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「FIFA World Cup 2026 チーム別まとめ」~スイス代表編~

目次

第1節 カタール戦

前回開催国が劇的な勝ち点奪取

 序盤からボールを持つのはスイス。4バック気味にシフトし、アビシェルはやや前に動く形。CHのうち、ジャカは中盤に鎮座し、フロイラーは自由に動くという役割であった。

 カタールは5-2-3のミドルブロックで構える形。陣形をコンパクトに保ちつつ、トランジッションからチャンスを狙う。アフィフのプレスバックからカウンターで早々にチャンスを迎える場面もあった。

 しかし、主導権はスイス。ロングボールのセカンド回収から一気に抜け出して前進するケースもありつつ、基本的にはプレスに来ないDFからサイドに展開するところから大外を突くことでチャンスを作っていく。

 先制点につながったのも、そのサイド攻撃から。クロスのターゲットとなったエンボロの落としから飛び出したフロイラーがPKを獲得。エンボロがPKを決めてスイスが試合を動かす。

 先制点を決めた後も展開的にはスイスが優位。ポゼッションをキープする形でカタールを攻め立てていく。カタールはじわじわと押し上げる形以外での前進は難しい状態。ハイドレーションブレイク後には縦横のプレスのスライドを早めるようなシーンもあったが、スイスは落ち着いてプレスを回避。ジャカのクロスや4人目としてサイドから抜け出したバルガスからチャンスを作っていく。

 後半も展開的にはスイスのポゼッション優勢は動かず。サイドにボールをつけての押し下げを敢行する。一時的にはマンツーのハイプレスからカタールがリズムを掴む形。保持でもCHが列を落ちるなど、スイスのポゼッションの時間を寸断するトライをしていく。

 スイスは左の大外のバルガスを主体としたサイドアタックからリカバリー。静的に押し込みたいスイスと、トランジッションから行ったり来たりしたいカタールという構図。アフィフがスピードに乗ることができれば、一気に希望が見えてくる形は作れていた。スイスのハイラインを破りかける場面もあった。

 ただし、盛り返す終盤戦もカタールはプレスでスイスを苦しめることができなかった分、リズムは一方的にはならず。このまま終わりかなと思われたが、終盤に流れの中から攻撃に出ていったフヒがヘディングを制して値千金のゴールをゲット。土壇場で追いついたカタールが、後半追加タイムに劇的な勝ち点1をもぎ取った。

ひとこと

 まさにワンチャンスをものにしたカタール。アジア勢として意地を見せることに成功した。

試合結果

2026.6.13
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループB 第1節
カタール 1-1 スイス
サンフランシスコ・ベイエリア・スタジアム
【得点者】
QAT:90+5′ フヒ
SWI:17′(PK) エンボロ
主審:サイード・マルティネス

第2節 ボスニア・ヘルツェゴビナ戦

均衡をジョーカーが爆発させる

 初戦ではカタール相手に土壇場で同点に追いつかれることを許してしまったスイス。突破のためにもここは絶対落とせないところだろう。

 マンツーでのプレスをかけてくるボスニア・ヘルツェゴビナに対して、スイスはややずらす形でのポゼッション。GKを絡めつつ、右のSBを押し上げるような形から可変3バックでボールを動かしていく。サイドにボールをつけつつ、斜めのパスでエンボロのポストから横断。逆サイドにボールをつけてサイドアタックを狙っていく。

 まずは押し下げるところを優先したスイス。それが済むと左サイドからのサイドアタックに移行。パス交換から抜け出す選手作りを手数をかけて行い、相手のバックラインの背後を取っていく。ジャカを出し手としてここからハーフスペースの手前と奥を使いながらボックスに入る準備を行う。

 ボスニア・ヘルツェゴビナはアライベコヴィッチが最終ラインに入る5バックにて迎撃。しかしながら、最終ラインの動きは味方の動きに無頓着で、人を入れてレーンを埋めても相手の動きに対応する選手によって簡単に歪んでしまう。

 さらには保持に回っても陣地回復役にしたいアライベコヴィッチが低い位置でボールを持つことでなかなか前に進めず。スイスの即時奪回に苦しむこととなる。

 前半の途中からボスニア・ヘルツェゴビナはフォーメーション変更とハイプレスへの移行。噛み合うように5-3-2のような形に布陣を整理し敵陣から相手を捕まえにいく。

 この変化によって、アライベコヴィッチとメミッチが左サイドに集結。カットインができるアタッカーを2人揃えることでストロングサイドを作り、攻撃の目処まで立つように。得意のセットプレーの機会も増えてスイスのゴールを脅かす。

 後半は同じ噛み合うフォーメーションの中でも逆に手数をかけるボスニア・ヘルツェゴビナに対してスイスがハイプレスで出ていく立ち上がりに。ボールを捨てるようなアプローチを取ることでボスニア・ヘルツェゴビナを自陣に釘付けにする。

 ボスニア・ヘルツェゴビナは左サイドに中盤を下ろすなど工夫を見せていたが、簡単に回避することはできず。スイスのプレスの圧力をモロに受けてしまう。

 ボールを奪った後の決め手となるのはエンジアイ。左サイドからキレのあるドリブルで敵陣に迫っていく。

 しかし、ボスニア・ヘルツェゴビナは左サイドのユニットから少しずつ巻き返し。試合はポゼッションの機会が一進一退の展開となる。

 決め手になったのは交代選手の働き。スイスはマンザンビが均衡を破るアクロバティックなゴールを決めると、これがワンサイドゲームの幕開けに。そのマンザンビのパスから相手の退場を誘うと、続いてのゴールは同じく交代で入ったバルガス。自陣から出ていくことができないボスニア・ヘルツェゴビナをサイドから叩き続けて追加点を奪う。

 さらにはマンザンビは自らのゴールで追加点。1点をアクロバティックなシュートで返されるが、最終的にはジャカのPKでパーティーのやり直しに成功。先制点から交代カードで一気に流れを引き寄せたスイスが2戦目にして今大会初勝利を挙げた。

ひとこと

 ボスニア・ヘルツェゴビナもよく抵抗したと思ったが、スイスの交代選手の働きが素晴らしかった。

試合結果

2026.6.18
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループB 第2節
スイス 4-1 ボスニア・ヘルツェゴビナ
ロサンゼルス・スタジアム
【得点者】
SWI:74′ 90′ マンザンビ, 84′ バルガス, 90+7′(PK) ジャカ
BIH:90+3′ マフミッチ
主審:ジョアン・ピニェイロ

第3節 カナダ戦

起爆剤の効果が持続したスイスが首位通過を決める

 この2チームが最終節に見据えているのはノックアウトラウンドから先の話。首位の座を勝ち取ることができれば移動なくこのまま近い会場での調整が続くことになる。特にホームのカナダにとっては1位通過は多くのファンの後押しが期待できるプラチナチケット。是が非でも確保したいところだろう。

 序盤はまずはスイスのボール保持からスタート。カナダはコンパクトなブロックをキープしつつ、サイドにボールが出たら圧縮するというスタンスだった。スイスはジャカがサリーをしつつカナダのプレスの噛み合わせをずらしていく。精度の高いジャカが浮くことができれば、ライン間にボールを落とすことも対角でサイドに揺さぶることもできる。

 スイスの攻撃は前線の2枚のFWを活かす形から。背負ってよし、反転も期待できるマンザンビとエンボロの2人に対して、カナダのDFラインは1on1。彼らをダイナミックに使って馬力を生かしてゴールに向かってもらう役割が期待される。

 カナダは逆にトランジッションからインサイドの細かい繋ぎで前進を狙う格好。体を当てるというよりは降りて浮く形を好む、ジョナサン・デイビッドがリンクマンとしての役割を担う。

 序盤はジャカが自在に浮くという意味で配球が安定していたスイスが優位。だが、カナダがジャカのマークを厳しくして、出し手が変わるようになるとボールの供給面はやや不安定に。スイスの2トップはやりきれないと味方と繋がりきれないという弱点もあった。仮にロストをしてしまうと、ここから一気にカウンターを打たれるケースも。徐々にオープンな展開の中からカナダが裏抜けでチャンスを作る場面も出てくる。

 2トップを活かせればスイスペース、それでなければカナダが直線的な攻撃からチャンスを得るという展開で前半は推移。しかし、スコアレスのままで試合はハーフタイムを迎える。

 後半早々に試合を動かしたのはスイス。右サイドに流れるマンザンビを起点に2トップでカナダのDFラインを根こそぎ引っ張ることに成功。最終的に大外で浮いたバルガスが貴重な先制点を生み出す。

 このゴールで一気に着火したスイスの2トップ。エンボロ→マンザンビのラインからあっという間に追加点を決める。

 追い込まれたカナダはハイドレーションブレイク明けに反撃。投入したプロミス・デイビッドがワンタッチ目を叩き込んで1点差に迫る。

 その後も身長の高い選手を中心にハイタワー戦略でゴールに迫っていくカナダ。追いつくところまで行けば逆転する順位だが、もう1点が遠いままで終戦。1位の座を勝ち取ったのはスイス。2位となったカナダは南アフリカとのRound32での対戦が決まった。

ひとこと

 スイス、完全に2トップへの移行がこの大会の転換点。この2人の勢いはどこまで続くのだろう。

試合結果

2026.6.24
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループB 第3節
スイス 2-1 カナダ
BCプレイス・バンクーバー
【得点者】
SWI:46′ バルガス, 57′ マンザンビ
CAN:76′ プロミス・デイヴィッド
主審:ラモン・アバッティ

Round 32 アルジェリア戦

脅かされなかった前半のリード

 たっぷりと休養を挟んだグループBの首位通過であるスイスがノックアウトラウンドにようやく登場。対するは最後の最後でノックアウトラウンドへの切符を掴み取ったアルジェリアである。

 序盤は行ったり来たりという縦に速い流れの両チーム。試合を落ち着かせてボールを持つこととなったのはアルジェリア。SBは大外、GKと絡めてのCBのビルドアップを主体としつつ、センターラインの選手は列落ちでフリーになっていく。

 CFのマサが下がる分、追い越すアクションも欠かさなかったアルジェリア。幅取り役をSBに任せつつ、センターラインは縦横無尽に動き回りながらスイスの4-4-2をかき乱す。イメージ的には3-2-5からさらに変形を重ねていっている印象だ。

 スイスは左サイドからの直線的なカウンターで反撃に打って出る。売り出し中のマンザンビはプレス回避にも貢献。高い位置から追ってくるアルジェリアに対して、降りてビルドアップに参加する姿も見られた。

 しかしながら、本丸はやはりスピードを生かした突撃だろう。保持から個人の突破力を生かしていい手応えのアルジェリアを一気にひっくり返すことに成功。ファストブレイクを牽引すると、エンボロがゴールを決めてリードを確保する。

 このゴールをきっかけに試合は徐々にスイスペースに。相手の積み重なるブロックをどのように打開するかを思案するアルジェリアに対して、スイスはプレス回避からの前進が安定。左サイドに流れるマンザンビとバルガスのコンビネーションからボックス内に侵入するメカニズムを構築する。いい入りだったアルジェリアを丸め込んだスイスがリードでハーフタイムを迎える。

 後半、早々にスイスは追加点を確保。圧力をかけて一気に枚数をかけてエンドイェが仕留めた。アルジェリアは数回自陣から綺麗にボールを逃すチャンスがあったが、いずれも中途半端なままに終わってしまう。

 このゴールでさすがにアルジェリアは意気消沈。展開は少しずつ停滞する中で、後方のフリーマン作りからの前進の局面が安定したスイスが引き続きペースを握る。

 アルジェリアは反撃のきっかけを掴めず、ギアアップができないまま時計の針だけが過ぎていく展開。前半の貯金を持っているスイスの立場を脅かすことができなかった。

 結局試合はそのまま終了。前半のリードをキープしたスイスが順当にRound16に駒を進めた。

ひとこと

 スイス、充実を感じさせる内容の勝利だった。

試合結果

2026.7.2
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
Round 32
スイス 2-0 アルジェリア
BCブレイズ・バンクーバー
【得点者】
SWI:10′ エンボロ, 46’ エンドイェ
主審:ヤエル・ファルコン・ペレス

総括

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