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「やりたいことこそやらせない」~2021.5.26 J1 第16節 湘南ベルマーレ×川崎フロンターレ BBC風オカルトプレビュー

 このプレビューは対戦カードの過去の因縁やジンクスを掘り起こして、試合をより一層楽しむための物です。

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第16節
2021.5.26
湘南ベルマーレ(14位/3勝6分6敗/勝ち点15/得点13/失点16)
×
川崎フロンターレ(1位/15勝3分0敗/勝ち点48/得点46/失点13)
@レモンガススタジアム平塚

戦績

近年の対戦成績

図1

直近10回の対戦で湘南の1勝、川崎の6勝、引き分けが3つ。

湘南ホームでの戦績

図2

直近10試合で湘南の1勝、川崎の5勝。

Head-to-head

<Head-to-head>
・直近9試合の公式戦における湘南戦において川崎は無敗(W6,D3)
・川崎戦は湘南とのリーグ戦は4連勝中。
・湘南は直近3年のホーム川崎戦でノーゴール。
・水曜日のリーグでの対戦は過去に2回。いずれの試合においても川崎は湘南に勝てていない(D1,L1)

 あまり得意なイメージがあるサポーターは多くないかもしれないが、ここ数年の川崎は湘南相手に負けていない。一昔前までは勝ちと引き分けの繰り返しだったが、ここ2年は4連勝中。J1での対戦においては川崎にとって最も長いランでの連勝となった。

 特に湘南のホームでは直近3年連続で川崎がクリーンシートを達成しており絶好調。唯一、気になるデータがあるとすれば過去に2回あったミッドウィークでのリーグ戦ではどちらも川崎が勝てていないこと。川崎キラーとして名高い高山薫の逆転ゴールが生まれた2013年の等々力と、終了間際のPKを秋元がストップした2018年の湘南での対戦ではどちらも川崎の勝利は阻まれている。

スカッド情報

【湘南ベルマーレ】

・堀田大暉は椎間板ヘルニアで欠場見込み。

【川崎フロンターレ】

・大島僚太は長期離脱中。
・山村和也は練習に合流済み。

予想スタメン

画像3

Match facts

【湘南ベルマーレ】

<湘南のMatch facts>
・昨年同じ時期と比べて勝ち点6多い。
・負ければ開幕戦以来のリーグ戦3連敗。
・ホームゲームでは今季ここまで1敗だけ。わずか2失点しかしてない。
・16失点はボトムハーフの中でG大阪に次いで少ない。
・谷晃生は今季のセーブ数が53本でリーグ最多。
・名古新太郎が得点を挙げたホームゲームは今季2戦全勝。

 序盤戦こそ連敗スタートで苦しんだが、初勝利と共に調子を徐々に取り戻す。それどころか名古屋や横浜FMという上位勢にも引き分けで勝ち点をもぎ取るなど、強い相手にも一泡吹かせている。

 際立つのが失点の少なさとホームゲームの成績。16失点というのはトップハーフにおいても遜色ない数字。クリーンシート6という数字もリーグ7位である。谷のセービング能力を生かしながら、しぶとくロースコアゲームに持ち込んでいる。特にホームゲームではここまで1敗でわずかに2失点。堅守に磨きがかかっている。得点をとれば必ず勝てるラッキーボーイ名古の得点を守り、勝利を掴むことが出来るだろうか。

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch facts>
・リーグ戦23試合連続無敗&得点記録を更新中。
・枠内シュートは今季ここまで112でリーグトップ。
・アウェイゲームは2試合連続クリーンシート中。
・アウェイゲームでは今季前半に得点を取られていない。
・ジョアン・シミッチは出場時のチーム平均失点が0.59でチーム最小
・三笘薫は自身初めてのリーグ戦4試合連続得点中。

 リーグ戦での連続得点記録と無敗記録は継続中。横浜FC戦でも相手のGKを苦しめたのは圧倒的な枠内シュートの多さ。112本という数字は断トツ1位。消化試合の関係を考慮した1試合平均の数字に直しても6.22本と2位の札幌を1.00以上上回っている。

 直近でいえばより堅実な数字を残しているのはアウェイゲーム。直近4試合でクリーンシートは3つと夏以降に控える遠征祭りにおいても頼もしい結果を残している。特にアウェイでの前半は今季ここまで無失点と抜きんでている成績だ。

 攻撃においては三笘の得点が好調、守備においてはシミッチの存在が頼もしく感じる今日この頃。ミッドウィークということでターンオーバーの可能性もあるが、その際は好調の両者を欠きながらどのように難敵湘南を退けるかは気になるところである。

展望

■イメージと違う湘南のスタイル

 正直、湘南は結構掴みづらいチームだなと思った。単純に直近の対戦相手が大分、横浜FC、湘南とちっとも川崎と被るところがないチームであることは一因ではあるとは思うけども。

 おそらくなのだが、この3試合のうち湘南がやりたいことが一番ピッチ上で表現されていたのは勝った大分戦だろう。プレッシャーの弱い大分相手ということもあり、保持も非保持も本来のやりたいことが出来た試合だったように思う。

 この試合を参考にまずはボール保持から見ていく。布陣は攻守ともに3-5-2である。中央のCBである石原広教、アンカーである中村の展開力を生かすのがスタート地点。彼らの長いパスから左右の幅を使い、ワイドに散らしながら前進を狙っていく。

 左右のワイドにおいては隣り合う選手と縦に並ばないような形を心掛けていた。5レーンとかいうけども、湘南のそれはもう少し各レーンの幅が狭く、数が多い状態かもしれない。いずれにしてもサイドにおいてはホルダーに合わせて、両サイドのレーンにいる選手たちが縦方向にボールと共に進んでいき、多角形の構築と破壊を繰り返すメカニズム。したがって、ホルダーへのサポートという点で厚みのある攻め上がりとなる。

画像4

 縦への移動は大きく、ワイドのCBである田中聡と舘は高い位置を取って攻撃参加することも多い。その分は同サイドでほかに落ちる選手を作ったり、あるいは中村が石原の後方をカバーしたりなど縦方向の関係を入れ替えたカバーリングも機能させている。

 縦への移動が大きい分、横のレーン交換の頻度は少なめ。アンカーの中村はボールサイドに寄りながら関与する割合が大きいホルダーのサポート役である。

 互いのポジションを見ながら全体の陣形が維持されているため、保持のメカニズムは整理されているように見えた。ただし、どこの相手にもこのような厚みのある保持で試合を進めるわけではない。例えば、相手からのプレッシャーが強い場合は積極的に縦に蹴る。ターゲットとなるのは2トップを形成する選手たち。湘南の前線にはまずターゲットマンとしての役割が求められる。

 もう1つ、湘南が自己都合でこの縦パスを増やすパターンがあるとすればウェリントンを使った場合である。このように主体的に選手起用でロングボールを増やしてくるケースもある。FWの選手たちは収まったらそこから左右に散らしつつ、先ほどの多角形アタックがスタートする。

 得点力が伸びないのはフィニッシュの部分がストライカーの特色を生かすところまで整備されきっていないからだろう。やはりここでも単純なクロスに強いウェリントンにぶち当てるのが一番強いように思う。

 大分戦では敵陣深い位置から積極的にプレッシングに行く様子が見られたが、それ以外の2試合ではホルダーにプレスがかからないとみるやあっさりと撤退したりなど、従来の何が何でもプレッシング!という湘南らしさという部分はそこまで感じない。

 相手に合わせながら撤退し、後方に数を揃えるパターンは結構多かった。これは相手をボールを持たせてもいい相手としているのか、自分たちが十分に押し上げられずに囲い込み切れないという判断からなのかはわからないけど。ただし、押し下げられると高さがあるわけではないのでじり貧感は否めないことは記しておきたい。

 まとめると、だいぶ幅の広いチームになったなと思った。リーグの中での力関係が少し厳しいチームは割と自分たちのスタイルにこだわりながら取れるところを取ったりとか、あるいは心中したりするイメージなのだけど、この湘南はそういった心中する感じは出ていなかった。相手に合わせながら自分たちのできることをやるというスタイルで立て直すケースっていうのはなかなか珍しいように思う。想像だけど、浮嶋監督はかなり選手から信頼されているのではないかなと。

■やりたいことでかかってこられる方が・・・・

 川崎がまず気を付けなければいけないのは縦へのスライドへの対応である。湘南の攻撃に多く見られる縦方向の受け渡しをまずははっきりさせたい。例えば、縦の位置の入れ替わりはマンマークでついていきますよ!とか。

 避けたいのは運動量の大きい川崎のインサイドハーフやSBだけが引っ張り出されてしまい、空いたスペースを使われてしまうこと。押し上げるのならば全体で。1人だけが動いてしまえば、湘南はその空いたスペースを使えるメカニズムは有している。

画像5

 あるいは川崎はシンプルに高い位置からプレスを高いインテンシティでかけることで、湘南に悠長につなぐ選択肢を与えないというのもありだろう。

 もう1つ、湘南のメソッドで警戒すべきはエアバトル。ここは川崎のCBの人選次第。正直、ウェリントンが出てくるならジェジエウは頭から使いたいが、鹿島戦と谷口不在の横浜FC戦は彼の先発が決定的なので、休ませるならばここしかない。ジェジエウは割と使い詰めすると、わかりやすく判断の部分の精度が落ちるので後ろの日程を考えるとここは休ませたい。山村が実戦起用できるまで回復していれば頭からでもいいと思うのだけど。

 攻撃において狙いたいのは横のドリブルである。湘南はリトリートした際の横方向の攻撃の制限が甘くなりやすく、ホルダーの横移動に対してボールウォッチャーになりやすい。ホルダーは横に移動しながら間に差し込むことを狙っていきたいところ。

 ここまでの数試合のように湘南が非常に現実的なチームで、リトリートとロングボールを軸に向かってきてくれるならば川崎目線でいえば好都合だと思う。共に武器ではあるけども、川崎としてはどちらも対応はできるレべルであるし、ハーフコートゲームに押し込みながらも攻めあぐねた試合というのはあまり多くない。押し込めるならば主導権は川崎に来るはずだ。

 一番嫌なのが湘南が相手を見ずに自分たちのやりたいことでぶつかってくること。ハイプレッシング主体で、相手からボールを取り上げて、支配的にふるまわれる方がはるかに怖い。やらせないために向かってくる湘南よりもやりたいことをやってくるために向かってくる湘南の方が個人的には不気味だ。相手がやりたいことは、こちらがやらせたくないこと。強度対決に引き込まれた時に相手に支配的なペースに持ち込まれない覚悟は欲しいところである。

【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)

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