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「急がば回れの精神で」~2019.4.14 J1 第7節 サガン鳥栖×川崎フロンターレ プレビュー

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目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第7節
サガン鳥栖(17位/勝ち点4/1勝1分1敗/得点1 失点10)
×
川崎フロンターレ(10位/勝ち点7/1勝4分1敗/得点6 失点5)
@駅前不動産スタジアム

戦績

近年の対戦成績

直近5年間の11回の対戦で鳥栖が1勝、川崎が6勝、引き分けが4つ

鳥栖ホームでの戦績

直近10試合の対戦で共に4勝。引きわけが2つ。

Head-to-Head

Head-to-Head①
【公式戦での対戦成績】
・公式戦における両チームの対戦は過去39戦で川崎が24勝、鳥栖が9勝。ドローは5つ。
・直近11回の公式戦での対戦で鳥栖は1勝のみ。ここ2回はいずれも無得点。

 川崎ファンの中には鳥栖に厄介な相手である印象がある人もいるかもしれない。しかしながら、直近の成績では川崎がかなり優勢。ここ2試合はいずれも鳥栖はクリーンシートに封じられている。

Head-to-Head②
【スコア】
・直近17回の対戦のうち、1点差で決着がついた試合が10試合。

 鳥栖が厄介な相手と感じる原因はおそらくここにある。これ以外に引き分けが4試合。最終的に2点差がついたものの、延長戦になった天皇杯が1回。ということで、90分で2点差以上の差がついた試合は直近17試合で2試合だけ。ともに気が抜けないまま試合終了のホイッスルを聞くことが多い試合だ。

Head-to-Head③
【鳥栖ホームでの対戦成績】
・鳥栖のホームにおいて川崎は2連勝中。
・しかし、それ以前の8試合の鳥栖のホームゲームでも川崎は2勝しか挙げていない。

 ホームに絞れば鳥栖の成績は幾分良化する。直近2試合は勝利を許しているものの、それ以前の8試合では2勝だけ。鳥栖の厄介要素はここでもって感じか。アジア遠征帰りの川崎にホームでの連勝を食い止められるだろうか。

Head-to-Head④
【鳥栖ホームでのゲーム内容】
・過去6回のJ1での鳥栖のホームでの対戦において、川崎が無得点に終わったのは一度だけ。
・J1での対戦で、川崎が鳥栖のホームで勝利した4試合において得点した7ゴールはいずれも後半に生まれたゴール。

 鳥栖ホームにおいて、川崎は結構得点の頻度は多い。しかしながらいずれも勝利を決めているゴールは終盤のもの。記憶に新しいのは16年の試合。2-0のビハインドを車屋とエウシーニョが原動力となり、ひっくり返した試合だ。

【サガン鳥栖】

選手情報

・前節負傷交代した福田晃斗は出場が不透明。

Match Facts

鳥栖のMatch Facts①
【直近のリーグ戦】
・今季の公式戦9試合で無得点試合は6つ。

 現在鳥栖が下位に沈んでいる理由は得点力に尽きる。公式戦において現状は複数得点はなし。直近でも270分は無得点。今季は未だリーグ戦1ゴール。これは昨季の同時期と比べ6つ少ない数字だ。

鳥栖のMatch Facts②
【ホームゲーム】
・ホームでのリーグ戦は直近9戦で7勝2敗。
・昨季のホームゲームのみの順位は7位。

 それでもホームでは絶好調といっていい鳥栖。昨季は残留争いに見舞われた鳥栖だが、ホームが命綱だったのは間違いない。ホームに限れば昨季の順位表は7位。ボトムハーフではトップの成績だった。監督は代わってしまったが、ホームでの強さは今年も見せられるだろうか。

鳥栖のMatch Facts③
【ホームゲームの得失点】
・直近9試合のホームでのリーグ戦においてクリーンシートは5つ。
・直近5試合のリーグでのホームゲームにおいて、得点は1つのみ。

 ホームにおいての勝利パターンはロースコアでの逃げ切り。5つのクリーンシートを生かし、虎の子の1点でしのぐというのがよく見られた形だ。しかし、元々不足気味な得点は絶好調のホームゲームでも厳しい状況。クエンカが追加タイムのゴールで今季唯一の勝利を手繰り寄せた磐田戦以外、今季ホームでのゴールはない状態だ。

鳥栖のMatch Facts④
【得失点傾向】
・リーグ戦において前半に得点を挙げたのは昨年10月の仙台戦が最後。
・今季の10失点のうち、9失点は後半に発生したもの。

 鳥栖の得失点のパターンとして挙げられるのは、得点も失点も後半に集中していること。前半は安全運転でしのぎ、後半に勝負をかける傾向が出ているようだ。特に失点に関しては顕著。今季のリーグ戦においては10失点中9失点が後半に発生。さらに、そのうちの6失点は75分以降に発生しており、終盤で決壊することが多い。

鳥栖のMatch Facts⑤
【個人成績】
・金崎夢生と豊田陽平は川崎相手にキャリアで5ゴールを挙げているが、直近4試合はともに得点がない

 鳥栖の中でも対川崎として厄介なイメージがある両ストライカーのデータを抽出。しかしながら、直近の試合ではゴールを挙げられていない。豊田は蔚山時代も含め、5試合連続で川崎戦はノーゴールだが、鳥栖×川崎においてあげた5ゴールは両チームの現所属選手の中では、小林悠と並んでトップだ。

【川崎フロンターレ】

選手情報

・大島僚太が全体トレーニングに合流。
・谷口彰悟の出場は不透明。
・馬渡和彰は引き続き欠場。

Match Facts

川崎のMatch Facts①
【直近のアウェイゲーム】
・アウェイゲームは直近7試合で1敗のみ。
・日曜日開催のリーグでのアウェイゲームは17年開幕以降の13試合で4勝7分2敗。

 アウェイゲームの成績はホームゲームほど悲観的ではない。直近で負けたのは絶望的に相性が悪いC大阪であり、しかも優勝を決めたので全体的になかったことになっている。なかったことにしよう。そうしたい。頼む。今季はここまでリーグでは2試合負けなし。未だ勝利がなく彼らの「鬼門」となっている等々力に比べれば、アウェイへの遠征はそこまで苦じゃないのかもしれない。

川崎のMatch Facts②
【ACL遠征後】
・昨季開幕以降、ACL遠征後のリーグ戦はいずれもアウェイゲームだったが4戦無敗(W2D2)

 こういうデータを出すと「ACLは手を抜いているのか!」といわれそうですが、全力でやった上であんな感じになっております。近年ACLアウェイでのぐったり感の割には直後のリーグ戦で巻き返していることになるが、今節も再現はなるか?

川崎のMatch Facts③
【VS欧州監督】
・鬼木監督はリーグにおける欧州出身監督相手との対戦は14戦で10勝(D3L1)。

 前節調べたこのデータは使いまわしが効く!やった!今節も前節に続いて初対戦のスペイン人指揮官。スペイン人指揮官との対戦はここまで鬼木監督は2戦して1勝1分だ。

川崎のMatch Facts④
【ゴールに関する記録】
・昨季小林356分。現在小林悠はリーグ戦378分リーグ戦無得点継続中。昨季の中で最もリーグ戦で無得点の時間が長かったのは356分。
・知念慶は前節のC大阪戦で自身初のリーグ戦連続得点を記録。

 好不調が対照的な両ストライカーのデータ。自身初の2試合連続ゴールを決めた知念とは裏腹に、小林悠はすでに昨季最もゴールがなかった期間をすでに超えてしまっている状態だ。昨年、そのノーゴールの最長時間を打ち破ったのが、今節対戦する鳥栖戦。チームも自身も復調のきっかけになるゴールをなんとか決めたいところだ。

川崎のMatch Facts⑤
【谷口彰悟】
・谷口彰悟が入団以降、川崎は彼が出場していないリーグ戦で勝利を収めたことがない。

 谷口と大島がともに出てない試合を探せば、川崎にとって不利なデータでも出てくるだろうと思って探したら、谷口1人で十分だったという事案。そもそも驚きだったのは2014年に彼が入団してから、全く出場していないリーグ戦は4試合しかない。スタメンをつかむまでの初年度の開幕3試合と、同じ年に風邪で1試合欠場しただけ。その4試合の成績は3敗1分。4試合で失点は10であり、いずれの試合も複数失点を喫している。川崎の黄金時代を演出してきた大黒柱が不在になれば、川崎は非常に苦しい戦いを強いられることになる。

予想スタメン

展望

■仙台戦を見た鳥栖に思うこと

 鳥栖の直近のリーグ戦はベガルタ仙台との試合。仙台が今季初勝利をつかんだこの試合は仙台のプランがハマった試合だった。鳥栖の4-4-2に対して、仙台が用意したのは「4-4-2殺し」として名高い3-1-4-2だった。
 まずは幅を取る仙台のWBへの対応。鳥栖としてはSHかSBのどちらかで対応する必要がある。鳥栖のSHが出ていけば、元々ハーフスペースを活用しやすい位置にポジションしている仙台のインサイドハーフが浮きやすい。鳥栖のSBが出ていけば、仙台のFWに裏を取るスペースを与えることになる。

 この試合の序盤は鳥栖のSHが対応する場面もあったが、基本的にはSBが出ていって対応する場面が多かった。この日の仙台のFWのジャーメインとハモンは積極的に裏抜けを敢行することに。鳥栖の非保持はボールにプレッシャーがかかっていないことが多いため、最終ラインは仙台のFWの裏抜けに合わせて仕方なく撤退することになる。そのため、結果的に鳥栖のDF-MF間のスペースは空いてしまったので、結局仙台のインサイドハーフは生き生きする!という鳥栖にとっての悪循環が生まれていた。その結果の仙台の完勝である。

 翻ってこの鳥栖に得点できなかったのは横浜Fマリノス。彼らはあえて密集を選択することで鳥栖の片側サイド攻略に注力するプランを実践した。チャンスは作ったが、生かせずスコアレスドロー。

■川崎にとって大事なことは

 ここまでをまとめるとロースコアの鳥栖攻略にとって大事なことは、相手の陣形を広げる動きをいかに行えるか。相手の動きに応じて場所を変えられる阿部はもちろんこの試合でもキーパーソン。それだけでなく、内に絞りがちな家長も大外のレーンを空けられる可能性がある。totooneの川崎のRSBの予想スタメンは鈴木だったが、オフザボールでスペースに走りこむ能力に長けたマギーニョが効果的な可能性もありそう。

 そして深さを作る必要があるのはFWである。もちろん知念のポストもいいのだが、この試合で個人的に期待したいのはDFとの駆け引きにより優れた小林悠。ベンチスタートが見込まれるこの試合だが、彼のもっとも得意な動きである空いてるスペースを突く動きは、この試合のFWに要求される部分。SHやCHが彼が作ったスペースを使えれば、仙台×鳥栖の再現を高いレベルで行うことが可能かもしれない。

 しかし、今季ここまでの川崎を見ると、仙台よりはむしろマリノスのような戦い方になる可能性も否めない。片側サイドでの崩しは最後のクロスも含めて、現状では質が高いとは言えない。中央とサイドで選手が入れ替わるようなシームレスな動きをしつつ、鳥栖の選手に迷いを与えたい。
 鳥栖の終盤での失点の多さをこの試合でも露見させるには、相手選手を幅広く振り回して、スタミナを奪う必要がある。突破できない片側サイドでの攻略にこだわることは彼らの手助けになりかねない。

 球の出しところであるCBも気になるところ。谷口不在となれば組み立てでの機能低下は免れないだろう。縦へのキーパスが増えたことで存在感を増している奈良だが、そのスキルは一撃必殺の縦パスに集約されており、相手の陣形を動かすジャブのようなパスはあまり多くはない。奈良や車屋が鳥栖のスタミナを奪うボディーブローのようなゲームメイクをできるかは注目だ。

 鳥栖のボール保持はカレーラスの就任が間もないこともあり、さすがにあまり整備されている印象はない。しかし、多少非保持で押し込まれても独力で陣形回復できる選手はいる。終盤になってもタレント揃いの鳥栖のアタッカーは脅威になりうる。特にクエンカのキープ力と突破力は特筆すべき部分。複数人で奪いに行っても交わされることも。出場すれば川崎のDF陣は手を焼く可能性が高い。

 川崎が思い描くべきは、鳥栖の前線のアタッカーの一撃を警戒しながら、ボディーブローを打ち込みつつ終盤勝負。仮に早い時間の得点がなくとも、狭いスペースを焦って打開するのは危険だ。勝ちが遠いチームとしてはなかなか忍耐の必要なゲームプランだが、この試合で勝ち点を得るならば「急がば回れ」の教訓を胸に、焦れずに腰を据えて難所攻略に挑みたいところだ。

参考
transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)

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