MENU
アーカイブ
カテゴリー

「FIFA World Cup 2026 チーム別まとめ」~トルコ代表編~

目次

第1節 オーストラリア戦

詰めの甘さが目立つトルコをオーストラリアが粉砕

 ここまで好調をキープしているアジア勢。オーストラリアの初陣は日韓以来の出場となるトルコ。24年ぶりのW杯を戦うことになる。

 序盤からボールを持つのはトルコ。ユクセクがサリーする形で最終ラインに入る3バック化を敢行する。オーストラリアは5-4-1でブロックを組む形。4の形はかなりフラット気味であり、トルコは1トップの脇に選手を置くことで起点づくり。入ってくる選手も多彩で、横のドリブルで相手を揺さぶるカディオールやチャルハノールから配球。2列目を動かす形で前進を狙う。

 オーストラリアは最終到達点だけ防いでおけばOKだろうという感じ。ミドルを狙えるバイタル付近の守りを手厚くすることで自陣の守備を固めていく。

 保持だけ見ればトルコは攻め続けてオーストラリアの堅い壁をこじ開けようとする展開になるかと思われた。しかし、トルコにとって誤算だったのは非保持の方だろう。メトカーフを狙ったロングボールが収まるのは仕方ないとしても、ハイプレスを起動した時に全く相手を捕まえられなかった。

 特に前線がロスト後にプレスにいくタイミングがかなり遅く、プレスに行ったとしてもかなり遠い距離で止まってしまう。これではホルダーはプレスがかかっているとは感じない。オーストラリアは左サイドを軸にトルコのプレスを引き寄せると、ここから背後をスピード勝負で狙っていく。

 オーストラリアはプレスがかかっていない時はロングボールを狙い、かかっている時は手数をかけてサイドを裏抜けで破りにいくというあべこべ感が面白かった。ロングボールではターゲットになっていたメトカーフもプレスがかかると中盤に降りてプレス回避に加わっていく。

 プレス回避から手応えを得たオーストラリアはGKからのリスタートで先制。トルコのアリバイハイプレスを交わしてサイドから早く進撃に成功。そのままイラングンダがゴールを陥れる。

 トルコは押し込む局面においては左のユルマズの縦突破からのクロスでミドルシュートを打つスペースを作り出す。しかし、この日はミドルの精度が低調。枠を捉えることができないシーンが目立つ。オーストラリアが前に出てきた時のカウンターにも丁寧さを欠いており、なかなかゴールまでは辿りつかない。

 後半も大枠の展開は同じ。トルコの前がかりながらも強度がないプレスをオーストラリアの左サイドが余裕でいなすことでスピードアップ。トルコは押し込む時間が多く、個々人は上手いのだけども1人のアクションを周りが活かせないシーンが続く。左サイドにハーフタイムから入ったユルディズが攻撃の中心ではあるが、なかなかゴールに近づくチャンスはなし。頼みのミドルも精度を欠いたままだった。

 70分の手前付近から少しずつトルコの攻撃にはつながりが出るように。ナローなスペースを崩すためのポストやオフザボールでオーストラリアの逆を取るシーンが出てくる。ややトランジッションの強度が落ちたオーストラリアだったが、選手交代直後にオーストラリアが貴重な追加点。リードを2点に広げる。

 チャルハノールのFKをはじめ、多くのレンジのあるシュートが枠外、ポスト、そしてGKに阻まれたトルコ。カウンターからチャンスを量産したオーストラリアに屈し、24年ぶりのワールドカップは黒星スタートとなった。

ひとこと

 縦ポンにやられたで済ますにはハイプレスが脆すぎるトルコだった。

試合結果

2026.6.13
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループD 第節
オーストラリア 2-0 トルコ
BCプレイス/バンクーバー
【得点者】
AUS:27′ イランクンダ, 75′ メトカーフ
主審:ヘスス・ヴァレンズエラ

第2節 パラグアイ戦

詰めの甘さと精度不足が拭えないまま敗退決定

 第1節では大量のシュートを浴びせながらも勝ち点を奪うことができなかったトルコ。第2節で勝利を手にして、なんとか最終節に望みを繋ぎたいところだ。

 同じ4-4-2がベースとなったこの試合。高い位置からプレスでボールを奪いにいくのはパラグアイ。強烈なプレスが身を結んだのはわずか2分。トルコの左サイドでボールをひっかけるとあっさりとゴールまで持っていくことに成功。ガラルサの一撃でリードを奪う。

 このハイプレスはあくまで成功例。パラグアイの激しいプレスは結果としてファウルや軽い負傷を呼び込むことも多く、立ち上がりから主審はこの試合をコントロールするのに苦労していた。

 一方のトルコは第1戦と同じく体を寄せるアクションにゆるさが見える。寄せているつもりでもプレッシャーを感じていないという状況はこの試合でも。パラグアイ相手にボールを奪うことはできない。

 それでもトルコはトランジッションから反撃。サイドの裏にスピードを生かして潜り込むことにより、縦に速い展開になんとかくらいついていく。

 15分も経てば試合はトルコのポゼッションで落ち着く形に。3-2-5でポゼッションを行うトルコに対して、パラグアイはSHを低い位置まで下げて時には6バックになる陣形に見える時も。一方的に押し込みながら広くポゼッションを敢行。裏抜けのアクションもオーストラリア戦よりは見られており、悪くはない入りだったと言えるだろう。

 ただし、ミドルシュートなどの詰めの甘さは健在。枠にきっちりボールを飛ばすところがなかなかこの試合でも達成することができない。だんだん攻撃のテンポも画一的となり、もう一手詰めたいところで雑に終わらすケースも出てくる。

 受けるパラグアイが素晴らしいのはこれだけ下がってもロングカウンターを打つことができる馬力があるということ。カウンターから馬力あふれる突破で敵陣まで。トランジッションの強度は明確にトルコよりも上なので、敵陣で時間を稼げれば枚数的には優位を取ることができるケースが多かった。

 しかし、順調だったパラグアイにアクシデント。アルミロンが”プレスティアーニ・ルール”で退場となり、10人での戦いを余儀なくされる。

 後半、選手交代を挟んで4-4-1でトルコの攻撃を受けるパラグアイ。トルコは前半からストロングだった左サイドからチャンスメイク。SHもCHも最終ラインに入ることが多かったパラグアイに対して、ミドルやバイタルからのラストパスを増やしていきたいところではあったが、割とあっさりとクロスにシフトする場面も。

 終盤は2トップにシフトし、右のSBのミュルドゥルもボックスに入ることで圧力を増していたトルコ。しかし、肝心のシュートがゴールに向かわない。

 パラグアイは10人でも馬力を見せてのカウンターで陣地回復。プレスで無理なく圧力をかけるシーンもありながら、簡単には裏を取られないバランス感覚を持っていた。

 それでもトルコに押し込まれる終盤戦はかなり厳しい立ち回り。祈るしかなかった終盤戦はヒルのファインセーブとトルコの精度不足でなんとかトルコの猛攻を凌ぐ。

 最終的には10人で45分以上を逃げ切ったパラグアイ。死に物狂いで守りきり、勝ち点3を手にした。

ひとこと

 トルコ、基本的には攻撃の詰めの甘さがよく目立つチームだと思うが、さすがに最後の10分はシュート精度のせいだなという感じ。

試合結果

2026.6.19
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループD 第2節
トルコ 0-1 パラグアイ
サンフランシスコ・ベイエリア・スタジアム
【得点者】
PAR:2′ ガラルサ
主審:イヴァン・バートン

第3節 アメリカ戦

証を刻んだトルコ

 すでに敗退が決まっているトルコと首位通過が決まっているアメリカ。やることがない状況で迎える正真正銘の消化試合だ。

 序盤からボールを持つのはアメリカ。敵陣でのセットプレーを軸にチャンスメイク。トルコは自陣で数回のタッチがあったにも関わらず、クリアしきることが出来ない。このシーン自体は助かったという形ではあったが、アメリカは直後のセットプレーからゴールをゲット。ファーに走り込んだトラスティから先制ゴールが決まる。

 しかしながら、この日のトルコはやられっぱなしというわけではない。カウンターからギュレルが持ち運び、鋭く攻撃をしていく姿勢を見せると、そのギュレルが同点ゴールをゲット。ユルマズとのワンツーでボックス内に侵入すると、ようやく枠内に飛んだ!と言いたくなる一撃でようやくゴールを仕留める。

 この試合のトルコはアタッキングサードで味方を使う意識が高かったという点が非常に評価ができるところ。特に左サイドの味方を追い越すアクションが有効であり、これはコクチュの逆転ゴールにつながっている。

 アメリカは3-2-5のポゼッションから押し込む局面を作り出していく格好。マッケニーはこの試合でも元気でギャップでボールを受けたところから、エネルギッシュなプレーを行っていく。

 アメリカの制御していきたい感にトルコは逆らうようなスピードアップで対抗という構図。前半はトルコのリードでハーフタイムを迎える。

 後半はアメリカの保持が支配的な流れ。敵陣に押し込んでいくところから、セットプレーでチャンスを得ると、ロングスローからのセカンド回収後のミドルシュートで得点。いきなりゴールを生み出して同点に追いつく。

 トルコはなかなか反撃の流れを作ることが出来ない形。前半のようなエネルギッシュな陣地回復は静まってしまい、一方的に押し込まれる局面が続く。アメリカはホームの観客の後押しを利用して一気に攻め込みたいが、ネットを揺らすまでは至らない。

 しかしカウンターから少しずつトルコがチャンスを作っていく形で終盤に巻き返しに成功。敵陣での攻撃の時間を増やしていくと、最後の最後で粘りを見せて勝ち越し。ファーサイドで余っていた選手を作り出すと、折り返しをアイハンが強引にゴールへ押し込んで逆転。最後の最後でW杯に証を刻むことに成功したトルコだった。

ひとこと

 総じて、終盤にトルコの意地を見ることが出来た試合だった。

試合結果

2026.6.25
アメリカ・メキシコ・カナダW杯
グループD 第3節
トルコ 3-2 アメリカ
ロサンゼルス・スタジアム
【得点者】
TUR:9′ ギュレル,31′ バルシュ, 90+8′ アイハン
USA:3′ トラスティ, 49′ バーホルター
主審:ムスタファ・ゴルバル

総括

4位最強チームの敗因は?

 グループ4位のチームを12個見渡した時におそらく一番力があるだろうチームなのはトルコなのではないかなと思う。特に個人個人のできることのクオリティでいえば、Round32のチームには明らかに引けを取らないレベルだと思う。

 それなのに敗退してしまった理由は個人的には大きく分けて2つ。1つ目は個人個人のうまさを味方に分配するのがあまりうまくないことである。トルコの前線はスピードが豊かで、目の前の人を剥がす力もある。けども、1人が剥がせたところにほかの選手が絡んでくるシーンが非常に少ない。

 人がいて、守れているはずのところを剥がすということの価値はサッカーにおいては非常に高く、一番重要といってもいいスキル。それなのに、1人ズレたことを活用できず、結局はドリブルをする選手が最後まできっちりとやり切ってくださいね!ということが求められているかのようなチームコンセプトだった。

 それでもグループステージであれば、連携面でのプラスが少なくてもなんとかなりそうではあった。誤算だったのはミドルシュートが仕留めきれなかったこと。オープンな状況でも枠に飛ばないなど、多く数を打ってもこじ開けるきっかけにならなかったのはもったいなかった。

 もう1つの難点は守備のところだろう。前からの守備に行く意欲があるのはいいのだけども、ホルダーに対してある程度の距離まで詰めるともう一歩の寄せをサボる傾向にあった。これが2つ目の敗退の要因と個人的には考えている。レビューの図でいえばハマっているような状況でも、実際のホルダーとの距離は遠く、フリーで逃げられるケースが多かった。

 一番典型的なのはあっさりと脱出を許してしまったオーストラリア戦の先制点のところだろう。前からのプレスに行く意欲は見せていたが、誰一人として決定的にホルダーを捕まえる様子はなく、背後を取られてしまい、ゴールを陥れられるところまであっという間にたどり着いてしまった。

 バックスの緩さが伝統的になってしまっているのは気がかりなのだけども、前方のタレントが豊かになっている分、高い位置からのプレスやアタッキングサードでの連携の整備ができればまだまだ伸びしろはあるチーム。次の再チャレンジが今回のように間を空けたものではないことを祈りたい。

Pick up player:アルダ・ギュレル
 誰よりも多くチャンスを作り、なかなか仕留められず、前からの守備も空転してしまいいろんな意味でトルコの象徴となった。アメリカ戦でようやく手にしたゴールが次につながることを期待したい。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次