同点の歓喜はすぐさま打ち消される
前節は神戸相手に完敗を喫した鳥栖。今週の相手は残留争いの直接のライバルになりそうな湘南。前節以上に負けることが許されない相手との一戦である。
残留をかけた直接対決ということもあり、両軍とも非常に気合が入ったスタート。高い位置から相手を追い回すため、非常にテンポが速い立ち上がりとなった。
先に有効だといえるルートを見つけたのは湘南だろう。ワイドに広げて裏に抜けるというところで起点作りに成功。WBの背後に2トップが流れることで起点となり、ボールを引き出していく。
一方の鳥栖は神戸戦よりはロングキックは減ったものの、ポゼッションはU字。プレスが落ち着き、5-3-2でどっしりと構える湘南の守備ブロックに対してインサイドに縦パスをつけることができない。特にアンカーの田中のインターセプトは強力。鳥栖のインサイドに対する防波堤となっていた。
結局、起点となれそうだったのは前節に引き続き前線へのロングボールが中心。富樫、スリヴカへの長いボールからチャンスを探っていく展開となった。
敵陣への侵入の精度はそのままスコアに反映される。右サイドからの裏抜けを繰り返した湘南は先制点をゲット。一度はオフサイドで見逃してもらえたが、直後に全く同じ形から崩されてしまい、あっさりと先制点を献上することとなった。
鳥栖は先制されてもなお攻撃の糸口を見つけることができない状態に。各駅停車気味のパスからサイドを狙っており下げようとするが、落ち着いて構える湘南のブロックに効くようなパスワークを披露することができなかった。
後半、選手交代から鳥栖は活性化を図る。右のWBに入った久保は1on1で十分に勝算が見込める戦力。トランジッションを増やす展開から右サイドでの勝負から湘南のブロックをえぐることができるように。セットプレーからテヒョンが決定機を迎えるなど、前半以上にゴールに迫る場面も出てくるように。
鳥栖が仕掛けたアップテンポな展開に湘南はきっちり付き合った印象だ。保持での縦に速い攻撃だけでなく、非保持ではリードをしているにも関わらず枚数を合わせてのプレスを披露。全面的に鳥栖のテンポについていく。
トランジッション合戦となった終盤戦、セットプレーで試合を動かしたのは鳥栖。木村のヘッダーで同点に追いつく。
だが、直後に湘南はトランジッションから決勝ゴール。ボールを奪ったところから一気に縦に進むと、福田がコースを作って自らシュートを沈めた。
一瞬の喜びがすぐに沈黙に変わった駅前不動産スタジアム。残留争い直接対決は湘南に軍配が上がった。
ひとこと
前進のルートがなかなか見つからないのが苦しい鳥栖。特にCFが収まらなかった時はクライシス。この日、後半に存在感を発揮した久保はキーマンになるかもしれない。
試合結果
2024.8.31
J1リーグ
第29節
サガン鳥栖 1-2 湘南ベルマーレ
駅前不動産スタジアム
【得点者】
鳥栖:85‘ 木村誠二
湘南:31’ 鈴木章斗, 86’ 福田翔生
主審:飯田淳平
