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「それぞれの追試」~2020.9.23 J1 第18節 川崎フロンターレ×横浜FC BBC風オカルトプレビュー

 このプレビューは対戦カードの過去の因縁やジンクスを掘り起こして、試合をより一層楽しむための物です。

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第18節
2020.9.23
川崎フロンターレ(1位/15勝2分1敗/勝ち点47/得点55 失点16)
×
横浜FC(14位/5勝2分10敗/勝ち点17/得点21 失点34)
@等々力陸上競技場

戦績

近年の対戦成績

図1

直近10試合で川崎の9勝、引き分けが1つ。

川崎ホームでの成績

図2

直近10試合で川崎の7勝、横浜FCの1勝、引き分けが2つ。

Head-to-Head

<Head-to-Head①>
・川崎は対横浜FC戦において直近9連勝中。
・過去の対戦で横浜FCが川崎を無得点に抑えたことはない。

 川崎にとって横浜FCはJ1で最も勝率がいい相手。23戦20勝で87%と非常に高い勝率を記録している。ちなみに過去の対戦で川崎が無得点に抑えられたことは一度もない。横浜FCにとっては川崎は天敵といえる存在だ。

<Head-to-Head②>
・横浜FCが過去にリーグ戦で川崎相手に勝ち点を取った3回はいずれも川崎ホーム。
・最後に等々力で横浜FCが勝利したのは2002年の5月。

 しかしながら川崎はこのカードはむしろ横浜FCホームの方が強い。横浜FCが川崎に勝ち点を取っているシチュエーションは全て川崎ホーム開催の試合ばかりである。

 横浜FC唯一の勝利も等々力での試合。80分以降に2得点を取って逆転したこの日以降14試合横浜FCは川崎相手に勝てていない。

<Head-to-Head③>
・公式戦における川崎戦で3試合連続で横浜FCが得点を取れば2001~02年以来。
・ミッドウィークでの開催は過去に4回。いずれも川崎が勝利。

 直近2試合は横浜FCは川崎相手に得点中。J2時代のリーグ戦で6試合連続得点という記録を達成しており、この6試合の一番最後の試合が先ほど紹介した横浜FCが勝利した試合でもある。3試合連続得点はこの時の記録以来となる。

 ミッドウィーク開催に絞ると川崎の4戦全勝。リーグ戦での開催は過去に一度だけでこの試合は川崎が1-0で勝利を挙げている。

スカッド情報

【川崎フロンターレ】

・大島僚太は前節に負傷により途中交代。
・長谷川竜也はフルトレーニングに復帰済みだが未だベンチ入りはなし。

【横浜FC】

・マギーニョは契約条項により出場不可。
・カルヴィン・ヨン・ア・ピン、中山克広は欠場が続いている。
・武田英二郎は右ひざ内側半月板損傷により1~2か月の離脱。

予想スタメン

画像3

Match Facts

川崎フロンターレ

<川崎のMatch Facts①>
・公式戦6試合連続3得点中。
・勝てばホーム9連勝。

 1試合で3得点というノルマを鬼木監督は選手に課しているようだ。そしてここ6試合は川崎の選手たちはそれを達成している。ちなみに勝利している直近8試合はいずれも3得点以上。このノルマを守ってかつ勝利をしている状態である。好調なホームゲームでこの記録を続けることはできるだろうか。

<川崎のMatch Facts②>
・直近で挙げた14得点の内、10得点が後半に挙げたもの。
・直近15試合との関東勢の対戦で13勝。

 直近の得点は後半に偏っている。広島戦や横浜FM戦に代表されるように後半頭のプレスで圧殺する場合もあるし、第3ラウンドの神戸戦や浦和戦のように終盤の開けた展開が優位に働く場合もあるが、川崎に勝つには後半に訪れるこの2つの波をどう打ち破るかが重要になる。

 ちなみに関東勢との公式戦は直近15試合で13勝。この間の唯一の敗戦は昨年のホーム横浜FM戦。関東勢には数年単位で強さを見せ続けている。

<川崎のMatch Facts③>
・小林悠、レアンドロ・ダミアン共に3試合連続ゴール中。
・ソンリョンは今季ここまでのリーグ戦で連続クリーンシートを記録したのは一度だけ。

 小林とダミアンの両ストライカーは直近で併用はほぼ見られないものの、どちらが先発しても途中交代でも得点を重ねるという好循環が続いている。ごっつぁんだろうとPKだろうと得点が続けばストライカーは勢いが出るものだ。

 一方でGKにとって勢いが出るのがクリーンシート。ソンリョンは今季初めての2回目のリーグ戦の連続のクリーンシートに挑む。今季はリーグ全体で得点が多い気がする(未検証)中でこの記録は大変だが、前に続いて後ろも波に乗りたいところである。

横浜FC

<横浜FCのMatch Facts①>
・直近5試合のリーグ戦で4敗。
・アウェイゲームは3連敗中。

 5連敗、3連勝の後に5戦4敗と波の多いシーズンである。名古屋戦の勝利から再び上昇気流に乗りたかったところだが、大分には挫かれてしまった。

    課題はアウェイゲームの星取。敵地3連敗を止めなければ再び上昇気流に乗るのは難しいだろう。

<横浜FCのMatch Facts②>
・今季挙げている6勝のうち、3勝は現在のトップ6から挙げたもの。
・後半追加タイムの失点は4。リーグ最多。

 今季挙げている勝利の半分はトップ6から。柏、名古屋、鹿島などから白星を挙げており上位相手への成績は十分である。ただし、勝っているのは4位から6位でトップ3には全敗。川崎相手にまずは一泡負荷したいところだが。

 ちなみに後半の追加タイムの失点はリーグ最多。得点を見ても前半の方が多い稀有なチーム。横浜FC以外に前半の得点が多いチームはG大阪、名古屋、横浜FMの3つだけ。リーグとしては交代選手を多く投入できる後半に得点が生まれているのだが、やや攻守ともにトーンダウンする傾向にある。

<横浜FCのMatch Facts③>
・起用人数31人は柏、大分と並んでリーグ最多。
・今季公式戦で最も出場時間が長いのは瀬古樹

 特徴的なのはターンオーバーの多さ。予想スタメンはとにかくわからん。起用人数は31人とリーグ最多。それだけでなく、最多出場時間の瀬古ですら7試合は途中出場ということで非常に積極的なスタメンを行っているチームである。

展望

■4-4-2で変わるもの、変わらないもの

 前回対戦時は5-3-2だった横浜FC。連敗が続く中で第9節から4-4-2にフォーメーションを変更している。想像するにこれはサイドの高い位置をケアするためだろう。前回対戦時は3センターの脇、すなわちWBの前のスペースを空けてしまい、ここを起点にPAにクロスを上げられてしまうケースが多くなっていた。4-4-2に変更してSHを置くことでまずは相手のSBにプレッシャーをかけたいという狙いだろう。

  川崎は前節サイドを封鎖する4-4-2を敷いてきた浦和相手に攻めあぐねるシーンがあった。前節は浦和のSHの戻りが遅れたシーンから川崎が先制点を挙げることができた。浦和と比べると横浜FCは4-4-2の重心がより低いチーム。ボールサイドの最終ラインのチャレンジは、CHがカバーするメカニズムもありスムースに穴を塞いでいる。

画像4

 ただし、高い位置のサイドで相手を監視できる選手を置いたとしても、相手にボールを持たれた時にやや引き気味になってしまう傾向はあまり変わらない。競り勝った名古屋戦では後半は多くの時間で自陣に釘付けにされてしまい、なかなかに前に出ていくことができず。PAで跳ね返し続ける時間帯が続いてしまった。

    CBの強度が高いわけではないので、こういう状況が長く続いてしまうと失点につながりかねない。引いた位置で後ろのスペースを与えない分、単純な強度の部分で川崎に通用するかどうかは横浜FCにとってのチャレンジになるだろう。

 また、FC東京戦では高萩にCB間の中央をかち割られるスルーパスを決められるシーンも。そもそも中央を締めきれなければ4-4-2も本末転倒感はある。サイドと中央のバランスはまだ試行錯誤中といったところではないだろうか。

■変わらない質に対する再チャレンジ

 一方で4-4-2に変更しても変わらない質を保てている印象なのはボール保持だ。名古屋戦では確かにビルドアップミスからの失点はあったが、単純に後方は枚数が減っているにも関わらず個々の選手が苦しくなっている様子はない。ボールホルダー周りのサポートや全体の配置のバランスの原則がよくチームに浸透しているためだろう。

    バックラインを含めて多くの選手が入れ替わっている中で変わらない質を維持するのはなかなか大変な作業なはず。川崎戦相手にも点を取った田代は名古屋戦でも得点に間接的に関与。最終ラインでも高い位置に上がっていってボール回しに参加することができる。

 ボール保持における特徴は2トップの後方にサポートするようにSHが内に絞って構えること。そして大外は基本的にはSBのものである。松尾のような外からのカットインが武器になっている選手もいるが、彼を含めて絞って2トップとのパス交換を行う頻度は高い。

画像5

 選手の序列もわかりにくいのも特徴である。前回対戦時に比べると皆川や齋藤功佑、安永などはかなり出番を増やしている。繰り返しになるがスタメンの読みにくさはこれまでの相手の中で随一だ。

   後半での失速があるイメージがあるチームだが、ここ数試合を見ると、前回対戦した時に比べると後半の失速は抑えられているようにも見受けられる。Match Factsでも紹介したように多くの人数で回すスカッドの成果は少しずつ出てきているのかもしれない。

 大勝という結果で忘れがちだが、横浜FC戦はボールと主導権をセットで握られる苦しい時間帯があった。川崎対策としてよく言われるのはアンカー脇のスペースやら、WG-SB間のスペースやらいくつかはあるが、最も効果的なのはボールを取り上げてしまうことである。横浜FCはそれを達成するポテンシャルを秘めたチームである。

 押しこまれたチーム相手への横浜FCの最終ラインの強度は疑問視したが、そもそもそこにたどりつけるのかどうか。川崎にとっては神戸戦ではクリアしきれなかったボールの取り返し方の再試験になるのかもしれない。一方で横浜FCにとってはその強度を維持する握力があるかどうかが試される。共に腕試しの様相が強くなりそうな一戦だ。

【参考】
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)
日刊スポーツ(https://www.nikkansports.com/soccer/)

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