MENU
カテゴリー

「避けたい不可逆的変化」~2020.8.26 J1 第24節 ヴィッセル神戸×川崎フロンターレ BBC風オカルトプレビュー

 このプレビューは対戦カードの過去の因縁やジンクスを掘り起こして、試合をより一層楽しむための物です。

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第24節
2020.8.29
ヴィッセル神戸(9位/勝ち点16/4勝4分4敗/得点16 失点18)
×
川崎フロンターレ(1位/勝ち点31/10勝1分1敗/得点34 失点10)
@ノエビアスタジアム神戸

戦績

近年の対戦成績

図1

直近5年間の12戦で神戸の4勝、川崎の5勝、引き分けが3つ

神戸ホームでの対戦成績

図2

直近10戦で神戸の4勝、川崎の3勝、引き分けが3つ。

Head-to-Head

<Head-to-Head①>
・当該カードは川崎が神戸に連敗中。
・ミッドウィーク開催は過去に3回。いずれも神戸ホームで1勝1分1敗

 よりによって連勝がとまったタイミングでの神戸というのは頭が痛いと思っている川崎ファンは多いに違いない。なにせ昨季リーグでの上位進出の一縷の望みがなくなったのも天皇杯への初タイトルチャレンジがつぶされたのも神戸。今季好調だったリーグにおける失速の連鎖がここから始まったら目を当てられないだろう。

   対戦成績を見ると連敗以前は3連勝中と全く勝てていない相手ではない。ミッドウィーク開催は過去3回。すべてが神戸のホーム開催で去年の天皇杯が直近だ。リーグ戦での水曜開催は過去に1回。2005年に川崎が神戸を1-6で下した試合が唯一だ。

<Head-to-Head②>
・直近5試合の対戦はどちらも得点を決めている。
・直近10試合の対戦のうち9回はどちらかが複数得点を取っている。

 直近の対戦は撃ち合いで互いにクリーンシートはなし。後述になるがクリーンシートが少ない両チームの傾向に沿ったものになっている。10試合中9試合で複数得点が見られておりゴールシーンが多い試合になりそう。ただし、両チームが共に複数得点を取ったのは2回どまり。ややワンサイドになりがちで、負ける側は取れて1点というゲームが多い。

<Head-to-Head③>
・直近5試合はホームとアウェイが交互に勝利している。
・直近3試合のアウェイ神戸での川崎の勝利は全て1-2。

 神戸ホームでの対戦成績の表を見てみると、4行連続の無得点が強烈な印象を受ける。かつては苦手だったノエスタも近年ではだいぶ克服してきている。

    ホームとアウェイが交互に勝利するという5試合続くジンクスがこの試合でも続くとすれば、勝利するのはアウェイの川崎フロンターレの番ということになる。オカルトだね。ちなみに神戸ホームでの川崎の勝利は直近3試合すべて1-2。しかも、直近2試合に限れば試合を決定づける2得点目を小林悠が決めているというジンクスもある。オカルトだねー!

スカッド情報

【ヴィッセル神戸】

・田中順也、トーマス・ヴェルマーレンは欠場見込み。
・アンドレス・イニエスタは出場不透明。

【川崎フロンターレ】

・名古屋戦で三笘薫が途中交代。
・長谷川竜也は離脱中。

予想スタメン

画像4

Match Facts

【ヴィッセル神戸】

<神戸のMatch Facts①>
・リーグ戦連勝になれば2019年の11月以来。
・今季公式戦15試合でクリーンシートは3つのみ

 連勝になれば昨年11月以来。天皇杯こそ制して意気揚々と迎えた今季であるが、主力の退団があったにも関わらずオフの補強も控えめ。ここまでのリーグ戦ではなかなか苦戦を強いられている。中でもクリーンシートの少なさは気になる部分である。浦和に続いて川崎も撃破できれば今季初の連勝になるが…?

<神戸のMatch Facts②>
・ホームゲームは3連敗中。
・今季前半15分までの失点がない唯一のチーム。

 特に勝利から遠ざかっているのがホームゲーム。リーグ戦6試合で勝ち点は4。神戸よりホームで勝ち点を得ていないのは鳥栖と仙台のみ。ホームでのクリーンシートはなしという状況で成績がなかなか上向きになっていない。

 ただし、前半15分までの失点はなし。立ち上がりはいいチームということだろう。試合を全部見ているわけではないので想像だが、立ち上がりはボール保持でゲームを制御しながら進めるけど、どこかで決壊してしまう!みたいなことなのだろうか。

<神戸のMatch Facts③>
・古橋亨梧はこれまで出場した対川崎戦4試合すべてでゴールかアシストを決めている。
・山口蛍はこれまでの川崎戦通算13試合で9勝を挙げている。

 近年の川崎戦で調子がいいこともあり、川崎に対してかなり分がいいスタッツが目立つ選手は多い。どのチームにとっても脅威となる古橋の負傷明けのコンディションはどうだろうか。浦和戦のチェックは間に合わなかった。すまん。

 山口蛍はC大阪時代から川崎戦は得意。ミドルで打ち抜いたゼロックススーパーカップなどゴールも決めている。神戸に移籍してからも向上したオフザボールの動きで川崎を翻弄。浦和戦で先発を回避し、疲れが少しは抜けた状態で来るのは厄介である。

【川崎フロンターレ】

<川崎のMatch Facts①>
・前節公式戦15戦ぶりの敗戦
・直近4試合の敗戦のうち、2戦は神戸相手に喫したもの。

 久しぶりに負けた川崎。開幕無敗記録を続けたチームでの優勝の頻度の少なさを考えると、大事なのはここからである。しかしながらここでよりによって神戸。最近最もたくさん負けている相手である。めんどくさいな!

<川崎のMatch Facts②>
・公式戦4試合連続の失点中。
・公式戦直近9試合中、5試合で先制点を取られている。

 失点数は少ないが、クリーンシートも少ない。それが今季の川崎である。さらに言えば先制点を取られる機会も多い。湘南、仙台、C大阪、名古屋×2とやたらと先制点を取られている。神戸相手に昨季敗れた2試合はいずれも先制点を取られている。まずはゲームを握って先制点を奪って相手の出鼻をくじきたい。

<川崎のMatch Facts③>
・小林悠は今季7得点中、6得点はアウェイで決めている。
・鬼木監督の直近5敗の対戦相手はすべて出身地が欧州の監督。

 小林悠は途中交代での得点が多い!と述べてきたが、そのほとんどはアウェイで決めたものという傾向もある。C大阪戦以外の得点はアウェイでの途中出場のゴール。アウェイでの6得点はレオナルドと並んでリーグ最多だ。また直近9試合の神戸戦で7得点2アシスト。神戸戦の相性も悪くない。

 一方で鬼木監督は神戸との相性はイマイチ。リージョには勝ったことがあるものの、フィンクには勝ったことがない。というかここ最近負けているのは欧州出身(ポステコさんは一応出身はギリシャのようです)の監督ばかり。ロティーナはなんとか制圧したものの、フィッカデンティには自身初めて勝ち点3を献上してしまった。連敗中のフィンク相手に勝ち点3を得ることはできるだろうか。

展望

■試行錯誤中も成長の兆しがある

 主力の外国人選手の入れ替えや入れ代わり立ち代わりで出る負傷者の影響もあり2020年の神戸は試行錯誤が続いている印象だ。システムも3バックと4バックを併用しながら試している。去年川崎が苦しんだ3-1-4-2はドウグラスと古橋がともに揃った時に限るようである。古橋の離脱以降の3バックはドウグラスをサポートストライカー2人で支える3-4-3を試すようになったし、ドウグラスがベンチだった直近の浦和戦では、藤本をCFで古橋をLWG起用するやり方だった。

 3-4-3が披露されたのは鹿島戦。この試合も試行錯誤感が見えた試合である。3バックの中央に入った大崎が時折1列上がりアンカーのように振舞うこともあるが、後方のボール回しにはそのほかにはあまり動きがなくやや硬直気味だったように見えた。

 攻撃パターンはドウグラスを軸として回っている。高い位置を取ることで空いたWBからクロスを入れるパターンと後方から彼をめがけて長いボールを送るパターン。ドウグラスを中心としたシャドーとの連携構築はまだ途上。郷家は結果を出し始めているが、安定した形になっているかは微妙なところである。ただし、出し手のスキルやアタッカーの個人能力は高く、途上といえども破壊力はある。古橋が復帰すればなおさらである。

   3-4-3の問題は非保持のところが大きい。ボールロスト後の被カウンターは相手にとって起点を作れる箇所がいくつかある。WBの裏はその1つ。鹿島戦の1点目はここから運ばれたシーンである。

画像5

 山口とイニエスタがコンビを組んだ中盤セントラルは相手の遅攻においても縦パスを通されてしまい、攻撃の加速を許してしまうシーンもあった。中央、サイドのいずれからも3バックがさらされるシーンの多さは神戸の3-4-3の問題点のように見えた。

 直近の4バックのケースではサンペールがアンカーを務めている。佐々木も試されていたが、アンカーの位置から動いてしまうG大阪戦での動きは不十分と評価されたようだ。3バックにしても、4バックにしても飯倉とは別にチームのへその部分に大崎やサンペールという起点となる選手を置きたいという方針なのだろう。

 4-3-3の方がパスコースは豊富。インサイドハーフがシャドーと連携して中央やハーフスペースでボールを引き出すのはさすがの精度。中央で起点ができることで外にいる酒井や西の破壊力はさらに増す。一方で被カウンター時の脆弱さはやや懸念点。個人で止める部分に頼っているところがあるので、単純に枚数の減少は痛手になるだろう。

 どちらのシステムで来るかはわからないし、古橋のコンディションが十分ならば昨年川崎が苦しめられた3-5-2のような形を使うことも大いに考えられる。個人的にはサンペールがスタメンならばおそらくは4-3-3の継続ではないかと予想する。

 いずれにしても川崎が神戸で最も気を付けなければいけないのは神戸のボール保持の部分だろう。川崎の非保持の弱点として真っ先に挙げられるのはセットされた時のDF。ここを動かせる神戸のボール保持に対して川崎がどう受け止めるかが肝。特に川崎の中盤のスペース管理能力は問われることになる。

 昨年の対戦では特にサイドをうまく使われた印象。大外のWBを活用したビルドアップとSBの裏に流す2トップやインサイドハーフの動きで川崎のSHとSBはだいぶ基準点を狂わされた。

画像3

 懐かしきfootballtacticsの図である。今ではだいぶ便利になりました。TACTICAListaさん最高です。

 個人の話をすればアンカーを使うシステムではサンペールがボール運びで違いをみせる。非保持では怪しさがあるサンペールだが、ボール保持では運ぶドリブルに配球にさすがの活躍。ここをどう抑えるかは引き続き重要なポイントになるだろう。要人は今季の川崎はマンマークで解決しがちだけど。

 欠場の可能性のあるイニエスタの代役に入る安井にも注目。神戸の守備はドウグラスを先頭にサイドに追いやる形でプレスに行くのだが、裏をとられるのを恐れているのかややSBのチェックが遅くなりやすい。しかし、インサイドハーフに安井が入れば挟むようにサイドに囲い込むことができる。SBもプレッシャーがかかっている状態なら押し上げてプレスすることも可能。

画像6

画像7

 攻撃においても柏戦の2点目はフレアを感じさせるアシストを披露。さすがにイニエスタと比べると分が悪いが、実効性は十分高い。

 欠場濃厚なヴェルマーレンのところには渡部や菊池の出場も可能。ボール運びの改善も見られており、ここ数試合で成長を感じる部分である。豪華外国人選手たちと共に汗を流す日本人選手たちにも開花の予感が漂っている。というわけで違う形ではあるが、神戸の日本人選手も負傷がいるスカッドを埋めることが出来るとみる。

■やり返しで前節も去年も清算

 さて、川崎である。今季の川崎の攻撃時の問題点は立ち上がりにピッチを広く使うパスワークを意識していたとしても、時間と共にそれが目の前のサイドを崩す意識に収束していくこと。そして、これが不可逆的であるということ。点を取らなくてはいけない終盤において狭いサイドにつっかけていってしまう傾向がある。

 立ち上がりはピッチを広く使うことが多い。大勝したC大阪戦でも敗れた名古屋戦でも前半は両サイドを使いながら攻撃することが出来ていた。徐々にパス交換の位置が狭くなっていくのが後半。

    ビハインドでボールを捕まえに来てくれたC大阪相手にはそれでさらに追加点を決められたが、リードされた名古屋相手にはボール保持も駆使しながら試合を閉じられてしまった。徐々に近め近めになっていく攻撃のルートを変えることはできなかった。

 もちろん、実際にそれで崩して勝ち点を取っている試合も多い。しかし、名古屋戦を見てみると三笘の離脱以降は狭いサイドを崩すのに苦労しており、彼への依存度が高くなっていることがうかがえる。そんな彼はおそらく次節いない。そして次の相手は神戸である。昨シーズンうまく試合を握られて寝かせられた相手である。

 できればリードを得て、ピッチを広く使い、神戸のプレスをいなしながらプレーしたいところ。プレスで相手を捕まえ続ける展開は全く持って神戸の望むところではないだろう。昨季のやり返しである。

 今季、多くの修正でチームの勢いを取り戻すことに貢献していた鬼木監督だが、昨季の神戸戦ではかなり苦しんでいた。名古屋戦では結果を出すことをできなかったが今季は昨年とは異なった攻撃での支配力と守備での受け方を見せたほしいところだ。

参考
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
FBref.com(https://fbref.com/en/)

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次