第1節 クロアチア戦

真面目なイングランドが初陣を飾る
グループLの登場となったイングランド。悲願のW杯獲得に向けて最終日の登場となる。何かと重要なところで対戦することが多いクロアチアとの一戦に挑む。
まず、試合で目についたのは十分な強度。イングランドは構えることなく、高い位置からジリジリとクロアチアのバックラインに圧力をかけていく。
対するクロアチアも前からイングランドを捕まえにいく形。互いに噛み合わせの悪い陣形ながらも、関係なくスライドしながら前プレをしていく。
非常に激しいぶつかり合いの中でミスが出たのはクロアチア。自陣のPA内でモドリッチがマドゥエケを倒してしまいPKを献上。一度はPKを止めたリヴァコヴィッチであったが、おそらくはグヴァルディオルの侵入が早かったため蹴り直し。リテイクをケインが決めてリードを奪う。
反撃に出たいクロアチア。保持の局面で気になったのはモドリッチがあまりボールを引き取りたがっていないように見えたこと。イングランドはライスがかなりモドリッチを気にしていたので、モドリッチがあえてボールから離れればライスがボールを狩りに行けないと思ったのかなという仮説。確かにライスは狩れていなかったけど、クロアチアが前進できていたかは微妙なので何とも言えないところではある。
どちらかといえばクロアチアの攻撃の勝負のポイントは非保持の方にかかっていた感。ハードなプレスでイングランドに圧力をかけていくクロアチア。このプレスが成功するかどうかは、ほぼ最終ラインまで落ちてボールを受けるケインをつぶせるかどうかにかかっている。仮にここがフリーになってしまうと、イングランドは右の大外のマドゥエケから広いスペースでの勝負を仕掛けることができてしまう。
逆に降りる選手に躊躇なくヴシュコヴィッチが押し上げることができればクロアチアはハイプレスをはめ込むことに成功したといえる。ハイプレスからボールを奪ったところからクロアチアはカウンターで同点。最後は素晴らしいバトゥリナのゴールで追いつく。
しかし、イングランドはセットプレーから勝ち越し。前の道をブロックしてもらうことでフリーになったケインの一撃でイングランドはリードを奪い返す。
だが、クロアチアは水際で同点。ムサのゴールで目まぐるしく動くスコアは2-2という形でハーフタイムを迎える。
後半もプレス勝負のインテンシティが高い展開。イングランドはワンタッチで横向きのアンダーソンがプレスを回避するクリティカルなパスを出すなど、前半よりはクロアチアのプレスをいなす術を見つけていた。
早々にベリンガムがゴールを決めることでイングランドはゴールをゲット。前がかりなクロアチアの背後を取る格好でリードを奪うことに成功。半端なプレスであれば右サイドから破ることができるのがこの日のイングランドだ。
ここからは両チームの選手層の違いが感じられる展開となった。選手の交代で巻き直すイングランドに対して、クロアチアは前からのプレスをかけ切ることができずにバテ気味。終盤は馬力の差が出てくる。
終盤にはラッシュフォードが勝負を決める一撃を仕留めたが、それでもケインは前からのプレスを誘導。最後まで炎を燃やしたイングランドがクロアチアを撃破。開幕節を勝利で飾ることに成功した。
ひとこと
結構真面目にプレスを開幕節からやったなという感じ。いい試合だけども心配。
試合結果
2026.6.17
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループL 第1節
イングランド 4-2 クロアチア
ダラス・スタジアム
【得点者】
ENG:12′(PK) 42′ ケイン, 47′ ベリンガム, 85′ ラッシュフォード
CRO:36′ バトゥリナ, 45+5′ ムサ
主審:クレマン・トゥルパン
第2節 ガーナ戦

粘りを見せたガーナが32強に前進
序盤からこの試合のコントラストはくっきり。ボールを持つのはイングランド側、受けるのがガーナ側という構図だった。
4-5-1で受ける選択をしたガーナはあくまでブロックをコンパクトに保つことを重視。2列目からは時折プレスに飛び出す選手もいるが、それに追従する選手はおらず、飛び出した選手は戻ってブロックの中に入っていく。あくまで狙いは相手に簡単に侵入を許さないこととなっている。
イングランドのポゼッションは後方のビルドアップが2CB+2CH。SBはある程度の高さをキープしつつ、ガーナのブロックの手前で相手を引き寄せるように動くことをしていた。おそらくはライン間を広げるためのアクションをしたいのだろうが、あまり効果は見えず。対角のマドゥエケにパスを出し、ここから1on1で勝負に行く形やライスの1枚剥がすキャリーの方が手応えはあった。
それでもボックス付近に迫る以上の効果を出すことはできないイングランド。手数をかけたスペース創出も不発で、ボックス付近のシュートはことごとくガーナの守備にブロックされ、ゴール方向に飛ぶことすらままならなかった。
押し込まれる時間が続くガーナはサイドの背後からカウンターで勝負。しかしながらこれもイングランドの帰陣の早さを前に武器になることはなし。トーマスのワンタッチでの背後を狙うパスも時折飛び出していたが、こちらもパスが出た後にイングランドの陣形回復が間に合っていたので効果は薄かった。
ガーナがプレスのスイッチを入れる瞬間を見せるなど、たまにリズムを変えるアクションも見られはしたが、基本的には展開は一本調子。イングランドがガーナのブロックをこじ開けられないままハーフタイムを迎える。
当然後半も試合の展開は同じ。イングランドはポゼッションをキープするが、相手を打開する術を見つけられず。ガーナはサイドの裏を中心に長いレンジでのパスを通すが、これもイングランドの陣形を乱すところまでには至らなかった。
流れを変えようとした選手交代から少しずつ試合は動いていった感。ガーナはアイェウに代わって入ったCFのアドゥの裏抜けがアクセント。ややサイドに流れつつCBの背中を取るようなアクションからの抜け出しでチャンスメイク。コンサやピックフォードにあわや大事故というような対応を強い続ける。
イングランドはサカ、ラッシュフォードの投入でWGをリフレッシュ。CHタスクとの二役ができるオライリーを投入したことにより、アンダーソンよりも攻撃的なキャラクターに中盤を入れ替えるなども敢行した。
ボックスの外からのサカのシュートやオライリーのボックスへの飛び込みなど、アクセントとなる動きは増えていた。だが、この日は最後の決定力のところが伴ってこない。86分にチャンスを迎えたケインもガーナの呪術師の影響か枠にボールが飛ばなかった。
結局、ガーナは粘り切ることに成功。イングランドと勝ち点を分け合い、突破の目をかなり濃くして最終節を迎えることとなった。
ひとこと
やるやん、ガーナの呪術師。
試合結果
2026.6.23
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループL 第2節
イングランド 0-0 ガーナ
ボストン・スタジアム
主審:サイード・マルティネス
第3節 パナマ戦

最後は叩き割って首位通過
すでにグループステージ敗退が決まっているパナマ。4ポイントながら後半グループの恩恵を受けて試合前には突破が決まっているイングランドとの一戦に挑む。
立ち上がりから勢いの良いシュートでスタートしたのはパナマ。意外とこの試合のパナマのプランのキックアンドラッシュ作戦にはイングランドはかなり苦労していた印象。
ボールを収めるところでも一発でイングランドのDFには跳ね返しを許していなかったし、セカンド回収でもそれなりに勝負をすることができていた。
トランジッションからのサイドのファストブレイクでも手応えはある展開。グループステージで目立っていた右サイドの縦関係はもちろんのこと、左サイドのホセ・ルイス・ロドリゲスもファストブレイクから惜しい状況を作る。
しかしながら、さすがに保持の主導権はイングランド。中盤に構えるパナマに対して、ブロックの外に降りる選手から相手を揺さぶりつつチャンスを探っていく。
縦にパスを刺したところから勝負を仕掛けていこうとするが、右のWGであるサカは苦戦。詰まる場面が続く。むしろパナマが固めているインサイドの方がチャンスを作れそうな気配があったイングランド。ケインのポストと距離を詰めて前を向く選手を作ったり、あるいはダイレクトで背後を突くアクションをしたりなどで少しずつ揺さぶっていく。
それでも前半はイングランド相手に粘ることに成功したパナマ。スコアレスでハーフタイムを迎える。
後半もパナマの持ち味はアグレッシブさ。高い位置からイングランドのバックラインにプレッシャーをかけていく。しかし、アンダーソンのキャリーなどイングランドは落ち着いてこの状況に対応する。
またキックアンドラッシュ戦法も前半ほどはイングランド相手に効き目を出すことができず。セカンドボール回収もイングランドに優勢に変化。縦に間延びしたスペースでイングランドの攻撃が逆に活性化していく。
押し込む機会を得たイングランドはセットプレーから先制。ベリンガムの一撃でようやくリードを確保する。
追加点はラッシュフォードのクロスから。彼の右足からのクロスにケインが難しいステップで合わせてゴール。この2点で完全に試合は決まった。
イングランドはこの勝利で首位通過。パナマは勝ち星なしでグループステージを去ることとなった。
ひとこと
粘りはしたが最後は叩き割られたパナマだった。
試合結果
2026.6.27
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループL 第3節
パナマ 0-2 イングランド
ニューヨーク/ニュージャージー・スタジアム
【得点者】
ENG:62′ ベリンガム, 67′ ケイン
主審:アル・ジャシム
Round 32 DRコンゴ戦

新興国の希望をイングランドのエースが握り潰す
ウズベキスタンを下し、ノックアウトラウンドの椅子を確保したDRコンゴ。イングランドとの一戦は国の歴史に残る挑戦ということになる。
そんなアンダードッグ的な立ち位置とは裏腹にこの試合のDRコンゴはポゼッションからスタート。イングランドは簡単にボールを持たせる気はなく、高い位置から追っていたのだが、GKのポゼッション参加とCBのキャリーでイングランドのプレスを撤退させていく。
すると、オフザボールからあっさりと先制点を確保。対角パスからサディクのフリーランでスペンスを乱すと、そのままシペンガがゴール。ピックフォードもニアを閉じきることができないままあれよあれよとイングランドは失点までたどり着いてしまった。
その後もDRコンゴはポゼッションからイングランドを揺さぶることに成功。そもそもボールを持って腰を据えた敵陣の攻略に入るというところまでなかなかイングランドはたどり着くことができない。
ボールを持つことができてもなかなか効果がある動きが見られないイングランド。右のマドゥエケにボールを集めるが、対面のマスアクになかなかアドバンテージを取ることができない。むしろ、突破だけで言えば後方のスペンスの方が切れ味もあった。それでも抜き切らないクロスからチャンスを作る形で修正したのは良かったとは思う。
サイドからつっつくよりは強引にインサイドのケインの上下動から起点を作る方が有望なイングランド。あわやPKというシーンも出てくるなど、かなり効き目はあった。しかし、どこが効きそうかを整理したところでハーフタイムまでかかってしまった感があった。終盤にはチャンスもあったが、ムパシのファインセーブでDRコンゴがリードをキープする。
後半もまずはポゼッションから揺さぶるDRコンゴ。イングランドはハイプレスからこれを咎めて自分たちのポゼッションを取り返す。
イングランドは早々に左右のWGを入れ替えて攻撃のテコ入れを敢行。サカはトラップミスが見られるなどこちらもマドゥエケ同様にすんなりフィットとはいかなかった。
それでもハイドレーションブレイク明けにさらに修正を加えた4-3-3でイングランドは同点ゴール。右サイドにナチュラルに抜け出したのは多角形の構造ゆえという感じ。SB起用されたライスの抜け出しからケインがゴールをゲット。難しいヘッドを簡単そうに決めるのはエースの矜持だろう。
さらにケインは逆転ゴールも。パスを受けたところからそのままコースを作り出して強烈な一撃をお見舞いする。
鮮烈な逆転劇でDRコンゴの希望を潰したイングランド。エースの活躍で苦しみながらもトーナメント初戦突破を果たした。
ひとこと
これぞエース!というケインの働きだった。
試合結果
2026.7.1
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
Round 32
イングランド 2-1 DRコンゴ
アトランタ・スタジアム
【得点者】
ENG:75′ 86′ ケイン
DRC:7′ シペンガ
主審:アドハム・マハドメ
