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「おびき寄せて鬼門突破」~2019.10.19 J1 第29節 ガンバ大阪×川崎フロンターレ プレビュー

全文無料で読めます。

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第29節
ガンバ大阪(12位/勝ち点34/8勝10分10敗/得点39 失点41)
×
川崎フロンターレ(4位/勝ち点47/12勝11分5敗/得点46 失点26)
@パナソニックスタジアム吹田

戦績

近年の対戦

図2

直近5年間の14戦でG大阪の6勝、川崎の6勝、引き分けが2回。

G大阪ホームでの直近10試合の対戦成績

図3

G大阪の6勝、川崎Fの1勝、引き分けが3回。

Head-to-Head

Head-to-Head①
【公式戦の対戦成績】
・公式戦における両チームの対戦は過去42戦でG大阪が21勝、川崎が15勝、引き分けが6つ。
・直近2試合の公式戦のG大阪戦において川崎は無得点

 公式戦の戦績はややG大阪に分がある。勝率は5割だ。直近の対戦もG大阪が川崎相手にシャットアウト勝利。逆にそれ以前の2試合は川崎がG大阪相手にシャットアウトで勝利を飾っている。

Head-to-Head②
【天敵は桜だけにあらず】
・川崎にとってG大阪は通算得失点差が最もマイナスに大きい相手(-12)
・直近19回の公式戦の対戦で引き分けは2回だけ。

 最近の川崎の天敵といえば、もっぱらC大阪だが、G大阪も負けず劣らず分が悪い。通算得失点差が最もマイナス方向に大きいのに加えて、川崎の同一チーム相手の敗戦数はG大阪戦がトップ。川崎が最も負けている相手がG大阪である。勝率もC大阪に次いで低い。

 ちなみにこのカードは引き分けが少ないカードでもある。直近19回の対戦で引き分けは2回。ただし、通算6回の引き分けのうち、直近4回の引き分けは今回と同じG大阪ホームでうまれたものだ。

Head-to-Head③
【Jリーグでは珍しく・・・】
・G大阪ホームでの試合は過去20戦でG大阪の12勝、川崎の4勝、引き分けが4つ。
・リーグ戦においてG大阪のホームで川崎が勝利したのは1回だけ。

 プレビューのために毎試合川崎の各チームとの対戦成績を調べているわけだが、その時に感じるのはJリーグのホームアドバンテージの少なさ。要はホームチームがグッと有利なカードはあまり多くないということである。しかし、このカードはその傾向とは切り離されている。G大阪ホームでの川崎戦は間違いなくG大阪が有利。川崎がリーグ戦で勝ったのは過去1回だけ。16年、パナスタでの初対戦時に大久保嘉人のゴールで逃げ切った試合だ。ほかの大阪の地での勝利はナビスコやACLのもの。万博のリーグ戦は1回も勝ったことないのね。。

Head-to-Head④
【G大阪に先制点が?】
・G大阪ホームでのリーグ戦14回の対戦で川崎がクリーンシートを記録したのも一度だけ。
・G大阪がJ1復帰した2014年以降、後半戦での対戦はいずれの試合もホームチームが先制点を得ている。

 特に顕著なのはG大阪の得点の多さである。G大阪ホームでの川崎のクリーンシートは直近14試合で1回だけ。最も、G大阪もその間4回しかクリーンシートを記録していないので撃ち合いとみることもできる。

 ただし、撃ち合いとはいえ先制点に関しては傾向がある。G大阪のJ1復帰以降。その年の後半戦で戦った試合でいずれもホームチームが先制点を得ている。そう、ここでもホームアドバンテージである。

【ガンバ大阪】

選手情報

・宇佐美貴史は左太ももの負傷で欠場の見込み
・アデミウソンは股関節に痛み。16日の練習を欠席。

Match Facts

G大阪のMatch Facts①
【リーグ戦】
・勝てば今季2回目のリーグ戦連勝。
・直近4試合のリーグ戦の勝利はすべてクリーンシート。

 勝てば今季2回目の連勝という事実が今季の苦戦を物語っている。降格の危機があった前半戦よりは持ち直したものの、大阪ダービーでの完敗や天皇杯の敗退など、時折ショックの強い敗戦を喫することで、ポジティブなイメージになりづらいのかもしれない。直近の勝利の共通点はクリーンシート。守備が持ちこたえることが勝利の最低条件になっている。

G大阪のMatch Facts②
【持ち直しの秘密はホームにあり】
・リーグ戦のホームゲームは直近10試合無敗(W5D5)。
・直近4試合のホームでの公式戦は全勝。1失点のみ。

 前半戦から持ち直した要因はホームゲームである。直近5回の公式戦の勝利はいずれもホームゲーム。リーグ戦に関しては直近4試合で1失点とホームゲームが勝ち点の稼ぎ頭。ちなみにホームゲームは開幕から4連敗だったりする。4連敗からの10戦無敗。落差が激しい。

G大阪のMatch Facts③
【オープンがお好き?】
・リードしている状況から4回の逆転負け。
・ドリブルからの得点が7点でリーグ最多。

 神戸と並んでリーグ最多を記録している逆転負けは目につく。17回のリード経験は川崎と同数だが、そこから凌ぎきれずに勝ち点を取りこぼすケースは多い。試合をクローズしきれないのだろう。ただし、オープンなのは攻撃陣の特性を考えればありがたいのかもしれない。ドリブルからの得点は横浜FM、鹿島と並んで最多。17%のゴールがドリブルから生まれているのはリーグで最も高い数値である。

G大阪のMatch Facts④
【3バックで台頭してきた新星】
・高尾瑠がスタメン起用されたリーグ戦の1試合平均勝ち点は1.53。
・パトリックがゴールかアシストを決めた試合は9戦無敗。

 チームの成績と照らし合わせると転機になったのは3バック導入。それを機にスタメンを獲得したのはRCBの高尾瑠。彼が起用された12節以降の1試合平均勝ち点は1.53。それ以前の0.73と比較するとほぼ倍増である。

 夏の入れ替えが激しかった新戦力からは川崎にゆかりのあるパトリックのデータをピックアップ。ゴールかアシストを決めた試合は9戦無敗と1年以上負けていない。最後に負けたのは広島時代の2018年。エディオンスタジアムに川崎を迎えた試合である。

【川崎フロンターレ】

選手情報

・齋藤学、藤嶋栄介、安藤駿介は長期離脱中。
・代表帰りの田中碧は練習合流。

Match Facts

川崎のMatch Facts①
【アウェイ連勝なるか?】
・勝てば今季3回目のリーグ戦連勝。
・アウェイでの公式戦は直近9試合で1勝。

 G大阪が2回ならば、川崎は勝てば今季3回目となる連勝。2つの連勝のうち片方は5連勝という事実は気休めにはなるかもしれないが、いずれにせよ勝ちきれてないのは事実。ファンもそう体感している人が多いだろう。

 直近で連勝の壁になっているのはアウェイゲーム。延長にもつれた天皇杯の岡山戦を引き分けとカウントすれば、直近9試合で勝利したのは湘南戦のみ。序盤は得意だったアウェイゲームで3回目の連勝を狙いたいところだ。

川崎のMatch Facts②
【ポジれる要素】
・直近2試合のアウェイゲームはクリーンシート。
・敗れれば今季初のダブルを食らうことに。

 ポジティブ要素を持ってくるのならば、ルヴァンカップ鹿島戦とリーグ湘南戦で直近2試合のアウェイゲームはクリーンシートだったりする。ポジティブ大事!

 ただし、負ければ今季初のダブル。昨年のC大阪に続き、大阪勢に2年連続のシーズンダブルを食らうことになる。

川崎のMatch Facts③
【大事なことだから何回も言う】
・大阪での公式戦は6試合連続勝ちなし。
・鬼木監督がリーグで2回以上対戦した指揮官の中で勝ち点を奪ったことがないのは宮本恒靖のみ。

 ポジティブになったところで突き落とすようなデータで申し訳ないのだが、アウェイの中でも川崎にとって特に鬼門なのが大阪。このプレビューで何回も言っている気がするが、とっとと勝たない川崎が悪いとしか言いようがない。因縁の天皇杯決勝を含めて、直近3年間全く勝てていない。

 加えて鬼木監督は宮本監督から勝ち点を奪ったことがない。いや、それどころか得点すらあげたことがなかったりする。鬼門に苦手な指揮官。苦手×苦手のかけ合わせだが・・・。

川崎のMatch Facts④
【ベンチからでも頼れるコンビ】
・新井章太は今季9試合の公式戦出場でクリーンシート5つ。
・長谷川竜也は今季途中交代から4ゴールに関与(3G1A)でリーグ最多。

 長らくベンチを支え続けた新井が正守護神になったことを、喜ぶ川崎ファンは多いのではないだろうか。加えてその新井は高パフォーマンスを維持。9試合でクリーンシート5つ、7失点というのは、33試合でクリーンシート12つ、33失点のソンリョンと比べてもやや良好。奈良とジェジエウと離脱や、定まらないRSBなど、最終ラインの人選が流動的な状況を考えればとてもいい数字といっていい。

 攻撃陣では長谷川竜也。湘南戦でも5点目をとったり、鹿島とのルヴァンカップではクローザーとして嫌がらせに徹したりなど、ベンチからも存在感を見せている。同じく、途中出場で4ゴールに絡んでいるのはレアンドロ・ダミアン。実は長谷川のアシストからダミアンが決めるパターンは今季3ゴール、川崎で最も多い得点パターンになっている。

 チームをベンチから支え続けた守護神と、ベンチからでも存在感が発揮できるアタッカー陣。この試合でも活躍を期待したいところだ。

予想スタメン

画像3

展望

■引き付けて狙うは「一歩先」

 G大阪の直近の公式戦は札幌との3連戦。リーグ戦では勝利をしたものの、カップ戦では敗北。今季の無冠が確定してしまった。リーグ戦の成績を見ると絶好調!とまではいかないが、降格の危機に怯えていた前半戦に比べれば、やや持ち直しているとみるのが妥当だろう。そのきっかけが3バックの導入である。攻撃面ではビルドアップにおける数的優位の確保、守備面では対人に強いCBの特性を生かしてチャレンジのリスクを低減するための3バック導入だろうか。なぜか9月からは4バック回帰したけど、10月から3バックをリスタート。9月は何があったんだよ。ちなみに、われらが鈴木雄斗は9月のルヴァンカップ以来出場なし!まぁどちらにしろこの試合には契約上出てこれないんだけど。

 話を元に戻す。まずはG大阪のビルドアップについて。3枚のCBは広がった陣形を取りつつ、ややアシンメトリーの配置をするのが特徴である。高い位置を取るのはMatch Factsの項でも紹介した高尾。おそらくこちらがストロングサイドなのだろう。どちらかといえば右から攻める機会がかった。WBの小野瀬、そしてIHの井手口と高い位置まで顔を出す高尾が多角形を作る。時にはトップの一角も流れてきて4枚でショートパスを軸とした崩しを試みる。新加入のスサエタもここが得意なはずで、彼が入ればより右からの攻勢は強まるかもしれない。

 高尾が右で高い位置を取った分、中央でバランスを取る役割を担うことが多いのが矢島慎也。いろいろあった彼が今はG大阪でアンカーをやっている、というのはなかなか思うところがあったりはする。それは置いておくとして、彼が降りてくることで自陣低い位置での枚数は確保。中盤中央ではインサイドハーフの倉田や井手口、あるいは宇佐美が自由に降りてくる。アデミウソンはどちらかといえば裏を狙うために前線にとどまることの方が多い。彼の裏抜けで押し下げたラインを運動量豊富なインサイドハーフやWBが狙い撃ちするのはパターン化されているよう。主体となるのはショートパスによるつなぎだが、アデミウソンの裏抜けも積極活用するパターンの一つであることは頭に入れておくべきだ。

画像4

 ボール非保持の陣形は5-3-2である。基本的には2トップには守備のタスクをそこまで与えていないような印象を受けた。コースを限定する動きも、鋭くチェイスする動きもほとんどなし。札幌の後方のボール回しが人数をかけたものだったから「取るのは無理」と判断したのか、あるいは単に攻撃に全振りしたかとどちらかだろう。その分、広範囲のカバーを任されるのがインサイドハーフ。SBへのプレスも彼らの仕事である。井手口、倉田は共に運動量があるタイプなので、広範囲を任せる役割としては適任だが、いかんせんプレスは連動しない。矢島はそこまで広範囲をカバーできる能力はないし、最終ラインが中盤のプレスに合わせてラインを上げる動きもあまり見られない。そのため、中盤と最終ラインの間にスペースが生まれて楔を入れられるシーンはかなり多く見られた。

図6

 もっとも、最終ラインがあげられないのはそれなりに理由がありそうだ。宇佐美とアデミウソンが起用される場合、彼らの守備のタスクが軽いので、相手の最終ラインはオープンなことが多い。そのため、裏を取られる危険性はかなり大きい。ラインを上げるのに躊躇があっても不思議ではないだろう。裏を取り切ってしまえば最終ラインの数的優位もなくなってしまうので、川崎からすると隙あらば狙っていきたいところの一つである。ただし、ここに来て宇佐美とアデミウソンには欠場報道がある。FWにプレッシングの命が下る可能性も大いに考えられる。

 ただし、FWが積極的にプレッシングに来たとしても川崎のやることは変わらない。FWのプレスをかわしながら、G大阪の中盤を撒き餌で自陣に引っ張りつつ、ギャップができたDF-MF間のスペースに楔を打ち込んでいく展開を狙うべき。先制点を奪った後の湘南戦のイメージが近いものになるだろうか。ただし、G大阪のバックスは対人に強い。寄せ切られる前にショートパスで常に一手先を行く崩しを仕掛けたいところ。網にかかれば高速カウンターという武器があるだけに、中盤での不要なロストは最小限に抑えたい。

 裏を狙って相手の最終ラインを押し下げつつ、DF-MF間の楔で勝負。プランとしてはこれがいいのではないだろうか。

■想定される割り切りパターン

 というのは宮本監督が真っ向勝負に来たパターン。過去を振り返れば、彼は川崎戦になるとあっさりと積み上げてきたものを捨て去って引きこもるパターンもあったりする。そうなると厄介である。加えて宇佐美とアデミウソンの欠場が現実になれば、FWに与えられるタスクは攻守ともに変わってくるはず。つまりは自陣までのプレスバックもFWに課される可能性がある。

 仮にバックラインが直近のスタメンのメンバーで来ると仮定すればWBが狙い目だろうか?鹿島戦のように大外の多角形で優位を作りながら、G大阪の3バックやインサイドハーフをひきつけて、中央のスペースを捻出したいところ。彼らのボールへの食いつきの良さを逆手に取りたいところだ。大外に相手を引っ張れる長谷川と中で脅威になれるダミアンのコンビで打開を狙いたい。

 WBに守備的な人選を選んできた場合も基本的な方策は変わらないだろう。いかに中盤とCBをおびき寄せられるか。大外で優位を作るのが難しい分、早めのクロスは選択肢として持っておきたい。ボールと逆サイドのSHやトップ下、CHには積極的にエリアに飛び込む姿勢は必要だ。ロングカウンター狙いの場合はパトリックへの依存度がかなり高まるはず。川崎としては固められてリードを奪えない展開になったら、押し込める前提で早めに2トップにシフトするのも手だろう。

 この試合の展開を決めるのは宮本監督の出方である可能性が高い。昨年は序盤に先制点を献上し、あれよあれよと相手の沼にはめられた。今年の前半戦は攻めあぐねて焦れたところに付け込まれた。G大阪の出足の良さを利用しつつ、宮本監督の一手先を行く采配を鬼木監督には期待したい。

参考
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)
Jリーグ データサイト(https://data.j-league.or.jp/SFTP01/)
SANSPO.COM(https://www.sanspo.com/)

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