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「Catch up Premier League」~Match week 32+α~ 2021.4.16-4.22

目次

①エバートン【8位】×トッテナム【7位】

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痛み分けの代償はエースの離脱

 上位をにらみ欧州カップ出場権の少し下に佇む両チームの対戦。どちらかといえばスムーズに攻撃をできていたのはエバートンの方か。中央に集まり気味のスパーズの陣形に対して、エバートンはサイドからボールを運ぶ。

    運んだあとはハメスやシグルズソンなどのキックの精度が高い選手たちにボールを集める。彼らから上がるクロスは巻くようにスペースに。キャルバート=ルーウィンが不在で高さが足りていないエバートンにとってはクロスを上げるにも工夫が必要。ハメスやシグルズソンはその工夫ができるキッカーである。ちなみに保持では降りるハメスを基準にほかの選手の配置がゆがむという風情だった。

 一方のスパーズはより堅いブロックと縦に早い動きを志向しての5-2-1-2だろう。しかしながら、アタッカーが少なかったことやサイドへの重心が高くなかったこと、ソンが捕まえられた際の加速が難しいことからやや停滞感があるようにも思えた。非保持は後方が3-4ブロックで構える形になるんだけど、CHのシソコがカバーできる範囲が少しずつ少なくなっているように思えるのは気がかりだった。

 したがってやや優勢かと思ったエバートンだが、非常に淡白な形で先制点を献上。クロスに対してCBが目測を誤り、クロスのターゲットとしてケインをどフリーに。スパーズで最も得点の可能性が高い形をわたしてしまったエバートンが先に失点を喫してしまった。

 一方のスパーズの1失点目も対応としてはお粗末。簡単にサイドでラインを下げられて空いたバイタルに入ったハメスをレギロンが後ろからアプローチして倒してしまう。接触の強度自体は微妙だがここにこのタイミングで入ってこられることが厳しい。

 同点で迎えた後半はさらにオープンに。前半は相手のドリブラーであるソンを止められたエバートンだったが、スピードに乗らせてしまえばエバートンのDF陣にとっては止めるのはハード。ズルズル後退をしてしまう。

 スパーズ側のバックスも相変わらずバタバタ。押し込んだ際の対応やスペース管理は枚数を増やしても不安定で、即時奪回が効かなくなってきてからは徐々に間延びした状況が続いていく。勝ち越し点のエバートンは何不自由なくパスをつなぎ、フィニッシャーのシグルズソンのシュートまでつつがない攻撃が行われた。

    対するスパーズの同点弾も再びエバートンのCBのクロス対応がちぐはぐなところから。こぼれ球とはいえ、ケインにはこの日2回目の絶好のチャンスが目の前に落ちてきた格好だ。両チームとも目につくのはダイナミックな攻撃よりも守備の拙さ。痛み分けという結果はフラットかもしれないが、終盤にケインが負傷したことを踏まえるとスパーズにはよりダメージが大きい引きわけになったかもしれない。

試合結果
エバートン 2-2 トッテナム
グディソン・パーク
【得点者】
EVE:31′(PK) 62′ シグルズソン
TOT:27′ 68′ ケイン 
主審:マイケル・オリバー

②ニューカッスル【17位】×ウェストハム【4位】

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■10人対11人のぶん殴り合い

 ウェストハムは今節は3バックを採用。FWの形は2トップ+トップ下の3枚でプレス隊を結成し、ニューカッスルに対してアンカーのシェルビーを消す形で対抗する。

 シェルビーを消されたニューカッスルは左右への展開力が失われるが、ウェストハムのプレス隊はナローだったので、ニューカッスルはサイドから比較的楽な形で前進することができた。サン=マクシマンは多少引いて受けたとしても、そこから前を向けさえすれば加速することが可能。加速されて突撃されるとウェストハムの守備陣はファウルでしか止めることしかできなくなってしまう。

 ただ、サイドからの前進ならウェストハムも行うことができた。5-3-2ならばサイドのスペースが空くのは同じであるからである。クロスから好機を伺うがアントニオ不在の前線にはクロスに合わせる能力が足りない。それどころか前に出てきた分、サン=マクシマンには格好の前進のスペースができる。

 そのサン=マクシマンの加速から先制点をえたニューカッスル。それに加えて、その一連のプレーの中でドーソンが退場し10人になるという先制点と数的優位を一気に手にしたニューカッスルであった。セットプレーからファビアンスキのミスで失点を重ねて最悪の形で前半を終える。

 後半はソーチェクとリンガード等中央の選手たちを根性で上下動させることで数的優位を打ち消そうとするウェストハム。後半も引き続きサン=マクシマンのカウンターが狙えるニューカッスルがチャンスを作るも、ラストパスの精度が合わずにスコアを動かすことができない。

 そうこうしている間にサン=マクシマンが下がると展開はウェストハムペースに。クロスから追撃弾とPKにつながるハンドを得て一気に同点になる。互いに中盤を交代でバシバシ攻撃的に仕上げていくと、試合はひたすら殴り合いになる。

 そんな中で決勝点を決めたのは投入された直後のウィロック。終盤の得点力は健在で、ニューカッスルの残留を大きく現実的にする決勝点をモノにする。一方のウェストハムは手痛い敗戦。それに加えてチームを牽引していたリンガードが負傷交代。単なる1敗以上にチームに暗い影を落とす敗戦にならなければいいが。

試合結果
ニューカッスル 3-2 ウェストハム
セント・ジェームズ・パーク
【得点者】
NEW:36′(OG) ディオプ, 41′ ジョエリントン, 82′ ウィロック
WHU:73′ ディオプ, 80′(PK) リンガード
主審:ケビン・フレンド

③ウォルバーハンプトン【12位】×シェフィールド・ユナイテッド【20位】

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■足りなかった部分は最後まで埋まらず

 開幕から継続してリーグテーブルの一番下から脱出できなかったシェフィールド・ユナイテッド。すでに大勢は決しているとはいえ、今節敗れてしまうと数字の上でもついに降格が決まってしまうことになる。

 今節の相手のウルブスはシェフィールド・ユナイテッドと同じく後ろが重たい5バックを採用した。3トップの一角であるポデンスは守備の際には中盤まで降りる。したがって形としては3CHに見える。中盤はかみ合わせるイメージである。よって攻撃陣に推進力を出せないシェフィールド・ユナイテッドはウルブスに対して前進ができず。試合は比較的重たい展開になった。

 ウルブスは保持におけるキーマンもポデンス。ウイングの片側であるネトがシーズン絶望の負傷を追っていることからボールサイドにポデンスを置くことで、ストロングサイドを形成。特にトラオレがいるサイドから攻め入ることが多かった。59分に得た先制点もポデンスを起点とした攻撃。トラオレがサイドを駆けあがり、最後に仕留めたのはウィリアン・ジョゼ。冬に加入した新FWがこの試合を決めた。

 大怪我のヒメネスの穴を埋めたこの日のウルブスと対照的にシェフィールド・ユナイテッドはシーズンを通してFWを定めることができなかった。この日スタメンだったブリュースターはウィリアン・ジョゼのように光り輝く働きを見せることを期待されていたはず。しかし、鳴り物入りで加入したストライカーはついに降格が決まるまでに一度もネットを揺らすことができず。同じくムゼもノーゴール。マクバーニーとバークはそれぞれ1ゴールとなれば降格は致し方ないだろう。

 彼らが埋めきれなかったピースが試合を決めたウルブスがシェフィールド・ユナイテッドの降格を正式に決定づける勝利を挙げた。

試合結果
ウォルバーハンプトン 1-0 シェフィールド・ユナイテッド
モリニュー・スタジアム
【得点者】
WOL:60′ ジョゼ
主審:ロベルト・ジョーンズ

④アーセナル【9位】×フルハム【18位】

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■苦手×苦手が向き合った終盤戦

 立ち上がりはアーセナルが押し込む展開。前3人のプレスからフルハムにボールを捨てさせると、そこから回収し波状攻撃を仕掛ける。しかしながら、シェフィールド・ユナイテッド戦やスラビア・プラハ戦の2ndレグと同じ形、違うメンバーで迎えた攻撃はスムーズにはいかず。

 特に中盤のトーマス⇒エルネニーの変更は影響が大きく、サイドチェンジのスピードが不十分。フルハムの後退よりも素早く前進することができず。右サイドでの崩しの機能はスラビア・プラハ戦よりもやや威力が落ちたのは否めないところである。

 アーセナルの問題点はもう1つ。フルハムへの前からプレッシングがかからなくなるとフルハムにCBから徐々にボールを運ぶ機会を得ることができるようになる。スタメンに復帰したアダラバイオのドリブルからアーセナルはラインを下げる状況が増えるように。

 前半をスコアレスで折り返すと、後半はややオープンな展開に。ボールが行きかう状況の中でチャンスをより得たのはアーセナル。5バックの前のプロテクトが甘いフルハムのバイタルから攻め立てる。しかしながら、先制点を得たのはフルハム。レミナのPK判定はかなり怪しいものだったが、接触があるとなれば、VAR側からの助言は難しいか。アーセナルが恨むとすれば自信なさげにPKスポットを指した主審の方だろう。

 得点を盾に撤退を始めるフルハム。しかし、このチームは人海戦術による撤退が超苦手。横断を簡単に許すことでラインをあっさり揺さぶられてしまう。対するアーセナルもパワープレーが苦手。苦手対苦手の中で最後にセットプレーから点を取ったのはエンケティア。フルハムを奈落の底に突き落としたゴールは97分。終盤の執拗な時間稼ぎのしっぺ返しをフルハムは食らう形になった。

試合結果
アーセナル 1-1 フルハム
エミレーツ・スタジアム
【得点者】
ARS:90+7′ エンケティア
FUL:59′(PK) マジャ
主審:クレイグ・ポーソン

⑤マンチェスター・ユナイテッド【2位】×バーンリー【16位】

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■じわじわ絞めてサイドを切り裂く

 4-4-2がトレードマークだったバーンリーだが、この日は中盤が厚い4-5-1のような形。ただ、基本的にはバーンリーの2トップは片方がターゲットマンになり、もう片方がそのサポートになる形。これを2トップで役割を入れ替えながらやっている。この日はウッドがターゲットマンに専念しただけで基本的な攻撃のコンセプトが変わったわけではない。

 この日のバーンリーの攻撃はサイドからクロスを上げる形。それもGK-DFの間のスペースに落とすような形のクロスをアーリー気味に上げる形が多い。オフサイドとされたものの、数十秒でネットを揺らしたシーンなどはまさにこの形である。一方で中盤を使っての前進は苦労。間延びしたスペースでSHが泳ぐことはできず、ボールの前進においてウッドへのロングボールへの依存度は高まっていった。

 対するユナイテッドはポグバ、ブルーノ・フェルナンデスなど左サイドに集まるゲームメーカーから右をフィニッシャーとする形で対抗する。ボールを前に進める手段としてはやはりユナイテッドの方が豊富。それでも打開できないと見るやHTにカバーニを投入。突破力のあるラッシュフォードを左サイドに回し、サイドを切り裂いたことで先制点をゲットした。

 バーンリーもセットプレーから人に囲まれまくったターコウスキーが根性で同点弾を挙げるものの、基本的には後半に保持しつつ相手陣に押し込んだのはユナイテッド。決勝点を挙げたのはグリーンウッド。ややラッキーな形で跳ね返ったボールがゴールに刺さったが、これは押し込んでシュートを打ったご褒美といえそうである。

   バーンリーもヴィドラ、ジェイ・ロドリゲスなど多くのアタッカー陣を投入し何とか追いすがるが、むしろユナイテッドが仕上げの追加点を取り決着。バーンリーの中盤から時間と前進の手段を奪ったユナイテッドが真綿を締めるようにバーンリーを追い詰めたような試合だった。

試合結果
マンチェスター・ユナイテッド 3-1 バーンリー
オールド・トラフォード
【得点者】
Man Utd:48′ 84′ グリーンウッド, 90+3′ カバーニ
BUR:50′ ターコウスキ
主審:ジョナサン・モス

⑥リーズ【10位】×リバプール【6位】

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■難敵を再び乗り切る

 10人でマンチェスター・シティを撃破という今シーズンのハイライトを見せた前節のリーズ。今節はホームにリバプールを迎えるということで、引き続き難しい試合。もっともこういう試合こそ彼らは燃えるのかもしれないけども。



リーズは本当にマンツーマンなのか?ビエルサ守備戦術の進化を読み解く | footballista | フットボリスタ


名将マルセロ・ビエルサの守備戦術と言えば、前からハメていく極めて強度の高いマンツーマンが有名だ。しかし、就任3年目のリーズ


www.footballista.jp

 リーズに関してはこの記事(ボリスタ会員用の有料記事です)を読んだため、前線の守備について目が行く機会が多かったのだが、非常に前の選手がプレスの際に方向を規定するのがうまいなと思った。これに関してはこの試合に特化したものではないかもしれないが、リーズの持ち味である追いかけ方や中間ポジションでの守備は光った。

 リバプールで気になるのはフィルミーノのコンディション。マネやサラー以外の純粋なスピード以外の部分でフィルミーノの関与は攻撃のスイッチを入れる要素だと思うのだが、どうもスイッチの入れ役とフィニッシャー役の二役の兼務をここ数年のように凄味を持ってできていないように思う。

 この試合の先制点の場面のジョタの振舞いは本来はフィルミーノに求めたい部分。降りる動きからボールを受けて、右サイドの裏に抜ける選手に大きく展開する。マンマークで厳しいチェックを受けたジョタだったが、相手を背負い反転する動きを合わせることで、時間をうまく作り出した。中盤中央で浮いたチアゴから大きく右の裏に狙う展開はこの直後も見られており、ここの時間帯の主な攻め手となっている。これ以外の手段でのスピードアップはあまりみられなかった気もするが。

 逆にこの手法以外の部分では保持でペースを握れなかった両チーム。互いに前からプレッシングをかけることでショートカウンター主体で攻めあう。後半はリードを得たリバプールはやや撤退気味に。したがってリーズのシュートを集中して浴びる展開になる。受けているのか打たれているのかの判断は難しい。引いた状態からロングカウンターを狙いたかったのかもしれないが、リーズが保持して攻め立てる機会に比べればそのチャンスが大きいとは言えなかった。

 試合は終盤にリーズがセットプレーから追いつく。前半は攻め手のパターンを見つけたリバプールが、後半は保持で攻め立てたリーズがそれぞれペースを握り引き分けという結果にたどり着いた印象だ。

試合結果
リーズ 1-1 リバプール
エランド・ロード
【得点者】
LEE:87′ ジョレンテ
LIV:31′ マネ
主審:アンソニー・テイラー

⑦チェルシー【5位】×ブライトン【15位】

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■健闘と同情のドロー

 共に保持に傾倒しているチーム同士の対戦。違いがあるとすればチェルシーは高い位置からのプレッシングを志向して、高い位置からの即時奪回を掲げ積極的にプレッシングを行い試合の支配度を高める目的があるのに対して、ブライトンは非保持における即時奪回の優先度は低く、撤退して攻守の切り替えを少なくしてトランジッションゲームを避ける目的がうかがえる点だろうか。

 普段はそんなブライトンだったがこの試合では積極的に高い位置からボールを捕まえに行く。確かにチェルシーの保持における弱みはバックスが時間がない状況でのボールコントロールに不安があること。この試合のブライトンはそこにプレッシャーをかけていったのだと思う。

 だが、チェルシーも即時奪回で応戦する。ブライトンは割とこういったプレスの脱出は得意な方なのだが、人数と勢いが伴うチェルシーのプレスを目の前にボールを捨てるしかない状況が続いてしまう。奪ってからは素早く3トップに渡しゴールへ進む。特にプリシッチはゴールに向かう意識が強かったように見えた。あとは左右からクロスを入れて勝負という形が多かったか。

 それでも互いにゴールまでは向かえない状況が続く両チーム。序盤のブライトンのプレッシングをいなした後はチェルシーが押し込む時間が増えるが、ララーナ交代でブライトンのプレスが息を吹き返すとペースは再度ブライトンに。ビスマ、グロスと共に中盤から前で攻撃を食い止めると終盤は再度ブライトンペースに傾いた。まぁ、シュートは決まらないんだけどね。

 0-0という結果だけを見ればこの試合のブライトンの健闘が光る。ただ、この試合はちょうど欧州スーパーリーグ構想をめぐるクラブ同士の駆け引きが非常に活発だった時間帯とぴったり開催のタイミングが重なってしまった。それだけに訳が分からないまま当事者になったチェルシーのクラブスタッフや選手たちにとっては非常に集中しにくい状況だったのは確かであろう。結果だけ見れば下位に引き分けでCL出場権を引き寄せるチャンスを逃したといえるが、チェルシーの選手たちは難しい状況下での試合をよくこなしたように思う。

試合結果
チェルシー 0-0 ブライトン
スタンフォード・ブリッジ
主審:スチュアート・アットウィル

⑧アストンビラ【11位】×マンチェスター・シティ【1位】

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■20分でペースを掌握、お株を奪う逆転劇

 電光石火の先制点を挙げたアストンビラ。クイックリスタートからの長いフィードが起点になっていたが、シティの油断というよりはこれはフィードを出したミングスのフィードと判断が素晴らしかった。

 先制したアストンビラは4-5-1でブロックを形成。まずは中を固めて外に追いやる。こうなるとシティは1トップの脇までインサイドハーフやサイドバックが動いたり、あるいはCBが持ちあがったりすることでアストンビラのIHを動かそうとする。

 アストンビラはIHも動くものの、それに合わせてSHが絞ったポジションを取るように連動していたので、内側を埋めるというミッションはIHが釣りだされても遂行されていた。このアストンビラの挙動を破壊したのはジンチェンコとフォーデンの連携。内外を入れ替わりながら同サイドのSHであるラムジーの基準点を乱そうとする。

 内外だけではなく、前後のポジショニングでもギャップを作る両者。同点のシーンはエデルソンのフィードを裏に入りながら受けたジンチェンコの落としをフォーデンがマイナスで受けたところから。逆サイドへの完璧な展開でフィニッシュへ。

 シティが同点にした20分を過ぎると、徐々にシティがペースを握りだす。アストンビラががっちり守っていた3センターのギャップに楔を打ち込むことで進撃していくように。楔を打った時はサイドに展開し、ペナ角付近でドリブラーがボールを持ち、ホルダーを追い越す選手を使いながらビラのラインを乱す。同点ゴールのシーンもこれに当たる。

 このパターンはグリーリッシュがいる時のビラの得点パターンの十八番。タメを作るグリーリッシュがいない今は使えないけども。陣形の隙を突いてボールを前に進め、最終的にはサイドからのクロスで2点を取ったシティ。立ち上がりは泡を食ったものの、両チームともに退場者を出した後半は試合を眠らせて勝ち点3を得た。

試合結果
アストンビラ 1-2 マンチェスター・シティ
ビラ・パーク
【得点者】
AVL:1′ マッギン
Man City:22′ フォーデン, 85′ ロドリ
主審:ピーター・バンクス

⑨レスター【3位】×ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン【19位】

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■前半で勝利あり、上昇気流を完全制圧

 ここに来て連勝を重ね、未消化試合を勝利すればフルハムを逆転するところまでたどり着いたウェストブロム。戦った2試合はチェルシーもサウサンプトンも相当ひどい出来だったので、彼ら自身がグレートエスケープまでたどり着けるほど吹き上がっているかどうかは、ここから先の戦い方にかかっている。

 レスターはまずはビルドアップにおいて3バックでウェストブロムの2トップのプレスを交わしていく。チェルシーの首が回らなくなったウェストブロムの前プレで押しつぶされるという事態には直面することはなかった。非保持においてサウサンプトンをディアーニュへのロングボールもこの日はほぼ効力なし。レスターは直近2試合のウェストブロムの対戦相手がやらかした部分はまずはクリアしたといってよさそうである。

 プレスこそ引っかからなかったものの、レスターは序盤はなかなか前進ができず。それでも20分ほどすると解決策を徐々に見つけるようになる。トップ下に入ったマディソンと2トップのポストから攻め手であるティーレマンスに前を向かせる隙を作る。

 先制点の場面、ティーレマンスの裏抜けに反応したのはWBのカスターニュ。自らがドリブルで運べるバーンズの離脱を違う形で補うように前進することに成功する。

 ウェストブロムの最終ラインはミドルゾーンに構えるものの、機動力の部分ではかなり厳しい。先制点を境にティーレマンス、マディソンのプレッシャーが弱まるとここからはワンサイドゲーム。セットプレーで追加点を取ると、ヴァーディがスピードでウェストブロムの最終ラインをちぎり、イヘアナチョにアシスト。

 試合を前半で決めたレスター。後半はスローダウンし試合を殺し、上昇気流のウェストブロムを完全制圧した。

試合結果
レスター 3-0 ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオン
キング・パワー・スタジアム
【得点者】
LEI:23′ ヴァーディ, 26′ エバンス, 36′ イヘアナチョ
主審:アンディ・マドレー

⑩トッテナム【7位】×サウサンプトン【14位】

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■ロ・チェルソの躍動でペースを引き戻す

 前半は完全にサウサンプトンペース。怪しいクロス対応はモウリーニョが去ってもすぐには変わるものではない。押し込まれて左右からクロスの雨あられを放り込まれると、それに伴い得たセットプレーから点が入るのは必然である。サウサンプトンにはウォード=プラウズがいるわけだし。いずれにしてもウェストブロム戦とは全く異なるサウサンプトンの姿であったのは間違いない。

 トッテナムのボールの前進は苦しいものに。ただ、これはモウリーニョの不在よりもケインの不在の方が大きいはず。ケインを欠いた今のスパーズでスムーズにボールを前に進められる新人監督がいるならぜひともお目にかかりたい。それくらい今シーズンはケインへの依存度は高いものになっている。

 チームが苦しい時に最近目立つのはルーカス。この日のスパーズのテーマはどのようにレギロンのオーバーラップする時間を引き出すか。その部分の貢献が目立ったのはルーカスとロ・チェルソの2人。前節に引き続き好調なパフォーマンスを見せたロ・チェルソからレギロンのオーバーラップを引き出すパスが出れば左サイドのソンがエリア内に斜めに走りこむことができる。

 後半はロ・チェルソの配球を中心にペースを引き戻すと、彼のパスからここまでで一番の見事な加速を見せた形が同点弾につながる。前半は苦も無くボールを前に進むことができていたサウサンプトンだが、イングスの負傷交代以降は徐々にガス欠気味になる。

 後半はトッテナムが一方的に押し込み続けるとジェネポが90分にPKを献上。メイソン新監督の下、CL出場権に望みをつなぐ1勝をギリギリで手にした。

試合結果
トッテナム 2-1 サウサンプトン
トッテナム・ホットスパー・スタジアム
【得点者】
TOT:60′ ベイル, 90′(PK) ソン
SOU:30′ イングス
主審:デビット・クーテ

   おしまいじゃ!

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