左サイドを狙い撃ちしたドルトムントが再逆転での勝ち抜けを果たす
ホームで先勝したアトレティコ。1点のアドバンテージを得ている形で敵地に乗り込んでのリターンレグを迎える。
ボールを持つのはホームのドルトムント。後方は2人のCBとSB+アンカーの2-3型のビルドアップをベースにショートパスから敵陣に繋いでいく。ロスト後は即時カウンターからボールを奪い返しにいくスタイル。いかにも保持型のチームという形の振る舞いを見せた。
一方のアトレティコは5-3-2でのリトリートをベースにしつつ、2トップが先導するプレッシングからギアアップ。WBと3センターを引きつれられる形でプレスに出ていく。この辺りは1stレグの2匹目の土壌を狙っている感があった。
ただし、トランジッションの成分を強めるとドルトムントにもチャンスがある。中盤でオープンな形になったり、あるいはフュルクルクにボールが収まったりすると、ここから左のエスジャンの抜け出しから敵陣にスピードに乗った状態で進んでいく。アトレティコのボックス内の守備はさすがの強度。特に左サイドでおそらくこの役割の特命を受けているであろうアスピリクエタの絞りは素晴らしかった。
逆にアトレティコの加速はライン間のグリーズマンがキーマン。モラタの落としか、ドルトムントのIHが前に出てきた時のアンカー脇から直接縦パスを受けるなどから攻撃に出ていく。ただ、この動きに呼応する後方の動きはややドルトムントに比べると鈍く、この点が攻撃のスピードアップした時の迫力として差になっているように思えた。
30分付近になるとドルトムントが押し込むフェーズに。アタッキングサードでは縦パスとマイナスのパスをテンポよく組み合わせながらアトレティコのDFラインに上下動することを強いていた。この駆け引きが実ったのが34分。抜け出す形になったブラントが角度のないところからゴールを打ち抜きついにトータルスコアで追いつく。
さらには前半のうちにドルトムントは逆転。またしても左サイド。ザビッツァーのフリーランで侵入してきたマートセンが同じく角度のないところからシュートを打ち込んで見せた。
試合は45分でホームのドルトムントが逆転。立場が一変した形でハーフタイムを迎える。
追いかける形となったアトレティコは3枚交代を敢行。WBをアスピリクエタからリケルメにスイッチしたことを始めとして点をとりに行くための交代を行う。保持でピッチを広く使いつつ、ハイプレスで敵陣からのボール回収に挑むアトレティコ。後半の頭は支配的な振る舞いを見せる。
すると左サイドの交代トリオがグリーズマンと絡みながら敵陣に運ぶことに成功。ここからのセットプレーでエルモソがオウンゴールを誘発する。
以降も優勢だったのはアトレティコ。サイドにボールを散らしつつ、不意のコケの縦パスからなどから一気に進撃。このコケの縦パスからの決定機を仕留めきれなかったコレアだったが、直後のプレーでゴールをゲット。粘りに粘ってなんとかシュートをゴールに捩じ込んでみせた。これでトータルスコアは逆転となる。
リードをされたドルトムントはもう一度保持から整え直すことでアトレティコとの主導権の綱引きを開始。ゆったりした保持からの切り崩しに挑むと共に左サイドにはバイノー=ギッテンスという飛び道具を投入。これで速攻でもやれる形を作っていく。
しかしながら、ドルトムントを助けたのは原点回帰の左サイドの崩し。裏に抜けたブラントへのリアクションがワンテンポ遅れたのがアトレティコにとって致命的だったこと。クロスを上げる隙を許すと、インサイドで待ち構えていたフュルクルクがこれを仕留めて再び試合を振り出しに戻す。
勢いに乗ったドルトムントはそのまま一気呵成に攻めムード。人数をかけたボックス付近の攻撃をザビッツァーのミドルで完結させて逆転。わずかな時間での再逆転に成功する。
リードを得たドルトムントは保持をベースに時間を潰す。アトレティコにはもうプレスに行く足もカウンターに出ていく足も残っていなかった様子。逆に押し込むドルトムントが迎える決定機をオブラクがなんとか食い止めるシーンが目立つようになっていた。
一度はホームで手放した次ラウンド進出の権利をなんとか取り返したドルトムント。とてもよく刺さった保持ベースでのプランが奏功し、逆転でのベスト4進出を果たした。
ひとこと
前半の2失点しかり、3失点目のポケット潰ししかりやはりアトレティコはちょっとらしくなかったかなという感じ。右サイドの守備ユニットは普段と比べると凄みが足りなかったように見えた。
試合結果
2024.4.16
UEFAチャンピオンズリーグ
Quarter-final 2nd leg
ドルトムント 4-2(AGG:5-4) アトレティコ・マドリー
BVBシュタディオン・ドルトムント
【得点者】
BVB:34′ ブラント, 39′ マートセン, 71′ フュルクルク, 74′ ザビッツァー
AMA:49′ フンメルス(OG), 64′ コレア
主審:スラフコ・ビンチッチ
