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「FIFA World Cup 2026 チーム別まとめ」~クロアチア代表編~

目次

第1節 イングランド戦

真面目なイングランドが初陣を飾る

 グループLの登場となったイングランド。悲願のW杯獲得に向けて最終日の登場となる。何かと重要なところで対戦することが多いクロアチアとの一戦に挑む。

 まず、試合で目についたのは十分な強度。イングランドは構えることなく、高い位置からジリジリとクロアチアのバックラインに圧力をかけていく。

 対するクロアチアも前からイングランドを捕まえにいく形。互いに噛み合わせの悪い陣形ながらも、関係なくスライドしながら前プレをしていく。

 非常に激しいぶつかり合いの中でミスが出たのはクロアチア。自陣のPA内でモドリッチがマドゥエケを倒してしまいPKを献上。一度はPKを止めたリヴァコヴィッチであったが、おそらくはグヴァルディオルの侵入が早かったため蹴り直し。リテイクをケインが決めてリードを奪う。

 反撃に出たいクロアチア。保持の局面で気になったのはモドリッチがあまりボールを引き取りたがっていないように見えたこと。イングランドはライスがかなりモドリッチを気にしていたので、モドリッチがあえてボールから離れればライスがボールを狩りに行けないと思ったのかなという仮説。確かにライスは狩れていなかったけど、クロアチアが前進できていたかは微妙なので何とも言えないところではある。

 どちらかといえばクロアチアの攻撃の勝負のポイントは非保持の方にかかっていた感。ハードなプレスでイングランドに圧力をかけていくクロアチア。このプレスが成功するかどうかは、ほぼ最終ラインまで落ちてボールを受けるケインをつぶせるかどうかにかかっている。仮にここがフリーになってしまうと、イングランドは右の大外のマドゥエケから広いスペースでの勝負を仕掛けることができてしまう。

 逆に降りる選手に躊躇なくヴシュコヴィッチが押し上げることができればクロアチアはハイプレスをはめ込むことに成功したといえる。ハイプレスからボールを奪ったところからクロアチアはカウンターで同点。最後は素晴らしいバトゥリナのゴールで追いつく。

 しかし、イングランドはセットプレーから勝ち越し。前の道をブロックしてもらうことでフリーになったケインの一撃でイングランドはリードを奪い返す。

 だが、クロアチアは水際で同点。ムサのゴールで目まぐるしく動くスコアは2-2という形でハーフタイムを迎える。

 後半もプレス勝負のインテンシティが高い展開。イングランドはワンタッチで横向きのアンダーソンがプレスを回避するクリティカルなパスを出すなど、前半よりはクロアチアのプレスをいなす術を見つけていた。

 早々にベリンガムがゴールを決めることでイングランドはゴールをゲット。前がかりなクロアチアの背後を取る格好でリードを奪うことに成功。半端なプレスであれば右サイドから破ることができるのがこの日のイングランドだ。

 ここからは両チームの選手層の違いが感じられる展開となった。選手の交代で巻き直すイングランドに対して、クロアチアは前からのプレスをかけ切ることができずにバテ気味。終盤は馬力の差が出てくる。

 終盤にはラッシュフォードが勝負を決める一撃を仕留めたが、それでもケインは前からのプレスを誘導。最後まで炎を燃やしたイングランドがクロアチアを撃破。開幕節を勝利で飾ることに成功した。

ひとこと

 結構真面目にプレスを開幕節からやったなという感じ。いい試合だけども心配。

試合結果

2026.6.17
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループL 第1節
イングランド 4-2 クロアチア
ダラス・スタジアム
【得点者】
ENG:12′(PK) 42′ ケイン, 47′ ベリンガム, 85′ ラッシュフォード
CRO:36′ バトゥリナ, 45+5′ ムサ
主審:クレマン・トゥルパン

第2節 パナマ戦

常連国がデスマッチを制する

 負ければW杯からの敗退が決まってしまうという第2節にしてデスマッチの様相を呈する両チームの一戦。特に前回も好成績のクロアチアにとっては負けられない試合となる。

 序盤からボールを持つのはクロアチア。パナマは5-4-1の非保持のブロックを組む形になり、クロアチアのポゼッションを受け入れる格好に。

 クロアチアの保持は不確定要素が少なめ。モドリッチ、コバチッチのどちらが前に入るか?ぐらいの変化くらいであり、前回大会のような変幻自在感があまりないのは気がかりだった。

 モドリッチがフリーになることもあったので、そこからサイドへの展開や背後へのアクションもなくはなかったが、前線の単騎性能で勝負するとなるとクロアチアは厳しいものがある。悪い意味で素材勝負になってしまったというのがこの試合のクロアチアの感想だ。

 ハイプレスに来られた時の回避策のなさも苦しいところ。パナマはそこまで前がかりなチームではなかったので事なきを得たが、圧力がかかった時の逃しどころがあまり見つからず。モドリッチを含めたとしても、致死性のカウンターを喰らうような自陣でのパスミスはやまなかった。

 パナマの保持はクロアチアの即時奪回を逃すようにスタート。4バック相手であれば後方の数的優位を使いつつ、高い位置を取った相手のSHの背中を取るように前進。特に右サイドのムリージョとマルティネスの縦関係はプレス回避をしつつ、サイドの背後を取るという一連が非常に安定。スムーズな前進から敵陣に入っていく。

 ワイドのCBが攻撃参加できるくらいにはクロアチアを押し下げることができたパナマ。対角のホセ・ロドリゲスへのクロスも含めて、攻撃には手応えのある状況。クロアチアと攻守に真っ向に渡り合いながらハーフタイムを迎えることとなった。

 後半、クロアチアはクラマリッチを投入。FW色を強めて前線のターゲットを増やすのかな?と思ったら、いきなり中盤に降りてきて組み立てにガッツリ絡むので戸惑った。総じて見ても、前半のバトゥリナよりも中盤の仕事をしているようには見えた。

 意外性のある入りを見せたクロアチアは先制点も意外性がある形。ここまであまり見られなかったパシャリッチを追い越すスタニシッチという流れからゴール。内側ではクラマリッチと同じく後半頭から交代で入ったブティミルがフィニッシャーとして仕事を果たした。

 パナマは後半の立ち上がりは少し面食らったような立ち上がり。先制を許してからようやくオープンな状況の中で押し返すチャンスを手にする。

 後半もパナマの攻めのメインとなるのは右サイド。終盤は圧倒的に攻め立てる場面も見られたが、立ちはだかったのはクロアチアの守護神であるリヴァコヴィッチ。押し込まれる終盤戦での防衛策の中心となり、クロアチアのゴールを死守する。

 結局逃げ切りに成功したのはクロアチア。デスマッチを制して、最終節に望みを繋いだ。

ひとこと

 前回大会もグループステージは低調だった気がするクロアチア。まだ変身を残しているか。

試合結果

2026.6.23
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループL 第2節
パナマ 0-1 クロアチア
トロント・スタジアム
【得点者】
CRO:54′ ブディミル
主審:ピエール・アチョ

第3節 ガーナ戦

利害関係が気にならない後半

 現在3位のクロアチア。3位争いのテーブルの中では突破を見込める位置。すでに突破を決めているガーナに対して引き分け以上をもぎ取れば自力でのノックアウトラウンド進出が決まることとなる。

 立ち上がりはクロアチアのポゼッションからスタートするこの試合。ガーナは2列目の5枚がかなりフラットであり、守備の開始位置はミドルゾーンから。強引に前から捕まえにいくアクションをかけることはしない。

 一方、クロアチアのプレスのスタンスも似た形。4-4-2ベースにしつつ、強気で前から捕まえにいくわけではない。ゾーンの高ささえ保つことができれば、人を追いかける意識はガーナよりは強かったかもしれない。サイドに展開した時にはガーナの選手の方が相手の圧力を感じていたかもしれない。

 基本的にはこの試合は交互にボールを持ちながら、ゆったりとする形が終始続くこととなる。相手にボールを持たれていたとしても、このままいけば突破なので特に守備側に試合を動かす必要がなかったのが実情だ。

 その中でもどちらかといえばゴールに向かう素振りが強かったのはクロアチア。トランジッションからミドルや左サイドをつつくアクションがちらほら見られた。

 先制点もミドルシュートから。左サイドからとった深さをミドルシュートという形で還元。股下2枚抜きを決めたスチッチがリードをもたらす。

 スポットでセメンヨがシュートを打つなど、全く反撃の様子がないわけではないガーナだったが、基本的には突破を決めているため、強引に展開を動かそうという様子はなし。クロアチアのポゼッションのまま残りの時間が過ごされることとなる。

 後半、ガーナは4-4-2にシフト。前からのチェイシングを再開することでクロアチアからボールを取って前に推進力を出していくシーンを作る。

 しかし、クロアチアは時間の経過とともにプレスに対して余裕を持って対応ができるように。展開は再び落ち着いたものになる。

 状況を動かしたのはセットプレー。ハイドレーションブレイク明けの一撃でガーナが追いつくことに成功。スタンドの魔術師も大盛り上がりだ。

 だが、すぐにクロアチアはやり返しに成功。ヴラシッチが同じくセットプレーからスコアを動かして再びリードを奪う。

 ガーナは終盤に出ていくがクロアチアの守備ブロックをこじ開けることはできず。試合はクロアチアが2位、ガーナが3位という形で決着した。

ひとこと

 会場やそれに伴うトーマスの出場の可否も含めて、結構順位の利害関係のある試合だったけども、後半はそれに関係なく楽しめたのは良かった。

試合結果

2026.6.27
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループL 第3節
クロアチア 2-1 ガーナ
フィラデルフィア・スタジアム
【得点者】
CRO:31′ スチッチ, 83′ ヴラシッチ
GHA:73′ ルカッセン
主審:ドリュー・フィッシャー

Round 32 ポルトガル戦

スリリングな展開の中に存在感を見せるVAR

 ロナウドとモドリッチ、それぞれの国のトレードマークとなるレジェンドがいる両チームがトロントで激突するこの試合。Round32屈指の好カードである。

 序盤から試合は睨み合いでスタート。互いにバックラインにはプレスをかけずにボールをゆったりと持つところからスタートする。

 そうした中でキーになるのは一瞬で相手を斬るような切れ味のある武器を持っているかどうか。その点ではポルトガルが優位。立ち上がりのレオンのスピードを活かした一撃などはまさにそうした武器に当たる部分。相手がきっちりとブロックを組んでいる中での飛び道具という点では中盤を空洞化させながら、長いレンジのパスを駆使しつつ、遠距離でブロックを狙撃するイメージが持てるポルトガルの方が優位だった。

 クロアチアはオーソドックスな2-2ビルドに右のSBが枚数調整役として関与。左のペリシッチは高い位置をとるケースが多く、ネトがピッタリとついていくことで対応したポルトガルは5バックのようにも見える振る舞いだった。

 しかしながら、先述のように堅い展開の中で相手を出し抜けるような武器が足りていなかったクロアチア。なかなかキッカケを掴むことができず。またキッカケを相対的には掴めたポルトガルもチャンスは少ないままハーフタイムを迎える。

 後半の立ち上がりはポルトガルが前半のように左サイドのスピードを活かす立ち上がりを見せると、クロアチアもカウンターでやり返す。この応酬が象徴するように、後半は打って変わってオープンな展開を見せたのがこの試合の特徴だった。

 前半は4-5-1で構えていたクロアチアは前からのプレスのスイッチを入れることで、試合のテンポを上げていくアプローチで上下動を増やしていく。すると、サイドアタックを完結する形で先制点をゲット。スタニシッチからのクロスをペリシッチが押し込んでゴール。ポルトガルからすると両サイドの守備対応の甘さが如実に出た失点シーンとなった。

 このゴールからクロアチアは一気にラッシュ。間延びしたポルトガルの守備陣形に対して、インサイドに起点を作りながら横断でサイドアタックに移行。脆くなったポルトガルのサイドの受けを再現性を持って崩していく。前からのプレスも空振りで逆にクロアチアに加速する機会を与えるなど、下手を打ってしまうことも。ポルトガルはディオゴ・コスタでなんとか凌ぐ展開が続く。

 レオン、ロナウドなどの大砲の一撃から反撃を狙いつつも劣勢のポルトガルは一気に4枚交代を敢行。このギャンブルがどう出るか?を判断する前にセットプレーでのホールディングでPKを獲得。ロナウドが真ん中に蹴り込んで試合は振り出しに戻る。

 これでポルトガルムードになるかと思われたが、ドリブルからのコバチッチのミドルの2連射などクロアチアも一歩も引かない展開。クロスやセットプレーではヘディングで相手の守備を出し抜くなど、決定的なシュートを打つ場面もあるが、わずかに枠をとらえない。

 最終的にはクロアチアは後方の枚数を増やす選択に。だが、この策をレオンのピンポイントクロスで破ることに成功したポルトガル。2人のマーカー相手になんとかゴールに捩じ込んだゴンサロ・ラモスによってポルトガルは後半追加タイムにこの試合初めてのリードを奪う。

 最終盤にはパワープレーに出るクロアチア。なかなかクロスを入れずにヤキモキする状況が続くが、狙い澄ましたクロスからの一連でグヴァルディオルがネットを揺らすことに成功。だが、これはわずかにオフサイドという判定に。

 最終的には17分を数えた追加タイムを終えて勝者となったのはポルトガル。マドリーでの旧友を下したロナウドがRound16に進出した。

ひとこと

 前半と打って変わって終盤はスリリング。VARが目立った試合という意味ではこの大会では暫定一位かもしれない。

試合結果

2026.7.2
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
Round 32
ポルトガル 2-1 クロアチア
トロント・スタジアム
【得点者】
POR:68′(PK) ロナウド, 90+4′ ゴンサロ・ラモス
CRO:53′ ペリシッチ
主審:エスペン・エスコース

総括

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