軸に推進してきたが、彼らはこの日はベンチ。攻め手がハッキリしない分どこから進むかがぼやけた印象を受けた。それだけに17分に右サイドから進んで得たコルドバの決定機は決めたかったところ。あとは押し込むだけだったのに。

 時間が経つとともに主導権はペルーに。ベネズエラは高い位置から止めに行くものの、保持の部分で力があるペルーはプレスをいなしながらスイスイ進む。これまでのベネズエラは撤退型の5-4-1を主体としてきたが、さすがにそれだけでは勝利は遠いと感じたのだろう。だが、結局高い位置からは止められず、ずるずるとラインを下げてしまうことが多かった。

 その結果、ライン間の適正な距離を保てないベネズエラ。ペルーは同サイドを打ち破りながらラインを押し下げる動きを増やしていく。押し込む時間が増えたペルーは後半にセットプレーから先制する。

 困り果てたのはベネズエラ。保持における武器も定まらない。かつ、高い位置で相手を止めることもできない。大会初戦となる選手たちを入れ替えて投入したベネズエラの賭けは事態を好転させることはなし。グループステージを盛り上げたが、残念ながらここで敗退となってしまった。

試合結果
ベネズエラ 0-1 ペルー
マネガリンチャ・スタジアム
【得点者】
PER:47′ カリージョ
主審:パトリシオ・ロースタウ

Quarter-final パラグアイ戦

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■因果と運の第1試合

 決勝トーナメントの第一ラウンドは伏兵同士の一戦。保持の巧さを見せたペルーと、手堅さで挑んだパラグアイの対決である。

 序盤は試合は全く落ち着かなかった。立ち上がりから6分でファウルは8回。この数字だけでピッチ上のバタバタ感が伝わってくるようである。試合はどちらのものともいえなかった。どちらかと言えば、これに困ったのはペルーだろう。グループステージの4-2-3-1から変更した4-1-4-1の形は彼らの得意な保持にやや傾倒したフォーメーションだろう。彼らは保持の時間を長くして、試合の展開を落ち着かせたかったはずだ。

 それが叶わなくておいしかったパラグアイが先制。セットプレーから高さのミスマッチを利用して叩きこむ。落ち着かない展開の中で試合の主導権もなんとか握っていたといっていいだろう。特に刺さったのはカルドソ・ルセーナとビジャサンティのCHコンビの防波堤。ここがボール回収の起点となり、ショートカウンターの発動元となる。保持の部分でもサンチェスが中盤に下がり、安定化を図るパラグアイだった。

 一方のペルーもパラグアイの中盤の防波堤さえ越えればチャンスは引き寄せられていた。頻度こそ少ないものの、サイドから突破したカリージョからラパドゥーラの得点で追いつく。ペルーの真骨頂だったのは2点目。縦に間を揺さぶりながら、間受けで楔を引き出しパスをつないだビューティフルゴール。彼らの良さが詰まった逆転弾となった。

 いいスタートを切ったものの、逆転まで許してしまったパラグアイ。前半終了間際にはきわどい判定でゴメスがレッドカードを受けるなど、やや恵まれない形で前半を終える。

 後半は割り切ったパラグアイがショートパスとロングパスを織り交ぜながらガンガン前進。振り切った形でぺルーに圧力をかけていく。すると、前半と同じくセットプレーから同点。パラグアイ、これくらいできるなら11人の時からやればよかったのにな。

 数的優位を得たペルーは2トップに切り替えて前線の枚数を増やす。しかし、これが逆効果。間受けのパスのつなぎの連続が見られなくなり、持ち味であるショートパスでの崩しが見られなくなってしまう。サッカーって難しいね。

 パラグアイの猛攻も落ち着き、互角の展開になった後半で得点を得たのはペルー。リフレクションというやや幸運な形で勝ち越し点をゲットする。これで10人相手に逃げ切れると思いきや、85分にカリージョが退場してペルーも10人に。割り切って2トップにして放り込みを始めるパラグアイに主導権が移る。

    同点ゴールとなるロングボールを落として粘ったサムディオの投入は効いた。サムディオの落としを受けたサイドは直前にカリージョが退場しているサイド。こういう因果はあるあるである。

 10人同士の3-3という死闘で迎えたPK戦。互いに決まらないヒリヒリする展開が続く中で勝利したのはペルー。展開が二転三転する難しい試合を制し、ベスト8に進出した。

試合結果
ペルー 3-3(PK:4-3) パラグアイ
エスタディオ・オリンピコ・ペドロ・ルドビコ
【得点者】
PER:21′ ゴメス(OG),40′ ラパドゥーラ,80‘ ジョトゥン
PAR:11′ ゴメス, 54’ アロンソ, 90‘ アバロス
主審:エステバン・オストジッチ

Semi-final ブラジル戦

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■頻度なんて不要

 これまで、ブラジルと対峙してきた多くのチームと同じくペルーもある程度引きながらブラジルの攻撃を受け止める様相だった。したがって、ブラジルがペルーが敷いた5-4-1ブロックにどのように挑むかという部分が見どころになる。

 これまでのブラジルは割とネイマールが自由に動き回るところに、周りのメンバーが合わせるような形が多かった。だが、この試合においては比較的配置から決めていった感じがする。大外を担当するのが左サイドはSBのロディ、右はSHのエヴェルトンである。ちょっとアシメ。

 その分左のSHであるリシャルリソンはトップの位置まで絞って入り込んでくる。これまでのブラジルは縦方向に動き回るネイマールを基準に破壊していくイメージだった。これにパケタが加わったコンビネーションで崩したのがチリ戦である。ペルー戦のアプローチはこの動き回る人数を増やすことで、中央で上下動する乱数を増やし、ペルーのブロックを中央からかち割ろうというものだったように思う。ネイマールに加えてリシャルリソン、フレッジ、パケタが上下動を繰り返す役である。

 それでもチャンスクリエイトの頻度は物足りなかった。ペルーは押し込まれてしまい、プレスでもビルドアップでも頼みの綱という部分は作り切れなかったが、それでもブラジルがチャンスを作りまくる!という感じではなかった。

 そんな中で頻度が足りなくても質があればいい!としてしまう男が。もちろんネイマールである。彼が4人を引き付けることでブラジルは一気に課題を解決。チリ戦と同じくパケタが叩き込み、先制点を挙げる。なんて理不尽な。

 後半、意を決したペルーは4バックに移行。徐々に前に出ていけるように。勇気を出してつなぐ意識を見せたペルーに対して、ブラジルは中盤のスペースの間延びが目立つように。ペルーはスペースさえあればビルドアップで前進できることはここまでの大会で証明してきているのだが、ブラジル相手にもその姿を見ることが出来た。

 攻撃を受ける機会が増えてきてしまったブラジルは攻撃面でCHっぽいふるまいをしていたパケタを守備においてもCHとして起用し、4-5-1で迎え撃つ。この変更でブラジルは落ち着いてペルーの攻撃を受けることが出来るようになったと思う。

    終盤はペルーも4-5-1にしたが、この一手は活性化にはつながらず。前のラウンドと同じくパケタの先制点を守り切ったブラジルがペルーの挑戦を退けて決勝に駒を進めることになった。

試合結果
ブラジル 1-0 ペルー
エスタディオ・ニウトン・サントス
【得点者】
BRA:34′ パケタ
主審:ロベルト・トバル

3位決定戦 コロンビア戦

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■らしさ全体の正面衝突

 共に持ち味が十分に出たスリリングな3位決定戦。より積極的な作戦に出たのはコロンビアの方。アルゼンチン相手にも効いていた両SHの元気さは据え置き。ルイス・ディアスとクアドラードは今日も元気に走り回っていた。4-4-2ながらSBがあまりSHにサポートに行かないのも彼らの特徴の1つ。近寄ってマークを引き寄せてしまうよりはなるべく広いスペースを与えて暴れまわってもらった方がお得!という算段なのだろう。

 前線ではサパタが相変わらず収まるし、カルドナの間受けも健在。サイドに散らす役割は彼らが担うことになる。特にサパタの存在はペルーに対して非常に脅威になったはずである。

 プレッシングに関しては高い位置からSBを食い止めるためにSHも積極的に高い位置を取っていくコロンビア。ここ数試合は相手との力関係もあり、あまり攻撃的なスタイルが全開というわけにはいかなかったが、この試合では持ち味を十分に出せていたと思う。

 対するペルーはやや慎重な入り。強力な個を有するコロンビアを前に撤退気味。特にSHが後方に構えることもいとわない6バック化も視野に入れる形でサイドの手当てを入念に行った。

 ただし、ペルーも保持の部分はGSで見せた良さがよく出ていた。CFに収まるのはこちらも同じ。前線の起点としてラパドゥーラのポストはよく効いていた。相変わらずつなぎの華麗さはさすがで、司令塔のジョトゥンを中心にペーニャとカリージョで右サイドにボールを流しながら徐々に押し上げていく。

 らしさ全開で先制したのは押し込まれる機会が多かったペルーの方。丁寧につないだロングカウンターでサイドを横断すると、最後は攻めあがったジョトゥンが押し込む。ペーニャの低い位置でのボールキープからの加速が秀逸で、低い位置からつなぐペルーの哲学を体現した得点となった。

 コロンビアのビハインドで迎えた後半はより激しい展開に。クアドラードのFKで開始直後に追いつくと、そこからは試合はオープンな展開に。となるとルイス・ディアス劇場の開幕である。アルゼンチン戦でも見せた長いパス一本で抜け出してからの独走フィニッシュで勝ち越しゴールをゲット。

 ペルーも一度はセットプレーから追いつくが、後半追加タイムにルイス・ディアスは再び大仕事。正直、細かいタッチは流れたが、横のドリブルでシュートコースをわずかに作り出すと外に逃げるミドルシュートで強引に打ち破って見せた。

 激流のような後半戦はノックアウトラウンドで絶好調だったルイス・ディアスが主役。3位決定戦らしいすがすがしい試合で最後に話題をかっさらっていった。

試合結果
コロンビア 3-2 ペルー
マネガリンチャ・スタジアム
【得点者】
COL:49′ クアドラード, 66′ 90+4′ ディアス
PER:45′ ジョトゥン, 82′ ラパドゥーラ
主審:ラファエル・クラウス

大会総括

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■貫くスタイルは相手を選ばず通用

 個人的には今大会でもっとも驚いた存在だった。正直、これまでまともにコパアメリカを見てこなかったせいで、あまり前回優勝のペルーに強烈なイメージはなかったのだけど、このチームは強いチームだなと思った。

 グループステージは第2節から登場しての4連戦で日程的にもやや不利。初戦のブラジルに大敗した時は正直厳しいグループステージになるかと思った。だが、2試合目のコロンビア戦からは持ち味を発揮。ショートパスをつなぐスタイルでコロンビア相手に試合を優位に進め初勝利。その後は手堅い試合で着実に勝ち点を積み重ねていく形でグループステージは危なげなく突破を決めた。

 強豪相手にはサイドの選手が低い位置を取るなど、守備的な措置を取ることもあったが、攻撃面でもつなぎの部分は今大会でも屈指の存在だった。最終ラインからのつなぎという部分で大会でも一番といってもいいくらいだろう。両CHのジョトゥンとタピアを軸にリズムを刻みながら前進していく形は魅力的スタイルを有している南米の強豪の中でも、特に目を引くものだった。その両CHを支えるのは前線のタレント。キープ力を活かして降りても働けるペーニャ、高い位置で起点になれる運び屋のカリージョもペルーのつなぐスタイルをしっかりと下支えできるタレントといえる。

 そして、ラパドゥーラ。チームを支えるエースはつなぎにおいてもフィニッシュにおいても高い貢献度を示す存在。あまり苦手な展開というものがなく、早い展開でもゆっくりとしたつなぎでも活躍できるため、チームが苦しい時においても前線で体を張って孤軍奮闘する場面も見られた。

 さすがに強豪相手に押し下げられてしまった時は苦しい戦いになることもあった。それでも自陣からつないでいくスタイルは貫き通しながら戦うことができた。流れに乗ることができた時間帯においては、ブラジル相手にも主導権を握ることができるポテンシャルは立派である。クラブチームと見まがうような完成度の高さはぜひ来年のワールドカップで再び世界に披露してほしいところだが。

頑張った選手⇒ジョシマール・ジョトゥン
 いやー、いい選手。個人的には今大会最大の発見といってもいいくらい。左利きのリズムを刻める司令塔で超好きなタイプ。攻めあがって得点も取ることができるタイプ。もっとたくさん試合を見たい選手。

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