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「ここにアーセナルはいません。トップ10になんかいません。」〜勝手にプレミア定点観測 11月編 part1〜

 さぁ、アーセナルはここにはいないけど今月も元気にいってみよう!

目次

【1位】レスター

6勝2敗/勝ち点18/得点18 失点9 <4節>3位⇒<8節>1位↗

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■負傷者も関係なし!二足の草鞋を達成

 高く評価していたチームが首位に立つというのは嬉しいものである。代表ウィーク明けこそ、アストンビラに屈したがこの試合ではヴァーディが不在という言い訳が立つ。守備のコミットの面からベンチスタートになることがあるマディソンと合わせて2人がいないメンバーはさすがに理不尽さに欠ける部分があった。

   しかし、復帰初戦となるアーセナル戦でヴァーディが千両役者ぶりを果たすと、戦い方の幅を見せてリーズには完勝。ウルブス戦では後半に攻め込まれるシーンもあったものの切り抜けて3連勝。首位に浮上した。

 ボール保持だけでもなく、自陣に引いてロングカウンターも兼備しているのは大きい。これにより対戦相手に合わせたライン設定が可能になっており、リーズ戦などはその柔軟性が強みとなって出た。

    ソユンクに続いてカスターニュも離脱した最終ラインは苦しいやりくりが続くが、代役のフクスやトーマスも含めて2ndユニットが機能しているのは心強い。スーパーサブ的な起用も多かったマディソンも徐々にスーパーな働きを見せるように。地味にELで3連勝ととの二足の草鞋を履きこなしたのも見逃せない。

    ヴァーディという前線の核に大きな怪我さえなければ、最終盤まで優勝争いをしていてもおかしくはない。まずはクリスマスの順位表で彼らがタイトルへのチャレンジャーにふさわしいかを見ることになるだろう。

今月気になった人:ヴェスレイ・フォファナ
 デビューこそやや遅れたが、離脱者の続く最終ラインにおいては早くも外せない存在となっている。フィットに時間のかかる選手も多い印象のリーグ1産だが、フォファナは問題なく適用。ポテンシャルの高さに加えてチームに早々にフィットする適応力も見せた。

【2位】トッテナム

5勝2分1敗/勝ち点17/得点19 失点9 <4節>6位⇒<8節>2位↗

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■絶対的エースの大車輪の活躍

 マンチェスター・ユナイテッド相手に大爆発した勢いそのまま、ウェストハムを圧倒した中断明け初戦。しかし、終盤15分の緩みで勝ち点2をフイにしてしまう。そこからはチームを立て直し3連勝。足踏みをするライバルたちを尻目に勝ち点を重ねて順位をジャンプアップさせたのはポジティブだ。

   エンドンベレをトップ下におく4-2-3-1は試合を経るにつれて徐々にフィット。レギロンのオーバーラップも板についてきたなど内容の面でもいい部分はある。

 しかしながら、ここまでの内容だと優勝候補の一角として胸を張るにはまだもう一味足りない印象。3連勝の相手はバーンリー、ウェストブロム、ブライトンと3チームで足して今季1勝の下位の面々。しかも、いずれも終盤まで苦しむ1点差での勝利だった。

   下位チームのクロスにも苦しめられた守備陣はどこか安定性を欠いている部分は否めず、攻撃においてはエースの依存度はレスター以上。アシストにゴールにケインの貢献は非常に大きく、両輪完備した代役を見つけるのはほぼ不可能だろう。

 カギになるのはゴールゲッターの部分でいかに負荷を取り除けるか。ブライトン戦でようやく帰還の挨拶をすることが出来たギャレス・ベイルがフィニッシャーとして輝くことができればおもしろい。

 いずれにせよここから1か月でいやでも力関係は見えてくるはず。シティ、リバプール、チェルシー、レスター、ウルブスと曲者ぞろいの1か月を切り抜けた時にスパーズの今季の本当のポテンシャルがわかるはずだ。

今月気になった人:タンギ・エンドンベレ
 中で起点になる選手をケイン以外にも作りたい!というのがエンドンベレのトップ下起用のコンセプト。徐々にではあるが、ターンで相手を出し抜く場面も出てきており昨季と比べれば重要な役割を果たすようになってきた。チャンスメイカーとしてケインの負荷を取り除けるとしたら彼ではないか。

【3位】リバプール

5勝2分1敗/勝ち点17/得点18 失点16 <4節>5位⇒<8節>3位↗

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■躍動する新星、止まらない負傷の連鎖

 近年は青い隣人を肩を回しながら一ひねりしてきたマージ―サイドダービーだったが、今年はだいぶ様子が違った。開幕から好調を維持しているエバートンとアストンビラ戦の惨敗からのリカバリーという意味が加わったリバプールによって例年とは違う拮抗した展開になった。両チームのレベルの高さを感じることはできたものの、終わってしまえばファン・ダイクの長期離脱がこの試合の一番大きなトピックになってしまうだろう。

 とはいえ最終ラインの核が抜けてもチームは好調を維持している。プレミアではダービー以降の試合は安定してポイントを積み重ね、CLでは無失点での3連勝を飾っている。ファン・ダイク離脱に伴い採用した4-2-3-1はアタッカー4枚を並べることが可能であり、攻撃面ではさすがの破壊力。シャキリやジョタなど準レギュラークラスも存在感が出てくるように。

 さすがに最終ラインはバタつくシーンも目につくし、ファン・ダイク不在の影響を微塵も感じさせないとは言えないが踏ん張ることはできていた。シティとの痛み分けだって結果だけ見れば悪いものではない。

 それでもリバプールファンがうなだれてしまうのは負傷の連鎖が止まらないからだろう。後釜としてCBを務めたファビーニョがファン・ダイクの後を追うように離脱すると、シティ戦ではアレクサンダー=アーノルドが負傷交代。さらには代表でゴメスがシーズン絶望クラスの重傷を負ったとされている。ロバートソン、ヘンダーソン、サラーにも起用に暗雲が立ち込めており、結果では明るくなれても、怪我人事情ではとても前を向けない。複雑な心境に陥っても不思議ではないリバプールであった。

今月気になった人:ディオゴ・ジョタ
 攻撃面での救世主。アタランタ戦でのハットトリックをはじめとして質の高いアタッキングサードでの貢献を披露。ビック3に割って入れるレギュラー候補がようやく出てきた印象だ。

【4位】サウサンプトン

5勝1分2敗/勝ち点16/得点16 失点12 <4節>11位⇒<8節>4位↗

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■止まらない進撃の聖者たち

 この1か月で最も驚きの大きいチームはどこか?といわれれば、迷わずこのチームを推す。アストンビラ戦を見れば非保持時における不安定は相変わらず。波の大きいチームという印象は大きくは変わらない。それでもこの1か月は『大当たり』。2回のビハインドを追いついたチェルシー戦で勢いに乗ると、エバートンとアストンビラという序盤戦の台風の目である2チームを撃破。仕上げはニューカッスル戦で、ポゼッションに取り組み中のチームをプレスでミスを誘発し破壊した。

 原動力となったのは4試合で11得点のアタッカー陣。2トップは連携も良好で、中心となるイングスが離脱したニューカッスル戦でもポスト役と裏抜け役を交互に行い、相手の狙いを絞らせず。前線はメンバーが代わっても一定の機能性を維持できることを証明することが出来た。フィニッシュの精度以外は。

 そしてなんといってもセットプレーにおける攻撃力が目を引く。ウォード=プラウズという稀代の名キッカーはアストンビラ戦においてプレースキックだけで2ゴール1アシスト。受け手に高さのあるヴェスターゴーアがいることもあり、この1か月はまさにセットプレー無双だった。機動力のある前線とセットプレーの爆発力。この2つの柱が躍進の理由だ。

今月気になった人: ジェームズ・ウォード=プラウズ
 セットプレーからの貢献度は言わずもがなだが、流れの中での攻撃関与も光るものがあり。この1か月におけるプレミアのMVP候補といってもいいくらい。このチームのCHはただでさえ大変だから。

【5位】チェルシー

4勝3分1敗/勝ち点15/得点20 失点10 <4節>7位⇒<8節>4位↗

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■守護神と前線の核問題に決着の予感

 サウサンプトン戦では流れを食い止める采配が出来ず最終盤に追いつかれる痛恨の展開。続くユナイテッド戦ではボールを持つ機会を与えられたものの、ビルドアップに効くルートを見つけ出すことが出来ず沈黙。盤石の1か月とは言い切れないだろう。

 続くシェフィールド・ユナイテッドとバーンリーには快勝。ただ、スコアよりも目を引くのは攻守の軸が定まりつつあること。デビュー戦では決定的なミスをしたものの、チアゴ・シウバはさすがの安定感。不在時にはわかりやすく慌てるバックスが彼のリーダーシップの大きさを示している。

 同じく後方では正守護神に固定されたメンディが躍動。後方からのビルドアップに大きく貢献できる足元のスキルはないものの、セービングの部分で揺れているチェルシーのGK陣にはない部分を補える補強といえそうだ。特に高い身体能力を生かしたセービングは驚異的。ミドルシュートで彼からゴールを奪うのは至難の業といえるだろう。

 前線で活躍したのはジエフ。負傷で出遅れたウィンガーはチャンスメイクで存在感を発揮。チェルシーは今季前線の新戦力が多いが、ようやく前の軸が定まった印象を受ける。

 2勝2分という成績は花丸ではないものの、徐々にスカッドの序列が定まりつつあることは好材料だろう。

今月気になった人:ハキム・ジエフ
 前線の軸候補。オフザボールの動きに優れるコバチッチやチルウェルは相性がよさそう。ヴェルナーやハフェルツが彼とどのようなプレーを見せるのかが気になるところである。

【6位】アストンビラ

5勝0分2敗/勝ち点15/得点18 失点9 <4節>2位⇒<8節>6位↘

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■『普通』に成り下がらなければ

 レスター戦では競り勝つことが出来たが、以降はリーズ戦、サウサンプトン戦と連敗。序盤の勢いは完全にしぼんだかと思われたが、エミレーツでは本領発揮。ハマれば強いリバプール戦を想起させる内容でアーセナルを完膚なきまでに叩きのめした。

 今月も軸となるのはグリーリッシュ。サウサンプトン戦では大量リードを許したチームを引き上げて、勝ち点まであと一歩のところまで追いつめた。アーセナル戦もそうだったが、まずズレを作るのは大エースである彼である。彼が作ったズレによってワトキンスのフィニッシュの機会や、バークリーの高い技術や視野が生かされる。

 それができない試合ではアストンビラは良くも悪くも普通のチームになってしまう。リーズ戦やサウサンプトン戦はそうだった。とはいえ、あくまで普通のチームであり悪いチームではないのだから大崩れはしないという予感はする。アーセナルやリバプールは彼らを「普通のチーム」になり下げることができなかったし、どこまでのチームがグリーリッシュから始まる歪みを食い止められるかは怪しいところ。

 そういう意味ではあれよあれよという間の上位進出もあり得る。ここまではほぼ固定メンバーで来れたのも躍進の要因の1つ。グリーリッシュはもちろん、バークリーやワトキンスをはじめとするセンターラインに負傷者が出ないかどうかもカギになってくる。

今月気になった人:ロス・バークリー
 チェルシーにとどまっていてもほぼ出番はなかっただろうし、新天地で大きな花を咲かせる予感を漂わせている現状は大躍進といってよさそう。ワトキンスやマルティネスもだけど、今夏のビラは国内移籍組が多いのね。

【7位】エバートン

4勝1分3敗/勝ち点13/得点16 失点14 <4節>1位⇒<8節>7位↘

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■不動のイレブン離脱で懸念が的中

 開幕ダッシュで最大出力時の破壊力はすでに証明済み。再開初戦のマージ―サイドダービーでもリバプールと互角に渡り合って見せ、その力を再度知らしめた。

   しかし、そのマージ―サイドダービーでリシャルリソンを一発退場で失うと風向きは大きく変わる。コールマン、ディーニュ、ハメスなど日に日に増えていく負傷者と退場者で徐々にスカッドのやりくりには苦しめられるように。ユニットで強さを見せていた前線の力強さは鳴りを広めるようになり、徐々に厳しい戦いになっていく。

 リシャルリソン以外の負傷者は戻っているマンチェスター・ユナイテッド戦では非保持で受けることの脆さも垣間見えており、現状では得意な分野や展開は限られている状況である。

    次節からはいよいよリシャルリソンがスカッドに復帰する。運んで良し、フィニッシャーとしてもよしという唯一無二の存在がスタメン復帰することでやや下火になった展開から巻き返しはなるだろうか。

今月気になった人:ベルナルジ
 ユナイテッド戦でリシャルリソンの代役を務める。イウォビに比べればボール運びとフィニッシュの精度では輝きを見せた。ディーニュとの連携も良好でリシャルリソン復帰後も出番が増えることもありそうだ。

【8位】クリスタル・パレス

4勝1分3敗/勝ち点13/得点12 失点12 <4節>12位⇒<8節>8位↗

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■CHの入れ替えで変わるリズム

 復帰する選手、加入した選手もいれば離脱する選手もいる。やりたいサッカーの外面は変わらないのだろうが、結果的に出力されるサッカーの質は選手によって微妙に異なる。クリスタル・パレスの過ごした1か月はそんな感じだった。

 まず象徴的だったのはCHの人選。今月の出場機会が増えたリーデヴァルドは他のパレスの中盤にはない動き回りながら起点になれる選手。攻撃性能がピカイチのFWの個人技に拠るところが大きいパレスに中盤からアクセントをつけられる存在であった。同じくLSBに復帰したファン・アーンホルトも攻撃で躍動。大外を賄える脚力とパンチ力のあるフィニッシュで左サイドを手助けする。

 攻撃では破壊力が出る一方で守備面では難もある。攻撃だけでなく守備でも動きすぎてしまうリーデヴァルドは受ける4-4-2では穴になってしまう場面も。リーズのような間を使われる相手にとっては格好の的にもなってしまっていた。勝ったけども。サイドから抉られた時のクロス対応の拙さも相変わらず。守備面での穴はむしろ増えてしまった印象だ。

 ここまでは怪我人が出ておりスタメンの選択肢がなかった状態の試合もあったが、ここからは性格が変わる中盤をホジソンがどう操るのかに注目が集まる。

今月気になった人:ジャイロ・リーデヴァルド
 確かに守備面では穴になるけど、他の中盤と異なるキャラクターは魅力。後は周りのメンバー次第でどう制御まで行けるか。

【9位】ウォルバーハンプトン

4勝1分3敗/勝ち点13/得点8 失点9 <4節>13位⇒<8節>9位↗

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■シーズンハイのパフォーマンスで徐々にかかるエンジン

 10月のマネージャー・オブ・マンスにヌーノが選ばれたことが象徴するようにウルブスは徐々に上昇気流に乗っている。開幕当初は締まりのない印象もあったが、ここ4試合でメンバーの固定はだいぶ進み、安定感がだんだんと出てきた。

 徐々に本領を発揮するようになってきたのが中盤。ルヴェン・ネベスはクリスタル・パレス戦で今季ベストといっていいパフォーマンスでチームを牽引。幅を使った攻撃でパレスの4-4-2を横に揺さぶることに成功している。前線のネト、ポデンス、ヒメネスのユニットも好調を維持している。

 あえて課題を挙げるとすれば、交代で出てくる選手の存在感が希薄なことだろうか。去年大車輪の活躍を見せたアダマ・トラオレは昨季ほどのインパクトを残せていないし、鳴り物入りで加入したファビオ・シルバも出場時間が伸びてこない状況。交代して投入されてもどういう役割を託したいのかは見えてこない。

 交代選手のプレータイムが伸びてこないのは、先発選手のコンディションがいい裏返しとも言えるだろうし、難しいところではあるが、前線に負傷者が出た場合のパフォーマンス低下は1つ懸念として挙げられるだろう。

今月気になった人:ラウール・ヒメネス
 2年目のジンクスを感じさせない出来で今季も安定して相手の脅威になっている。てかプレミアでも2年目のジンクスってあったっけ?

【10位】マンチェスター・シティ

3勝3分1敗/勝ち点12/得点10 失点9 <4節>14位⇒<8節>10位↗

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落ちた脅威と倦怠感疑惑

 何とか順位は上げたもののパフォーマンスは好調とはいいがたい。アーセナル相手には勝利こそ収めたが、中途半端につないで来ようとする相手は一瞬で滅ぼしてしまうほどのハイプレスは鳴りを潜め続けており、ビルドアップでのプレスの脅威は例年と比べると格段に落ちた印象である。

 一方で5-4-1のような形で引きこもる相手への波状攻撃にも昨季のような元気はない。ウェストハム相手には引き分けで一杯だったし、シェフィールド・ユナイテッド相手には何とかこじ開けたものの、反撃であわやという場面も作られてしまうほど。プレミアでは快勝に分類できる勝ち方からは遠ざかって久しい。

 気になるのは試合での感想において個人のスキルが際立つことである。デブライネの推進力、スターリングの強引な突破、ウォーカーのミドルなど、特に攻撃面での単発な個の力での解決が増えてきた。

    その分、存在感が減ったのはユニットでの崩しや定点攻撃。数多くの選択肢から崩しの手段を選んでいるというよりは強引な切り崩しが目につく。

   中断前最後の試合であるリバプール戦もアレクサンダー=アーノルドの負傷後のリバプールのトーンダウンに付き合ってしまった印象を受ける。ここから強引にもう一押しするエネルギーは今のシティからは感じられない。

 ちょっとグアルディオラのサッカーへの倦怠感がある?と疑いたくなる時もある。いざという時の頼みになるアグエロの負傷が頻発しているのも気がかり。まだ上昇の兆しをつかんだとは言えない1か月だった。

今月気になった人:ガブリエル・ジェズス
 本人のコンディションもよさそうだし、あまりユニットとしての連携が見られない今のシティなら彼が9番としているべき場所にいた方がいいのかもなと

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