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「焦らずに揺さぶれるか」~2020.11.25 J1 第29節 川崎フロンターレ×ガンバ大阪 BBC風オカルトプレビュー

 このプレビューは対戦カードの過去の因縁やジンクスを掘り起こして、試合をより一層楽しむための物です。

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第29節
2020.11.25
川崎フロンターレ(1位/23勝3分3敗/勝ち点72/得点74 失点25)
×
ガンバ大阪(2位/18勝4分7敗/勝ち点58/得点41 失点33)
@等々力陸上競技場

戦績

近年の対戦成績

図1

直近5年の対戦で川崎の5勝、G大阪の4勝、引き分けが3つ。

川崎ホームでの戦績

図2

直近10試合で川崎の6勝、G大阪の4勝。

Head-to-head

<Head-to-head①>
・川崎にとってG大阪はJ1の中で2番目に勝率が低い相手。
・しかし、川崎は今年のリーグ戦は関西勢負けなし。

 川崎の天敵と言えば大阪勢。G大阪はC大阪に次いで川崎の勝率が低い相手である。試合数の違いはあるが、G大阪は川崎相手に最も多く得点を決めているし、川崎戦勝利数も浦和、新潟と並び最も多い。

 しかし、今季は苦手な関西勢相手に川崎はリーグ戦で負けなし。5戦4勝で最後の1試合に勝てば今季関西勢との対戦は無敗になる。過去にこの記録を達成したのは2013年と2007年。前者はG大阪、後者は神戸がJ2にいたので関西勢3チームがJ1にいる年にこれを達成すれば、史上初のことになる。

<Head-to-head②>
・直近3試合のこのカードにおいてホームチームの勝利はなし。
・等々力でのホームゲームのリーグ戦において直近14試合は引き分けがない。

 直近3試合はホームチームの2敗1分。負けた2試合は共にアウェイチームが1点で逃げ切っている試合である。

 引き分ければ優勝が決まる川崎だが、直近の等々力のG大阪戦では14試合リーグ戦での引き分けはなし。初対戦となった2000年を除けば、それ以降引き分けはない。あくまでジンクス的な観点で言えば、川崎は引き分け狙いは得策ではない。

<Head-to-head③>
・直近6試合のうち、勝敗が決した5試合は全て負けたチームが無得点。
・直近5年のシーズン後半での対戦で両チーム合計20得点

 直近で勝敗を決している試合はいずれも勝者がクリーンシートを達成しているという特徴がある。ここ数年はジリジリした試合で、川崎が東口の壁を何とか破るか、G大阪がカウンター一閃で仕留めるという印象が強い。

 しかし、ここ5年のシーズン後半戦の対戦成績を見ると計20得点と打ち合いになりやすい。同期間の前半戦の対戦成績を見ると両軍合計で8得点。後半戦は前半戦の2.5倍得点が入っていることになる。

スカッド情報

【川崎フロンターレ】

・ジェジエウは累積警告による出場停止から復帰。
・谷口彰悟は大分戦の退場による出場停止。

【ガンバ大阪】

・藤春廣輝、井手口陽介、小野瀬康介の出場は不透明。
・小野裕二は右ひざ前十字靭帯損傷で離脱中。

予想スタメン

画像3

Match facts

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch facts①>
・引き分け以上で優勝決定。
・直近4試合のリーグ戦で3試合は勝利を逃している。

 前節の大分戦は勝利で優勝決定だったが、この試合はマジック対象チームが相手ということで数字上は引き分けでOK。ただし、直近の4試合のうち、3試合は勝利を逃している。これはそれ以前のリーグ戦25試合と同じ数字。勝利した1試合も数的不利の横浜FM相手に後半追加タイムまでもつれ込んだ展開だった。

<川崎のMatch facts②>
・トップハーフ相手のホームゲームは今季全勝。
・直近3試合のリーグ戦は全て退場者が出ている。

 直近で敗れている試合はボトムハーフ相手が多い。ここまで今季トップハーフとのホームゲームは全勝。残すは浦和とG大阪のみ。苦しい星取りになっているが結果を残したいところ。

 また直近3試合のリーグ戦ではいずれもどちらかのチームに退場者が出ている。この3試合以前に川崎絡みのリーグ戦で退場者が出たのは2019年の8月の名古屋戦。およそ1年ぶりに退場者が出た試合を3試合続けているというレアな状況である。

<川崎のMatch facts③>
・G大阪は中村憲剛がキャリアでもっとも多くの得点を決めている相手。
・谷口彰悟が不在のリーグ戦は直近7試合で6勝。

 中村憲剛はG大阪戦で8得点。自身のキャリアで大宮と並んで最も得点を決めている相手であるとともに、このカードにおける最多得点者でもある。ホームゲームは残り2試合。FC東京戦以来の得点をこの試合で見せられるだろうか。

 この試合では出場停止となる谷口彰悟。実は彼が不在のリーグ戦は直近7試合で6勝と意外と調子がいい。彼の名誉のために言っておくと2014年に彼が不在だった4試合はいずれも未勝利。それ以降のここ6年間、川崎は谷口の不在をうまく埋めているということになる。

【ガンバ大阪】

<G大阪のMatch facts①>
・直近14試合のリーグ戦で1敗のみ。(W11,D2)
・トップハーフの中でC大阪に次いで得点が少ない。

 前半戦と同じく首位と2位の戦いである。前回対戦から一時期調子を落としたものの、再び上昇気流に乗った感のあるG大阪。2018年、19年の29節終了時点での首位チームよりも勝ち点を稼いでいる。アウェイゲームも直近7試合6勝負けなしをキープと好調だ。

 トップハーフの中では得点数が少ない方。得点源となるFWが不在となっていることが主要因で、得点ランキングトップ20にG大阪の選手は不在。渡邉、パトリック、宇佐美、アデミウソンのFW陣4人が6得点でチームトップ。FW陣で得点を分け合っている。

<G大阪のMatch facts②>
・今季ホームとアウェイ共に敗れた相手はまだない。
・ビハインドから得た勝ち点は17。これより多いのは鹿島だけ。

 今季、シーズンダブルを食らった相手はまだいない。川崎相手に負けることがあれば、今季初めてのシーズンダブル。川崎相手に連敗すれば、降格した2012年シーズン以来となる。

 ちなみにビハインドから得た勝ち点はリーグ2番目に多い17。およそビハインドのうちおよそ半数の試合では勝ち点を得るところまでリカバリーしている。ちなみに先制した試合では負けなし。展開に寄らず、粘り強い戦いができるチームである。

<G大阪のMatch facts③>
・パトリックは今季ここまで6得点が全て決勝点。
・渡邉千真はここまでの今季6得点のうち、5得点がアウェイで決めたもの。

 先ほど、点を分け合っているという4人のFW。そのうち際立つスタッツを残しているのはパトリック。なんと、すべての得点が決勝点。とてもめんどくさい話である。

 川崎として嫌な思い出を残しているのはむしろ渡邉千真の方か。川崎相手に通算8得点を挙げているストライカーは今季のゴールの多くをアウェイで決めている。川崎相手に再び立ちはだかることができるだろうか。

展望

■ラインブレイクに頼らざるを得ない

 勝利しなければ川崎の優勝を目の前で見なければいけないという屈辱を味わうことになるG大阪。まずは点を取らなければ話にならない。川崎戦のG大阪といえば、撤退守備からのカウンター勝負でもぎ取った1点を何とかする!というイメージがあるが、アデミウソンが実質戦力外になってしまったことで相手を剥がしながらカウンターを独力で完結させられるFWはいなくなってしまった。

 加えて、浦和戦からは中2日と川崎よりは厳しい日程。浦和戦でも疲れが見えた上に、タフな展開になってしまったことで、気持ちは燃えていても身体には蓄積疲労がたまっているはず。90分間ボールを追いかけまわす展開は避けたいところである。以上の理由から、この試合のG大阪はボール保持の時間をある程度作りたいはずである。ビルドアップはCHが片方が中央、片方がプレス隊の横に立ち最終ラインからボールを引き出す。

画像4

 崩しはサイドから。左サイドの崩しの基準点になるのは宇佐美貴史。宇佐美がハーフスペース付近に引く動きで縦パスを受ける。それに合わせてSHが裏を、SBが幅を使った選択肢を持たらす。宇佐美の動きに周りの選手が合わせる形である。

画像5

 右サイドはSHとSBが共に高い位置を取り、ラインブレイクを狙う。後方から山本がこのサイドには支援に出てくる。サイドで横パスを繰り返しながら、ラインブレイクする選手に裏にパスを出して突破する。このラインブレイクはかなりの頻度で行われており、G大阪のサイドの崩しにおける重要なアクションである。独力で解決できるサイドアタッカーがいない分、この裏抜けで深さを作るという算段だろう。なので、このサイドから互いに人が少ない逆サイドに展開されても、気を付けるべきは突破よりもクロス。間合いを空けずに対応したいところだ。

画像6

 ラインブレイクする選手をフリーにするためならば、逆サイドの倉田も出てくる。ここは数の理屈で勝負する形である。このラインブレイクに対する対応が中途半端になると川崎は厳しい。前節の大分戦ではこちらのサイドの車屋と登里の間を割られた深さを作られてしまうシーンが多かった。CHが裏抜けについていくのか、それともCBがついていってCHのカバーをするのか。この裏抜けへの対応がまずは川崎の守備の気になるポイントである。

 しかし、G大阪側にも懸念がある。負傷欠場の可能性がある主力選手が多いこと。左SBの藤春がいなければ左奥を使えるかどうかはわからないし、右サイドから抜け出した後の攻撃性能が高い小野瀬も起用は不透明。CHは井手口が中央に残っていたほうが右サイドに人数をかけても被カウンター時になんとかなる確率は高い。彼ら3人の出場可否はG大阪ファンがこの試合に向けて最も気になるところだろう。

■こちらも縦に揺さぶれるか

 G大阪の守備はなるべくCBを動かしたくない4-4-2。浦和戦ではラインが深くなく、ミドルゾーンで構えるシーンが多かった。川崎戦では撤退型の4-4-2かもしれないが、先述の通り推進力のあるアデミウソンが不在の中でどこまで深い位置までラインを下げることが許容できるかどうか。

 中央のラインは井手口、ヨングォン、昌子など人に強い守備者が多い。正面からぶつかってしまっては分が悪い。CBもスピードがあるわけではないが、川崎のFWが一発で裏をとれるような相手ではない。スピードで勝機があるのはロングカウンター時の広大なスペースでWGがG大阪のCBと勝負できる時だけだろう。

 サイドへの圧縮はかなり強め。中盤は特にボールサイドに寄って、同サイドを閉じることと中央への斜めのパスを制限することが最優先。なので、もしかすると最終ラインを経由してのサイドチェンジでも移動は間に合わないかもしれない。この辺りは実際に試しながらやってみるといいだろう。G大阪のFWはこまめにポジションを取り直すわけではないので、MFが1人サイドチェンジに備えたポジションを取るといいかもしれない。

画像7

 川崎としてはまずは最終ラインを中盤から引き離すことが優先。サイドチェンジによる中盤突破ももちろんその手段の1つである。相手の中盤が最終ラインに降りる動きにはあんまりついていかない。なので中盤の駆け引きが非常に重要になる。イメージとしては鹿島戦で三竿相手に見せた中村憲剛の動き。ミクロなところで相手を動かす距離感でパスコースを空ける動きでDF-MF間に入りこむスペースを作りたい。

画像8

 そうしてG大阪のDFラインに前に出てくる余地を残したい。昌子やヨングォンが前に出てくるようになれば、裏に出てくる動きも合わせて狙いたい。G大阪はラインコントロールで勝負するタイプではないので、ここでほころびが出てくる可能性もある。

 したがって、互いに相手を縦に揺さぶられることができるかどうかがこの試合を主導権を左右するだろう。スコアレスで進めばより焦るのはG大阪の方。川崎は今季追いかける展開になっても焦らないことが強みの1つ。おそらくワンサイドゲームにはならないはず。終盤までもつれるこの試合で最後まで相手を縦に揺さぶれるかどうか。最終局面を迎える優勝争いがこの試合で終わることになるのだろうか。

【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)

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