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「三度目の転換になるか」~2021.1.30 プレミアリーグ 第21節 アーセナル×マンチェスター・ユナイテッド プレビュー

目次

Fixture

プレミアリーグ 第21節
2021.1.30
アーセナル(9位/9勝3分8敗/勝ち点30/得点26 失点20)
×
マンチェスター・ユナイテッド(2位/12勝4分4敗/勝ち点40/得点37 失点27)
@エミレーツ・スタジアム

戦績

近年の対戦成績

図1

 直近5年間でアーセナルの5勝、マンチェスター・ユナイテッドの4勝、引き分けが5つ。

アーセナルホームでの対戦成績

図2

 直近10戦でアーセナルの3勝、マンチェスター・ユナイテッドの4勝、引き分けが3つ。

Head-to-head from BBC sport

スカッド情報

【Arsenal】

・マルティン・ウーデゴールにはデビューの可能性。
・個人的な事情でチームを離れていたピエール=エメリク・オーバメヤンの出場可否は不透明。
・トーマス・パーティとエミール・スミス=ロウは当日判断。一方キーラン・ティアニーは出場可能の見込み。

【Manchester United

・軽傷でミッドウィーク欠場していたエリック・バイリーは復帰の見込み。
・同じく背中の問題だったビクター・リンデロフも復帰予定。

Match facts from BBC sport

・アーセナルは直近4試合のプレミアでのユナイテッド戦で無敗(W3,D1)
・ユナイテッドは負ければ1991年以来の対アーセナル3連敗。

【Arsenal】

・直近6試合のリーグ戦で4勝、残り2つはドロー。
・その6試合で14得点。開幕から14戦の得点数より2つ多い。
・ホームでの公式戦3試合連続クリーンシート継続中。それ以前の19試合と同じクリーンシートの数。
・ウィリアンが出場すればブラジル人初のプレミア250試合出場。
・ピエール=エメリク・オーバメヤンは過去5試合のユナイテッド戦の出場で4得点。
・ミケル・アルテタは勝てばアーセナル史上初の就任後のユナイテッド戦3連勝を決めた監督になる。

Manchester United

・クラブレコードタイのリーグでのアウェイ17試合負けなし継続中(W13,D4)
・今季7回の逆転勝ちを決めているが、その7回は全てアウェイでのもの
・マーカス・ラッシュフォードの7得点のうち、6得点はアウェイで決めたもの。
・2016年のデビュー戦でアーセナル相手に2ゴールを決めて以降、ラッシュフォードは10試合連続でアーセナル戦の得点がない。
・ブルーノ・フェルナンデスは直近4試合でゴールもアシストもなし。ユナイテッド加入以来最悪の数字。

予想スタメン

画像3

展望

■嘆かれた彼らではない

 プレミアでもっとも上昇気流に乗っているチームの1つであるマンチェスター・ユナイテッド。いい時のユナイテッドはエネルギー!スールシャールのユナイテッドは古き良きユナイテッド!といつも見て思っているのだが、やはり今回も例外なく『古き良きユナイテッド』を感じる要素はある。

 特に今その要素を感じるのは守備ブロックの面々である。マグワイアとリンデロフのコンビはここにきて今季ベストのパフォーマンス。個人的には手癖の悪さが目につくマグワイアはあまりいい印象を持っていないのだが、直近はパフォーマンスが明らかに良化している。

 何といってもリバプール戦の守備陣の出来は圧倒的。悪い時は状況に対して後手になり、フリーズしてしまって広いスペースを使われまくっていた。しかし、この試合では出ていく出ていかないの判断は非常にクリア。エリアを空けて出ていったのならば潰す。タックルはもとより、その判断の潔さが充実を感じさせる。

 ブロック守備においても、ニアのクロスは高さで無効化。アーセナルがかつてのように『ハイクロス症候群』に陥ってしまえば、ユナイテッドの守備を崩すのは難しい。フレッジやマクトミネイがその前に構えるならば強固さはなおさらである。エヴラが涙を流しながら嘆いたチームとはもう別の姿といっていいはずだ。これまではデヘアに阻まれてきた経験のあるアーセナルだが、今回の対戦ではその手前の守備ブロックから丁寧に超える必要がある。

 前回対戦時はトーマスに完封されたポグバはだいぶコンディションが上がってきた。ビックマッチにおいては守備面でも輝きを放てるポテンシャルはある。かつてはブルーノ一辺倒だった縦パスの出所として無視できない存在になっている。

■『らしくない』良さ

 強固な守備も、やる気を出すポグバもいかにもいい時のスールシャールのユナイテッド。ただ、唯一スールシャールのユナイテッドっぽくない良さはSBにある。とりわけ今のユナイテッドでもっとも輝きを放っているといっていいのはルーク・ショウだろう。

 とにかくオフザボールにおけるボールの引き出し方が抜群。内外関係なく相手のゾーンの切れ目に入り込むパスを引きだす。ビルドアップの預けどころとしてだけでなく、ワンツーの起点となりボールを一気に前に推し進めることもやってのける。かつてはあんまりこういう持ち味のプレイヤーではないように見えたが、ここ数試合で明らかに様変わりしたように見える。どうしたんだろう。いい意味で。

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 ボール保持においての手詰まり感が少なくなったのは明らかにサイドバックのオフザボールの動きが向上したから。逆サイドのワン=ビサカもショウほどの精度はないか、これまでに比べれば攻撃に関しても寄与する機会は増えてきている。斜めの動きを多用するユナイテッドのSBへの対応はアーセナルにとっては立ち向かわなくてはいけない課題。

 SBの積極的な攻め上がりでサイドに穴をあけて、前線の飛び出しと組み合わせてCBを外に引き出す動きはアーセナルは苦手。ラインを下げられたところで攻め上がりに持ち味のあるユナイテッドのCHにバイタルエリアを使われてしまうのは避けたいところだ。

画像4

 両SBは対人守備でも絶好調。リバプール戦ではマネとサラーを完封し、守備においても一役買った。得点に多く絡んでいるサカとユナイテッドのSBとのマッチアップも楽しみなところである。

■3回目のターニングポイントになるか

 シェフィールド・ユナイテッド戦の敗戦は気にしなくていい部分もある。テレスは悪くはないが、今のユナイテッドにはショウはとりわけ攻撃面で必要な存在。ややボールを動かすという部分で見劣りしたのは事実。同様にCBに使われたトゥアンゼベは守備においての判断が悪く、やや足かせになってしまったように思う。メンバーを入れ替えたDF起因で攻守の安定感に欠けた部分はあった。

 一方で、恒常的に気になる要素もある。攻守における前線のコンディションのばらつきだ。カバーニやグリーンウッドは活発な上下動でシェフィールド・ユナイテッド戦でのボールを引き出す動き出しに貢献した。対照的にラッシュフォードやマルシャルは動きが重く、攻撃のスピードアップに貢献できていない。一時期は良化していたポストでのワンツーはロストが多くカウンターの温床になっている。一発はあるとはいえ、流れの中ではブルーノ・フェルナンデスの存在感もやや消えているようにも思う。

 守備面での前線の働きが昨季並みの水準にはないのも気になる。比較的いい内容だったリバプール戦で良くなかった部分を挙げるならば敵陣でのプレスだろう。もっともリバプールにチアゴがいたのは見逃せない部分ではある。FA杯サウサンプトン戦で相手のプレスに屈したアーセナルにとっては、プレスの主導役としてうってつけのカバーニ主体でのハイプレスが来た場合は試練になるだろう。

 ただ、この試練はアーセナルにとっては悪いものではない。アーセナルが得点を挙げるという部分で考えると、ある程度強度の高い展開に持ち込むことが望ましい。休みながら、相手のプレスをいなして1枚ずつ剥がして崩すというスキームでは現状は崩しきる機会を十分に得ることはアーセナルにとっては難しい。前から出てきてくれれば、アーセナルにとっては前方にスペースがある状況でのプレス回避チャレンジの機会を与えてくれるということである。

 点を取りに行く部分ではある程度縦の早さが必要なことはわかりつつある今季のアーセナル。エネルギーが必要で、出来が悪い時に勝ち点を上げにくいスタイル。さらに90分ペースを握り続けることはできない。パフォーマンス自体は良くなっているものの、リーグ戦で相性のいいスタイルかどうかは正直難しいところという印象である。

 したがって理想の展開としては前半から強めのプレスで入り、先制点を得て試合を落ち着かせてクローズする。いわばチェルシー戦のような試合運びである。連戦が続く中で1つミスると精神的にも身体的にも順位的にも厳しい状況。でもまぁそれは仕方ない。だって7戦未勝利の負債を背負ってるんだもの。自分たちが悪い。効率が悪くても、いい内容じゃなきゃ勝てなくてもやり続けるしかないのだ。

 思えばその未勝利の起点は歴史的なオールド・トラフォードでの勝利だった。ここまでのアーセナルのターニングポイントをもう1つ挙げるのならば未勝利を止めたチェルシー戦になるだろう。現状での他クラブのファンからのアーセナルの評価は「一時期の底は脱したものの、欧州カップ戦出場権争いに入ってこれるかは微妙」くらいのもの。だが、今季のビックマッチは転機になる。この評価を覆して、アーセナルはこのユナイテッド戦を今季3つ目のターニングポイントにすることができるだろうか。

【参考】
https://www.bbc.com/sport/football/premier-league

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