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「二兎を狙うべし」~2019.3.17 J1 第4節 川崎フロンターレ×ガンバ大阪 プレビュー

全文無料で読めます。前節のレビューはこちら。

目次

Fixture

明治安田生命 J1リーグ 第4節
川崎フロンターレ(13位/勝ち点3/0勝3分0敗/得点3 失点3)
×
ガンバ大阪(11位/勝ち点3/1勝0分2敗/得点8 失点8)
@等々力陸上競技場

戦績

近年の対戦

直近5年間の13戦で川崎Fの7勝、G大阪の4勝、引き分けが2回。

等々力陸上競技場での直近10試合の対戦成績

川崎Fの6勝、G大阪の4勝

Head-to-Head

Head-to-Head①
【公式戦での対戦成績】
・公式戦における過去41回の対戦で川崎Fの15勝、G大阪の20勝。引き分けは6つ。
・川崎Fのホームゲームに限ると川崎Fの11勝、G大阪の8勝、引き分けが2つ。
・川崎Fが10試合以上対戦した相手の中で最も勝率が悪いのはG大阪(36.6%)
・直近6試合の等々力でのリーグ戦は川崎Fの5勝。

 10試合以上戦った相手で最も勝率が悪いというデータ通り、川崎FにとってG大阪は天敵である。特に戦績で足を引っ張っているのはG大阪ホームでの試合の勝率。ガンバに限らず大阪での試合は近年好調の川崎Fの中で勝率が上がらないカード。昨年はそれまでのリーグ戦で12戦1勝だったG大阪に勝利を許し、怒涛の9連勝の足掛かりを作った。G大阪相手ではないが、天皇杯の決勝でも敗北した吹田スタジアムは川崎にとって印象が悪い場所だ。まだ歴史の浅いこのスタジアムでこれだけ嫌な思い出があるチームもレアだろう。ちなみに川崎が敗れながらもリーグ優勝という珍妙な瞬間を経験したのも大阪(ヤンマースタジアム長居)である。

Head-to-Head②
【等々力での対戦データ】
・直近6試合の等々力でのリーグ戦は川崎Fの5勝。
・ホームにおいて、川崎FがG大阪相手に得点できなかったのは一度だけ。15年の天皇杯でのことで、リーグ戦においては一度も無得点に終わったことはない。
・直近7試合の等々力でのリーグのG大阪戦において、川崎Fが複数得点を逃したのは一度だけ。
・川崎Fのホームにおけるこの対戦が引き分けに終わったのは05年のナビスコカップが最後。直近18試合はいずれかのチームが勝利している。

 しかしながら、等々力に話を限ればG大阪は天敵「だった」とも表現できるかもしれない。等々力での近年のリーグ戦では川崎FがG大阪を圧倒。ほぼ五分だったそれ以前の成績はやや傾向が変わっている。いい思い出がない吹田スタジアムと違って、川崎Fの面々は等々力での試合に自信を持っているはずだ。そしてもう1つ。等々力でのこのカードは引き分けが少ない。リーグにおける最後の引き分けは00年で19年も前。21世紀になってからは引き分けが1つもないのだ。

Head-to-Head③
【最多得点者】
・このカードにおける最多得点者は中村憲剛(8)。G大阪の選手の中では遠藤保仁(5)が最も多くゴールを決めている。

 両クラブごとの最多得点者がともに日本人で現役選手というのは結構レアケース。両ベテランが相手を出し抜いての得点がみられるだろうか。

Head-to-Head④
【ラッキーボーイ】
・直近4試合の等々力でのこのカードは阿部浩之が所属しているチームが全勝している。

 この試合におけるラッキーボーイは阿部浩之。直近等々力での4試合はG大阪が2勝した後、川崎Fが2勝しているが勝ったチームにはいずれも阿部浩之がいた。一風変わった記録だが、この試合でも川崎Fが勝利し記録を伸ばすことができるか。

【川崎フロンターレ】

選手情報

・大島僚太、馬渡和彰の出場が不透明。
・阿部浩之はトレーニングに復帰。

Match Facts

フロンターレのMatch Facts①
【序盤の成績】

・開幕3試合のリーグ戦で勝利がないのは14年以来5年ぶり
・3月の公式戦は直近14試合で4勝のみ(D6L4)。

 相手が厳しかったという側面はあったとはいえ、リーグ3試合連続勝ちなしは停滞したスタートと言わざるを得ない。苦手な3月もあと2試合を残すのみ。毎年得意な初夏に向けて徐々に調子を上げていきたい。

フロンターレのMatch Facts②
【等々力陸上競技場での成績】
・リーグ戦のホームゲームは直近12戦負けなし(W9D3)。うちクリーンシートは8。
・しかしながら、直近2試合のホームのリーグ戦は勝ちなし。同一シーズン内でのリーグのホーム戦3試合勝ちなしになれば12年4月以来のこと。

 勝ってもいないが負けてもいないので、ホームでの無敗記録は続いている。ホームで敗れたのは昨年のGWの多摩川クラシコが最後。以降はすべての公式戦において等々力では15試合無敗を継続中。3試合連続で勝ちがないことになると7年ぶりのことで、近年のホームでの好成績がうかがえる。

フロンターレのMatch Facts③
【小林悠】
・小林悠が開幕後に出場したリーグ戦3試合で得点がないのは12年以来のこと。この年は4戦目でゴールを決めており、相手はG大阪だった。
・しかし、小林は以降のリーグでのG大阪戦は9試合連続ノーゴール。

 未だ今季得点がない小林。開幕からこれだけ得点がないのは2012年以来7年ぶりのこと。その2012年に、沈黙を打ち破る初ゴールを挙げたのがG大阪だ。しかし、小林にとってG大阪は決して相性がいいとは言えない相手。G大阪相手にゴールを挙げたのはその一度きりのこと。以降、9試合のリーグ戦ではゴールなし。J1のチームでこれより少ないのは2試合で1ゴールの大分と本人が対戦経験のない松本だけ。最後にゴールを決めた時のG大阪のGKは藤ヶ谷であり、東口からはゴールを決めた経験はなく、8試合連続で小林個人はシャットアウトされている。チームでは川崎が東口から点を取っていないわけではないので、本人も多少なりとも苦手意識がある可能性はある。シュートが素直なので、先読みされやすかったりするのか?

フロンターレのMatch Facts④
【ラッキーボーイ?アンラッキーボーイ?】
・大宮と並んで、G大阪は中村憲剛が最も公式戦で得点を決めている相手。
・しかしながら、中村憲剛が得点かアシストを決めたG大阪相手の公式戦8試合のうち、半分は敗れている。(W3D1L4)

 川崎の最後のデータとして紹介するのは何とも言えないデータ。このカードの最多得点者として紹介した中村憲剛。実際彼自身もG大阪は最も得点が多い相手だが、いかんせんそれが勝利に結びついていない。彼が入団以降、G大阪に憲剛が得点を挙げた時の勝率とそうでないときの勝率(37.5%)は全く同じ。日曜日に中村憲剛がゴールパフォーマンスを披露したとしても油断は禁物ということだとうか。

【ガンバ大阪】

選手情報

・ミッドウィークのルヴァンカップでは主力を起用。

Match Facts

ガンバのMatch Facts①
【序盤戦の成績】
・09年以来のリーグ開幕3試合で8得点。
・しかし、開幕3試合で8失点は歴代最多。

 とにかく出入りの激しい序盤戦になった。開幕3試合はいずれも撃ち合い。全試合複数得点複数失点を記録しており、サポーターはジェットコースターに乗っているような気持ちかもしれない。得点が多い分には楽しいだろうが、失点が多いのは大いに問題。8失点は清水についてリーグワースト2位。クラブの歴史で見れば開幕3試合で8失点したことは史上初めてである。やや前線が湿りがちな川崎の着火剤にならないように気を付けたいところだ。

ガンバのMatch Facts②
【直近のリーグ戦】
・昨年からリーグ戦5試合連続複数得点中、4試合連続複数失点中。
・リーグ戦は13試合連続得点中。この記録は昨季のホームでの川崎戦からスタートしている。
・直近6試合のアウェイでのリーグ戦は5勝1分。

 こちらも得点も失点も多いことを裏付けるデータ。先ほどは失点の話をしたので、得点を見てみると、前回の対戦以降すべての試合で得点を挙げているというデータ。川崎は等々力でのクリーンシートが多いというデータもあるので、楽しみなほこ×たてである。また、G大阪の直近のリーグ戦を見るとアウェイでの好調が光る。ホーム戦は連敗スタートをしてしまった今季だが、アウェイ戦での連勝スタートで帳尻を合わせられるだろうか。

ガンバのMatch Facts③
【失点傾向】
・昨季のセットプレーからの失点数(6)はリーグで3番目に少なかった。しかしながら、今季はセットプレーからすでに複数失点している2つのチームのうちの1つ。

 昨季はリーグ有数の強度だったセットプレーの守備ですでに2失点を喫しているとの話。まだ試合数が少ないので、何ともいえないところだが気になるデータではある。ちなみに複数失点しているもう1つのチームは神戸。

ガンバのMatch Facts④
【勝利を呼ぶ男】
・ファン・ウィジョがゴールを決めたリーグ戦は7連勝中。

 昨季はチームを牽引するゴールを多数あげたG大阪のエース。今季はここまで全試合複数得点だが、彼が決めた清水戦だけはチームが勝利している。勝利を呼ぶエースは今節得点を決められるか。

ガンバのMatch Facts⑤
【縁起がいい?】
・宮本恒靖が現役時代に複数回ゴールを決めた唯一の相手が川崎フロンターレ。

 最後はゲン担ぎのようなデータ。現役時代は代表DFとして鳴らした宮本恒靖だが、彼が唯一複数得点を記録している相手が川崎。もはやゲームに全く関係ないデータな気もするが、実際昨季の対戦では、不利な下馬評を覆して吹田で川崎に一泡吹かせている。宮本監督は川崎相手にはいいイメージを持っているかもしれない。指揮官としては等々力初見参になるが、再び勝利を持ち帰れるか。

予想スタメン

展望

 4-4-2という陣形や、普段トップ下の中村憲剛と前への意識が強い田中碧のボランチ起用など直近の川崎は普段よりややダイレクト志向が強い。大島僚太の離脱や、印象的なパフォーマンスを見せるレアンドロ・ダミアンや知念慶らFW陣の好調を考慮してのことだろう。今節のスタメン予想も難しかったが、4-4-2移行の理由が上にあげた通りなら、今節も継続すると予想。しかし、この4-4-2がうまくいっているかは微妙なところ。トップ下不在のこのシステムは崩しの局面で、中央とサイドがやや分断されやすい印象。シドニー戦の得点のように終盤になりふり構わずの形になれば、中央でのコンビネーションも見えてくるが、現状では片側サイドと中央のイメージが合わず、頓挫する場面が目立つ。長谷川竜也と登里享平がキレのある動きを見せる左サイドはそれでも何とかなっているが、問題は右サイド。例年序盤戦は不調の家長は今年もスロースタートで、ゼロックス以降は存在感を見せていない。右サイドバックはそもそも人選が固まらず。この試合までにすでに4人を試しているが、なかなか最適解は見えてこない。こちらもゼロックスで高パフォーマンスだったマギーニョは停滞した開幕戦以降、ベンチ入りすらままならない。馬渡も持ち味を見せるが対人守備やボールコントロール、プレーの選択にまだ改善の余地があるのも事実。神奈川ダービーでは連携不足を露呈し続けたこのサイドから再三前進を許した。鬼木監督は守田のコンバートや対人守備が強い鈴木という選択肢もテスト済みだが、いずれも停滞する右サイドの攻撃の活性化を果たしたとは言えない出来だった。
 
 G大阪がつけこみたいのはまさしくそのサイドから。菅沼が良質なフィードを見せ始めた右も悪くないが、川崎の連携面まで考えるとやはり左サイド(川崎の右)からの攻めを軸に考えたい。G大阪の攻撃は内側に絞るSHにボールを預けてスイッチが入るパターンが多い。絞った倉田への対応があいまいで、仮に川崎のSBがフラフラ出ていけば、藤春の出番。空いたスペースを駆け上がれるスピードスターで大外を制圧したい。中央にアデミウソンとウィジョの強力2トップがいれば、奈良がヘルプを躊躇して対応が遅れる可能性もある。2トップ以外にも倉田、小野瀬、今野はフィニッシュ局面に携われるダイナミズムの持ち主。自由なポジションのアデミウソンが崩しの局面に顔を出しても、虎視眈々と中央で待つウィジョ+MF陣で前線の迫力は失われないはずだ。

 逆に川崎が狙いたいのもサイドの裏だろう。高い位置をとることが多い藤春の裏は狙い目だ。カウンターの局面にチャンスは見いだせるはずで、最終ライン+カバーの範囲に限界がある遠藤になれば、ズルズル後退しがちなG大阪のDF陣を一気に陥れることができるはず。好調な長谷川や知念、スペースがある状態では個人技も見せられるダミアンを中心に一気に攻略をしたい。カウンターを成功させるポイントは2つ。1つはG大阪の2列目が戻ってくる前にスペースのある状態で相手陣を攻略すること。もう1つはおそらくG大阪のボールロスト直後に激しく寄せてくる今野をうまくかわせるかどうかだ。ボール保持をベースするのはもちろんだが、相手が前に出てきた場面では一気にシュートまで持ち込むことは意識しておきたい。

 そろそろリーグ戦での勝利がほしい川崎。勝利が第一なのは間違いないが、開幕後から懸念になっている右サイドの解決策にもそろそろ光明が欲しい。G大阪の狙いどころは藤春の裏側であり、まさしく右サイドから。筆者の推してる「我慢しながらマギーニョを使おう!」という案は採用されなくても構わないけども、勝利と共に右サイドへの解決策もほしい!わがままだが、二兎を追いながらも結果を出したい。

参考transfermarkt(https://www.transfermarkt.co.uk/)
soccer D.B.(https://soccer-db.net/)
Football LAB(http://www.football-lab.jp/)

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