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「強みと強みで殴り合い」~2018.8.25 プレミアリーグ 第3節 アーセナル×ウェストハム レビュー

今回は箇条書きからマイナーチェンジ。新監督で2連敗スタートで迎えたロンドンダービー。どちらもそれなりに金を使ったプレシーズンであり、ここで落とすとプレッシャーがかかってくるところ。アーセナルは勝たなきゃいけないし、ウェストハムも負けられない一戦。

目次

【前半】
カウンター処理に見られるアーセナルの問題点

紙の上では噛み合う4-2-3-1同士でのスタート。

ビルドアップは両チーム共CBが開き、間にMFが落ちてくる。アーセナルの方がバックスからつなぐ意識は強いが、困ったら普通に蹴り出す。
チェルシーと比べてウェストハムは1stプレスのラインが低かった(ハーフライン付近が多かった)ため、前節でビルドアップの出口として機能していたゲンドゥージの効果はやや限定的だった。
なお、この試合はCB間に落ちるのはジャカが多かった。

アーセナルの1stプレスもチェルシー戦より強度が高く設定されてなかったように思う。余談だけど、ラムジーはエジルと比べるとさすがに走力では優位だなと。

守備においてはアーセナルは人に寄せる意識が強く、ウェストハムはスペースを埋める意識が強かったという違いはあった。

アーセナルは1stプレスが交わされるとDFとボランチ2枚が晒される形になることが多かった。故にロングカウンターは6枚で対応する形になるのだが、ジャカはカバーできる範囲が狭く、ゲンドゥージは広範囲に動けるが、一発で交わされるアプローチで簡単に交わされることがしばしば。
ロングカウンター→ボランチ2枚が無力→DFラインが後退しながら対峙の流れでピンチになるシーンはよく見られた。
このピンチを誘発するロストをムヒタリアンが繰り返したのも、アーセナルが前半数多くカウンターを受けた要因の一つ。

11分の失点シーンはロングカウンターで最終局面の質的優位が問われる部分でアルナウトビッチがCB2枚を剥がし、先制点に結びつけた。

他にアーセナルが手を焼き続けていたウェストハムの選手はカウンターで持ち上がりの起点になっていたフェリペ・アンデルソン、ベジェリンの裏を狙い続けたアントニオあたりだろうか。ゴールシーンは前者がアシストし、後者は大外のレーンを走ってベジェリンを中央から遠ざけていた。

【前半】-(2)
ウェストハムのブロック守備の問題点

カウンター処理に問題があったのはアーセナルの守備に対して、ウェストハムはブロック守備に問題があった。

今のアーセナルの攻撃の強みはサイドアタック。サイドバックを軸に3人がローテーションでアタックする形でサイドを突破し、斜めに切り込みつつ侵入する形で速いクロスを上げるパターンが非常に多い。クロスには3,4枚飛び込むことは約束になっているようで最終局面のPA内の枚数が確保されていることが多かった。

この試合では右からクロスを上げるシーンが多かったため飛び込む役はオーバメヤン、ラムジー、ムヒタリアン、モンレアル、イウォビあたりから3,4枚といった形。

追いついたシーンではムスタフィが後方から攻撃参加し、サイド突破を援護。枚数確保のため前線に上がってたモンレアルが冷静に目の前に来たボールを流し込んだ。

ウェストハムはサイドでボールがある段階でマークの受け渡しが曖昧。最終的には裏抜けするベジェリンをウィルシャーが放置して失点につながっていた。

このシーンに限らず、ウィルシャーは守備時の斜めのスペース感覚に優れているとは言えないシーンがちらほら。彼のカバーが上手ければ、もう少しアーセナルの右サイドは突破に苦労していたように思う。

もう一つ、ウェストハムの守備で気になったのはDF-MF間に落ちる選手に対して無警戒だった部分。オーバメヤンの裏抜けが怖かったのかもしれないが、割と普通に使われてミドル打たれていたりした。

そんなこんなで前半は終わり。両チーム共に強み弱みがしっかり出た前半だった。

【後半】
殴れなくなったウェストハム

アーセナルは後半頭からイウォビ→ラカゼット。イウォビは存在感が薄かったが、単純にウェストハムの左のほうが崩しやすかっただけかも。

交代でオーバメヤンがサイドに移動するが基本的にはハーフスペースから内側をウロウロしてた。それでもカーディフ戦よりはサイドの仕事もしてた印象。

50分と54分に作ったチャンスを決めなかったことはウェストハムにとってはでかかった。直後のアルナウトビッチの負傷交代はこの試合の結末に大きな影響を及ぼかねなかったと思う。代わりに入ったチチャリートも怖い選手だが、独力で違いを作るアルナウトビッチとはカラーが違う。

この交代とその後にトレイラが登場したあたりから試合はアーセナルが主導権を握るようになる。後半は時間が経つにつれ、ウェストハムのプレス開始点がズルズルと下がっていった。カウンターでも陣地回復は難しいことが増えてくる。トレイラが入ってからアーセナルが緩急をつけたゲームメイクができていたことが大いに関係あると思う。ちなみにトレイラが入ってからは最終ラインからボールを引き出す役は彼が担当するようになった。

というわけでエリア内にアーセナルの選手が数多くいるシーンが増えていく。そうなると輝きを増すのはラカゼット。2点目のシーンは偶発的なものにせよ、ラカゼットのボディコントロールは秀逸。俺はラカゼットが大好きです。

となると前に出なきゃいけないウェストハム。そんな思いとは裏腹に重心はなかなかあげられずチャンスは来ない。ルーカス・ペレスがチャンス作れそうになりかけたシーンはあったけど。もどかしいまま時間が過ぎていく中、代わって入ってきたウェルベックに仕留められジ・エンド。

2連敗同士のロンドンダービーはアーセナルに軍配が上がった。

まとめ

ウェストハムは前線のタレント力は十分だったが及ばず。アルナウトビッチの負傷交代は痛かった。キャロルも含めてトップを務めるであろう3枚はキャラクターがかなり違うので、人が入れ替わるとプレーモデルのマイナーチェンジが引いられるのは仕方のないところ。ペジェグリーニの腕の見せ所である。あとファビアンスキはとても良かったし、フレデリックスもカバー頑張ってた。

アーセナルはめでたい今季初勝利。カウンター処理という積年の課題は手付かずだったけど。
得点に関してはあらゆる局面でサイドバックへの依存度がかなり高いなと。リヒトシュタイナーがベジェリンに代わって入るとどこまでやれるのかなという部分は気になるところ。

あとはボランチコンビの最適解。ゲンドゥージが勢い!!!って感じの守備なので彼が押し引きを覚えない限りはジャカとのコンビで臨むのはリスクがある。前方向の守備は勢いがあっていいけどね。バランス取れそうなトレイラを軸に使い分けるのがベストかな。ゲンドゥージの方が後半チームに入って活性化させるのはうまそうだなとは思う。

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