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「FIFA World Cup 2026 チーム別まとめ」~チェコ代表編~

目次

第1節 韓国戦

インボムの飛び出しが決め手となった逆転勝利

 開催国のメキシコと同じグループに入った両チーム。まずは開幕戦で勝利し、弾みをつけたいところだろう。

 ともに3-4-3というフォーメーション同士の対戦となったこの試合。まずはどこからマークを外していくのか?というところが重要となってくる。そのプランが明確だったのは韓国の方だろう。降りるイ・ガンインが瞬間的にフリーになれば、ここから背後を狙うランに合わせる裏へのパスが見えてくる。

 チェコの守備はミラーを生かしたマンツーがベースに見えたが、人を捕まえ切るという意識が低く、一番警戒したいイ・ガンインを簡単にフリーにしていた印象。左サイドへの展開と縦に急ぐ形を併用する韓国がチェコを押し下げていく展開が続く。

 もっとも、チェコにとって誤算だったのは自分たちがボールを持つターンがあまり通用しなかったことかもしれない。ロングボール攻勢は相当あっさりと韓国に跳ね返された印象。特にCFのシックは試合を通してキム・ミンジェに消されることとなった。

 ミンジェは味方のミス起因のネガトラから背後のスペースを消すことで、そつなくチェコのカウンターを封殺。降りる相手に対してのインターセプトからカウンターの起点になるというところも素晴らしく、まさに天下のバイエルンの格を見せつけるパフォーマンスとなった。

 それでもサイドにボールをつけながら強引に高さ勝負へ持ち込むチェコ。ボックス内にハイタワーを送り込むことができる状況を作ることができれば、韓国を脅かせることは明確。そこにいかに持ち込むか?というところに問題を抱えていたチェコだった。

 ハイドレーションブレイク後はチェコが中盤の降りるアクションを増やして保持のターンを作っていく。シャドーのシュルツのキープは、この試合に関していえばロングボールよりも前進に寄与していたと言えるだろう。

 だが、降りるアクションから手応えがあったのは韓国も同じ。センターラインの列落ちからチェコのマンツーを後手に回すことに成功し、インサイドにギャップを作っていく。このギャップから少しずつソン・フンミンが存在感を出していく。ミドルシュートや背後を狙う仕上げの部分は、明らかにチェコよりもゴールに迫る場面につながっていた。

 後半も主導権を握っていたのは韓国。ライン間で受けたインボムのミドルも、前半と同様に中央ユニットの列落ちによってチェコのマンツーを動かせていたことの表れだった。押し込まれる展開が多かったチェコはカウンターから反撃を狙うが、カウンターへの移行速度不足は顕著。韓国のDF陣は難なく対応することに成功していた。

 だが、押し返すわずかな局面を逃さなかったチェコ。ツォウファルのロングスローを仕留めたのはクレイチー。ピンポイントでスペースに合わせるロングスローからチェコが先制点を決める。

 しかし、韓国はすぐに反撃。左サイドから抜け出したインボムが冷静にゴールを決める。マンツーベースのチェコの守備の不備を突き、チャロウベクの開けたスペースに飛び込むことに成功したインボム。マンツーを徹底するのであれば、本来は対面のソイカがついていかなければいけない場面だったかもしれない。

 セットプレーとインボムの前線への飛び出し。どちらも再現性のある形であり、次のゴールが生まれてもおかしくはなかった。しかし、得点につながったのは韓国。右のハーフスペースに飛び出したインボムからのクロスをヒョンギュが仕留めてゴールを決める。チェコは再びインボムの飛び出しを捕まえきれず。オフサイドでセットプレーからのゴールが認められなかったチェコに対し、韓国がリードを奪う。

 終盤は2トップにシフトしてパワープレーに磨きをかけていくチェコ。しかし、押し下げて放り込むまでの土台作りがあまりにも不安定。クロス勝負に持ち込む局面をホールドできないまま時間が過ぎていく。

 逆転からの逃げ切りを決めた韓国。インボムの飛び出しが決め手となり、チェコ相手に初戦を制した。

ひとこと

 マンツーの守備をやりきれないというチェコの難点を韓国がうまく利用した印象だった。

試合結果

2026.6.11
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループA 第1節
韓国 2-1 チェコ
グアダラハラ・スタジアム
【得点者】
KOR:67′ インボム, 80′ ヒョンギュ
CZE:59′ クレイチー
主審:アミン・モハメド

第2節 南アフリカ戦

ゆったりとした展開がPKで一変

 ワールドカップの二回り目はチェコ×南アフリカから。ともに第1節では勝利ができなかっただけにここは必ず3ポイントが欲しいところだろう。

 ポゼッションでのスタートをするのはチェコ。南アフリカはバックラインにはプレスをかけずにポゼッションを許す格好。どのように攻略するか探っていく中でチェコはあっさりと先制点をゲット。ロングスローで押し下げたスペースを生かし、最後はサディレクがミドルシュートを仕留める。

 南アフリカは保持に回るとゆったり。チェコはSBに対してWBがスライドする形で前から人を捕まえにいく。第1節ではアンダードッグ寄りのチームがこうしたズレを対角パスで活用するケースは見られたが、南アフリカはそうしたアクションはなし。ややモタモタしているところがあった。

 押し込むことができてもサイドから突っついて壊すことができない南アフリカ。チェコは守備のスライドが延々と間に合う時間が続いていく。

 チェコは速攻ベースで対応。まずはライン間にボールを差し込みながら一気に縦に進んでいく。よりゆったりした保持においては深さをつくり、プレスを引き寄せながらロングボールを蹴ってセカンド回収する。

 徐々に南アフリカのポゼッションに対しても牙を剥き始めるチェコ。マンツーベースで相手を捕まえつつ、GKはフリー。後方からボールを動かしていくが、なかなかギャップを作れず。むしろ、相手のプレスによって自陣でバタバタと不要なミスを重ねてしまう。

 手応えを感じたチェコは後半もハイプレスを敢行。南アフリカは3-1-6気味に変形することで中盤を空洞化。プレスの基準点を喪失させて敵陣に攻め込む時間を増やしていく。

 しかし、浮いた選手を作ることができたとて、そこからスムーズに攻め込めるかは別の話。チェコ相手に主導権を握り切れているとは言い難い展開だった。

 南アフリカも高い位置からプレスに出ていくが、チェコはハイプレスに対してGKを絡めるポゼッションで無効化。非保持からも南アフリカにリズムを作らせない。

 ボールを持つ時間は少しずつ増えていくが、なかなか決め手となる攻撃の形が見えてこない南アフリカ。しかし、ゆったり守っていたチェコにアクシデント。シュルツのハンドによってPKを献上。このPKをモコエナが仕留めて追いつく。

 ここから活性化していきたいチェコだが、ホレシュの負傷によってなかなかギアアップができず。それでもプロボドとゼレニーの左サイドからなんとかクロスを上げ切ってインサイドの高さで勝負する。

 しかし、むしろ終盤戦に手応えのある攻めができていたのは南アフリカの方。ATにマクコバがあわやというシーンは作るが、ネットを揺らすところまでは至らず。試合は引き分けで幕を閉じることとなった。

ひとこと

 チェコ、引いて受けている時間が結果的にもったいなくなってしまった。

試合結果

2026.6.18
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループA 第2節
チェコ 1-1 南アフリカ
アトランタ・スタジアム
【得点者】
CZE:6′ サディレク
RSA:83′(PK) モコエナ
主審:トリ・ペンソ

第3節 メキシコ戦

オチョアと共に全勝でGSを締めくくる

 すでに首位通過を決めているメキシコ。最終節はメンバーを入れ替えながら死に物狂いで向かってくるチェコを迎撃する最終節となる。

 機動力に優れているとは言えない今大会のチェコだが、それでも勝ちに行くのであればハイプレスにいくしかない。だが、メキシコは落ち着いたポゼッションからプレスを回避。チェコのプレスの矢印をバッチリと折っていく。メンバーが多少入れ替わってもメキシコはメキシコというクオリティは見せつける立ち上がりとなった。

 徐々にプレスが撤退気味になっていくチェコ。相手との間合いを作ることができるようになったメキシコはドリブルから相手を剥がすシーンも作っていく。

 一方のチェコの保持に対しても厳しくメキシコはプレスにいく格好。サイドに閉じ込めるようなアクションからチェコに圧力をかけていく。速く寄せられた時のプレーの質はどうしても下がってしまうというチェコ。かといってロングボールでの陣地回復も難しい。セカンドボールの回収には味方が向かっているのだけども、シンプルにフロジェクがあまり勝てていなかった感じがする。

 左サイドでグラウンダーの楔でビシンスキと繋がることができた場面などはフロジェクのポストは活用できたりも。だが、こうしたプレーはあくまで単発。ミクロな局面で相手の矢印を折りつつ、味方がフリーランでフォローするというメカニズムが確立しているメキシコが優位なままハーフタイムを迎える。

 後半も展開としては同じ。敵陣ではプレスをしつつ、相手のハイプレスは制圧するという流れで支配力を見せていくメキシコ。シャープに後半も主導権を握る。

 後半に目立っていたのはIHコンビ。フリーランもできるロモとキャリー性能に長けているモラの2人からメキシコはチャンスメイクをしていく。

 先制点をお膳立てしたのはロモ。キープからチャベスの抜け出しを誘発すると、加速したままゴールまで陥れる。なぜそこに?と言いたくなるフリーランではあったが、結果的に得点に結びついた。

 2点目を生んだのはモラのキャリー。ここでも重要だったのはフリーランとの組み合わせ。巧みなコース取りをしたサンチェスでラインブレイクに成功すると、このチャンスをキニョーネスが仕留めて追加点を奪う。

 これでチェコはハードモード。メキシコはオチョアを投入し、徐々に試合の文脈は勝敗とは異なる部分にフォーカスされるようになっていく。

 最後にもう1つゴールを乗せて勝利を祝ったメキシコ。グループステージ全勝でノックアウトラウンドに弾みをつけた。

ひとこと

 攻守ともに明らかにメキシコの完成度が上だった。

試合結果

2026.6.24
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループA 第3節
チェコ 0-3 メキシコ
シアトル・スタジアム
【得点者】
MEX:55′ チャベス, 61′ キニョーネス, 90+4′ フィダルゴ
主審:ヤエル・ファルコン

総括

勝負できる局面が迷子に

 プレーオフではデンマークとの死闘を制して本大会の切符を手にしたチェコ。組み分け的には比較的恵まれているグループAに入ることができたが、グループステージで姿を消すこととなった。

 気になったのはトレードマークであるタワー型のスタイルが攻守ともに機能しなかったことだろう。第2節の南アフリカ戦でのロングスロー攻勢からのフロジェクのゴールはかろうじて力技を生かしたパターンと言えるかもしれないが、それ以外の状況では持ち味を出すことができず。

 韓国戦ではシックがキム・ミンジェに完封されてしまい沈黙。メキシコ戦ではそもそもロングボールにトライできるような陣容は捨ててしまった感じがある。

 さらに輪をかけて困ったのはリードをしている展開でも高さを生かした守備が機能しなかったこと。南アフリカ戦と韓国戦の2試合ではリードしている局面を経験しながら追いつかれる結末に。それも80分以降の失点が頻発しており、まずは自陣を固めるというところが機能しなかった。

 かといって前から出ていくプレスもできず。韓国戦ではミラーフォーメーションを生かしたマンツーでの勝負を仕掛けていくが、人についていくのを諦めるのが早く、あまりにも降りるアクションに対して脆かった。そういう状況では当然スペイン相手にプレッシングが通用するわけもなく、大逆転での突破の可能性は早々に潰えてしまった。

 総じて、この局面であれば勝負できる!というポイントを作ることができないまま沈んでいってしまった感が強く、Round32レベルにはなかったかなという感想。持ち味をここ!と定めるところからチーム作りを始めなければ、欧州予選の突破すらハードになってしまうだろう。

Pick up player:ラディスラフ・クレイチー
 クラブ同様に苦しい状況での3バックの一員としてバックラインを支える。韓国戦のゴールも含めて苦しいチームの中では奮闘した方だったか。

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